「スネイピー先生〜!ちゃん来ましたよ〜」
「馬鹿か貴様」
スネイプは眉間に皺をよせながら自室の扉を開けた。
「入れ」と指示するとはにっこりとお邪魔しまっす!と軽やかな歩調で部屋の中に入る。
子猫が嬉しそうにの足元になすりついてきた。
「みゅ〜♪ネコネコ〜すっかり元気になったね〜陰険な先生にいじめられなかった?」
「にゃぁ〜?」
「おい」
スネイプは不機嫌そうに腕を組み、を睨んだ。
はいたずらぽくチョロっと舌を出すと「ごめんにゃしゃい」と謝る。
スネイプは深いため息をつくとソファへなだれ込むように座り、にも座るように促す。
「で、にゃんですか!てんてー」
子猫を膝に乗せて半猫語で顔をあげる。そんな仕草と言葉遣いがあまりにもかわいくて一瞬顔が赤くなる。
スネイプは悟られないように咳払いをすると静かに口を開いた。
「この間だの君の怪我の件だが。す―」
「ぉあぁっと!いっけな〜い!授業が始まる〜!んじゃッ失礼!先生!」
は満面の笑みで勢い良く立ち上がり部屋から出ようとするが・・・
ぐわしっ!!
スネイプに襟首を捕まれた!
「今日は日曜、授業は休みのはずだが?」
うぐ・・・
「ほっ補修ですよ!ほら!私勉強熱心だから♪」
そう、アハーと笑って首を捕まれたまま振り返る。
そこには意地の悪い笑みを浮かべたスネイプが!
「ほう、その割りには魔法薬学の成績は上がらんようだが?」
「うぐぅ・・・。・・・・なっなら近々補修してやってくださいよ♪」
「では、今見てやろう」
「だからっほら今日は他の補修が」
「かまわん、魔法薬学の方が大事だ」
「かまわくなくなーい!!それに今日の予定だってびっしり・・・・うおうっ」
スネイプはをソファへ放り出すとサッとその横に座る。
「なっなっ!なんで隣に座るんすかい!!」
「」
スネイプの真剣な表情には一瞬にして黙り込む。
「むぅ〜・・補修はないです。今日は一日フリーです。嘘つきました」
そう少し頬膨らませ俯いてしまったに、子猫が不安そうに顔を覗き込む。
「にゃう〜・・・・」
静まりかえる部屋。
「すまなかった」
静寂を破ったのはスネイプだった。驚いて顔をあげる。
「へ?」
(何がすまないの?)
「我輩の生徒だったのだな、猫をあそこまで傷つけたのは。君は猫の敵を取ってくれたのだろう?
それを・・・君にまで怪我を・・本当にすまない」
スネイプはに頭を下げた。は驚き慌ててスネイプの肩を掴む。
「ちょっ!やだっなんで先生が謝るんですか!顔あげてよ!先生らしい隠険さと性悪っぽさはどこ行った!
しっかしあんにゃろう共!ちくりやがったなあ!黙っとけとあれほど・・・っもー先生もいい加減に顔上げて!!」
顔を上げたスネイプは顔を引き攣らせてヒクヒクと笑っていた。
「悪かったな陰険、性悪で」
「あっ・・・」
やっばと口を手で覆う。スネイプは小さく息を吐いて子猫を抱き上げた。
嬉しそうに目を細めスネイプに顔を擦りよせる仔猫。スネイプは小さく笑い子猫の首筋を優しくかく。
そんな姿には一瞬見惚れた。
(え、何私!?今「ドキ」って・・・動悸・息切れには救○だったよね)
「どうしたミス・」
スネイプがポケーと見つめてくるを怪訝そうに見据えた。
「はっ!何でも?!」はバッと意識を取り戻がほのかに顔が赤い。
「もう一つ。ミス・、なぜあいつらに口止めさせた。君は何も後ろめたいこたはないだろうが」
そう真剣な表情でを見つめるスネイプに、またの鼓動が高くなる。顔がほてってくる。
「?」
「あっ・・」
スネイプは少し不安そうにの顔を除き込み、の頬にそっと手を重ねた。
ドッドッドッ
動悸がますますひどくなる。
(やっば、まじで救○の出番かも)
「具合いでも悪いのか、顔が赤い」
「だだだ大丈夫ですって!あっなぜ黙らせてたかでしたっけ?」
わたわたと慌てるに 首をかしげながら「そうだ」と頷く。
はひと呼吸してにっこりと笑った。
「いや〜めんどくさいの苦手でさあ!?先公に言ったらなにかとしつこく聞かれそうだったし☆
スネイプ先生は絶対「だが暴力は許せん」とかなんとかいちゃもんつけてくれ、そのうえちゃっかり減点してくれそうだったしさ!ってあれ?」
は額に手を当てうんざりしているスネイプに気付きスネイプの顔を覗きこんだ。
「先生?」
「っとに、お前という奴は」
そう冷たい視線でを見据える。
チクリとの心が痛んだ。
いつもならそんな視線を受けても何とも思わなかったのに。
なぜ今日に限って?
「あの・・・・;」
「貴様、本当に馬鹿だな」
チクリ
また心が痛い
なんでだろう?なぜ今日に限ってこんなに痛いんだろ・・・。
なんだか目が潤んできたよぉ・・・・
「いいか?だいたい・・」
「・・・・・・もん」
「?なんだ?」
「馬鹿じゃないもんっ」
「なっ!?」
顔を上げたは両目を潤ませていた。
一体なぜ泣くのだとスネイプの頭の思考回路が一気に混乱する。
「ミス・・・・どうした・・」
「・・・・・・・・・・・・失礼します!!」
はフイッそっぽを向くとサッと立ち上がり、出て行ってしまった。
あまりにも唐突な出来事に、声も出ないスネイプ。
ようやく回路がはっきりする頃にははすでに出て行った後だった。
子猫が不安そうにスネイプの顔を見つめる。
「みゅう・・・」
スネイプはそっと子猫の背中を撫でた。
「我輩は何か酷いことを言ったのか?だが・・・今日の彼女を目の前にすると・・
いつもの調子が出ない・・なぜだ?なあ・・お前。わかるかね?」
「みゅう?」
「フッ・・わかるわけないか・・・」
スネイプはそう自嘲すると、子猫を抱き寄せた。