コノアカイチハ・・ナンノタメニナガレル?
「生きろ」
「一体、何人の忍びを送り込んでいるのよ・・」
はもう何人の音・砂忍を殺したか・・もはや数えることもできなかった
「まさか・・砂が裏切るとはね・・・」
自分の体もそろそろ限界に近づいてきている・・・・・
「いけない・・しっかりしなきゃ・・・・っ!!」
殺気を感じはヒラリと5mほど後退した
地面に突き刺さる何本ものクナイ・・・・・
(っつ・・・・囲まれた・・・・)
「くっくっ・・ここにも一匹・・・」
(音忍か・・6人・・・厳しいかも・・・でも・・)
「簡単にこの里は堕ちないわよ・・」
(約束したんだから)
は自分のクナイを構えた
木の葉崩しより3ヶ月前・・・
その日は暗く雨が降り続く日だった・・・・
「・・くっ・・っは、はあ・・うっ・・・」
は自分のわき腹を押さえ、足を引きずりながら里へ急いでいた。
の体は至る所に傷を負い、特に右腹部はひどく出血している・・
任務を滞りなく遂行したまではよかったのだが、その帰り他里の忍びの襲撃に遭ったのだ
(仲間を・・二人も失ってしまった・・・)
そんな罪悪感と止め処なく流れ出る血にはだんだんと意識が薄らいでいった・・
「っく・・ほっ火影さ・・まに報・・告しなきゃ・・な・・ら・・ない・・の・・・・に」
ばしゃっ とは崩れるように倒れた・・降り続く雨の音だけが・・・
(あぁ・・・私、もう死ぬのね)
「・・い!・・・・おい!しっかりしろ!!」
意識が薄れゆくの耳に、誰かの呼ぶ声が聞こえた気がするが
はもう、答えることも動くこともできずに・・・そして意識が途絶えた
どのくらい時がったたのだろうか・・・
気がつくとは木の葉里の病院の一室で寝ていた。
「なんだ・・・私死ねなかったのね・・・・・・」
「死ぬつもりだったのかよ」
一人だと思って口にした言葉に返事が帰ってきたので、は驚いて起き上がった。
「・・っつ!・・・う・・・・」
「このバカ。傷に響くぞ」
「・・ゲ・・ゲンマさん・・?」
が顔を上げると同僚の不知火ゲンマが立っていた。
不知火ゲンマ。同じ特別上忍で何度か任務で一緒になったことがある
額あてを逆三角巾のようにはめ、いつも長楊枝をくわえるその姿は、
数多くいる忍びの中でも異質な存在ー・・・・
「なんで・・ゲンマさんがここにい・・」
「あ?いちゃあ悪いかよ」
言いかけた言葉を途中で遮られは言葉を失った。
ゲンマは溜息をついてもう一度
「死ぬつもりだったのかよ」
と聞いてきた。さっきよりも怒りを込めた聞き方で・・・
は答えに迷った・・・
あの時・・このまま死ねたらどんなに楽だろう・・そう思った・・・・
私には家族も親戚もいない・・悲しむ人もいないしこのまま一人でと・・・
あのまま・・雨に打たれていたら何もかも流してくれそうで・・
いくら里を守るとはいえ、今までたくさんの忍達を殺したこの血塗られた両手・・・
死なせてしまった同僚達・・・はもう何もかも雨に流してしまいたかった・・・
・・・・・・そう、・・・・自分の存在さえもー・・・・・・
「まさか、[自分が死んでも悲しむ奴はいないから死んでもいい]なんて考えてないだろうな?」
静かな怒りを込めてゲンマはを睨んだ。は一瞬その視線にビクッとし俯いてしまった。
(なんでわかったの?)
ゲンマは「チッ」と舌打ちし、が寝ているベッドの隅に腰掛けた。
しばらく沈黙が続いたがー
「言えよ」
「えっ?」とが顔を上げると真っ直ぐな視線でを見据えるゲンマがいた。
「言いたいこと」
「なっ何もゲンマさんに・・・言いたい・・こ・・となんてない・・です・・よ」
はまた俯いて消え入るような声を出した。
再び流れる沈黙・・・
「・・・った・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「また・・・仲間を・・死なせてしまいました・・・」
「・・・・・・・・・・」
「私がもっと早く敵の襲撃に気づいていればこんなことにはならなかったんです・・・
私のミスです・・・彼らには家族がいます・・・家族の方にも申し訳ないことを・・・・
私一人生き残ってしまうなんて・・・」
の目にはいつの間にか泪が溢れていた。
ゲンマは何も言わずただを見つめ、静かに聞いていたが・・・
「で、自分が替わりに死ねばよかったと?」
は黙って頷いた
「ふざけるなよ」
が驚いて顔をあげるとさっきとは明らかに違う怒りに満ちたゲンマがを睨みつけている
「あ・・・」は恐怖を覚え少し身を引いた。(いや・・怖い・・・)
「確かにな仲間を失って悲しい気持ちは解る。俺だって何人もの仲間を失って生きてきた」
「・・・・・・」
「だがな、生き残ったお前がそんなんでどうする。
お前まで死んだら一体誰があいつらの死に際を伝える?」
「・・・・・でも・・・」
「黙れ。いいか?生き残った忍びは死んでいった仲間の分まで生きなきゃならない。
そして、これ以上悲しむ人が出ないように里を守らなきゃならねえんだよ。
確かにお前がミスしたかもしれない。だがな、あいつ等の家族に申し訳ないからと死ぬなんてな、
逃げていることと変わらねえよ。」
の目には大粒の泪が溜まっていた・・泪のせいでゲンマの顔がぼやけて見える。
「それにな・・・お前が死んだら悲しむ奴がいる」
さっきよりも穏やかな口調でゲンマがポツリと言った。
「・・・・?・・・私を?・・悲しんでくれる人・・いますか?」
は泪を拭いながら心当たりがないという顔で答えた。
「ここにいる」
「・・え?」
その瞬間はゲンマの腕の中にいた
力強く抱きしめられ、傷がイタイ・・
「ゲ・・ゲンマさんっ・・いっ ・・痛いっ」
痛みで顔を歪めるに気づいてゲンマは力を緩めたが
を抱きしめたままの耳元に囁いた
「生きて帰ってきてくれて・・・嬉しかった・・・」
「・・・ゲンマさん?////」の顔に赤みが差した
「約束しろ。もう死のうと思うな・・・生きろ」
「・・・・はい・・・・・」
が紅くなりながら小さく頷くのを見て、ゲンマは嬉しそうに目を細め
の額に小さな口付けを落とした
「終わったか・・・」
っとカカシが溜息をついた
試験場は音・砂・木の葉忍の無残な死体が散らばっている・・
(まるで地獄絵図だな・・・)
「ああ・・だが・・・」
ガイは城の屋根に目をやった・・・
(火影様・・・・)
「あぁ・・・火影様を探さなくてはな・・ゲンマ大丈夫か?」
ゲンマがガクッと膝を落としたのでカカシはゲンマの右腕をつかんだ。
「あっあぁ」
気のない返事をするゲンマにガイが言った
「ゲンマ、ここは俺たちがなんとかする。お前は市街を見てきてくれ」
「わかった」と体勢を整えるゲンマに
「桜坂通り」と小さく囁いた
ゲンマは走り出した・・・・
(!!)
市街の被害も酷かった・・・
塵のように散らばる無数の死体、いたるところで出火している・・・
桜並木に入る街道でゲンマは足を止めた・・・・・・
「嘘だ・・・ろ・・・・?」
そこには桜の木の根元で寄りかかっているように倒れているがいたー
「!!」
に駆け寄り上体を抱きかかえながらゲンマは叫んだ
約束しただろ・・・・・
「・・・・・・っう・・・・ゲ・・ン・・・マ・・さ・・ん・・・?」
「・・・」
思わず泪がこぼれそうになりゲンマはを抱きしめた
「よかった・・・・・・」
「・・・っ・・約束・・しましたから・・・・」
は弱々しくでもはっきりとゲンマに聞こえるように呟いた。
「それに・・・ゲンマさんに・・・伝えたいことがあるから・・・」
「何だ?」
ゲンマはの顔を覗き込んだ。
「へへ・・・まだ言えません・・・」
へにゃとは照れ笑いをした・・
その様子を優しい表情で見つめゲンマは
「ったく、また怪我だらけだな・・・」
との頭を撫でながら呟いた。
「ゲンマさんも・・・」
嬉しそうに撫でられながらはゲンマの頬にそっと手を添えた。
この日ー木の葉の里は多くの命を失った・・・・
この里の長である火影様も帰らぬ人となり・・・・・・
生き残った者は伝えよ
彼らの勇姿を
忘れてはならない
彼らの名を
そして
「生きろ」
なんか長いですね・・・(汗)えっとゲンマさんとさんはお互い好きなんです。
そういう設定!!口で伝えなくても伝わっているんですが、まだちゃんと伝えてないのです。
っつか、死体がごろごろしている中で愛の告白はイヤだべ!!死んだ人がかーわーいーそーう!!
本当はヒロイン死ぬ設定だったんですけど「約束したんだから」と言いながら死んでしまうのは・・
どうかと思いこうなりました。生き残った者の宿命というものが書きたかったのです。
少しでも伝わったらシアワセ・・