、好きな人いるの?」





「いるっすよ!!」



「誰?」




「スネイプ!」














































「「「何ですとー!?」」」

















































+手のひらの子猫+











賑やかな夕食の時間。
二コッと笑いながら答えたの声に、大広間はシンッと水を打ったように静かになった。
隣のハーマイオニーは固まり、目の前のハリーとロンは口をあんぐりと開けてを見つめている。
斜め隣のネビルは、カランとフォークを落として真っ青に青ざめていた。
ブンブンと頭を振り、我に返ったハーマイオニーは作り笑いをしての肩を叩く。


「そっそうなの?具体的にスネイプ先生のどこが?」


そう引きつりそうな顔に笑顔を必死に作れば、よくぞ聞いてくれました!といわんばかりに
は輝く笑顔をハーマイオニーに向けた。


「まずはあの声!すっごい深みがあって聞いているだけで痺れるでしょ!
いつも不機嫌そうな表情も渋いしさ!!授業も分かりやすいし、
質問しに行くととても分かりやすく教えてくれるんだよ!
それにたまに淹れてくれる紅茶はすっごい美味しいんだからっ!

スネイプ大好きよ!?」



「あぁっ!ホグワーツの姫君が悪魔の手にかかろうとしている!」」



嬉しそうに頬を染めて猫のように目を細めるの真後ろで、2サウンドの嘆きの声が木霊した。
振り返れば、フレッドとジョージがハンカチを片手によよよと泣いている。
フレッドがの右肩に、ジョージが左肩にポンと手をおいた。

「遙か日本という東洋の島国から来た、黒曜石のごとくきらびやかな長髪をたずさえたかわいい姫巫女!
ホグワーツに現れたいなや、ビーブスをぶっ放した活発さにグリフィンドールのみならずホグワーツ全校を魅了させた姫君!
そんな姫が!?あんな陰険・根暗!万年蒼白教授に恋焦がれるとは!
あぁっなんたる悲劇!この世の終わり!姫っ!我らは悲しゅうございますっ!!」



そうぶわっと目に涙を浮かべて勢いよくに抱きつく二人。
だがその瞬間、二人は情けない声をあげて床にひれ伏していた。


「む〜!大好きなスネイプを悪く言わないの!そしていきなり抱きつかない!」



パンパンと手を叩きながら、はぷうっと頬を膨らませて
床にへばりついているフレッドとジョージを睨みつける。




「く〜相棒ぬかった!はマーシャルアーツの天才だった!」


「おう・・どさまぎで抱きついたのは失敗だったか・・」



いまだに伸びている二人に小さくため息を零すと、再びテーブルに着いてサラダを皿に盛りつける。
フレッドとジョージをチラリて見やりながらハーマイオニーはハラハラとを見つめた。
美味しそうにサラダを頬張りながらニコニコ笑っている姿に、つられて笑ってしまう。
いまだ口をあんぐりと開けてを見つめていた、ハリーとロンと見つめ合っておそるおそる教員席に視線を走らせる。
大広間中の視線が教員席の一人に集中する。














セブルス・スネイプは紅茶カップを手にしたまま固まっていた。







そんな姿にダンブルドアは嬉しそうに微笑み、景気よくスネイプの肩を叩く。









「よしっ!許す!?」








「「「「何を!?」」」」



















































「スネイプ!クッキー焼いたんだ、食べろ!!」



「いらん」

「なんで!?」





それから数日後、かわいらしい紙袋を手に小走りぎみに歩み寄ってきた
スネイプは冷たく言い放ち、ふいっと背中を向けた。
いつもならば、ニコニコと見上げてくるに苦笑いをしながらも受け取っていたスネイプが急によそよそしくなり、
は驚いた表情を浮かべる。




「いつもなら、もらってくれるのに!!」


そうむうっと頬を膨らませながらスネイプのマントを掴むがを睨みつけ、マントを手繰りよせる。



「迷惑だ」



「!?」



冷たく見据えてくるスネイプに、は一瞬凍りついた。
悲しそうな目をしたを一瞥すると、サッとマントを翻し背を向けカツカツと足早に歩いていく。
そのスネイプの表情はとても辛そうで。

































「ひっく・・えっ・・ふぇぇぇ〜…」











背後で泣き声が聞こえてきて、ハッとして振り返ればが紙袋をきゅうっと抱きしめて泣きじゃくっていた。



「なっ!?ミ・・・ミス・!?」



「ふぇぇえ〜っいつものスネイプならもらってくれたのにぃ・・あんまりだあっ・」



確かに・・急にこんな態度はに対して酷いことだとスネイプ自身も痛いほどわかっている。
の焼いてくる菓子は絶品だ。断る理由などない。



だが・だがなぁ・・ミス・・・・




「何か気に障ることしたなら、ちゃんと言ってよぉ・・」



かわいらしい目にたくさんの涙を溜めて見上げてくるに、スネイプは薄く笑いながらため息をついて、
小柄なと同じ目線になるように屈み、の両肩に手を置いた。



「違う・・違うのだ;ミス・




懐から紺色のハンカチを取り出し、そっとの涙を拭ってやれば、カサリと紙袋がなった。



「食べる?」



さきほどまで瞳いっぱいに溜めていた涙はいったいどこへ?
は悪戯っ子のように微笑みながら、カサリと紙袋を広げた。
その仕草にスネイプは呆れたように目を泳がせ、深いため息をつく。


「・・・・・ミス・・」


「はいvあーんv」


「・;・・・・・;;・・・・;;;」


「・・・・・食べなきゃ末代まで呪う」


「・・・いっいただこうっ;!」


サラリと1トーン低めに脅しをかけるに、スネイプの肩がびくりと震えた。
焦ったように答えれば、にこりと微笑みながらがスネイプの口にクッキーを運ぶ。
ふんわりと口に広がるハーブの優しい香りが、なんともいえず。
「おいしい?」と首を傾げながら聞いてくるに、やや呆れ気味に薄く微笑むと、ギラリと辺りを見渡す。
とスネイプの周りには殺意を露にした生徒達が睨みつけていてた。
そう、がスネイプ大好き宣言をしたからというもの、生徒そして一部の教師がスネイプに
敵意を露にしたのだ。の人気の高さは恋愛など興味のないスネイプでも頷ける。
そしてホグワーツのアイドルといっても過言ではないの思い寄せる相手が
自分と知り、スネイプはこれから吹き荒れるであろう嫉妬の嵐に苛立ち気に舌打ちをした。




「全く持って不愉快極まりない」





だが、はいつもいつも場所を気にすることなくニコニコとスネイプの元へやってくる。
そのかわいらしい笑顔に邪険にするのをためらってしまう。
その度に敵意を露に睨みつけてくる生徒共。まったく、こっちの身にもなってほしいものだ
ミス・





「スネイプv今日の授業のことなんだけどねv」

休み時間の廊下。
今日もは軽い足取りで、スネイプの元へ走りよってくる。
の明るい声に、スネイプは深いため息をついて振り返った。




「・・・・・先生をつけないのかお前は・・・」


「やv」


「・・・・・・・・;で、授業の何かね、そういうものは終わってからすぐに聞いてほしいものだな。」


「だってvたくさんスネイプに会いたいんだもん!」


「・・・・(深いため息)どこが疑問かね?」


「えっと・・」



は周りを気にすることなくいつもスネイプの元へやってくる。
どんなに周りが嫉妬の視線をスネイプに刺しつけても、の目にはスネイプしか映ってなかった。
毎日、毎日、そして一日に何度も。いたたまれないと思いつつ、どんなに邪険にあしらおうとしても
にはそんなことは通じない。
ほらv今日もは何かを抱えてスネイプの元へ嬉しそうに向かっていく。






「そんなにスネイプ先生が好きなの?」


「うんv大好き!?」


ハーマイオニーの呆れたような問いに、はにっこりと大きく頷いた。















そんな日が続いたある日のこと










ドオオン

















魔法薬教室ですさまじい爆発音が起こった。
やハーマイオニー達は爆発した大鍋の主を青ざめた表情で見つめる。
大鍋を爆発させたのは生徒ではなく、魔法薬学の担任であるスネイプだったのだ。







「っつ・・・」






モクモクと立ちこめる黒い煙を杖で消し現れたスネイプの頭から一筋の血が流れている。
その姿には真っ青になり駆け寄った。



「スネイプ!血が!」


ハンカチを取り出すにスネイプがハッとしてを大鍋から遠ざけた。
爆発を起こした大鍋はいまだにぐつぐつと煮だっていたのだ。
ハーマイオニーも慌てて駆け寄り大鍋の火を消し止める。
それと同時にガクリと膝を崩したスネイプには声をのんだ。




「スネイプ!」



「・・・つ・・」





どうやら頭にかなり衝撃を受けたらしい。意識が朦朧としてくる。
遠くの方からの声が聞こえてくるが、その声はどんとんと遠ざかっていった。
ふと、ハーマイオニーは教壇の上を見やり、首を傾げた。


「あら・・この薬瓶。今日は使わないはずよ・・」



医務室へと運ばれたスネイプにはずっと付き添っていた。
だが、この日に限ってマダムは不在。「どうしよう・・」と呟くハーマイオニーに
は黙りこくってスネイプをベッドに寝かせ、薬品庫の扉を開ける。
夕食の時間になり、「大広間に行こう?」と促すハーマイオニーの言葉にもガンとして首を降った。



「目が覚めるまでここにいるもん!」




むうっ頬を膨らませながらも、心配そうにスネイプの手を握るの姿に
ため息をつくと、「それじゃあまた後でくるから、何か持ってくるね?」と医務室から出て行った。
スネイプが怪我をしたという事件はあっという間に、ホグワーツを駆け巡り多くの生徒が歓喜の声を上げる。
けれどもの辛辣な表情に、奮い上げた拳を力なく下げた。



「そこまでスネイプが好きだったんだ」



まだ目を覚まさないスネイプの手をキュウッと小さな手で握り締める、その姿に
生徒達はいたたまれないようにため息をついた。



「スネイプゥ・・目を開けてよぉ・・・」



両目に涙を溜めながら、は小さくしゃくりあげた。









































「先生をつけろと言ったであろうが」



「!?・・・スネイプ!!気がついた!?」


「・・・・・・お前な;・・・・;」


薄っすらと目を覚ましたスネイプは、の姿を認めるとゆっくりと体を起こした。
いまだに自分のことを「先生」をつけないを軽く睨みつけるが、
瞳いっぱいに涙を浮かべて抱きついてくるに一瞬驚いて目を見開いた。
「心配したんだよ〜!」とぐりぐり頭を押し付けてくる姿に小さく笑うとそっとの頭を撫でる。
スッとあたりを見渡せば、自分は医務室に運ばれたのだと認識した。
だが今日マダムは不在のはず・・ならば一体だれが自分の世話を?
そう思いつくと同時に、ほんの少し弾かれたようにを見つめた。
猫のように目を細めて、ぐりぐりと抱きついてくる










































ニヤリ


















































「・・・・・・・・



「み?」




ふえ?と間抜けな声を出して顔を上げるの体を簡単に持ち上げて
自分の膝の上へと乗せてやれば、驚いたが慌てて降りようとする。
けれどもそれはスネイプにがっしりと腰に腕にまわされているのでかなうはずもなく。
いつもの積極的なが「あわわっ;」と慌てたように、スネイプの腕を引き剥がそうとするが
そんものは無駄なあがき。さらに抱き寄せかわいい耳にもう一度「」と囁けば
ピクリとの体が縮こまった。





「どうした?いつもの積極的な態度は」



「え・・えと;」




意地悪そうに顔を覗き込んでやれば、わたわたと顔を真っ赤にさせて目を泳がしている
カチリと目があった。その瞬間に「ボンッ」と音が聞こえそうにさらに真っ赤にさせ、
両手で顔を覆ってしまった。喉の奥で笑いながらそっと顔を覆う手を剥がしやれば、
ほんの少し瞳が潤んでいて。



「我輩が好きなのであろう?」


「う・・うん・・大好きだよ?」



「ならば問題なかろう」


「にゃっ///;;」




大好きとコクコク頷くにさらに意地悪く笑って見せると、の頬に手を
添えそっと引き寄せた。ぷくっとしたかわいらしいの口唇に触れるほどの口付けを落とせば
驚いたが猫のような声を上げる。



「いつもいつも、邪険にしてたのに・・」


「はて?そうだったかね?」


ほんの少し恨めしそうに見上げてくるに勝ち誇った笑みを見せつけると、
再び触れるだけの口付けを落として、髪を手櫛ですいてやる。
心地よさそうに目を細めてスネイプの胸に雪崩込めば、その温かさに歓喜のため息を小さくついた。








は知らない。

をわざと生徒達の前で呼び止めるように仕向けたり、
授業の内容を、授業後に聞きに来させるように終了後すぐに準備室に入って行ったり。
そして、授業の失敗もスネイプの自作自演であることも・・
そっけない態度も、うんざりした表情も。
今までのこと全てがスネイプによって仕組まれていたなんて、は知る由もない。
は自分に好意を抱いていたことなど、とうの前から知っていたスネイプはとことん自分に
アピールするようにを仕向ける。
全ては最初からスネイプの手の上に乗せられていたのだ。



やがて、スースーと可愛らしい寝息をたて始めたの頬を撫でながら
優しく微笑むとそっとその小さな体を優しく包み込んだ。



「欲しいものはどんな手段を使ってでも手に入れて置きたいのだよ。




そう優しく微笑み三度目の口付けを落とせば、キュウッとが嬉しそうにスネイプの袖を
軽く掴んだ。


翌日、二人一緒に大広間に入ってきた姿に全校生徒ががっくりと肩をおろしたのは言うまでもなく。



「スネイプーv今日はねシフォンケーキ作っていくからねv」


「楽しみだな」


「へへー」


そうわしわしとの頭をかき撫でてやれば、にゅ〜とが笑った。
「ところで」と思い出したようにの顔を覗き込めば、不思議そうな表情をしたと目が合う。


「先生をつけないのなら・・・我輩のことをセブルスと呼びたまえ」


「・・・・・・セブ・・ルス!?!?////


ボンっと一気に紅潮させたが素っ頓狂な声を上げた。
クククと喉の奥で笑い耳元で「我輩を呼んでくれ」と呟けば、またもや慌てたの姿。


「あーえと・・・んと・・;」


「どうしたのかね?。いつもなら元気に我輩を呼ぶであろうが」


「うー・・むー;・・セ・・セブ・・」


「ん?」


「セブ先生ぃ・・・・」




恥ずかしそうに俯き、上目使いに小さく呟かれたその名前に一瞬驚きに目を見開く。
だがスネイプは満足したように、笑うと「よろしい」との頬に褒美の印を口付けをした。













大広間で堂々いちゃつくなーー!!


つか!スネイプが微笑んでるー!!






いまだがスネイプのことを好きなのが許せないのに、堂々見せつけられていた
生徒達は声にならない叫び声を上げていたとかいなかったとか。
そんな大広間を眺めていたダンブルアだけが、ニコニコと微笑んでいた。














31111番ゲッターhakuto様に贈る教授夢
ヒロインに振り回されながらも最後には教授が勝つ。ギャグ風味でという要望でし
が!ギャグじゃないですよね;
こんな内容になってしまいましたが;アップが大変遅れて申し訳ありませんでした。

このドリームはhakuto様のみお持ち帰りができます。