「あぅ〜暑いでしぃ〜」
































「残暑」




























は赤と黄色のネクタイを緩めながら、ギラギラと照り付ける空を仰いだ。
夏休みが終わり季節は秋へと変わっているのに、ここホグワーツはまだまだ暑い。つまり残暑である。


「あ〜つ〜いぃ〜」

「わかったから、少し黙って


と並んで歩きながら、いつもはおろしている髪を一つに結ったハーマイオニーがうんざりとした表情でを軽く睨む。
薬草学の温室からの帰り道二人城へと歩く。
温室もかなり暑かったが、容赦なく照り付ける日差しもかなり暑い。
玄関ホールに入るとひんやりとした空気が頬を掠めた。
おもわず目を細めて溜め息をつく二人。
今年の残暑は特に厳しかった。

























、食べないの?」

「う〜ん、なんか・・・・・」



夕食の時間、辛そうに肘をつくの顔を見てハーマイオーが顔を顰めた。
少し離れた所ではフレッドとジョージが賑やかに食事をしている。
ハリーも不安そうにの顔を覗き込む。


「ここ数日ろくに食べてないじゃないか


「そうだよ〜兄貴達を見習えとは言わないけどさ、少しは食べた方がいいぜ?」


ステーキを頬ばりながらロンもを促す。
は苦笑いをしてフォークを手にするが、なかなか口に運べないでいた。
ハーマイオニーは小さく溜め息をついて、自分より小柄なの頭を撫でる。


「まぁ、無理して食べてさらに具合いが悪くなったら困るわね。
だけどスープくらいは食べておきなさい?恋人も心配してるわよ」


「え?」



は驚いたように自分に冷たいかぼちゃスープをよそうハーマイオニーを見て、そっと教員席へと振り向いた。
そこには眉間に皺をよせ、心配そうに視線を送っている、の恋人・スネイプ教授の姿があった。
はにっこりとスネイプに笑ってみせ、スープを口に運ぶ。
だけどその笑顔はとても弱々しいもので、スネイプはさらに眉を顰める。
結局、かぼちゃスープも数口だけ口にしただけで残しは席を立った。
大広間から出ていくを見つめながら、スネイプは深く溜め息をついた。
ここ数日、はろくに食事をしていないようで顔色もあまり良くない。愛しい恋人の弱々しい姿が脳裏にちらつく。
スネイプはサッと立ち上がって急ぎ足で大広間を後にした。



ッ!」



グリフィンドール寮へと向かう廊下を歩くをスネイプが呼びとめた。
ハーマイオニーは「先に行くわね」との肩をポンと叩くと、先に行ってしまった。




「何か心配事でもあるのではないかね?」




普段では絶対見ることのできない優しい表情、だけど心配そうにスネイプはかがんでの顔を覗きこんだ。
肩で切り揃えられた黒い真っ直ぐな髪、焦茶色のかわいらしい瞳にスネイプの顔が反射する。
少し丸めの輪郭が食べてないせいで少しやつれて顔色も悪い。はスネイプに心配かけまいとにっこりと微笑むがとても弱々しいもので・・


「何もないよ?ただね、食欲がないだけなんだよー」


「そうか・・何もないなら良いのだ。・・・だが食事をとらないのは体によくない。これを」


の頭を軽く撫でるとスネイプは懐から小さな小瓶を取り出し、の手の平においた。
水色がかった透明の丸みを帯た形で中には薄い黄緑色の液体が入っていた。


「栄養剤だ」


不思議そうに小瓶をかざすに苦笑いしながら、スネイプはの頬に手を置いた。
は嬉しそうに目を細めて、スネイプの手に自分の手を重ねる。


「ありがとう〜セブぅ」






それから二日が過ぎた。
は相変わらず食欲がなく満足な食事をとっていなかった。
顔色は更に悪くなり、歩く時もフラフラとしている。
ハーマイオニーが心配そうにの体を支えながら歩いていた。



「ねぇ、次の授業休んだ方がいいわ。医務室にいきましょう?」


だがはイヤだ〜と首を振る。次の授業は魔法薬学だ。スネイプの授業を休みたくない。
頑として首を縦に振ろうとしない、にハーマイオニーは諦めの溜息をついて、魔法薬学の教室へ入っていった。
その結果、いや、案の定というべきであろう。
は実験中に倒れてしまった。












「う・・・・・・・み?・・・・あれ?」


どれくらい時がたったのか定かではないが、はベッドの上で目を覚ました。


「あれれ・・・たしか・・スネイプ先生の授業に出ていたはず・・」

「倒れたのだ」

「わっ」


必死に記憶を思い出そうとしているの上から、スネイプの声が降ってきた。
驚いて顔を上げると、少し不機嫌そうなでもとても心配そうなスネイプが立っていた。
スネイプは深い溜息をつくと、ベッドサイドにあいてある椅子に腰をおろし、
そっとの頬を撫でる。


「暑さからによる食欲不振、そして栄養失調・・・・、君は夏バテという病気だ」


そう、少し意地悪く笑って見せると、はぽかんとスネイプを見つめたまま固まってしまった。
そして、ハッとした様に首を振ると申し訳なさそうにスネイプに頭を下げた。


「うぅ・・・ごめんんさい〜・・・セブの授業台無しにして・・・」



だが、スネイプはそっとを抱き寄せるとそっとその額に小さな口付けを落とした。


「よかった・・・どこか悪いのではないかと・・
頼むから明日からなるべく少しでも食事をとっておくれ・・・」



の耳の近くでスネイプの声が響き、思わずは顔を赤く染めた。


「うん・・・ごめんねぇ・・・・でもなかなか・・とれなくて・・・」





しばらく沈黙が続き、スネイプはから見えないところで、小さく笑った。
それはまるで何かを企んでいるような目つき・・・・



「それでは?明日から我輩と食事をとりなさい」

「え?ええ?」

の健康状態を把握する必要がある。それに少しでも君いられる・・・何か不都合でも?」


「ううん!!なっないよ!!」


は顔を赤くして、スネイプを見つめた。


「なら、問題ないな。では・・」

「えっえ・・え・・・あの・・セブ?」


スネイプはを抱き上げると、そのまま大広間へ向かった。


「夕食の時間だが?」

「う・・・うん・・って自分で歩けるって!」


だが、スネイプはの言うことを無視して、を抱き上げたまま大広間へ向かっていった。



「言ったであろう?の健康状態を把握する必要があると・・・無論、今日は我輩の部屋に泊まってもらう」


顔を赤くしているに追い討ちをかけるようにスネイプが囁いた。
その言葉に、表情がかたまる・・慌てて首を振ってダメだよ!と抗議をするが


「安心したまえ、校長にはすでに許可をとってある」


ニヤリと笑うスネイプには何も言い返せず、おとなしくスネイプの胸に顔を埋めた。
その日の夕食は、今まで以上に胸がいっぱいでほとんど喉が通らなかった。

それでも数日後には、ちゃんと食事を取るの姿がみられ、
心配していたハーマイオニーもホッと胸を撫で下ろした。


だけど、いかにしては食事をちゃんととるようになったか・・・
それはスネイプとの2人だけが知ること。





9800番ゲッターさゆり様に捧げる教授夢。
夏バテがテーマでした。が、管理人のあまりにも遅い更新により、
夏バテの時期を完璧に逃してしまいました!!
そして、内容もどうかと・・・UPが大変遅れた上に薄い内容で
本当に申し訳ありません!!!


このドリームはさゆり様のみお持ち帰りが出来ます。