「わ〜っ先生!見てみてvvすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすご〜い!」





「・・・五月蝿い」






























+みんなでランチを+











洋館が立ち並ぶ街、横濱。
蒸気機関車の中でも感動の声をあげ、上司の斎藤を呆れさせていただったが、
機関車を降りた後もの感動は収まるどころかますます興奮度を上げていった。
これが女ものの着物に身を包み、斎藤の腕をグイグイと引っ張れば、端から見ればなんとも微笑ましい光景だろうが、
と斎藤の身を包むは警察官の制服。
しかも棍棒を手に巡回する警官とは制服は異なり、二人が携えるは他の同階級の警官のものとまた違う日本刀。
男女通しても長身の域に入る二人で、斎藤は鋭い眼光を宿し、襟詰から第二釦まではずしくわえ煙草。
かたやはしっかりと制服は着ているが、あきらかに女とわかる姿形。
それも女の中でもかなり人目を引く美容姿に、高めに結わえても腰までとどく
黒い艶やかな髪を揺らし、珍しげに辺りを見渡していて。

と斎藤は違う意味でかなり目立っていた。

ある者は二人の整った容姿に目を奪われ、ある者は二人の仲を気にしてみたり、
またある者は二人が帯刀する日本刀に顔を顰めていたり。
それは異人の目にも珍しげに移ったようで、好奇の眼差しが遠慮なく斎藤とに向けられ。
もちろん、そんな視線に気づいている斉藤は、自分か見世物になったような気分でいい加減辟易していた。

斎藤とはとある異国からの要人の警護のために、横濱に訪れている。
ならなぜフラフラと出歩いているのかというと、同行した川路がたまには息抜きをと
気をきかせ、昼食を兼ねた休息を二人に与えたのだ。
そこでせっかく横濱まできたのだから洋食をとろうと出てきたはいいが、の好奇心はますます膨れるばかり。
深い溜め息とともに吐き出された紫煙がゆらりと揺らぎ消えていくのを眺めた後、傍らを歩くを見やれば
意識はしているのであろう、はぐれないように斎藤の袖をちょんと摘んだまま、
その好奇心の眼差しは建ち並ぶ洋館へと向けられている。
まるで、心の底では常に斉藤を頼っているかのような仕草に思わず口端を上げた。




「あ、先生ここですよ、使用人さんおすすめの洋食屋さん!
・・・・み?あれれ?緋村に薫ちゃん?」


「わあっさん!」


「おろ?殿に斎藤・・・って、おろ〜?;」


「ちょっ先生!どうしっ・・いたい〜!



洋食屋の前に見知った人物がいるのを見とめると、は満面の笑顔で剣心と薫へて走り寄ろうとした。
が、その次の瞬間グイッと右腕をつかまれ、バランスを崩ししまう。
右腕をつかむのが斎藤だと分かると同時に抗議の声を挙げた。
斎藤はそのまま元きた道を戻ろうとしたようだ。
本当に痛かったのだろう、情けない声を出すの腕を放し、目の前の剣心を見据える。


「なぜ貴様がここにいる抜刀斎」


そのぶっきらぼうに言い放つ言葉に、剣心は「相変わらずでござるなあ」と苦笑いを浮かべていたが、
どうやら薫の堪に触ったようだった。


「なによっ横濱見物するに警官の許可が必要なわけ?そもそも斉藤さんこそなんでいるんですか!」


ここで「も」と言わないのは、じつはと薫は仲がいいからで。
は暇を見ては神谷道場へと顔を出し、薫と弥彦の稽古を見ていたり時には
手合わせすることも。
神谷道場は人を活かす活人剣。
幕末から現在の明治でものふるう剣は殺人剣であり、初めこそは神谷の流儀に反すると
薫の手稽古を断っていたが、それならただの友だち同士の楽な試合でとにっこり微笑まれてしまい、
今では時折、薫と竹刀を交えているのである。
時には一緒に買い物へ行ったり、互いの想い人の話をしたり。
と薫は何でも話し合う友人であった。
斎藤は薫を一瞥するとフンと鼻で笑い「貴様らに関係ない」と言い放つ。
そんな言葉にますます薫の顔に怒り模様がぴくくと増え。
斎藤の、剣心達に対する相変わらずな態度に小さく笑って、薫の怒りを治めるように口開く。


「ある要人の警護できているんだ。今休憩時間でせっかくだから洋食でもって」

「そうでござるか」

「お前・・余計なこというなよ」

のんびり口を開くにのほほんと剣心が答える。
そんな二人に穏やかな流れる空気に斎藤はさも疲れたように息を吐き出した。
今回は極秘であると諭せばにへらとは肩を窄めてみせる。


「だって緋村や薫ちゃんだったら問題ないしぃ・・」

「そういう問題じゃない」

ポンッとの頭に手を置きグリグリとかき撫でれば、きゅうっと目を瞑って抗議する。
聞けば剣心達も昼食をとろうと立ち寄り、なんだかんだと一緒に取ることになった。
にっこり嬉しそうなに対し、斎藤は一瞬不愉快そうに眉を潜めるも何も言わなかった。
しかし、次の瞬間不愉快から不機嫌へと変わる。





「お〜い剣心!薫!やっと見つけたよこいつ!!あれ?じゃん!!」

「だってよー。ぜえってえあれはでっけえ馬が・・・って??」




道の向こう側から弥彦と弥彦に引っ張られるように歩いてくる左之助が
剣心達の元へとやってきた。
の姿を見とめる二人の顔に明が灯る・・・が



「ぁあ?!斎藤っなんでてめえーがいんだよ!!勝負しろ勝負!!」

「阿呆。こんな大往来で誰が猿真似するか間抜けが」

「あははーv左之は先生見るとすぐ勝負だねーv」


斎藤に鼻先であしらわれ、頭部から蒸気機関車よろしく、蒸気を噴出しながら声にならない怒りを露にする
左之助にはケラケラと笑う。
そもそも、は斎藤の部下であるのだから、がいれば斎藤もいるのはごく自然の
ことなのであるが、斎藤を人一倍敵視というより勝負相手と決め込んでいる左之助に
とっては「そんなこと知ったこっちゃねえ」である。
さらに憤怒の煙を頭から噴出す左之を一瞥するとスッと踵を返した。




「せっかくの昼飯が台無しになる、他行くぞ」

「ぇえ〜!!」


全力で不満を押し出し頬を膨らまして抗議の声をあげ、が上目遣いに見上げてくる。
ぷうっとむくれる表情が可愛いと揺らぐも、斎藤も負けじと「行くぞ」オーラを発する。
今日はやけにオーラの滲み具合が凄まじくは不服そうに項垂れた。
まるで、子供が不貞腐れているかのような仕草と表情に、一瞬揺らぐも
ここは上司としての威厳をなんとしても誇示したいところ。
「行くぞ」と再び口開けば、「はあい」と口を尖らせて斎藤の後へと続こうとしたその瞬間。




「ちょうど6人分席があったわ!!入りましょう!!さっさん早く!」


「え?うわっ」



店内の様子を見に入っていた薫がニコニコと出てきて一同に言うと、の手を引っ張り、
さっさと店内へと入って行ってしまった。
一瞬の出来事に表に取り残された男共は言葉をなくすも、弥彦はすぐさまハッとして
左之をひっぱり店内へと入っていく。それを見やると剣心は苦笑いを浮かべながら斎藤へと振り返った。


「薫殿から殿を奪い返すのは至難の技でござるよ。
それに昼時のこの時間は何処も混むはず。お主も街には長居はできんでござろう?
ここは諦めて拙者達と昼をとるでござるよ」


「・・・・ふん。貴様はともかくあの鳥頭は煩くてかなわん」










通された席に一行はしばしの間立ち尽くすしかなかった。
混雑している客席の間を通りすぎ、一行が通されたのは店内の奥の一室。
扉の上には桧で拵えられた表札がかけられ「貴賓室」と書かれている。
主に政官や金持ちが使用するような部屋だ。
そんなところに案内されるとは薫も思いもしなかったのだろう、あんぐりと口を
あけて表札を見つめている。
固まってしまっている面々に着物にエプロンという西洋前掛けをした若い女がにっこりと微笑んだ。
今日は休日で満席だが珍しく予約がないので、気にせず使ってほしいとのこと。
店からすれば大事な客を一人でも多くいれたいところなのだろう。
一行はしばし躊躇するも、そろそろと貴賓室へと足をすすめ入れたた。

広すぎず狭すぎず、程よい広さの室内の中央には丁度六人座れるテーブルが
どっしりと構えており、はおそるおそる椅子へと腰をかけた。
柔らかい曲線が美しい脚の椅子は味わい深い木目を輝かせ、
物珍しげに椅子の背もたれをなぞってみる。


「わー・・こんなところに来れるなんて・・」


室内をじっくりを見渡しながら、手渡された品書きへと視線を向ける。
隣に斎藤が腰を下ろしたのをみとめると、は品書きを斎藤へと差し出した。
斎藤は「先に決めろ」と促すも、ふるふると首を横に振ってみせた。


「私は食べたいの決まっていたので。使用人さんおすすめの
マカロニグラタンというの」

「ああ。そんなこと言ってたな」


出かけようとする二人に、使用人が目を輝かせてそのマカロニグラタンという
食べ物のうまさを語っていたのを思い出しながら、品書きを手に取った。
聞きなれない品が書き並べられ、その下に小さい文字でその食べ物の簡単な
説明が添えられている。
向かいの席では剣心と薫が物珍しげに品書きを覗き込んでいた。



「私はブイヤベースにしよっと。剣心は?」

「拙者は西洋おでんにするでござるよ」

「あ、ポトフっていうのね。弥彦は?」

「俺ハンバーグっ!」

「俺あ、エビフライな」


斎藤が品書きを置いたのを見やると、は目を輝やかせて斎藤を見上げた。


「先生決まりました?」

「ああ」

「じゃあ注文!!」

早く食べたくてウズウズしてうのだろう。
薫とともに注文を済ませると、そわそわとあたりを見渡し始める。
壁際には幾段の飾り棚が設けられ、そこには日本の器と西洋の器が飾られており、
剣心と弥彦は興味を引かれたように器に釘付けになっていた。
薫は出窓に飾られた豪華なカーテンを手にとり「帯にしたら素敵かも」と呟いていた。
左之助は壁に掛けられた世界地図に食い入っている。
斎藤とは席からは立たずに、は物珍しげに辺りを見渡し、斎藤は静かに
煙草を吹かしていた。
世界地図に食い入っている左之助を眺めながら、ポツリと


「日本ってとても小さい国だったんだ・・・」


と、誰に問うことのない小声で呟いた。
その声は席を離れている剣心達には無論届くはずはなく、その小さな呟きを
鼓膜に響かせたのは、隣の席に腰を下ろしている上司のみ。
斎藤はちらりと横目で世界地図を見やると、灰皿へと煙草を押し込んだ。
一度大きく揺れながら紫煙が昇り、そして消えていく。
視線は灰皿へと注いだまま、その大きな手でぐりぐりとの頭を
強めに撫で付けた。
呟いたの表情は知らないが、その声色からして感傷に浸り少し寂しげな顔を
しているに違いない。
それはおそらく走り抜けた動乱の中で、目の当たりにした外国の武器を
思い出してのことだろう。
目に見えぬ外の国は、自分達をことごとく追い詰めた。
そして自分達もまた、外の国の武器や衣服で対抗した戦火。
その実態の見えぬ外の国を地図という目に見えるもので対峙した瞬間、
は妙に寂しい気持ちに駆られたのである。
信念だけを拠りどころに生き抜いてきた今、日本という国が世界から見て
どんなに小さい存在であったのか、思い知らされたのだ。
力強く撫でてくる大きな手にきゅうっと目を閉じるとニヘラと笑ってみせる。


「先生〜、首痛いデスーv」


「ふん、間抜けな顔をしているからだ」


「むう・・・」


ちらりと横目で上司を盗み見れば、いつもの涼しい顔でまた煙草を取り出す横顔。
薫達には性格性悪と言われ、また一部の警官からは昼行灯と嘲け笑われ。
けれどもにとってはどちらにもあてはまらない、尊敬の眼差しで
少し眩しそうに目を細めた。
斎藤がその煙草を揉み消した頃。トントンと控えめなノックとともに
先ほどの店員が顔を出した。
運ばれてくる料理とともに食欲をそそる香りが室内に漂う。
斎藤の前に出されたのはシチュー・ド・ビーフだ。
覗き込んでくるを行儀が悪いと窘めながらも、斎藤は小さく笑う。
やがて全員の食事が運ばれてくると、はパンッと手を合わせて
「いただきますーvv」とにんまりする。
が頼んだのはマカロニグラタン。
鼻腔を擽る優しい香りに思わず頬が緩む。
一口、口にした途端、の顔がこれでもかと破顔した。
今まで味わったことのないまろやかで、ふんわりとした香りが
口内いっぱいに広がり、とろりとした食感とマカロニの弾力のある
食感が舌の上で楽しげに転がる。



「ん〜っおいしい!先生っ、先生のはどうですか?」


スプーンを片手に持ったまま、頬を僅かに赤く染めてにんまりと
見上げくるにしばし硬直した後、
斎藤は手にしていたスプーンにシチューを盛るとそのままの口元へと運んだ。
にぱあと綻ばせ、あーんと口を開くにシチューが注がれる。


「なかなかだろう?」

「お〜いしい!ありがとうございますv」


ほわんと笑うに斎藤は小さく笑ってみせると今度は己の口にへとシチューを運ぶ。
味噌汁やおでんの汁とは違う濃厚な味が口内いっぱいに広がり、斉藤は顔に出さぬように
小さい満足の笑みを零した。







「先生v」


「ん?」


見やれば今度はが自分のスプーンにグラタンをよそい、にっこりと斎藤へと差し出していた。
ニコニコと微笑むにはにかんだ薄い笑みを浮かべると、差し出されたグラタンへと口を開く。
まろやかな香りに柔らかい食感が舌の上に転がる。
プルプルしてておもしろいでしょ!と、目を輝かしながら見つめてくるにふむと頷き。



互いに食べさせ合いをしながら二人の世界に突入している斎藤とに、
まるで、突如極寒の蝦夷地に吹っ飛ばされたように震えている物体が4つ。
剣心と薫、そして弥彦と左之助は自分達の食事も忘れ、目の前で繰り広げられている光景に
固まるしかなかった。
端からみれば仲睦まじい恋人同士の微笑ましい戯れだ。
幸せそうな恋人。いやいや、なんともいい光景じゃあないか。
しかししかし忘れる勿れ、それがあの斎藤であることを!。



破壊好きで目つきが悪い上に口もめちゃくちゃ悪くてついでに性格も史上最悪な男が。(薫談)

あの壬生狼と畏怖されていた新撰組の中でも一・二を争う剣の持ち主、元三番隊組長が(剣心談)

蕎麦しか食ったことのなさそうな不健康、万年不機嫌顔が(弥彦談)

人を見下すのが好きで、陰険暴力野郎が!(左之助談)




しかし、薫は違う意味でも固まっていた。

のあの嬉しそうな顔!


(うっうらやましい!!!)



と薫はよく互いの想い人の話をしていた。
京都や剣心の過去・・多くの危機を乗り越えてきたと薫には
もう十分すぎるほど剣心にそして斎藤に想いは伝わっているだろう。
だがいくら伝わっているといえども、口上でまた行動としてあらわれて
くれないと不安になるのが乙女の恋心というわけで。
今目の前で繰り広げられている光景に、薫は心の中でぎゅっと
拳を握ると、ちらりと横目で剣心を見やり微笑んだ。





「ねv剣・・・「なんだあ?嬢ちゃんもう食うわねぇのかい」


震えそうになる手を必死に堪えて、スプーンを握る薫の声を
掻き消すように降りそそいだ声とともに、薫の前のブイヤベースが姿を消した。
ハッとして顔を上げれば、隣席に腰を下ろしていた左之助の前にはきれいに
平らげられたエビフライの皿と、薫が食していたブイヤベース。
「残すとバチがあたるぜ?」と薫が口開く前にブイヤベースにありつく。
あっという間に空になったブイヤベースのスープボウルを呆然と見つめる薫に
左之助が楊枝を手に取りながら見やる。



「なんだ?まだ食べたかったのか?」


「・・・・・っか・・・」


「あん?」


「左之助のばかー!!!」


深く項垂れぷるぷると肩を震わせる薫の顔を不思議そうに覗き込んだ
左之助の顎に薫の見事なアッパーが炸裂した。
上質のカーペットが張られた床に煙を上げて左之助が撃沈する。
肩で息をしながら床に伏した物体を睨みつける薫に、左之助がギギギと
顔をあげる。



「てめ・・何しやがる・・・」



「あーあ。左之、空気読まなきゃだめじゃん」

「男として最低だな。トリ頭」

「ほんと、食い意地張りすぎだぜ」

「左之。お主しばらく道場に立ち入るの禁止でござる」


無言で睨みつけてくる薫に代わって、テーブル席から降りそそぐ
呆れた声に左之助の表情はわけがわからんといった色を浮かべる。
特に剣心は笑顔にも関わらず、そこから滲み出る気と言葉がちぐはぐで
思わず背中に冷たいものが流れ。


「なんだよっ皆して!俺が何したってーんだ!!」


「はあ・・わからないようじゃまだまだ子供だよ左之」


深々と息を吐き出すに、左之助はわけがわからないまま子供扱い
され、ショックを受けたように石となった。


それからまたゆっくりとした時間が訪れ、心地よい満腹を覚えて
店を出ると、そこで斎藤とは剣心たちと別れることになる。
もう少し見物していくという剣心達にいいなあと本気で呟くだが、
本来の目的を忘れているわけではない。
また道場に遊びに来てねとの手をしっかり握る薫ににっこり笑う
そしてそれを無関心な視線で眺めると斎藤は胸袋から煙草を取り出す。
並んできた道を戻っていく二人の背中を眺めながら、薫はほうっと小さく息をついた。


「いいなあ・・」

「薫殿どうしたでござるか?」


どこか感傷に耽っているかののような薫の表情に、足を進めようとした剣心が
不思議そうに薫を見やる。
薫の視線はまだどんどん遠のいていくと斎藤に向けられ。


さん。本当に幸せそう・・・。
ねえ、さんと斎藤って新撰組の時からああだったのかなあ?」


独り言のような呟きだが、明らかにその問いは剣心に向けられているようで
剣心も何気なくと斉藤に視線を巡らせる。



「斎藤や新撰組の者はどうかはわからないが、拙者はずっと殿のことを
男だと思っていたでござるよ」

「え?そうなの?」


ちょっと驚いた声色で薫が剣心へと振り返る。
剣心は小さく頷くと、斎藤達が歩いていった方向とは逆の道へと足を進め出した。



「いつも男の恰好していた。まあ、維新志士と新撰組は出会えばすぐさま戦闘だし、
共に剣をとったり、食事をするなどと夢にも思わなかった。
殿は三番隊の隊士でいつも斉藤の後ろに控えていたでござるよ。」


「ふうん・・・斎藤その頃からさんのこと好きだったのかなあ・・」

「さあ・・どうだろう」



剣心の後へと続きながら、薫は斎藤とに初めて会った時のことを
思い出した。
斉藤の圧倒的な強さに、剣心は人斬り抜刀斎へと立ち戻ってしまった。
薫達の声が届かない幕末の空間。
薫の悲痛な願いを叶えたのは、剣心と斎藤の間に飛び込んできた一人の警官だった。



−まあた暴走して!!ほんっと、公私分別してくださいよ先生!!!−


刀を納めるやいなや斎藤に食ってかかる姿に先ほどの凄まじい殺気はどこへやら
「五月蝿い」とどこか不貞腐れている斎藤に呆れたように笑うと
呆然と自分を見つめている剣心に「よっ!緋村10年振り」と肩を叩き
そしてにっこりと薫へと歩み寄って手をとってくれた
それからと薫はよく話をするようになったのだ。


「いつか聞いてみようかな」


そう小さく呟くと、薫は剣心の横をゆっくりと歩き出した。
















あとがき

何書き出して4ヶ月とかたってんの?
溜めるのも大概にしやがれよな更新ですばい。
メモ帳途中で止まっているものばっかです;やっばいです;
夢なしで私は剣×薫・斎×時大プッシュ人間なんで、
夢小説ではひたすら剣×薫ですvv
・皆で昼食を食べたかった
・斎藤に食べさせてみたかった!!
・そして剣×薫
自己満足vvひたすら自己満足vいえあv(殴)
今回の昼食のメニューは「洋食の基本」という料理の本を参考にしました。
それでも明治のどの時期に伝わったものなのかまでは書かれておらず、
独断と偏見で「これだ!!」とチョイス。
日本に入ってきた年代が違ったら本当、申し訳ありません!!