「!また貴様かっ!」
「うわ〜隠険教師ご乱心〜(棒読み)」
「悪戯の相手」
穏やかな昼休み、皆空腹を満たされそれぞれ自由に過ごしていた。
そんな穏やかな一時、廊下に怒鳴り声が響き渡る。
「そんなに怒ってると眉間の皺取れなくなりますよ〜♪」
「誰のせいだと思っている!グリフィンドールから減点だけでは済まされん!今日という今日こそは処罰に課してやる!」
「うわ〜い、追い掛けっこだぁ〜♪」
「っつ!この小娘が!」
はにっこりと笑いながらスネイプに手を振った。はなぜスネイプに追い掛けられているのか。
今日ースネイプの座る椅子に音が鳴るクッションを仕込んだ。
昨日―魔法薬学の水場に使うと手が赤く染まる石鹸を置いた。
一昨日ースネイプが教卓の上にある見たことのない本を開くと、中からスプリング付きのおもちゃの拳が飛び出しスネイプの眉間にヒットした。
その前の日はおもちゃの指を朝食のテーブルに、そしてその前の日はスネイプの「進行方向にバナナの皮を放り投げた。
一日一回、は必ずスネイプにいたずらを仕掛けているのであった。
スネイプはがいたずらを仕掛ける度に捕まえようと追い掛けているのだが、いつも逃げられていた。
今日こそはとスネイプの拳に力が篭る。
そして今日は天もスネイプに味方したらしい。
ぐわしぃっ!
の襟をスネイプが掴んだ。
「あはーv捕まっちゃった〜」と笑いながら顔だけ振り返るに不敵な笑みを浮かべるスネイプ。
「悪の栄えた試しなし。さあて潔く処罰を受けてもらおう」
「うーんvどっちかてーとスネイプ先生の方が悪っぽい〜v」悪態をつきながらはスネイプの部屋へと引きずられていった。
処罰は放課後。
魔法薬学の教室を一人で隅から隅まで掃除。もちろんマグル式で魔法は使ってはいけない。
「きりきり働け。終わったら呼びにこい」
スネイプはを嘲るように笑うと隣の準備室へ入っていった。
「マグル式掃除得意だもんね〜だ」そう小さく口を尖らしながら箒を手にするに、一瞬スネイプは顔を顰めるが聞こえなかった振りをする。
「うみぃ〜広すぎぃ〜」
モップに寄りかかりながらははふ〜と溜め息をついた。
魔法薬の授業中は多くの生徒が一緒に授業を受けるため、そんなに広くは感じなかったが、
誰もいない時に見渡すとかなり広いことに気づく。
マグル式掃除が得意のもさすがにくたびれモード全開の溜息をついた。
「手伝ってやろ〜か!?」
入り口の方から甲高い声がして、はうんざりとした表情で振り返った。
「余計なお世話。出ていってよ」
は入り口でニヤニヤと薄笑いを浮かべながら腕を組んでいる、女生徒達を睨みつけた。
彼女達の胸元には蛇の紋章、スリザリンの生徒。何かにつけてに絡んでくるグループだ。
リーダーらしい背の高い女子がに歩み寄ってきた。
小柄なを見下しながらの黒く長い髪を掴みあげる。
「いったぁっ!放してよ!」
「はっ!魔法が使えない魔法使いが色付きやがってさぁ」
「・・っうっさいなっ!出ていってよ!」
は一瞬険しい表情をして、女生徒を睨み上げた。
「手伝ってやるって言ってンだよ!」
その女子はニヤリと笑うと水が入ったバケツを蹴り倒した。
「なっ!」
それと同時に入り口にいた生徒達もゴミ箱やイスを蹴り倒す。
「ほらほら、早く掃除しないとスネイプ先生に怒られるわよ〜」
「こんのあまぁっ!」
はモップをクルクルと回して、目の前の女子の顔なモップを押し付けた。
「きゃあっ!きたなっ」
「あら〜?汚い顔を掃除してあげたのだけど?まだ足りないかしら?」
はぐりぐりとモップを押し付けながら、にっこり微笑んだ。
「スクイブ風情があっ!」
相手はギラリとをにらみ睨むとに杖を突きつけた。
よける間もなくは棚へと吹き飛ばされた。薬瓶が割れに振りかかる。
「はっ!スクイブは穢れた血同然よ」
女子生徒達は嫌な笑い声をあげてを指差した。は吹き飛ばされたまま微動だにしない。
杖を持った女子がに一歩踏み出したその瞬間。
「貴様等」
その声に生徒達は固まった。
肩を掴まれた生徒が恐る恐る振り返ると、いつも以上に眉間に皺を寄せ、
怒りに満ちた表情のスネイプが立っていた。
「我輩の大事な教室を汚すと良い度胸だな」
「そ・・・そっれは!こいつが・・・・」
「黙れ!」
おどおどと言い訳をしようとする生徒に、怒鳴り散らすスネイプ。
スリザリンの生徒達は、こんなに怒り狂ったスネイプは見たことがないという
表情でガタガタと震えていた。
「貴様等には処罰を課す!ミス・よりもはるかに重い罰をな。さあっ出ていけ!」
スネイプは凄い剣幕で生徒を追い出すと、慌てての元へ走り寄った。
はいくつかの薬瓶を浴びていたが、どれも無害のものでスネイプは安堵の溜め息をついた。
杖を取り出しについた薬をとり、棚やバケツなどを元に戻す。
だけど・・・は床にへたり座って俯いたまま動こうとしなかった。
不安そうに顔を覗き込むスネイプ。
「どこか痛むのか?・・・・・・!っ・・っ」
スネイプは慌てての顔を上げさせた。は大粒の涙を溜め、
泣くまいと必死に唇を食いしばっていたのだ。
強く食いしばっているため、口端から赤いすじが流れる。はスネイプの手を叩き払って、立ち上がろうとした。
だが、膝に痛みが走りバランスを崩してスネイプにしがみつく形になってしまった。
慌てて離れようとするがスネイプは優しくを抱き締める。
「泣きたければ泣け」
「泣きたいと思ってないもん!」
顔を埋めたまま、は抗議の声あげるがスネイプはギュッとを抱きしめた。
「しいっ・・・ひっく・・・悔しいよぉ・・・」
声を押し殺しながら、はキュッとスネイプのマントを握り締めた。
小さくしゃくりあげながら泣くの頭を優しく撫で、が入学してきたことを思い出した。
が入学する日の前日、ダンブルドアに呼ばれたスネイプはのことを聞かされた。
ハリーポッター同様、「例のあの人」に両親を殺された子供が、もう一人入学すると。
その子供こそだったのだ。彼女は魔法使いでありながら魔法が使えないという。
「例のあの人」はの両親の力を欲しがった。そしてその力を受け継も。
両親はもちろん拒絶をした。大事な娘を貴様にやれるかと・・
そして、両親は殺された。息が耐える直前、の父親はにある呪いをかけたのだ。
魔法をある一定の時期まで使えなくする呪いを・・・・
もちろんこのことは呼び出されたスネイプ、そしてマクゴナガル以外口外してはいけない。
だから、他の生徒達にははスクイブとして認識されているのであった。
もこのことはダンブルドアから聞かされていた。
呪いが解けるのはいつになるか分からない・・・
だけど、はにっこりと笑っていた。
は魔法を使う、飛行術や変身術などはレポートなどで補い、
魔法薬学や薬草学、魔法生物飼育学などさほど魔法を使わない授業は積極的に
取り掛かっていた。その結果彼女の成績はトップクラスにいつも位置している。
スネイプがのことを気にかけるようになったのは最初の授業であった。
仲が悪かった同窓の子供・・ハリーポッターに質問をしている時のこと・・。
はバンと机を叩いて立ち上がり、いきなり近くにあった羽ペンをスネイプに投げつけたのだ。
「いじめはんたーい!いじめかっこわるーい!」
それにはスネイプはもちろん、他の生徒達にも強烈な印象を残した。
達新入生が学校に慣れてくるにつれ、が魔法薬学に興味があることに気づいた。
何かにつけてスネイプに質問に来たりして・・
ダンブルドアに「が魔法に関して困ることがあるときは手助けしてやってくれ」と言われていた手前、
がよく近くにいることに安堵感を覚え始めていた・・・・
が、
にフレッドとジョージという悪友が出来始めてから、状況は一転する。
スネイプの所に授業の質問をしに来るところまではいいのだが、フレッドとジョージから伝授された
悪戯を土産にしてくるようになったのだ。しかも標的は決まってスネイプ。
最初は表情変えることなくあしらっていたのだが、回数を重ねるごとにの悪戯もレベルアップ。
フレッド・ジョージに比べて・・魔法が使えないせいもあるのだろう、悪戯の内容は
5歳くらいの子供が仕掛けるような悪戯に留まっているが・・・・
だが、仕掛けてくるタイミングが決まってスネイプが気を許している時。
我ながら情けないと思いつつ、気を張っているがその思考もに読まれているのか
必ず気が緩んでいる時にの悪戯が炸裂するのだ。
そのおかげでスネイプは毎回、驚きに息を呑まされている。
だけど、スネイプは知っていた。
その悪戯に少しでも魔法が使えないかと、杖を悪戯の仕掛け物に振っているのを。
解せないのはなぜその相手が自分なのかということだが・・
だから、もし処罰に課しても酷い扱いにする気は毛頭なく・・
だが、今回はには辛い想いをさせてしまった・・・
ずっと見張っていれば・・他の生徒が無断で入り込みにチョッカイを出すことにはならなかったはず・・
「むう・・・・・・・スネイプ先生・・・・・」
「もう、大丈夫かね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「?」
ポン!
スネイプがの顔を覗きこむと、スポンジ状の何かがスネイプの顔にあたった。
「プッ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
の手にはアイスクリームを模した玩具。スポンジ状のものはアイスの部分らしく、
コーンの部分から紐がでていて、アイスの部分につないであった。
どうやら、マグルの悪戯玩具らしい・・
は赤い目で笑いながら、笑い声を上がるのを必死にこらえていた。
「むきゅ〜vv先生の顔おっかしー!!ひっかかり〜vv・・・・にゃっ!!」
は驚いて固まった。スネイプがそっとの涙を拭ったのだ。
思わず顔を赤く染める。
スネイプは深い溜息をついて、額に手を置いた。
「まったく・・・貴様は状況を考えんか・・・・・」
「むう・・だってさ・・いつまでも泣きたくないもん。少しでも楽しく笑っていたいもん!」
はアイスの玩具をローブの袖にしまいながら口を尖らせた。
「だからってな・・だいたいなぜいつも我輩なのだ」
そう、うんざりとした表情でを見やれば、にっこりとが微笑んだ。
それはよくぞ聞いてくれました!と言わんばかりな笑顔で。
「だってー!スネイプ先生だから〜vv」
「・・・・・・・・意味がわからん;」
スネイプはやれやれと溜息をつくと、を抱えて立ち上がった。
のローブの裾を払っていると・・・
「へへーすきありvv」
ポスッ
またしてもスネイプの眉間にアイスが炸裂。
「みゅみゅ〜v二度もひかっかるなんてv先生お間抜け〜vv」
「・・・・・・・・そうかそうか・・お前はそんなに我輩の処罰を受けたいのか」
「みゃあ!」
スネイプはニヤリと笑うとを軽々と持ち上げた。
を肩に担いでまるで物を運ぶかのような形だ。
「う〜処罰?お掃除はちょっときついかも〜!!!」
「安心しろ、ミス・が得意な魔法薬学のレポートにしてやろう」
「ほんと!ほんと!!余裕っすよ!」
「羊皮紙3メートルを10巻き」
「むみゃ!!」
「邪魔が入らぬように、我輩の目の前で取り掛かってもらおうか」
「みゃみゃっ!!!や〜!お掃除の方がいい!!!」
「なに、遠慮することはない」
「のしつけてお返し〜!!!」
はジタバタ暴れるが、がっしりとスネイプに掴まれたままグリフィンドール寮へと帰っていった。
処罰の続きは明日、魔法薬学の教室で。表面上は悪態をつくだが、
スネイプの見えないところでにっこりと笑った。
それから数日後ー
「!!!お前は懲りずにまた・・・っ!!!」
「うけけ〜vv引っかかる方が悪い〜vv」
2人の心の距離が縮まるのはもう少したってのこと。
20700番ゲッター、香村 茉莉花様に捧げるスネイプ教授夢。
教授に悪戯をしかけるヒロインでギャグとのことでした・・・が!
ギャグじゃないし!!あうあううあすいません・・・
そしてUP遅くなり申し訳ありませんでした!!!
このドリームは香村 茉莉花様のみお持ち帰りできます。