「ええい!鳥!邪魔だ!」
「鳥、鳥言うなぁ!」
「学生時代」
達が眠りについた後、スネイプ、シリウス、ハヤト、ルーピン、ナツキそしてミカエルは酒盛りをしていた。
ミカエルとスネイプのいがみ合いをあきれながら見つめるルーピン。
「なんだがんだ、いろいろあったけどやっぱり仲間なんだよね〜」
「スネイプも入るのか?」
シリウスが少し嫌そうな顔をする。
「ははは・・・セブルスだって根は良い奴だよ」
「あぁ・・・セブルスは・・良い奴さ・・」
「え?ハヤト?」
不思議そうな顔をするルーピンに小さく笑って、ハヤトはミカエルとスネイプを見つめた。
時をさかのぼること十数年・・・・
彼らはホグワーツで卒業を控えていた。
「はは〜!引っ掛かってやんのー!」
「・・・・・・・・・・・」
「まったく、スネイプはこんな簡単な仕掛けにひっかかるなんて」
「セブルス〜もう少してこずらせてよv」
「・・・・・・・・ほう」
セブルスは静かに答えるとサッと小さな小瓶を取りだし、目の前の三人に勢い良く振りかけた。
「!何しやがる」
「っ!痒い!」
「セッセブルス、一体何を!」
顔や手に赤く腫れ上がるのを見て慌てふためく三人。
セブルスは小さく溜め息をつくと踵を返した。
「やれやれ、また失敗か。本来ならば青い斑点が浮き上がるはずなのだが・・あぁ、そうだ。
貴様等、早く水で洗い流した方がいいな。放っておくとただれてくるぞ」
そうニヤリと意地の悪い笑みで振り返る。
薬を浴びた三人は真っ青になりながら走って行った。
「ふん」
「おーおー、お前もえげつねーな」
「・・・か」
セブルスは声の主をチラと見やるとスッと歩き出す。
セブルスと同じ髪色に同じ瞳の色。
ただ、違うことは短く切り込まれたさっぱりとした髪型に、セブルスが特に嫌うグリフィンドールの制服。
そう、彼は後にの父親となる人物。
ハヤト・。
「一番濃度が薄い腫れ薬か。まあ、あいつらもこれで少しは懲りただろう♪」
「ふん、次の試しができなくなるな・・・つまらん」
そう、さも悔しそうに舌打ちするセブルスにハヤトは引き攣りながら笑った。
「にしても、ジェームズ達も飽きねぇよなぁ。お前なんかからかって何が楽しいんだろうな?」
「なんかとは失礼だな」
二人並んで図書室へと向かう。
セブルスはジェームズ、シリウス、ルーピンを筆頭にグリフィンドール生をあまり良くは思っていなかったが、
ハヤトだけに対しては少し違っていた。
セブルスとハヤトはお互い魔法薬学が得意で1、2を争うほど。
だが、二人はそれを争うことはなくともに勉強し合う仲だったのだ。
図書室に着くとセブルスとハヤトは羊皮紙を広げ、魔法薬学の本を持てるだけ机に持ってくる。
「なー、セブルス」
「なんだ」
しばらくしてハヤトが口を開いた。
セブルスは本に視線を落としたまま、素っ気無く返事をする。
「お前。ここ卒業したらどうすんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・さあな」
一瞬、ペンを走らせる手が止まる。
セブルスはチラとハヤトを見ると再び本へと視線を落とした。
「お前はどうなんだ、」
「俺か?俺は家の家業を継ぐんだ。そしてナツキと結婚!」
そう力説するハヤトにセブルスは固まってカタンとペンを落とし、顔をしかめながらハヤトを見つめる。
「あの、騒々しいナツキ・サカガネか。たしかお前達幼馴染みだったな。」
「おうよ!俺はナツキしか嫁にするつもりはない!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・単細胞夫に突進型妻か・・・子供が楽しみだな」
「セブルス。てめぇ・・」
「さて、進めるぞ」
拳をワナワナとセブルスの前で震わせるが、セブルスはサラリと言うと、再び視線を本へと戻す。
ハヤトもぶつぶつ言いながらペンを持ち直した。
そして再び静かな時間が2人を包む、だがセブルスの心の中は吹き荒れていた。
(ここを出たら、僕は・・・・)
「ハーヤートー!!!!」
「うっせえよ!ミカエル!!」
「全くだ。ここは図書室だぞネルファイズ」
ドタドタとという音とともに茶色の短髪に、耳に数個のピアス・・
赤と黄色のネクタイを首にかけた長身の男子生徒が2人のところへ駆け寄ってきた。
「んだよ!いたのかよセブルス!!ってさあ!!まじで助けてくれよお・・ハヤトぉ・・・」
「ネクタイをしめんか!!だらしがない」
「どおせあれだろ?またふられたんだろ?ハッフルパフのシーナだっけ?」
「いんや、それは2日と5時間43分28秒で破局ってるから。」
「記録しているとはマメな阿呆だな」
「うっせえ」
「で?次はなんだよ・・・」
ハヤトが呆れたように溜息をついてミカエルを見上げた。
ミカエルがずい!と何か青い水晶のような球体をハヤトに突き出した。
怪訝そうにその球体を見つめるハヤトとセブルス。
「なんだよ、これ」
「俺もわからねえんだ〜」
「貴様。これをどこで手にした?」
ミカエルが手にしていた水晶をハヤトとセブルスが覗き込むと・・・・・・
「お願い・・・ここから出してください・・・」
10cmほどのかわいらしい女の子が閉じ込めれていた。
エメラルドグリーンの緩やかな髪に、オレンジ色の瞳・・・
そして・・・・
背中にはほんのりと水色がかった透ける4枚の羽・・・・・
「これって・・・お前・・・・・」
「妖精ではないかっ」
驚きに目を見開く2人。
水晶の中の妖精はひたすら涙を流している・・・
ミカエルが裏庭を歩いていると、いきなり空から落ちてきたのだという・・・
話を聞くとその妖精の名前はといって、北国に生息している妖精だった。
ある日、雪原を飛び遊んでいるとマグルの子供達に見つかり、追いかけられ
森の中に逃げ込んだのは良かったのだが、妖精捕獲の罠にはまってしまい
この水晶の中に閉じ込められてしまったのだという。
「で、野生のクマやイタチとかに投げられ、蹴られでここに辿り着いたんだよな?」
「うん・・・・・」
はそう頷くと、またポロポロと涙を流し始めた。
ミカエルは水晶を心配そうに水晶を撫でると、ハヤトの顔をみた。
「でな、ハヤト〜こいつを水晶からだす方法知らねえかなあ?」
図書室で散々調べてたんだけど・・見つからなくてというミカエルに
ハヤトは難しい顔をして腕を組んだ。
「どうなんだろう・・セブルスなにか知っているか?」
ハヤトとミカエルとの視線がセブルスに集中する。
セブルスはチラッと水晶の中のを見やると小さく溜息をついた。
「その水晶は、妖精コレクター用のものだ。捕獲した妖精をそのまま水晶ごと
飾っておいたり、売られたりする。妖精自体が半永久的に生きているからな・・
水晶内に必要栄養素が含まれているので、出す必要がない・・よって出す方法がない」
「そ・・・そんなぁ・・・」
「うわぁ・・まじかよ・・・」
「おい!スネイプ!てめえ!それでも秀才か!陰険レベルの秀才なら何とかしろよ!!」
「なんだと?貴様・・・だいたいなぜ僕がー!」
「あーやめろって2人とも。にしてもなんか方法ないかな・・・」
ハヤトは水晶を持ち上げて、目を凝らした。
は少し恥ずかしそうに身をよじって、不安そうにハヤトを見つめる。
「にしても、お前もドジだよなー。妖精ならそんな水晶のことだって知ってただろうがよー」
ミカエルが軽く水晶をこずく。はショックを受けたようにしゃくりあげまた泣き出してしまった。
「あー泣かせたーミカエルー」
「なっ!なんでそんくらいで泣くんだよ!!」
「それだから他の女にもふられるのだな」
「なんだとーてめぇ・・・」
ミカエルがセブルスの胸倉を掴み上げる。
セブルスはフンと鼻で笑うとミカエルの手を振り払って立ち上がった。
「おっおい!セブルス!?」慌てるハヤトを無視して、本棚へと消えていったセブルス。
しばらくして、数冊の本を抱えてハヤトとミカエルがいる席に戻ってきた。
ドサッと重い音をたて、本をテーブルに置く。
ハヤトが少し掠れたタイトルを読み取った。
「[生物の捕獲方法]・・・か・・なんだセブルス優しいじゃないかv」
ハヤトがにっかりと笑ってセブルスを見あげた。
も泣くのをやめて、懇願するようにセブルスを見つめる。
そんなを一瞥するとセブルスはイスに座って本を開いた。
「ふん、勘違いするなよ。これを早く出さなければ貴様ら僕になんだかんだ聞いてきそうだからな。
落ち着いて勉強もできない。・・・・・・・・・・おい、貴様らも探せ。」
ハヤトとミカエルも椅子に座り直し、本を開いた。
「んじゃ、よろしくなv」
「泣かすなよ!」
「貴様等・・・」
図書室が閉館時間になり、各々本を借りて調べることになったのだが、誰がを預かるか問題になった。
本来ならば見付けてきたミカエルが面倒をみるのが筋だろうが・・・・
「俺の部屋、足の踏み場もねえほど汚いぜ?」
と見事に却下。
もし落として水晶を割ってしまったらは死んでしまう。
水晶に閉じ込められたは衝撃で水晶を割られるとその半永久的な生命関係なく
その体も水晶同様に体がばらばらになってしまうのだ。
それならば同じ寮のハヤトに・・だが
「ちょっと待て。、お前確かあのブラックと同室だったな?」
と、セブルスの言葉に水晶を預けようとしたミカエルの手が固まる。
「シリウスはやべーよ」
シリウスは以前、滅多に壊れない大鍋を片手で壊したことがある奴だ。
水晶を握ったとたん割れる可能性がある。
「んじゃあ、セブルスだな」
ハヤトはにっこりと笑ってミカエルの手から水晶を取り、セブルスの前に差し出した。
嫌そうに眉間に皺を寄せてみせるが、泣きそうに見上げてくるに負けて、渋々と受け取った。
セブルスは魔法薬学に関しては薬専門研究者からも期待されるほどで、最終学年になると研究に没頭しやすいようにと
一人部屋を与えられているのであった。セブルスは自室に着くと、机にそっと水晶をおいた。
は物珍しそうに部屋を見渡す。
部屋には机とベッド、そして本棚が三つもおいてあり、どれも本がぎっしりと収まっていた。
それなのに、ちっとも雑然とした印象は受けない・・・おもしろそうに見渡すに「おもしろくない部屋だろう」苦笑いをする。
だがは首を横に振って目を輝かせた。
「私は人間の生活に関わったことがないから。いつも木の中に住んでいるからとてもおもしろい♪ねっこれなあに?」
は机の上にあるインク壺を指差して、キラキラ目を輝かせながらとセブルスを見上げた。
セブルスは小さく笑って説明をする。そんなやりとりが夜遅くまで続いて、結局この日はを出す方法は調べられなかった。
だけど、セブルスは不思議と嫌とは感じなくて。
次の日から裏庭や図書室でセブルス・ハヤト・ミカエルの三人が真剣に調べ物をする姿が見られるようになった。
「なあ、あいつら何調べているんだ?」
裏庭で三人固まって本に釘付けになっているのを廊下から眺めていたシリウスが呟いた。
ジェームズも「さあ?」と首をかしげる。
「スネイプのヤロー、この前の腫れ薬の恨み・・ぐえっ!」
腕捲りしながら裏庭へと踏み出そうとするシリウスを、リーマスがにっこりと襟首を掴んだ。
「ぐっ・・なっ何すんだよ!リーマス!」
「まーったく、君はセブルス見るとすぐ目の色変えるんだから〜ほらっセブルスの隣にいるのは?」
「?・・・・ミカエル」
「ピンポーン♪もう一人いるね〜」
「あ?ハヤトじゃん・・・・・・・・・あ・・;」
シリウスは一気に青ざめて固まった。
リーマスはにっこりと頷く。
「そうそう。以前、ハヤトとセブルスが勉強中にいたずら仕掛けてどうなったけ?」
シリウスは青ざめていた顔が白くなり、カタカタと震えて、声も出ない。
ジェームズが遠い目をしながら
「勉強の妨害をされ怒り狂ったハヤトに、全身にキノコが生える呪いをかけられたな・・・」
と小さく呟いた。
リーマスも悲しそうに笑いながら目を閉じる
「そうそう、歩くたびに胞子が出て・・」
「はは、あの時のリリーの顔・・かわいかったぁ〜v」
「う〜ん。のろけかい?ジェームズ(黒い笑み)」
「ま、まあ、今回は見逃してやらあ・・」
ジェームズ達はそそくさとその場から離れることにした。
「あっこれじゃないか?」
ジェームズ達が去っからしばらくしてハヤトが声をあげた。
セブルスとミカエルも自分の本を置いてハヤトの本を覗き込む。
「『物質の結界を解く薬』か・・うむ、これなら・・ちょっといいか?」
セブルスはハヤトから本を受け取ると、その本を食い入るように読み始めた。
セブルスの横に置かれたが不安そうに見つめている。
「できそうか?」
ミカエルが身を乗り出して本を覗きこんだ。
「あぁ、これなら間違いない。それにこの程度のものなら教師の許可を取らなくても大丈夫だ。
材料も僕の部屋にすべてある。ただ、できあがるまで一ヶ月かかるな・・早速今日からとりかかろう」
セブルスはの水晶を軽く撫で少しだけ微笑んだ。
の表情が一気に明るくなる。
「ありがとう!皆本当にありがとう!」
「一ヶ月後。っていったらもう卒業式だな・・じゃあ、卒業式あとにやるか。手伝うことあるか?」
「俺もなんかやらせてくれ!」
「じゃあ・・はこの複合薬の調合を・・ネルファイズは・・・」
「おいおいおい、お前らそろそろそこら辺にしないとナツキが飛んでくるぞ〜」
ハヤトはいまだいがみ合いを続けるスネイプとミカエルに微笑んだ。
ナツキと聞いてパタリといがみ合いをやめる2人・・もとい一人と1羽。
ナツキは台所で何か作っているようだ・・・
やれやれと溜息をつくスネイプにハヤトが苦笑いをする。
スネイプは怪訝そうにハヤトを見つめた。
「なんだ・・ハヤト・・気味が悪い・・・」
「いやー昔のこと思い出してさ〜あの時はセブルスも学生だったんだなーって思ったわけだよ」
「なんだそれは;」
[思い出したくもない遠い過去だ]と酒を口にするスネイプに少しハヤトの表情が曇った。
[でもいいこともあっただろう?]と相槌の返事を待つがスネイプは苦笑いをして首を横に振るだけ。
(あったと思うけど・・・・)
そう小さく溜息をつく。
「だが・・・」
スネイプが何か思い出すように口を開いた。
「卒業間近のあの妖精の件の時は・・楽しかったかもな」
「覚えているのか」
「ふん、忘れたくともなかなか忘れられんものだろう・・あれは」
あの日、卒業式が終わってセブルス・ハヤト・ミカエルの三人は人気のない、裏庭の奥での水晶に
皆で作り上げた薬を振りかけたのだ。その瞬間水晶からまばゆい光が起こり、三人は目が眩んだ。
そして、おそるおそる目を開くと、そこには今まで見たこともない美しい女性が立っていたのだ。
エメラルドの長い髪が白い肌にフワリとかかって・・・
「・・・・?」
「はい・・私は遠い北国の守護神なのです。たまに妖精の姿となり、雪原を飛び遊んでいたの・・・
それがこんなことになってしまって・・・あなた方のおかげでまたこうして、外に出ることができました・・
本当にどうもありがとう・・・」
はふわりと微笑むと三人の頬に小さくキスをして、羽のように浮いてみせた。
背中に羽などないのに・・まるで重力など存在しないかのように浮いたのだ。
そして、空高く飛んで消えていった・・・
「あの時は驚いたよなー」
ミカエルも懐かしむように目を細めた。
「何?何の話なんだい?」
ルーピンが子供のようにニコニコしながらハヤト達に身を乗り出してきた。
シリウスも気になるような表情で・・
「へへ・・三人の秘密だな!なっ?セブルス!ミカエル!!」
ハヤトがいたずら子ぽい笑みを浮かべた。
スネイプとハヤトもニヤリと笑って頷く。
「あんだよ!性質ワリー」
シリウスがつまらなそうに口を尖らせる。
「セブ〜・・・・」
「どうした?。」
が枕を抱えて起きてきた。
また眠れないのだろうか・・少し怯えた表情をしている。
スネイプは立ち上がっての頭を撫でると、そっとを抱き上げた。
「さて・・・我輩も寝ようか・・・」
「・・うんv・・・・ありがとう・・・・」
は申し訳なさそうに微笑むとそっとスネイプの胸に顔を摺り寄せた。
は布団に入るとスネイプに擦り寄って、すぐ眠りに落ちてしまった。
小さな寝息がスネイプにも眠気を呼び覚ます。小さく欠伸をすると、スネイプの深い眠りに落ちていった。
久々に見た学生時代の夢・・・・
スネイプが唯一楽しいと思った卒業間近の出来事。
一つの水晶玉がたった一つの良き思い出だった・・・・
卒業後、ハヤトは日本に戻り家の当主となり、ミカエルは闇払いの職に就いた。
スネイプは・・・・・・・
卒業後パッタリと姿を消した。
再び彼らの前に現われたのは・・・・・・ジェームズとリリーが殺される1年前のことだった。
その間のスネイプは、そう死喰い人として闇に身を投じていた・・・・・
スネイプにとって人生の中で最大の汚点となった・・・時間。
振り返りたくない過去だが・・あの時の出来事は大切にしていきたいと、思っていた。
8000ゲッター 如月 莢様に捧げる夢小説!!
今回のリクエストは連載「陰陽少女」の番外で、スネイプ・ミカエル達の学生時代
ということで、回想シーンぽく書かせていただきました。
きっとたぶん、スネイプにとって学生時代のなんもおもしろかった思い出が
ないのでは?とか勝手に考えて、こんなドリームに・・・すいません・・・・・・・
UP大変遅れて申し訳ありませんでした!
このドリームは如月 莢様のみお持ち帰りできます。