弱々しく[にへら]と笑うに苛立ちを感じながらも慌てて部屋の中へ促す。
ソファに座らすと、子猫も心配そうにの膝に乗りの顔を覗きこんだ。
スネイプは薬箱を取り出し、の顔に消毒液を染み込ませたガーゼをそっとあてた。
「っつ・・・いったーい!!!!」
「うるさい!これくらい我慢せんか!」
「むう・・・・」
むくれるを無視して、スネイプは自身が調合したと思われる瓶を取り出し、
ガーゼに染み込ませ、の頬に軽くあてる。
その瞬間、は痛みが消えていくのを感じた。
やがて、スネイプは薬箱をしまい、
「もう、大丈夫だ」と素っ気無く言った。
はポケットから手鏡を取り出し、自分の顔を覗きこむ。
「うわ・・・怪我が消えてる・・・すご・・・・・」
そう驚きの声をあげるにスネイプは少し焦った表情で
「何があった」と尋ねた。
が、はニッコリと笑うだけで子猫の喉を優しく撫でるだけ・・・・
「みゅ〜ネーコ〜♪」
「おい」
「ほおうら〜高い高い〜v」
「おい!」
「う〜んvだいぶ良くなったね〜」
「貴様・・・いい加減に・・・・」
むに
「ぴ〜いはひいはひ!!やめへやめへ!!」(ぴーいたいたい!やめてやめて)
見事にシカトをかますの頬をねじり上げた。
涙目で懇願するを一瞥し放してやる。
「おーいたぁ・・・・」
頬を擦りながら、いまだ涙目のを見下ろし
スネイプはもう一度何があったと問いただす。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ほぉ?もう一回捻り上げてやろう」
「!?いやいや!痛いから!!」
「なら話せ」
「むぅ・・・・ただの喧嘩ですよ〜」
「・・・・はあ・・・・・」
「!?なっなんですか!その深〜い溜息は!!」
額に手をあて、盛大に溜息をこぼすスネイプを睨みつけばがら
は頬を赤くした。
「・・あのな・・喧嘩でそこまで怪我負うとは・・ミス・はよほどおてんばらしいな」
「ほっとけよ」
ぷうっと頬を膨らましながらそっぽを向く、が可愛らしく思わず笑みがこぼれる。
「で?相手は?」
「・・・・・・・・・てへv」
「・・・・・・・まさかとは思うが」
「ピンポーン!!スリザリン生でっす!!」
「・・・・・グリフィンドール1点減点・・」
「うわおうv見事な贔屓!!」
スネイプはさも疲れたような表情でを睨んだ。
はにっこりと笑いもう一度猫の喉を軽くかいてやると
スクッと立ち上がって・・・・
「うんvもう大丈夫そうですね!そんじゃあ、おいらは失礼します
先生!!お願いがあるんですよ!!」
「なんだ・・・・」
にっこりと微笑むによからぬ視線を感じ、うんざりしたような目で
を見据える。だが、の口からこぼれたのは・・・
「この子猫・・しばらく先生の所に・・できたらあまりここから出さないようにして?
傷が完治するまで・・・また・・怪我させられたら・・」
一瞬、の表情が曇り、スネイプは眉間に皺を寄せた。
理由を問いただそうと口を開くより早く、が口を開く。
「ううん!なんでもない!!とにかく完治するまで、よろしくう!!陰険贔屓教師!!」
そうサラっと嫌味を言うと、ピシッと敬礼をしてはスネイプの部屋から出てった。
「・・・・なんだったんだ?」
突然現われ、サッと消えていったにスネイプは少し目を丸くした。
子猫の体ももうほとんど完治したころ・・
子猫はすっかりスネイプになついていた。
あれからがスネイプの部屋に来ることはなかったが・・
そんなある日のこと、たまには寮の談話室に顔でも出そうかと
スネイプはスリザリン寮へ向かった。
「みゅ〜」
「・・・お前も来るかね?」
「みゅうv」
自分の部屋から出ようとする、スネイプの足元に子猫が顔をこすり付けてくる。
どうやら自分もスネイプと一緒に行きたいらしい。スネイプはふっと優しい表情を
浮かべるとそっと子猫を抱き上げた。
「あっスネイプ先生!こんばんは!寮にみえるなんて珍しいですね!!!」
寮の談話室に入るとソファで本を読んでいたドラコ・マルフォイが
立ち上がってスネイプに挨拶をした。
「あぁ・・ミスター・マルフォイ・・・何か変わったことはなかったかね?」
スネイプは談話室を見渡しながらドラコに訪ねた。
数人の生徒が談話室で本を読んだり、羊皮紙を広げている。
皆、スネイプが入っていくるのを見ると、席を立ち挨拶した。
数人の女子生徒がスネイプが抱きかかえている子猫に興味を持ったらしく、
チラチラと子猫を見ている。
スネイプは子猫を下ろすとソファに腰をおろした。
子猫もソファの上に飛び乗り、不思議そうに辺りを見渡している。
「変わったことといえば・・この間、数人の男子生徒が体中怪我だらけになり医務室へ・・・
なにやら喧嘩をしたそうで・・先生に報告をと思ったのですが、あいつら[やめてくれ]の
一点張りで・・・・どうなされました?スネイプ先生?」
スネイプは深い溜息をついて、額に手を置いた。
(だな・・・・・・)
「ミスターマルフォイ・・・その生徒を呼んできてもらえるかね?」
「あ・・・はい・・」
子猫は女子生徒がいるテーブルにひらりと飛び乗り、きゃあきゃあvと
女子生徒達に囲まれ撫でられていた。
そんな光景に思わず笑みがこぼれる・・。
やがて、ドラコを先頭に三人の男子生徒が談話室に降りてきた。
皆、顔や手に引っかき傷をつけて・・・
その姿にスネイプは盛大な溜息をつく。
(は猫並みか?)
だが、その三人の生徒はスネイプの前に行くより、女子生徒がいたテーブルを見て
凍りついた・・その視線は子猫へと向けられて・・
「そんな・・なんで・・・」
「うそだ・・そんなはずはっ・・」
「ぼ・・亡霊・・・」
顔を真っ青にさせ、全身ガタガタと震えている三人の様子に
スネイプはもちろん回りにいた生徒は怪訝そうな表情をした。
そして、子猫も三人を見た瞬間、身をかがめ威嚇し始めた。
それでも体は震えていて・・・
パッとスネイプの頭にあることがよぎる・・・
「三人とも。我輩の部屋に」
その翌朝、大広間では
「「おはよう!!!諸君!!今日もすがすがしい朝!!!そして・・・」」
「・・・・!!?あーーーーーーー!!!」
「「おいしいベーコン!!」」
「てめ!フレッド!ジョージ!!ダブルでベーコン取るなー!!!」
「「へへん!!」」
「にゃろう〜!!よし!こうなったらロンからとったるわあ!!」
「うわ!ちょっ・・!!ひどいよ〜〜・・・・・・」
今日も騒がしく朝食の時間を迎えていた。
半泣きのロンを横目にベーコンを悠々と口に運ぶ。
「まーまー・・世の中こんなもんよ!ロン!!明日があるさv」
「全然わけわかんないって・・・;」
「はっ相変わらず騒がしい寮だな」
「・・・・出たよ・・・」
後ろで聞きなれた嫌味ったらしい声がして、たちは顔をしかめて
振り返った。
「オハヨーゴザイマス。スネイピー教授」
「グリフィンドール1点減点。教師に変な名前をつけるな阿呆が。
、この後我輩の部屋に来い」
スネイプはそう素っ気無く言うと踵を返し、大広間から出て行った。
「お!おい!何やったの!?」
「「おぉ!!とうとう!姫も目を付けられましたな!!!同胞よ!!」」
「いや・・フレジョには負けるから。って・・一体なんだろ・・・」
はスネイプが出て行った大平間の入り口を眺めながら首をかしげた。