「だーv」
「っつ!っやめなさい!!」
「ちゃあv」
「!!そっちに行ってはいかん!!」
セブルスはソファの上によじ登り、素焼きの鉢植へと手を伸ばしている愛娘をサッと抱き上げ、
とてとてと、バスルームへ向かって歩いていく愛妻へと足早に歩み寄り、もう片方の腕で抱き上げた。
二人の幼子を両腕に抱え、ぐったりとソファへと雪崩込む。
「ぱぁぱvたかいたかーい」
「せーぶぅー。おーうーまぁ」
セブルスの腕からするりと抜け出た二人の幼子は、パフパフと父親の腹部を叩き、
くいくいと夫の腕を引っ張った。そんな二人を溜息まじりの苦笑いで見つめ、
愛娘の頭を撫ぜ、ふわりと愛しい妻を抱き寄せる。
「、我輩が悪かった。反省している・・
だから、だからもう許しておくれ?元の姿に・・」
きゅうっとを抱き寄せ、その小さい額に口付けを落とし心より謝罪の言葉を呟けば、
にこりとはセブルスに微笑んだ。
「おーうーまーv」
「・・・わかった・・」
+パパ奮闘記+
はセブルスの妻である。
花が大好きで、その笑顔は周りを不思議と和ませる穏やかな人柄。
彼女の作る料理は絶品だと、近所では大評判だ。セブルスも表情には出さないものの、
自慢の妻を誇りにさえ思っていた。
そんな愛しい愛しい妻。けれども妻の姿は愛娘と同じ年の幼子で無邪気に笑い、
よつんばになった夫の背中に跨っている。
いったいぜんたい、どういうわけなのだろうか。
それはセブルスがホグワーツより帰郷してきたところから・・・
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「セブルス!!がっがね!!ほらv」
短い夏休みをのんびりと我が家で過ごすセブルスの耳に、の嬉々とした声が響いた。
ふと視線を上げれば、とてとてと自分の方へと歩いてくる、愛娘、の姿に目を見張る。
「ぱぁぱvだっこぉ〜」
「っ、歩けるようになったのか!」
「ちゃーあv」
膝あたりをくいくいと引っ張りながら、キラキラと目を輝かせて見上げてくるに、
優しい笑みがこぼれ、両手をの両脇に入れ持ち上げる。
キャッキャッと笑うにもニッコリと微笑んだ。
そう。ここまではいい。
長いホグワーツ生活から温かい我が家に帰ってくる。
愛しい妻が小走りに駆け寄り夫に愛情たっぷりのキスをする。
夫も愛情を込めたキスを妻に返す。
そして、自分の力で歩き出した娘の姿に父親は歓喜の声を上げ、愛娘を抱き上げる。
この光景を見たなら誰もが微笑んで、このアットホームな家族を見守るであろう。
荷物を置き終えたセブルスは、すがすがしい表情で家の中を見渡した。
隅々まで掃除された居間には、灰がしっかりと掃かれた暖炉。
ソファに深く身を沈めて出窓を見やれば、レースのカーテンが柔らかく揺れているのが見えた。
花好きのが置いた、素焼きの鉢植えには小ぶりの可愛らしい青い小花が
ゆらゆらと揺れているレースのカーテンに映えていた。
香ばしいかおりが鼻先を掠めれば、ほんの少し感じていた空腹が一瞬満たされ。
自分の膝の上によじ登ってきたに微笑み、そっと抱き寄せた。
「ねvだんだんお話するようになったのよ」
「そうか。それは頼もしいことだな」
穏やかな時間が流れ、家族揃っての夏休み・・・
のはずだった。
「、我輩のサマーガウンはどこにあるかね?」
「あっごめんなさい、今手が放せないの。寝室のクローゼットの中のにあるわ」
ある日、自分のサマーガウンが見当たらないので、仕方なくに訊ねれば
はの泥だらけの手を洗っているところだった。
「まあた、こんなに汚してぇ」と呟くの姿に小さく笑いながら、
寝室へと向かう。
他愛もない幸せな家族の休日の一こま。けれど・・・
「、紅茶が切れたのだが・・」
「まぁまvミルクぅ〜」
「はいはいvちゃんはぞうさんのコップがいいかなぁ?」
「ちゃあv」
「はいvえと・・・ごめんなさいセブルス?」
「いやいい。気にしないでくれ」
「はいはーい、ちゃんお昼寝の時間でしゅよ〜」
「にゅう〜・・まぁまもぉ」
「しかたないわねー」
「まぁまv読み読みしてえ〜」
「今日は何の絵本かしら?」
「にゅv」
「まぁまv」
「なあにv」
セブルスが家に帰ってきてからというもの、はずっと娘のに付きっぱなしだった。
やっと歩き出した子供だ、仕方ないことだろう。
だが、
「」
「ちょっとまってー;ーちゃんと拭きなさい?v」
愛娘ももちろん愛している。大事な自慢の宝だ。
だけれども、もう少し自分に目を向けてくれてもいいのではないか・・
セブルスの中で不満がどんどんと募っていく。
「それならば・・」
そして今日。
「まぁ!セブルスったらボタンがちぐはぐよ」
「・・・ん?・・あぁ・・本当だ。直してくれるかね?」
「もう〜仕方ないわねーv」
朝、キッチンで朝食の支度をしていたがふと顔を上げると、セブルスがのそのそと起きてきた。
おはようとキスをするも、彼のシャツを見やって困ったように笑う。
妻の指摘にセブルスはぼんやりとした頭で自分のシャツを見やる。
「セブルスがボタンを掛け間違えるなんて・・」
「意外・・かね?」
「そうねぇ・・」
丁寧にボタンをかけてくれるの額に口付けを落としながら、
セブルスは妻に見えぬように不敵に笑った。
「。我輩これは苦手だ・・」
「あら?ピーマン嫌いだった?」
「ん。だが、が食べさせてくれるのなら食べられる」
「まあっ。もう〜子供みたいなんだからあv」
「やだあ、セブルスったら!口の周りにケチャップついているわ」
「ん?」
は苦笑いしながらそっとセブルスの口元をふき取った。
そんなを抱き寄せれば、も苦笑いをして抱き返す。
「やっとかまってくれた」セブルスはを抱きしめたまま、不敵な笑みをさらに深めた。
そう、セブルスは少しでもかまってもらおうと子供のように振舞った。
効果は抜群で、は呆れたように笑いながらセブルスの世話も焼く。
「まあまvぷーりーん」
「我輩も」
「ねんねー♪」
「膝枕をしてくれ」
「まんまぁ」
「食べさせてくれるのだろう?」
「まあま〜」
「」
ぷちv
「もうっ!!セブルスったら!!なんて子供みたいなのよ!!」
「・・・」
「む〜!!セブルスが子供みたいな態度をとるなら私も子供になっちゃうから!!!」
「?・・・?」
子供のと子供みたいなセブルスに散々言い寄られていたは、
とうとう我慢しきれなくなったように声を上げた。
セブルスを睨みつけ勢いよく立ち上がると、はズンズンと居間から出て行く。
不安に思いの後を追っていけば、セブルスの自宅用研究室の鍵がはずれて扉が開いていた。
嫌な予感がして足早に研究室に向かう。
「!!っつ!!」
「ちゅあv」
ザッと部屋の中に入ったセブルスは固まった。
その視線は床の方へと、呆然と注がれている。の衣服からチョコンと顔を出している幼子。
と同じ位の子供がニコニコとセブルスを見上げていた。
幼子の横には小さな空瓶が転がっているのを見つけて、取り上げてみれば、
スネイプは愕然と肩を落とす。
その空瓶のラベルには「若返り薬」と記してあった。
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そして現在に至る。
姿だけではなく、記憶・知能さえも退化してしまったはニコニコと
夫、セブルスの膝の上に乗っていた。すぐにでも解毒剤を作ってやりたかったのだが、
幼子など、若返り度が激しすぎるため、解毒剤を飲ませるのはかなり危険だ。
これは自然に薬が切れるのを待つしかない。
セブルスは深い溜息を吐きつつも、かわいい笑顔のにつられて小さく笑った。
「ぱあぱv」
「ん?何かね?」
「ちっちーv」
「・・・・・・・・・・・・ぁあ!」
の頬を撫でているとセブルスの膝頭に、軽い衝撃が走りかわいい愛娘へと視線を向ければ、
ちょっと顔を顰めたがセブルスの膝を揺すりあげた。
その紡がれた言葉に一瞬セブルスの思考が停止した。いまはなんと?
もぞもぞと動くの姿にセブルスはようやく理解をし、慌ててを抱き上げ
トイレへと向かう。
「ちーなのー」
「わかった」
「ぱあぱvちーv」
「・・・・ちー;」
「ちゃv」
まだ、一人ではトイレはできないらしい。
セブルスはが痛がらないよう丁寧に、世話をしてやる。
やっとトイレが済みホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間。
セブルスはソファに座っていたがいないことに気づいて、けっして血色の良いとはいえない顔色を
さらに青くさせた。をソファへと降ろし、あたりを見渡す。
「!!」
「にゅv」
セブルスの呼びかけに小さい返事が耳を掠めた。
ハッとして声が聞こえたキッチンに向かう。はん〜っと思いっきり背を伸ばして、
コップを棚から取りだそうとしていた。
ぐらぐらと安定の悪いつま先立ちにセブルスは弾かれたようにを抱き上げる。
「!!怪我をするぞ!!」
「や〜!ミールークー!!」
「うええええええむ!!!」
居間の方からの泣き声がセブルスの鼓膜を刺激した。
驚いてを抱えたまま居間に戻れば、ソファから落ちたのだろうか
床に這いつくばったままが大泣きしていた。
いったんをソファへと降ろし、を抱き上げソファへ雪崩込む。
「ほれ、もう痛くないぞ?いい子だ」
そうあやしながらの頭を撫でてやれば、ひっくひくと泣き声は次第に弱まっていった。
体を揺らしてやるように抱いてやれば、その揺れが心地よいのか
はコクコクと頭を上下に揺らし、ゆっくりと瞼を閉じる。
やがて聞こえてくる小さい、とても小さな寝息に、セブルスは安堵の溜息を零した。
ふと、隣のを見やればもセブルスにコテンと体を傾け、小さい寝息をたてている。
その姿にくすりと笑うと二人を起こさぬようにそっと抱え上げ、寝室へと向かった。
ベッドに寝かせてタオルケットをかけてやれば、「んー」とがセブルスの袖を小さな手で掴む。
「せーぶ・・・・」
どんな夢を見ているのであろうか、は瞼を閉じたまま、幸せそうに微笑んだのである。
掴まれた袖をほどくのが名残惜しくて、セブルスはそのまま二人の幼子を優しく包むように
ベッドへと横になった。寝返りをしながらがキュウッっとセブルスの方へとしがみついてくる。
その温かさを感じながら、セブルスは優しく目を細めて、の額にかかった髪をそっとすくってやる。
「はこんなに苦労していたのだな・・・」
「にゅう・・」
小さく呟いた言葉に答えるようには小さな声をたてた。
「こらあvセブルス〜朝だぞうv起っきろ〜vv」
「・・・・・・戻ったのか」
「?何のこと?私はずっと家にいたよ〜」
窓から差し込む光が朝日だと認識したセブルスは、あのまま寝てしまったのだとぼんやりと思い出した。
ニコニコと楽しそうに自分を揺さぶっていくる妻の姿が、すっかり戻っているのに気づき
小さく笑って見せれば、は不思議そうに首をかしげた。
どうやら、小さくなったことのことは全く覚えてないらしい。
ゆっくりと体を起こせば、はニッコリとセブルスの額に口付けた。
その仕草にセブルスも小さくの額に口付けを落とす。
「おはようvセブルスv」
「おはよう・・」
「さっ朝ごはんにしましょv」
「まあま〜vv」
隣室からのかわいい声が聞こえてくる。
「あらあら」と踵を返そうとするの腕を掴んでそっと抱き寄せた。
驚くの耳にそっと小さく呟く。
その言葉には驚きに見開いて、セブルスを見つめた。
夫の優しい目に、思わず自分の瞳が潤みそうになる。
「まあま〜!」
「ほれ、が呼んでいる」
「あ・・うん・・じゃあお願いねv」
キュウッとセブルスに抱きつくと、は嬉しそうに部屋から小走りに出て行った。
「さあvこれでよしv」
「わーいv」
の髪を梳かし終えたはニッコリとに微笑んだ。
娘の小さなかわいい手が、パンパンと音を立てる。
その姿にそっと小さい額に口付けを落としてやると、娘の手をとりダイニングへと向かった。
「今日の朝ごはんは、パパが作ってくれるのよ〜vv」
「ちゃあーvぱあぱーのまんまーー!!」
「ねーv楽しみねーv」
両手をかざして体全体で喜びを表現する娘に微笑みながら、はキッチンに立つ
夫の姿を見つめた。
がパタパタと父親の元へと駆け寄る。
父親は作業を止め、娘の頬におはようのキスをする。
娘もつま先立ちになりながらも、にこにことに父親の頬にキスを返す。
愛しい妻が、テーブルに庭から切ってきた花を生けているのを眺め、フライパンの
ベーコンをそっと皿へと盛りつける。こおばしいパンの香りが家中に立ち込める頃、
小さな家のテーブルに幸せそうな家族の、楽しい朝食がはじまった。
「今日の朝食は何にしようかね?」
小さな家の小さな家族がいつまでも幸せでありますようにv
20500番ゲッターsakuraに捧げますスネパパドリーム!!。
お・・お待たせしすぎました;!!
『愛娘がやっと歩けるようになり、折角の長期休暇だというのに妻は愛娘にばかり
構って教授になかなか構ってくれない。
確かに愛娘も可愛いけれども、少し寂しい教授は愛妻の気を引くために愛娘と同じ
レベル(好き嫌いをしてみたり、拗ねてみたり・・・?)で駄々をこねる。
で、遂にキレてしまったヒロイン(愛妻)が「私も子供になるぅっ!」と教授の
作った”若返りの薬”を飲んで愛娘と同じぐらいの年齢になってしまう。
記憶まで退行してしまった愛妻と愛娘2人に思う存分絡まれて教授は子守でクタク
タに。
・・・育児の大変さを改めて思い知った教授は以後、今まで以上に愛妻に協力的に
なって仲直り。』
と細かい設定をしてくださりありがとうございました!!
が。消化しきれてないこの状況;
でも教授が苦労している様を感じてもらえたら光栄ですーv
このドリームはsakura様のみお持ち帰りできます(2004・06・20)