+Halloween  〜追悼〜+




























「先生!!Halloweenです!!」


「・・・・・だからなんだ」


ホグワーツ中がHalloween一色で浮き足立った夜。
スネイプの前に一人の少女が躍り出た。それはいつもにこにこと自分へと近寄ってくる生徒。
赤と黄色のネクタイにはあからさまに顔を顰めてみせるも、目の前の獅子のエンブレムを付けた
ローブ姿の少女だけはどうも他の生徒のようにあしらえない。
それでも不機嫌そうに見据え、さも不機嫌そうに口を開いてみせる。



(?・・・この娘・・・・)




「貴様は仮装はしないのか」

「?わっv先生私の仮装姿見たかったんですか?!」

「なわけがあるか阿呆め」

「むぅ」


他の生徒達は思い思いに着飾っているというのに、目の前の少女、
普段と変わらぬローブの姿。別段仮装を期待をしていたわけではない。だが、
生徒全員が仮装をしている状態に一人だけ、制服というのは見慣れた姿とはいえかなり
異質な存在に見える。そう思案しているのが顔にも出ていたのだろう。
はスネイプの考えていることがわかったらしく、小さく笑って俯いた。




「今日はね、お母さんとお父さんの命日なの」




「だからね、ジャック・オ・ランタンを灯して歩いてるのv」
満面の笑みで顔を上げる少女に心が痛んだ。
そしてスネイプの脳裏にも不仲だったとはいえ、ある夫婦の姿が掠める。
忌々しい存在ではあったが、断固として闇へ対立した勇気ある夫婦だった。


「先生?泣いてるの?」


スネイプの頬には涙は伝っていないのに、は不安そうにスネイプを見上げている。
大切な存在を亡くした者だからこそ、気づけたことだろう。
小さく笑っての頭を撫でてやれば、不思議そうに首を傾げてみせる。


「我輩も友人の命日だ」


「そう・・なんだ。じゃあ先生!一緒に偲ぼう?」


驚きに少しばかり目を見開けば、いつの間にかもう一つランタンを手にしている
そのランタンをスネイプへと差し出しながら、ふにゃりと微笑んでいる。



「あぁ。そうしよう」


から受け取ったランタンの灯りが小さく揺れた。







秋の収穫を祝い、悪霊を追い払い。祖先や亡くなった者を偲ぶ行事。
年にたった一度だけ偲ぶだけかと呆れてみたが、ミス・の常に身につけられているロケットの
両親の姿に、それを大切に握り締めるミス・に目頭が熱くなるのはどうしてだろうか・・
あの生き残った少年とその両親を重ねて見ているせいなのだろうか?






「私はちゃんと生きてるよvお父さんvお母さん!」






少女の言葉が妙に耳に残った。







我輩も生きている。彼らの息子を見守るために。










「先生ぃ」とスネイプの肩に苦痛にならない程度にが寄りかかった。
ちらりと見やれば、頬を伝う銀の雫。
そっと頭を撫ぜ上げれば、さらに擦り寄って来て。
風邪をひかぬようにとマントの中へ抱き込んでやれば、小さく少女はしゃくりあげた。













だけども、そろそろ彼らの息子のためでにだけではなく己の自身のために



生きていこうと思うポッターよ。



それは許されぬことだろうか・・・・













「先生の偲び人もきっと喜んでいるよ」






不意に耳を掠めた言葉にスネイプは目を見開いた。
視線を落とせばふわりと微笑む少女の笑顔。ほんのすこしだけ目を赤くさせていた。





「そうだろうか」

「うん、そうだよ」



静かな夜空に星がささやかに輝いていた。











ポッター夫妻追悼な教授ドリーム。しかもこれがお持ち帰り自由というありえない状況;
いやなんか・・たまにはお菓子くれードリームじゃないのもいいかなって。
というか、教授にポッター夫妻を偲んでほしかったのです;