ねぇ
はい、恭弥様
+僕と彼女と並な日々+
「は一生僕に仕えるんだからねっ!」
「かしこまりました、坊っちゃん」
「しっかりしてぇっ」
「坊っちゃん・・ご無事でよかった・・早く・・今のうちにお逃げく・・ださ・・い」
「やだやだやだ!も一緒じゃなきゃだめぇ!」
「ねぇっ坊っちゃんなんてもう呼ばないでよ!
僕には恭弥っていう名前があるんだ!
・・・だけは・・他の使用人なんかと同じように呼ばないでよ」
「それではなんとお呼びしたらよろしいでしょうか」
「・・・恭弥っ」
「恭弥様・・でよろしいですか?」
「うんっ!」
「、僕は強くなりたい」
僕のためにが二度と血を流さないように、自分で自分の身を守れるくらいに
「僕に闘い方を教えて」
いつからでしょうか、いえ、元より備えた性格でしょうか・・
「それでは貴方様にふさわしい武器を」
「これ・・」
「トンファーです」
「僕はこの家を出て行く」
「はい」
「並盛で暮らす」
「それでは住まいの手配を致しましょう」
「うん・・も一緒だからね」
「えぇ、私は恭弥様の使用人ですから」
「うん、そうだよ」
「っのアマぁっっ!ただもんじゃねぇな!どこの組のもんだ!」
「組だなんてとんでもございません。私はしがない使用人です。
そう・・ある方だけのただの使用人ですよv」
そうにっこりと微笑むと同時に、卑猥物陳列罪に課してあげたい盛大に胸元を
開けたチンピラ達へと地を蹴る。
今時パンチパーマに派手柄シャツだなんて・・・なかなかイカしてるじゃないv。
こういうわかりやすいのってけっこう好きよ?
けれど・・・
「ぐはっ」
いやらしく光るゴールドの指輪をいくつもつけている男へと回し蹴りをきめる。
その男は情けない声を漏らすと、地に伏した。
周りにいる男達に戦慄が走ったのが手にとってわかる。
「並盛小学校生数名を巻き添えにした貴方がたの素行。子供達に恐怖を植え付け
ご両親らにも、また並盛の情勢に不安を与えました。この町を脅かされては
町民の皆様に申し訳が立たないのですよ」
身を持って知りなさい
並盛を汚したことを
じゃりっと砂が擦れた音が空気を振動させたかと思うと、男達は
ほんの少しの瞬きさえ叶わぬまま、冷たい地面と仲良しこよしになった。
それらを軽く見やって、パンパンと大して汚れていない手を払う。
「さて・・あらやだ、思いのほか時間を取られてしまいましたわ。
そろそろ帰宅されるお時間ですね」
公園内の時計へと首を巡らせば、まもなく主が帰ってくる時間
まだ、お風呂に湯を張ってないし、夕食も整ってない・・
ふうっと溜息を一つこぼすと、カツンと靴を鳴らし踵を返す。
我が家へと・・・
皆様初めまして。
さきほどはお見苦しいところをお見せして大変失礼いたしました。
ですが、並盛の情勢を正すのも私の大切な役目、どうぞお許しくださいませ。
申し送れました。私は と申しまして、ある方の使用人をしております。
私が仕えます主様が住まう家は、並盛町の一等地区にある、高層マンションの最上階でございます。
最上階は他の階とは少し仕様が異なっておりまして、最上階全フロア全てが主様の家になっております。
厳重なセキュリティを施したエレベーターホールを抜けますと玄関ホール。
お客様をもてなす応接室、居間、寝室、書斎、図書室、浴室、主様の寝室に
主様の私用室、私の寝室・・それにテラスと居間から螺旋階段で続く中二階には
情報処理室とまあ、一般家庭と大差ないことと思います。
主様の趣向により家は和を基調となっておりまして、テラスには
本家の庭師に作らせた見事な庭園が広がっています。
・・と、のんびり説明している場合ではありませんでしたね。
もうすぐ主様が帰ってらっしゃいます。早足で・・けれども、決して急いでるようには見えない足取りで浴室へと向かい、
桧作りの湯船に湯を張りシャンプーなどの残量をチェック。
タオルにガウンは・・うん、ふわふわね。
それからキッチンに戻り、夕食の準備に取り掛かる。
今日は主様の好きなハンバーグにしましょうか。
味つけはしそと大根おろしでさっぱりとした和風に。
添え付けは数種のきのこのバター焼きと葉ものの和え物。
ご飯は十三種類の穀物が入った穀米を・・・
ピピッ
セキュリティ画面にエレベーターが起動したサインが点灯し、それ同時にアラームも鳴る。
それを確認するとつけていたエプロンを外し、椅子の背もたれにかけておいた
ジャケットを羽織る。壁に掛けられた姿鏡を見ながら、しっかりと釦をしめ
主様の家紋が入ったブローチ付きタイが曲がっていないかチェック。
さあ、エレベーターホールへ。
エレベーター口の横に立ち、横目で移動場所を知らせるパネルを見やる。
チンッ
エレベーターが最上階に到着した音が響き、静かにドアが開く。
それにあわせながら、私は深く頭を下げる。
「お帰りなさいませ、恭弥様」
「うん」
カツンとローファーの踵を鳴らしながら、ゆっくりと前を歩く主様の後三歩あけて後に続く。
玄関のところで小さく会釈して主様の前に出て、ドアを開け。
居間へと入り、黒革張りのソファに沈み込むようにドッカリ座ると、そこでようやく主様は息を吐き出した。
「疲れた」
この家の主、そしての主である雲雀恭弥は肩にかけた学ランを放るように傍に置くと、
ソファーの背もたれに体を預けた。
雲雀が放った学ランを手に取ったの表情が一瞬止まったが、次の瞬間には使用人の顔に戻り学ランの腕から
主が通う学校で持っている立場を表す腕章を外して、ソファ前の木目調のローテーブルに置く。
「群ればっかりで本当に困るよ」
ぼんやりとローテーブルの上に置かれた腕章を眺めながら、雲雀は溜息混じりに呟く。
それを目礼で相槌しながら、茶器を取り出す。
「桜香り付きほうじ茶でよろしいでしょうか」
「うん、湯呑みはこの間もらった益子の藍色がいいな」
「東峰先生から頂いた新作ものですね、かしこまりました」
サラリと急須に茶葉を落とし、静かに湯を注ぐ。
益子藍色の湯呑みを温めながら、はいまだソファで項垂れている雲雀へと口を開いた。
「群れと言えば、さきほど並盛警察から電話がありまして」
「うん」
「先日、商店街で起こった小学生が巻き添えになった傷害事件の主犯が自首してきたそうです」
「ふぅん・・・あんなに捜査難航していたのに急展開だったね・・・ねぇ?」
ローテーブルに湯飲みを置くをクスクスと楽しげに見やる。
それをさらりと流しつつ、茶菓子を置く。
「そうですね。これでまた並盛の情勢が落ち着きました」
「じゃあ、一つ落ち着いたところでもう一つ」
ひょいと手づかみで茶菓子の練り切りを摘み上げる雲雀に、僅かに眉間が寄った。
「行儀が悪いですよ」と見つめてくるを挑発するかのように、口元に怪しい笑みを浮かべて
指先で練りきりを弄ぶ。
「僕の学校にね、マフィアが潜んでいるらしいんだ。許せないよね、
ただでさえ群れが多くて辟易しているというのにマフィアだなんてさ」
ぐしゃりと練りきりが潰される
あぁ、今日の練り切りは最高傑作だったのに・・・そう少しばかり肩を落としながらも
は主の言葉に素早く、自分の持つ情報と照らし合わせる。
「つい先日、桃臣会が壊滅したというお話はご存知ですか」
「うん、あまり良い話をきかない組だったから潰れてくれてよかったよ」
潰した練り切りをちぎり口へと運ぶ雲雀を横目で捕らえながら、
ウェットティッシュを取り出す。それを雲雀へと差し出しながら話を続けた。
「桃臣会は武闘派揃いで手を焼いていた組でもあります。
ですが桃臣会は一瞬で壊滅したと」
「へぇ?」
「話を聞いたところによりますと、この件にイタリアのマフィアが絡んでいるようです。
しかも一つではなく二つのマフィアが。一つはキャバッローネ、もう一つは
ボンゴレというマフィアでして、調べたところ、イタリアではこの二つのマフィアは肩を並べるほどの
勢力を持っています。主導権を握っていたのはキャバッローネのようですが、
どうもボンゴレから加わった3人が派手に暴れたようですね。じつはその三人・・」
「並盛中学校第一学年A組、沢田綱吉・山本武・爆弾バカ」
「(爆弾バカ?・・)ご存知でしたか」
「当然だよ。だけど二つもマフィアが絡んでいたなんてね」
まったく風紀が乱れるじゃないか
そう最後の一口をポンと口へと放り込み、もきゅもきゅと咀嚼する。
そんな横顔がかわいいなーと思いながら、は開いた菓子皿を下げながら主の命令を
辛抱強く待った。
「この三人、動向探っておいて」
「かしこまりました」
話がひと段落ついたところで、雲雀はクイッと茶を飲み干す。
湯飲みを置くのを見計らって、は控えめに声をかけた。
「恭弥様、夕食を取られますか?それとも湯浴みを先になさいますか?」
「うん、お風呂。ねぇ一緒に入「それでは夕食の準備を整えておきます(黒笑)」ちぇ・・」
浴室へと向かう雲雀を見送ると、は思い出したように雲雀が肩にかけていた
学ランを手に取った。
黒いからわかりづらいが、よく目をこらせば見える染み。そしてツンと鼻腔をつつく鉄臭。
「あぁ・・たしか今日は例の不良君達が集会を開く日でしたっけ。
まぁ・・今回はかなり暴れたようですね。明日には間に合いそうにありませんから
新しいのを用意しておきましょう」
さぁ、明日からまた忙しくなりそうです
はーじめちゃったー。
いいんです、ノロマ更新はもうわかってます。
地味にひたすら地味にやっていくんです。
執事×ヒロインなドリームはいろいろ読んできたのですが、
キャラ×執事というのは読んだことないなー、そして某執事漫画にはまって
書き出しました;執事じゃなくて使用人という言葉を使ってますが、執事だとどーしても
英国のイメージがありまして;使用人に。
気ままに更新していきます!よろしくです!
ちなみに桜香りのほうじ茶は実際にあります!!いや・・私もプレゼントでもらったんだけどっ
ほのかな桜の香りにほっとします。
執筆2007年11月9日