がたん       ごとん

















小さな電車がゆっくりと速度を落とし、終着駅と入っていく。
車体が大きく揺れて、はフッと目を覚ました。



































+終着駅+




















たんっ





軽く踵を鳴らしながら誰もいないプラットホームに降り立てば、
初夏の草花の香りを乗せた爽やかな風が、優しくの頬を撫で上げた。
それと同時に絹のように美しい黒い長い髪がふわりと舞い上がり。
少女は胸いっぱいに故郷の香りを吸い込むと、折り返し去っていく電車を晴々とした表情で眺めた。
見渡す限りの青々とした草原に、小さいとても小さい無人の駅。
一本の線路が草原の中を走り、くすんだ黄色と朱色の一両の電車が草原によく映えている。
緩やかなカーブを描き、山間へと電車が消えていくと少女は足元のトランクを持ちあげ、
駅から草原の小道をゆっくりと歩き出した。


ホグワーツ特急に乗るまで着ていた黄色と赤のネクタイと制服は、
今では青々とした草原によく映えた、白のノースリーブのフレアワンピース。
そよそよと揺れる裾に麻のローサンダル。黒い髪をひと房細かく編み上げ、白いリボンでキュッと結ばれていて。







そよそよそよ


さわさわさわ




草が触れ合い、軽い音が辺りいっぱいに響き渡る。
フッと青空を見上げれば、鳶が気持ちよさそうに空を泳いでいる。
鳶の鳴き声が、草原の演奏に重なり合う。とても静かな草原のオーケストラ。












カツン・・・






コロコロ










アクセントに小道の小石が転がった。
青空から小道へと視線を戻せば、ふわりと少女は微笑む。

白いシャツが草原に眩しい。
おそらく暖炉か何かで先に帰郷していたのだろうか、
肩につくかつかないくらいの黒い髪が風にかすかに揺れていた。
眉間にきつく皺が寄せられているけれども、決して不機嫌などではなくて。




とことことこ




少女は軽く腕を組み、優しい瞳で自分を見つめてくる男の元へとゆっくりと歩き。
男の前でちょんと立ち止る。









「ただいまv」


「おかえり、さあ帰ろう」


「うんv」





男は、少女の頭をかき撫でると少女の手からトランクを取り、もう片方の手を少女へと差し伸べる。
差し伸べられた手に少女の小さな手が重ねられて、父と娘は並んで小道を我が家へと歩き出す。
明日から親子の生活に少女はにっこりと微笑んで。












なんとなく思いつきで・・(え)
電車はおもいっきり某私鉄電車を意識。ヒロインの寮がグリフィンドール設定でその色と
リンクさせてみたりしました。スネイプ教授夢ですけど、全然夢らしくない;
いつもは先生と生徒の立場、点数を引かれることもしばしば。
だけども明日からは待ちに待った親子の生活!!といろいろ想像していただきながら
読んでもらえたら嬉しいですv


(2004・06・22)