「小さい秋見つけた」
ギラギラと照り付ける灼熱の太陽が和らぎ頬を掠める風が、冷たさを運び始めると秋の到来を感じる。
だが、そんな季節の変わり目など無関係な場所がホグワーツにあった。薄暗い地下室がそこである。
そこの住人であるスネイプは忙しそうに羊皮紙の山と格闘していた。それは先日提出させた生徒達のレポート。
我ながら膨大な量を出したものだと自嘲しながらも、一つ一つ見逃しがないように採点する。
そんな作業が数時間続き、目頭が重きなり始めた頃。
トン、トトンッ、トントン・・・トン!
部屋のドアを軽くリズムを奏でるノックがした。
そのリズムにスネイプはサッと立ち上がり、訪ね人を聞かずドアを開ける。
それは、愛しい恋人との秘密のサイン。
そこには赤と黄色のネクタイを占めた少女がニコニコと立っていた。
「・・・」
そのかわいらしい笑顔に今までの疲れが嘘のように消えていく。
「お散歩に行ったの!」部屋の中に促され、ソファにちょこんと座ると同時には目を輝かせた。
スネイプはそんなに優しく微笑み、ポットを火にかける。
「外はだいぶ寒くなってきただろう」
茶缶取り出しながら火加減をみていると、
ポス
腰に軽い衝撃を感じて視線を落とすと、が猫のように目を細めて腰に抱きついていた。
「?」
自分に抱きついてきて微動だにしないを不思議そうに見つめてると、パアッと光溢れるの笑顔がスネイプを見上げる。
「・・・・・・・・/////(かっ可愛すぎる)」
スネイプはのあまりの可愛さに一瞬固まってしまった。
咳払い一つして、何もないように振る舞う。
「あのねあのね、森が燃えるような赤なの!オレンジに黄色!とても綺麗なのよv
でもでもお空はとても青くてね、森の色に映えて心が晴れ晴れするの−vvv」
はキラキラと瞳を輝かせながら、散歩で見た美しい光景を話して聞かせた。
紅茶の葉を静かにポットの中に広げながら、穏やかな表情での話しに耳を傾ける。
「そうか、もう紅葉が見られるのか」
「うん♪とても綺麗なんだよ〜」
「ぜひ見てみたいものだな」
そう呟いたスネイプの言葉に一気にの顔がほころぶ。
「一緒に見に行こう!」そう口に出そうとしただが、ふとスネイプの机に目をやった。
そこには山のように置かれたレポートが・・・・・これが終わらなければスネイプは部屋から出ないだろうなと苦笑いをする姿に、
スネイプも申し訳なさそうに苦笑いをする。
紅茶の香りが部屋中に漂い、二人並んでソファに腰を下ろして静かで穏やかなお茶会が始まった。
のお手製のクッキーが少し苦めの紅茶に絶妙にマッチする。
外の景色の変わったことや他愛もない話しでも二人はとても幸せそうで。
紅茶を飲み終えたの手がふと止まり、何か思案するように首を傾げた。
「どうしたのかね??」
不思議そうに顔を覗き込むスネイプと目が合うと、にっこりと微笑んでサッと立ち上がる。
まだ不思議そうな顔をしているスネイプに向き直り、懐から杖を取り出した。
「せっかくの紅葉を見に行けないスネイプ先生のために!」
そう微笑みながらは杖を一振りした。
カサリ カサリ カサ
軽い音がしたかと思うと、部屋中に赤やオレンジ、黄色の木の葉が舞い始めた。
驚きに目を見開きながら天井を見上げると、スネイプは息を呑んだ。
天井にが話していた、すがすがしい気分にさせる真っ青な空。
青空を背景にヒラリヒラリと舞う赤い木の葉がまるで森の妖精の様で。
だが、それも少しの間だけ。
すぐに元のスネイプの部屋へと戻っていた。
は苦笑いをしながら頭をかいた。
「へへ・・私の力じゃこれが精一杯だね・・・・・へへ・・・・・きゃっ・・」
杖を懐に戻し終えたを、スネイプはそっと自分の膝の上に抱き上げる。
の後ろから覆うように抱き寄せ、その耳にそっと呟いた。
「ありがとう」
低い深みのある声が、脳に木霊してピクリとの体が強張る。
顔だけ振り返った顔が、木の葉の様に真っ赤で・・・・
そんな、に優しく微笑むとつられてもふにゃと微笑み返す。
「?・・・」
「え?なあに?」
の背中を見つめて呟くスネイプに、首を傾げる。
スネイプはのローブのフードから一枚の木の葉を取って、に見せた。
「先ほどの散歩で入ったのだろう」
そう言って、木の葉をの手のひらに乗せてやる。
はその木の葉をかざして、そっと呟いた。
「小さい秋みーつけた」
久々に書けた・・ドリーム・・・
ホント、やばいよ!スランプってるよ!!
最近になって急に風が涼しくなってきましたねー。
紅葉にはまだ早いのですが、書いてしまいました。
BGMはやっぱり「ちいさい秋みつけた」ですね!!