「あぅぅ〜寒いよぉ〜」















「コスモス畑でつかまえて」





























秋の風が冷たさを運び始めた10月半ば。
ホグワーツ城を眼下に眺めながらは赤と黄のマフラーを巻き直した。
空は澄んだようにさわやかな青空。だけどホグワーツを見おろせるこの丘には冷たい風が容赦なく吹きつける。



「さ〜む〜いぃ〜」



冷たい風に晒されて赤くなった鼻をすすり上げながら、ぶるりと大きく身震いをする。
そんなに寒ければ城へ戻ればいい。だが黒い髪を風にもて遊ばせながら小柄な少女は一歩も動こうとしなかった。







パサリ




の背後で布が擦れる音がして、振り返ろうとした瞬間なにか黒いものが背中から抱きついた。
それと同時に鼻を掠める薬品の匂い・・・・・





「スネイプせんせ―遅い〜。もう寒くて大変だったよぉ」



「うむ、すまなんだ・・・」




耳元に響く深みのあるバリトンの声には嬉しそうに目を細めた。
背中から伝わる彼の温もりがとても心地よくて・・・・・・・





「へへ…でも先生来てから温かくなったよ」


「そうか」


「うん」



「それはよかった」















スネイプは一度強く抱きしめると、そっとを立たせた。
ローブについた草を払ってやり優しくの顔を覗き込む。
少し恥ずかしそうに笑うとは思い出したように顔をあげた。


「あっそれで先生。用って?」


さゆりのあどけない表情にスネイプはあぁと頷くと、そっとと視線が合わさるところまでかがんだ。





いつもの彼なら研究室に来るようにとか、授業後残りなさいとに言い渡していたのだが、

「ホグワーツを見おろせる丘で」

と、いつもとは違う待ち合わせ場所に驚きを隠せなかった。
スネイプとは恋人同士だ。教師と生徒の立場からいつもはお互い多忙の毎日。
授業の合間、放課後のわずかな時間が2人の時間となっていたのである。
別にそのことに不満を漏らしたことはないし、思ってなどいなかった。
少しの時間でも会えたらそれで十分だったのに・・今ごろになって突然どうしたのだろうか。








「我が輩がいいというまで目を閉じていたまえ」



その言葉には一瞬目を丸くしたが、コクリと頷くと静かに目を閉じる。
周りの空気でかがんでいたスネイプがサッと姿勢をのばしたのが伺えた。
いったい何だろうと思っていると、秋風に乗って、スネイプの低い声で何か呪文を唱えているのが聞こえる。
だけども聞こえるのはスネイプが唱える呪文と冷たい風音だけ・・
突然スネイプの詠唱が止み、風の音も止んだ。



「目を開けたまえ」



耳元で優しいバリトンが響いてはそっと目を開いた。












「わっ・・・」






目の前に広がる絶景には声を失ってしまった。
さきほどとはガラリと景色を変えた丘。
丘一面には淡いピンクの秋桜が咲きほこっていた。ユラユラと気持ちよさそうに揺れる秋桜。




「Happy Birth Day



驚きと感動で固まってしまっているの耳元でスネイプはそう呟いた。
ハッとした様にスネイプを見あげれば、普段見ることの出来ない柔らかい笑みでの頬を撫でる。


「覚えていてくれたの?」

「当たり前であろう」


そう優しく微笑み恋人と手をつないで秋桜の中を散歩する。


そよそよゆらゆら


気持ちよさそうに揺れる秋桜がの誕生日を祝っているかのようで・・



「こんなことされたら・・もう先生から離れられないよvv」

「離れるつもりだったのか」


の呑気な言葉にスネイプは一瞬顔を顰めた。
だがはにっこりと笑って首を振る。



「例え。離れないし離さないもんvvv」

そう少し「強気だよ!」いうように悪戯っぽく笑ってみせるにスネイプは勝ち誇った笑みを浮かべる。



「例えでも有り得ん。ずっと掴まえておくさ」


「うわうわ〜すごい強気ですね〜vv」


「まあな・・・・ひとまずは・・・・・・・・・」




急にの視界が暗くなった。それがスネイプに抱きしめられているということに
気づいたのは、耳元で囁かれた言葉。



「コスモス畑でつかまえておこう」













さゆり様誕生日お祝いに捧げます教授夢!!
秋・・の花で何か書けないかと思い、庭にコスモスが咲いているのを見つけて
書いてみました。こう・・ギャグもオチもないうえに押し付けて申しわけございません!!


このドリームはさゆり様のみお持ち帰りできます。