「では、。アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるかね?」
「はい!強力な眠り薬になります!」
「よろしい。」
+ホグワーツ人名表の効果+
はいつも楽しそうに廊下を歩いていた。
はれてグリフィンドール生となったは、一年生として魔法薬学、薬草学、魔法動物飼育学を学んでいる。
魔法使いではないので、変身術などの魔法を使う授業にはでることはできない。
けれども、そのほかにハーマイオニー中心とした生徒達による独自の人間学など教わったりと、毎日がとても充実していた。
毎晩スネイプの部屋に戻るたびには薄紫色の瞳を輝かせて、一日のできごと話す。
身振り手振りで語るに優しい表情で時折相槌を打ってやれば、にぱあとはさらに微笑み輝かせた。
時には魔法薬学の個人指導することも。
驚いたことに、は物事の飲み込みの早さが優秀生であるハーマイオニーよりも優れていたのだった。
さきほど新しく教えた調合方を意図も簡単に図式で表し、応用させてしまう。
息を飲まされるが同時に頼もしく期待させる生徒だった。
「いいかー!人間っていうのはな、良い奴もいれば悪い奴もいる。ずるがしこい奴気むずかしい奴!気の弱い奴!
とにかく人間にもいろんな個性があるってわけだ!」
「うんっ」
昼食の刻。
すっかり満腹になったロンは何メートルにもなる洋皮紙を丸めたものを振り回しながら、真剣に聞き入るに力説した。
ロンの両隣でシェーマスとディーンもロンと同様力強く頷いている。
の右隣ではネビルが三人の自信に満ちた表情に首を傾げて、左隣のハーマイオニーはやれやれといった表情でため息をついた。
ディーンの隣にいるハリーは楽しげにロンが手にしている洋皮紙を見つめている。
「お言葉だけどロン?お願いだからに変なこと吹き込まないで?」
テーブルをパンと叩きながら威嚇するようにハーマイオニーがロンを睨みつければ、ロンは得意気に胸を張ってみせた。
「心配無用!!今度のブツは力作だぜ!俺とシェーマス、ディーンの三人でのために作ったんだ!」
そう胸を張りながらロンはスルスルと洋皮紙の束広げた。ダンブルドア校長の名前からはじまり、
ホグワーツに在籍する人物がずらりとならんでいる。名前の横には矢印が記されており、
それをたどっていくと、ダンブルドアはユニーク、温厚。マクゴナガルには厳しい規則正しい涙もろいなど、記されていた。
かじりつくように洋皮紙を読んでいるの横からハーマイオニーが覗きこんだ。
「まぁ、ずいぶんと集めたこと。」
「だろ?これを参考にすればも人間のことがわかるぜ!」
「でも、かなり偏った人物表な気もするわね」
胸をむんと反らすロンにハーマイオニーがぴしゃりといった。
そのとき不満気にが顔をあげた。ロンに洋皮紙の一人の名前を指して口を尖らせる。
「ロン〜!スネイプ教授は陰険根暗じゃないよ〜!」
が指し示したのは彼女の保護者でもあるスネイプの項目だった。
陰険根暗、自寮贔屓、減点王と書かれている。ロンそしてシェーマス、ディーンはにやりと笑うとこれでいいんだよ!と口を揃えた。
はムウッと口を膨らませながら再び洋皮紙へと視線を移す。
よく見てみれば、スリザリンの項目は皆最悪な言葉が書き連なっていた。
ふと、ドラコ・マルフォイの名前では目をとめた。「ぼんぼん、嫌味キチガイ」と書かれていた。
ドラコのことはよく覚えている。とてもきれいなプラチナブロンドの髪に、海を思わせる鮮やかなブルーの瞳。
だけれどもその整った顔立ちから紡がれる言葉は、を深く傷つけていたのだ。
なんだかやるせなくなって、クルクルと洋皮紙をまとめると、にっこりとロン達に微笑んで「ありがとう!もらっておくね!」と
丁寧に鞄の中にしまいこんだ。
それからもは楽しいホグワーツの生活を大いに堪能した。
ジニーに裁縫を教えてもらったり、ラベンダー達にファッション雑誌をみせてもらったり。
なにもかもが新鮮では毎日が本当に楽しかった。
ロンからもらった洋皮紙を時折開いて見る。そのせいかはスリザリンの生徒とはほとんど交流がなかった。
魔法薬学の授業はスリザリンと合同なので、時折一年生と会話去ることはあったが、それ以外は全くといって交流がなかった。
また、たいがいグリフィンドールの生徒に囲まれていたせいもあるだろう。
そんなある日のこと。
「ホグズミード・・?」
「そうだ。月に一度の校外遠足のようなものだ。」
「・・・・遠足って何ですか?」
「・・・・・・・・・」
就寝前のスネイプの自室で、本の整理をしていたは不思議そうに首を傾げて、
目の前でしばし固まる男を見つめた。スネイプは思い出したように「あぁ」と呟くと、
の隣に立ち、の手から本を数冊取り上げそれらを本棚にしまいながら
遠足について説明してやる。
だいたいの想像がついたのだろうか、はむーっと頷きジッとスネイプを見上げた。
その何か願うような表情にスネイプは小さく笑う。
「行ってきなさい」
「うん!!」
翌日、ハーマイオニーと手をつなぎながら嬉しそうに出かけていくをそっと見送ると、
スネイプは出かけ用の黒いローブを羽織り、玄関ホールを後にした。
はハーマイオニーロンそしてハリー達と一緒にたくさんのお店を見て回った。
悪戯グッズ専門店や学用品店など見るもの全てがを魅了する。
そしてお菓子専門店ハニーデュークへ入ろうとなったとき、は店内の混雑ぶりにびっくりして
ハーマイオニーとつながれていた手に少し力を込めた。
「ハッハーマイオニー;私ちょっと人ごみ苦手ぇ・・・」
どこの店も混雑していたので、さすがに疲れたのだろう。
申し訳なさそうにハリーたちに手を合わせて謝ると、「ここで待ってるから」と
ハニーデューク入り口に横にあるベンチにチョコンと腰を下ろした。
ハリー達は早めに出てくるよと言ったがは「ううん!気にしないで!!」と慌てて首を振ってみせる。
ふうっと短めに息を吐くと、は通りを静かに眺めた。
ホグワーツの生徒が多いが、普段着の生徒達にうっすらと微笑む。
皆楽しそうに買い物した袋を抱きかかえ通り過ぎていく。
ふと、は一人の女子生徒に目を留めた。膝丈の黒のフレアスカートにエンジ色のガーデガン。
ショートの髪には可愛らしいピンがとめてあった。
ふと気づけば普段は制服で過ごす生徒達はここぞ!という感じで皆お洒落をしている。
一緒に遊んでいたハーマイオニーだっていつもとは全然違う雰囲気だった。
目を輝かせて、通り過ぎる人立ちの服装を眺めていただが、突然小さく溜息をついて自分の服装をみやった。
自分の服装は黒のローブ。だけ。
さすがにホグワーツにきた時にきていたメイドの服装は目に余ると、スネイプが学校の備品である
黒のローブを数着支給してくれたものだ。
贅沢をいうわけじゃないけど、1回でいいから皆みたいな洋服を着てみたい!!
「それに・・この髪もおろしているだけじゃつまらないなぁ・・・」
「じゃあ、イメージチェンジしてみれば?」
一人で溜息混じりに呟いた言葉に明るい声が答えたので、はびっくりして顔を上げた。
の前に可愛らしい女の子がハニーデュークの袋を抱えて立っていた。
黒いボブの髪にクルンとしたまあるい瞳。
黒のタートルネックのワンピース姿で、胸元にかわいらしい花のブローチを挿していた。
は一瞬返事に困ったが、儚げに笑って頭をかいた。
「うん・・・でも私いったいどうやったらいいのかわからなくて」
「あら?そうなの?思いっきり気分を変えたいのなら髪をばっさり切るっていうのも手だけど、
あんたの髪きれいだしもったいないわね。じゃ・・そうねえ・・・。
ね!ドラコ!ちょっと行きたいところがあるのだけどいい?」
女の子はの髪をとり「もったいない」と小さく首を振ると少し考えて後ろに振り向いた。
「ドラコ」と呼ばれた名前に一瞬の表情が凍りつく。
「あぁ、かまわないがパンジー」
女の子の後ろから現れたのはやはりあのドラコ・マルフォイだった。
ドラコはパンジーに頷くと、さっとを見やった。
の全身に緊張が走る。
「ポッター達が中にいたけど、お前はいかないのか」
「え?・・あ・・うん・・人が多いところダメで」
「ふーん。ハニーデュークを遠慮するなんてお前損しているな」
「そ・・そうかな」
「そうよ!人生損してるわあんた!」
ジッと見つめてくるドラコの視線に耐えられなくなって、そっと視線を外すの肩をパンジーが掴んだ。
驚きに目を丸くするを無視してパンジーはさらに意気込む。
「ハニーデュークにはねそっれはもう!!美味しいお菓子がたくさんなのよ!!
もう!!入らないなんて本当に信じられない!!ちょっとゴイル!あんたまた
たくさん買ったんでしょ!?少しにあげなさいよ!!」
「え;」
「あ!!いいの!!」
が入るのをためらったハニーデュークはよほどすごいお店らしい。
憤慨したようにパンジーはドラコの後ろにいる大きな男の子に指図した。
パンジーのあまりのすごい形相に驚いたのだろうか、それとも自分の分が減るのがイヤなのだろうか
ゴイルが自分の袋を抱きしめたのを見ては慌てて手を振った。
「よくないわよ!」と言い放つパンジーに笑っては首を振ってみせる。
「本当にいいの。私その・・食べることできないから」
「人形だし・・」と小さく呟くとチラッとドラコと視線が合い慌てて視線を外す。
パンジーはそうなの?とまだ納得のいかないような顔をしていた。
「パンジー。行きたい店があるんだろ?」
をジッと見つめていたドラコが袋を持ち直して、パンジーを見やった。
他にも行きたい所があるから早く行こうと急かすドラコにパンジーは思い出したように
頷くとサッとの手をとる。
「さ!行くわよ!!」
「え・・どっどこに?」
「ふふん!秘密よ!さっ早く!!」
「あ・・でもハリー達を待っているし」
「いいのよ!放っておけば!」
は半ば引きずられるようにして、その場から引き離された。
パンジーに連れてこられたのは、アクセサリーショップだった。このお店も、特に女の子で混雑していた。
入るのをためらっているに振り向くと「ここで待ってなさい!」とパンジーは店の中にと飛び込んでいった。
パンジーの凄い気迫にポケーっと呆気にとられて立ち尽くしていたの腕を掴む感覚が走り、その方へと振り向けば
ドラコがの腕を取り、店の横のベンチに座るように促す。
「パンジーは思い込んだらそれを実行するまで止まらないかなら。
しばらくかかるだろうから座ってろよ」
そうドラコもの腰を下ろすとハニーュークの袋からチョコレートを取り出してほおばった。
一瞬にもすすめたが、思い出したように「あっ」と声を上げると「悪い」といって再び自分の口へと運ぶ。
は落ち着かない様子で手をもじもじと絡ませた。またこの前のように何か言われるのではないか・・
「この前は悪かったな」
体中に緊張が走っているの耳に、ぎこちないドラコの声が飛び込んできた。
ビクッと顔を上げて恐る恐るドラコを見やれば、少し顔を赤くしたドラコがチラチラとを見つめいてる。
「え・・」
「その・・お前に酷いことをいった。・・・・・人間になれるといいな」
「・・・・・・うん!」
驚きと戸惑いの表情でドラコを見つめるに、ドラコはぶっきらぼうに言い放つとまた袋からお菓子を取り出している。
は小さく笑って頷けば、ドラコの顔がまた少し赤く変わり。
「お待たせ!!ドラコ顔赤いわよ?」
「なんでもない」
ドラコが隣にいてもニコニコとが微笑むようになれた頃、パンジーが小さな紙袋を手に
店から走り出てきた。手の平でドラコを追い出すように立たせると、そこに腰を降ろしそっとの髪を一房手に取った。
不思議そうに見つめてくるににっこりと笑うと「まかせな!」とパンジーは紙袋を開く。
紙袋の中には櫛と手鏡、色とりどりのゴム、リボンやヘアピンがたくさん詰まっていた。
はおとなしく座りながら横目でチラチラとパンジーの行動を見つめる。
クラッブとゴイルがに楽しい話をたくさん聞かせ、時折ドラコが鋭いつっこみを入れている。
ここでようやくはドラコが小さくも心から笑っている笑顔を見ることができた。
「よし!これでいいわ!」
「あ・・ありがとう・・」
「・・・・・///////」
手鏡を渡すパンジーに微笑みながらスッと目の前に立つドラコ、クラッブとゴイルを見やれば
三人とも顔をほんのり赤くしてを見つめている。
なんだろう?と首を傾げつつ手鏡を覗き込めば、自分の髪型の変わりようには息を呑んだ。
サイドの髪を残し、編みこみのシニオンにされていてまたサイトの髪も細かい編みこみが数本作られていて、
すっきりと大人びた感覚を思わせる。
まるで自分ではないような感覚には自然と声を発する。
「わあ・・すごーい」
「ねっ、あんたにぴったりよ!ってちょっとドラコなに見とれてるのよ!?」
満足そうに立ち上がりながらパンジーは軽くドラコをどついた。
瞬きさせながら我に返るドラコにパンジーはやれやれと溜息をつくと、
まだリボンなどが入っている紙袋を閉じての手に乗せた。
不思議そうに紙袋を見つめているにパンジーが覗き込んできてウインクをしてみせる。
「これはあんたにあげるわ!」
「そっそんなだめだよ!!」
は慌てて懐から財布を取り出そうとするがそれを頑なにパンジーは断った。
それからはパンジー達に連れられてハニーデュークの前に戻ってくると、まだハリー達は出てきてない様子に
ドラコが舌打ちをする。
「なんだあいつら!を置いてきぼりにしてまだ店にいるのかよ!」
それはを案じての舌打ちなのだとわかったので、は苦笑いをした。
それじゃあまたね!と踵を返すパンジーには慌てて呼び止める。
「あの!本当にありがとう!!その・・また髪やってくれる?」
小さく呟いた言葉にパンジーはにっこりと微笑んでもちろんと頷いた。
クラッブとゴイルもににっこりと手を振ると目的の店があるのだろうか足早に
去っていった。ドラコもクラッブ達に続くように踵を返しはじめたが一瞬立ち止まって
に向き直る。
「人間になったら真っ先にお前をハニーデュークに連れて行ってやる」
その後、申し訳なさそうに出てきてハリー達にはにっこりと微笑んだ。
またの髪型の変わり様に三人は驚き、そしてそのかわいさにほんのりと顔を赤くする。
だけどハーマイオニーが「誰にやってもらったの?」と聞いてもは微笑み返すだけだった。
夕方、スネイプの自室に戻ってきたを迎えたスネイプはしばしの髪型のかわりように
固まっていた。その固まりように「似合わないですか?」と不安気に聞いてみれば
「いいやとても似合っている」とそっと頭を撫で微笑んでくれ。にへらぁと目を細める姿にスネイプは
デスクの上から大き目の包み紙を取りに手渡した。
不思議そうに首を傾げているに「開けてみなさい」と促せば、こくりと頷いてそっと紐を解く。
「わあ・・・」
カサリと乾いた音を立て広げた包み紙から出てきたのは、数着の洋服だった。
スネイプの趣味なのだろうか色は黒や茶色などシックな色合いが多いが、かわいくもあり
また大人びたデザインにの表情がどんどん明るくなっていく。
ふわりとスネイプをみやれば、それに答えるように小さな微笑みが返ってきた。
「人間は身だしなみにも気を使うからな。制服はともかく学校支給のローブだけでは・・」
「ありがとうございます!!」
は嬉しくてたまらなくて思わずスネイプに抱きついた。
一瞬よろけるスネイプだがそっとの背中に腕を回す。
「大事にさせていただきます!!スネイプ教授大好きです!!」
「//////」
それからはスリザリンの生徒達とも交流するようになり、それをスネイプが遠くから静かに見守っていた。
のカバンの中にしまわれているロンそしてシェーマス、ディーン特製の「ホグワーツ人名表」には
ドラコ・マルフォイ→ぼんぼん、嫌味キチガイ 実はとても優しいの!
パンジー・パーキンソン→嫌味じゃじゃ馬 かわいいお洒落さん!!
クラッブ&ゴイル→万年食い倒れ おもしろコンビ!!
と書きかえられているというのは三人には内緒のこと。
もちろん
セブルス・スネイプ→陰険根暗、自寮贔屓、減点王 かっこよくて渋くて優しい教授、大好き!!
としっかり書かれている。
のホグワーツ生活はますます楽しくなった。
そんなある日のこと。
「、どうしたのかね?」
廊下を歩いていたスネイプの目に、裏庭の茂みの中を見つめるようにしゃがみ込んでいるを見つけた。
その表情があまりにも夢中になっているものだったので、スネイプの中でほんの少し脅かしてやろうという悪戯心が芽生える。
そっとの後ろの忍び寄り声をかければ、思惑通り驚きに肩をびくつかせる。
「わっ教授」と安堵の表情で振り返ってくるに優しく微笑み、そして
一気に眉間に皺を寄せた
サッと杖を引き抜き、冷たくに言い放つ。
「、それから離れなさい。今すぐ俊敏にな」
スネイプの射抜くような視線はの・・・が抱きしめている物をぎらりと睨みつけていた。
はスネイプの凄まじい形相に怯えるも、キュッと抱きしめる力を強めた。
の腕の中の物・・・・動物はに擦り寄りながらスネイプを睨みつけている。
「スネイプ教授?・・この黒い犬がどうかしたんですか?」
「、それは犬ではない。人間だ。一応な」
「・・・・・・・・へ?」
はキョトンとして、ヘッヘッと自分に擦り寄ってくる黒い犬を見つめた。
やっと・・夢書けるようになったデス;でもまだまだな感;
今回はどうしてもドラコに対する葛藤をなくしたかったのです。
これから進めるにあたってドラコ君にはそうとう働いてもらわないかんので;(え)