不器用な2人・さゆり様へのキリリク











「所詮お前はグリフィンドールだな!」



「何さ!その言い方!」


















不器用な恋人
































地下牢のスネイプの部屋に訪れたは、棘々しいスネイプの言葉に目を見開いた。



は日本から来た魔法使い。
セミロングの黒い髪に黒曜石のような瞳、そしてグリフィンドールの四年生。
スネイプが目の敵にしている寮で、その中でもスネイプが目を光らしているハリーポッターと同じ学年でハリーとは大親友。
明るい性格で彼女がいるだけでその場が和やかになってしまう。その笑顔は何をのにも変えがたい。
そして、スネイプはの秘密の恋人で・・夕食が終わって消灯までの短い時間は唯一の恋人の時間。
が訪れるといつも優しく抱きしめてくれるのに・・・今日のスネイプの態度は素っ気ない・・
不安になってどうしたの?と問えば「なんでもない」「お前には心当たりがないのか」「うるさい」の文句だけ・・
不安に駆られていたも理由をなかなか話そうとしない恋人にだんだん腹が立ってきて、今の口論に至る。






「全く、お前はものわかりが悪いな!」


「だからなんで怒っているの?って聞いているじゃないの!なんで話してくれないのさ!」



「はっ本当に心当たりがないとは。お前の頭はめでたいものだなっ!」




そう吐きすてたスネイプにはショックを受けた表情を浮かべた。
その姿にスネイプは続けようとした罵声を飲み込む。


(言いすぎたか)


震えながら俯いてしまったにギクリと肩を揺らした。
の瞳からポロッと一筋の泪がこぼれたのだ。




「あ・・その・・・・・すまな―」


「先生なんて大嫌いだー!もう知らないもん!」




はキッとスネイプを睨みつけると、乱暴にドアを開け走り去ってしまった。



大粒の泪を流しながら。


















































最近元気がないね、どうしたの?」



次の授業へと向かう廊下で小さく溜め息をつくに、ハリーが心配そうに顔を覗き込んだ。
一週間前、スネイプの部屋から出て行ったきりはスネイプの部屋に行ってなかった。
それだけではない、大広間や廊下であってもスネイプはを避けるように通り過ぎて行く。
授業も今まで何度もを指名したり、実験の時はそばに来てくれたのに、パッタリとそれがなくなってしまった。




(もう・・本当に嫌われちゃったかな・・・)



そう思うとブワッと泪が溢れてきた。





「!?っつ!!どうしたの!?」


「ふぇぇ〜ハリー・・」



はハリー抱きついて泣いた。驚いてあたわたしていたハリーだが、
の痛々しい姿に表情を曇らせそっと頭を撫でる。


そんな二人を、柱の陰からスネイプが見ていた。いや、見てしまった。
が泣いているのは他でもない、自分のせいだ。
正直あの時は大人げないことをしたと後悔していたし、最近のへの態度もどうかと自分でも思う。


だが・・・





(なぜポッターに抱きつく!)










スネイプがあの日不機嫌だった理由・・それは彼が目の敵にしているハリーポッターだった。
と喧嘩した日のこと。とある教室から声がするのを聞き付け、
そっと覗いてみるとそこには恋人のとハリーが何か話をしていた。
だがいったい何を話しているのかは聞き取れない。何を話しているのか不思議に思っていると、


(!?っなっ!!)



スネイプは目の前で起こったことに目を見開いた。がハリーに抱きついたのである。




「ハリー!手伝ってくれてありがとう!!やっと完成したよお!!v」

「うんvよかったね。でもハーマイオニーに手伝ってもらえればよかったのに・・
ハーマイオニーなら完璧だろう?」

「うーん・・ハーマイオニーいま屋敷しもべ妖精のことで頭いっぱいだからさー頼みづらくって・・」


そうはにかみながら、は小さな小瓶を大事そうにカバンの中にしまったのだ。

その姿に例えようのない怒りがこみあげてきた。
どうやらは薬の調合をしていたらしい。


(薬の調合ならば、ポッターにではなく我輩に聞けばよかろうが!!)


生徒同士で調合を行うより、調合を得意とする教師で恋人でもあるスネイプに
聞けば失敗する危険性もないし、またそれを理由に堂々とスネイプの部屋に行ける。












自分に手伝いを求めに来なかったが憎らしかった

ハリーに抱きつくが許せなかった

大事そうに小瓶をしまうの笑顔に・・・・・・・










怒りがこみ上げてきたのだ。



そしてその日の夜、は泣きながら自分の部屋から走り去ってしまった。

















スネイプは1週間前の出来事を思い出しながら、ハリーを睨みつけた。


(元はといえば、ポッター。貴様が・・・・)



「・・・ぁ・・・ス・・・スネイプ先生・・・」

ハリーはの頭を優しく撫でながら、ズンズンと近づいてくるスネイプに
顔を歪めた。その仕草が癇に障る。

ハリーの言葉にはビクッと震えた。
おそるおそるスネイプを見上げる。



「これはこれは・・・廊下で逢引とは・・・・グリフィンドールには人目を気にするという言葉はないのかね」



とても冷たい声と言葉がの心に釘を打ち付けた。
ハリーはムッとした表情でスネイプを睨みつけた。


「違います!がなにか悩みごとがあるらしく、聞いたら泣いてしまっただけです。」

睨み上げてくるハリーを冷たく見下ろし、チラッとに目をやる。


「ほお?ミス・が悩み事とは・・君にも悩があるのかね」


その言葉には目を見開いた。

(そんな・・・ひどい・・・・先生は何も悪いと思ってないんだ・・・・)


一旦ひいた涙が再びこみ上げてくる。だけど・・



(ここで泣いたらこいつの思う壺!!)




「ぁあ?私だって悩みの一つや二つあるってーの!このねっとり!」


さっきまで弱々しく泣いていた姿とは正反対の態度にハリーとスネイプは一瞬固まった。



「ほ・・ほお?貴様は教師にそんな口の聞き方をするのかね」

スネイプは眉を顰めながらを見据えた。
も負けじとスネイプを睨み返す。



「はん!教師が生徒の行動に色目つけるなんてサイテー!
ひょっとしてスネイプ先生あれですか?恋人いないから焼きもちですか〜?うっわー最悪ー!!」

そんなにハリーはプッと小さく噴きだした。
キッとハリーを睨みつけ、怒りむき出しの表情でを睨みつける。



「貴様・・・言っていいことと悪いことがあるぞ・・・」

「そのお言葉先生にそっくりお返ししますわv」

「っつ・・・!放課後我輩の部屋に来・・」

「お断りします!!」

は一際大きい声でスネイプを見据えた。
しばらく無言で睨みあう二人。







「・・よかろう・・・グリフィンドールから20点減点するまでだ」







そうとハリーを睨みつけると、スネイプはサッと2人の横を通り過ぎて行った。




!凄いね!あのスネイプを黙らせるなんて!!!」

ハリーはを英雄をみるような目でニコニコと微笑んだ。


「ふふーんvまあねv負けないわよ!」



はニッコリと笑いながらハリーに拳を作って見せた。


だけど心の中は違っていて・・・







(あんな・・・酷いことを・・・もう・・ダメかもね・・・本当に嫌われたかも・・・・)
















一方、職員室ではスネイプは頭を抱えていた。
あんな嫌味を言うつもりなどなかったのに・・・そしてのあの態度・・
完全に怒っている・・


「潮時かもしれんな・・・」


スネイプは小さく呟いた。
































それからさらに1週間がすぎた。
とスネイプはずっとお互いを避けていて。
そんなある日。
















きゃあ!!











魔法薬学での実験中、今日は比較的簡単な調合だった。
材料も見分けやすかったし、手順も複雑ではない実験では自分の大鍋を爆発させてしまった。
魔法薬学の成績はとても良いが失敗をするなんて・・ハーマイオニーが心配そうにの体を支える。

「ちょっ!大丈夫!?!!」

「う・・ん・・・大丈夫・・ちょっと腕にかかっただけだから・・」

「珍しいわねが失敗するなんて」

「へへ・・・・・・」



。医務室へ行きなさい」


の背後で冷たい、だけどどこか焦ったような声がした。
振り返るとスネイプはに目もくれずに、大鍋の中身を見ている。


「まったく・・こんな簡単な調合で・・・・・おい!早く行かんか!!!」


スネイプはを睨みつけて声を張り上げた。
教室内がビクッと縮み上がる。
はムッとした表情でスネイプを見上げた。


「大丈夫です!少しかかっただけですからっ!!」


そう、大鍋を片付けようとしたの腕をスネイプがガッと掴み上げた。



「っつー・・いったーい!何すんのよ!!」

「ほれみろ!痛がっているではないか!!おとなしく医務室に行きたまえ!!」

「違うもん!先生が掴んだから痛いの!放してよ!!」

「ほお?ではこの赤くただれた怪我はどう説明するのかね?」


スネイプはバッと溶けたセーターとシャツから覗く火傷を見せながらを睨みつけた。


「あ・・・えと・・・・・」

「はっ!気づかなかったのか!鈍感にも程がある!来い!!」

「っつ・・いた・・放せー!!!」


スネイプはの腕を掴んだまま教室から出て行った。
が。バッと振り返り、

「今日の授業はここまでだ!各々器具を片付けて行くように!!」














「ちょっ!!痛い!!いい加減に放してよ!!!」

は何度も自分の腕を強く引っ張てみたが、スネイプはガッシリとの腕を掴んでいる。

「??・・・・そっちは医務室じゃないですよ!!」

「あぁ。無論知っている。」

「じゃあ・・どこに行くんですか!!」

「我輩の部屋だ」

「やだー!!!帰るー!!!」

「うるさい!おとなしくしろ!!」













バタバタと暴れるが大の男に子供など簡単に押さえつけられてしまうだけで・・・・
はスネイプの部屋に連れて来られた。
久しぶりに訪れた恋人の部屋はどこか淋しさを漂わせていて・・・
スネイプはをソファへと投げすてると、戸棚から薬箱を取り出した。
の前にかがみ溶けたセーターを、治療しやすいように引きちぎる。


「まったく、これで痛みを感じなかったとは・・貴様はよほど鈍感だと見受けられる」

「放してよ!自分でできるもん!!!」

バッとスネイプの腕を払おうとするが、ビリッと走る痛みにほんの一瞬動きが鈍る。
その瞬間をもちろんスネイプが見逃すはずもなくて・・・
スネイプはの腕を掴むと、グイッと自分に引き寄せた。
顔が近くなり、顔を赤くする


「沁みるぞ。歯を食いしばれ」

「?・・・・!!??っつう〜!!!」


スネイプは消毒液を含ませたガーゼを、の腕の怪我にそっとあてた。
電撃のように体中を駆け巡る痛みに、思わず声が漏れる。
スネイプは手馴れた手つきでの腕に包帯を巻いた。


「2〜3日すれば傷は消えるだろう」

「・・・・ありがとうございました・・・・」

は小さくお辞儀をするとバッと立ち上がり、早々にスネイプの部屋から立ち去ろうとした。











ガチャ・・・・・・ガチャガチャガチャ









「鍵をかけておる。無論我輩にしか解けん」























うっそぉ・・・・?(汗)







顔を引き攣らせながら、振り向くといつの間にかの真後ろにスネイプが立ったいた。



「!!?い・・いつの間に!!」

「さて・・・・・。お前とは話し合うことがある。」

「わ・・・わたしは何も話し合うことなんて・・ないですよ!!」




スネイプはの言葉を無視して、軽々とを抱き上げるとソファへと腰をおろし、
その隣にを座らせた。ジッと見つめてくるスネイプに居心地悪そうに目を逸らす・・・
顔の紅潮は止められなくて・・・・・










「さて・・・。お前は2週間も我輩の部屋に来なかった。そのおかげで
我輩の部屋はちらかり、紅茶葉缶もきらしてしまっている。どう責任取ってくれるのかね?」


「はあ?」

は思いっきり顔をしかめてスネイプを見た。
スネイプは少し意地悪そうに笑って、の顔を覗きこむ。


「そのうえ、我輩の機嫌もたいそう良くない。これは処罰だけでは済まされんことなのだが?
君はどう落とし前をつけてくれるのかね」


「おっさん、阿呆ですか」


サラッと言いのけるにスネイプは眉間に皺を寄せた。
そんなスネイプに気づかないのかは続けて口を開く。


「何寝ぼけたことを言っているんでしょうかね。この人は。
私がいつ!スネイプ先生のメイドかつ!ゴキゲン鳥になったのでしょうか?」


(素直に淋しいっていえばいいのに・・・この人は・・)


盛大に溜息をつくにスネイプはさらに皺を刻み込んだ。


「ほおう?貴様まだそんな態度をとるのか」


「当ったり前です!理由もわからず不機嫌になられてもこっちが困るってーの!!
だいたいこの前だって何?いきなり[廊下で逢引とは・・・・グリフィンドールには人目を気にするという言葉はないのかね]って
何様のつもり!!いちおーわね!まだ先生の恋人だと思っているのに!あんな言い方!!」


「では、問うがね!!」


(お前の方だ!恋人の自覚がないのは!)


「2週間前!ポッターと2人で薬の調合をしていたではないか?
なぜ、我輩の所に聞きに来なかった!!しかもポッターに抱きつきおって!!我輩の恋人だと自覚しているのなら!
そんな軽はずみな行動はでないと思うが?」


そう一気に言い切ると、はきょとんとした表情でスネイプを見つめていた。
その表情がヤケに癇に障る。


「ひょっとして先生」

「なんだ!」

「この間怒っていたのって・・そのことだったの?」

「・・・・・・・・・・ふん」


スネイプはまるで子供がふてくされるようにフイッとそっぽ向いた。
そんな恋人の動作がとても可愛らしくて、理由があまりにも幼稚で・・・



(なーんだ・・あのことで・・・・)


「ぷっ・・・・ふふふ・・・あははっははははー!!」


は腕の傷をかばいながら、お腹を抱えて笑った。
一瞬驚いたスネイプだが、眉をひそめを睨みつける。


「何がおかしい!」

「ははは・・ひーひー!!だって・・あんなことで・・まさか・・先生が・・・ひーひー!!
嫉妬するなんて・・・ははー!おっかしー!!!」

「くっ・・・だいたい!調合をポッターに手伝ってもらう方がおかしいだろうが!!
我輩をなめているのか!?それとも我輩よりもポッターの方がいいというのかね!?」


だが、はもう怒ることはなかった。
笑い過ぎてあふれ出てきた涙を拭い、スネイプと向き合うように座りなおす。
にっこりと微笑む姿に、思わずスネイプの顔がほのかに赤く染まる。


「先生?あれはね?薬じゃないの・・・・アロマオイルっていってね?・・・・」



そういうとは杖を取り出し、彼女があの時大事そうにカバンにしまった小瓶を呼び寄せた。
ポンと可愛い音をたて小瓶の蓋をとると、そっとスネイプの前に差し出した。
ほのかにラベンダーの香りが鼻を掠める。


「香りでリラックスするものなの・・・それで・・・・」


小瓶の蓋を閉めると、スネイプの手をとってその上に小瓶をチョコンとおいた。


「これは先生のために作ったものなんだv」


「!!?・・・なっ・・・・」


スネイプは驚きに目を見開いた。


(我輩のために?)


はもう一度ニッコリと微笑むとコクン頷く。


「そう・・先生ここ数ヶ月。夜遅くまで仕事していたりしてたから・・少しでも気分を和らげてほしくて・・
でもどれなら先生が喜んでくれるかわからなくて。んで!香ものなら日本にいた時何度か・・・・って先生?」


スネイプはが話し終わるのを待たずに、ギュッと抱きしめた。
は一瞬驚いたものの、ゆっくりとスネイプの背中に腕を回す。


「気に入ってもらえたら・・よかったんだ/////」






「本当に・・・・勘違いもいいところだな」

「へへ・・・」

「だが、お前の態度もどうかと思うがな」

「うう・・・・」 

スネイプはを抱きしめたまま、小瓶の蓋をはずした。
優しいラベンダーの香りが2人を優しく包む。



「うん?」

「ありがとう」

「うんv」


















そしてその日から、嬉しそうにスネイプの部屋へ向うの姿あった。
スネイプの机の上には可愛らしい小瓶が置かれている。
スネイプはには伝えなかったが心の中で伝えた言葉があった。







だが・・お前が傍にいることが一番気分が安らぐのだがな・・・・









この2週間。
どんなに心苦しかったことか・・・
それはも同じことで。











































おまけー


。頼むからもうポッターに抱きつかんでくれ・・・・」

「うーん。わっかんないv」

「やれやれ・・・はしばらくこの部屋に閉じ込めておいた方がよさそうだな」

「え・・・」












7610番ゲッター・さゆり様へ捧げる教授夢!
教授の勘違いでヒロインと喧嘩してしまうということで・・
なんかずらずらと長いだけで終わってしまいました・・(ひー)
アップが遅くなった上にこないな内容薄なドリームで申し訳ありません!!



このドリームはさゆり様のみお持ち帰りできます!