リン様へのキリリク






「すまんな。今日は魔法省に提出する薬を調合せねばならんのだ」



「うん・・わかった・・」






























「観察日記」












ホグワーツの廊下でスネイプはそっとに伝えた。


「すまんな」と踵を返して自室に向かうスネイプの背中を見つめながら、は残念そうに小さく溜め息をついた。




日本から来た魔女で精霊を操る陰陽学を教えている。
スラリとしたスタイル、大きくパッチリとした瞳。
漆黒の緩やかなウエーブがかった長い髪・・・
その笑顔はまさに精霊のように美しくて・・・・・・
そしてかの有名な陰湿教師・スネイプと恋人の関係。





「はぁ、今日で10日目・・」


サクヤは大きな溜め息をついた。
ここ10日間、スネイプは研究やレポート採点などでかまってくれない。
仕事だから仕方ないと思いつつも、こう一緒に過ごせない日が続くと不安になってくる。


「まっまさか!ほかに女ができたとか・・・」


は真っ青になった。
知らず知らずのうちにスネイプの気に障ることをしていたのでは?


「はわわ・・・ヤダー!そんなのー!!!

「どうしたの?教授」

バッと振り返るとそこにはグリフィンドール寮のハリー・ポッターが心配そうに立っていた。
はハリーと仲が良い。
ハリーだけに限らず、その明るく優しい積極的な性格で多くの生徒から慕われてる。
は半分涙目になりながらハリーに抱きついた。

「はうっ!ハリー・・・ねっちょっと聞いてよぉ!!」

「え?あ・・うん・・・・」


いきなり抱きつかれて、少し戸惑いながらハリーは頷いた。


(きっと・・スネイプのことだろうな・・・・・)


ハリーの予感はバッチシ的中!
はハリーにスネイプが最近かまってくれないことを打ち明けた。
ハリーは「んー」と腕組をしながら小さく唸って

「いや・・あのスネイプに他の女性はありえないよ、教授。
あのスネイプの恋人が務まるのは教授だけでしょう!」

「うわあ・・・ハリー・・・陰湿、根暗・・でもでもかりにも私の恋人に向かって・・あんまりだよう・・・
でも・・そうね・・セブルスに他の女なんて・・うん・・・」


「いや・・教授も相当・・言ってるよ・・」






その頃、自分の研究室で調合をしていたスネイプはクシャミを5連発かましていた。

「っつあー・・・・風邪か?・・・」








スネイプとが恋人同士というのは学校中が知っていることだった。
あの陰険で陰湿贔屓真っ黒教授に恋人ができたと噂だった時は
誰もが驚きの色を隠せなかった。ハリーと同じ寮のネビル・ロングボトムが失神を起こしかけたし、
ハーマイオニーもいつものクールフェイスを隠しきれずに、あんぐりと口を開けてしまったほどで。
しかもその相手は、ホグワーツで一番人気の美人教授なのだから、生徒のぶったまげ度はさらに倍増した。



「うーでもでもねーハリー。私、セブルスの生活内容っていまいち把握しきれてないのよ・・・
一緒にいない時ってすごい不安なんだよね・・・・
ほら、セブルスってけっこう神出鬼没じゃない?「おまえ、どっから沸いて出た!」ってぐらいの勢いで。
しかも何を考えているかもサッパリだし、いっつも不機嫌そうに眉間に皺寄せちゃってるし・・
そうそう!1回皺伸ばしてあげようとしたらかなり嫌がられちゃったvてへv」


「・・・教授・・・」


ハリーは思わず苦笑いをした。

(この人・・本当に教授の恋人なんだろうか・・って普通自分の恋人をそこまでけなせますか?)


「あーでも僕も眉間の皺伸ばしてみたいな〜v」

「でしょでしょー?そしてもう少し明るい性格に調整してあげたいわ!!本当に暗いのよ!!」

「なんか日光浴びたことなさそうですしね」

「そうそう!もう「光合成しろ!」って言いたいわ!」








その頃のスネイプ−


「っくし!!・・・本格的に風邪のようだな・・・・」







「あーあ・・・セブルス・・本当は私のことどうでもいいのかも・・・・」

そう、シュンと俯く姿にハリーは少し同情した。
相手がスネイプというのが気に入らないが、大好きな先生−の淋しそうな顔は辛い。
しばらく考えこむとハリーはニヤリと何か思いついたように笑みを浮かべた。

なにやら・・その笑顔がとても・・・黒いんですが


教授・・・」

「?なあに?」

「そんなにスネイプの行動が気になるのなら、これから観察してみたら?」

「観察?朝顔の観察日記じゃあるまいしぃ〜」

「うーん、まっ似たようなもんですよv毎日スネイプの行動を探るんです。
そうすれば少しはスネイプの行動パターンが読めてきますよ!!」

そう、拳を握りながら熱く語るハリーにも少し心動かされた。
だが、ハリーの意味ありげな笑みが気になる・・・

「なんか・・ハリー企んでいるわね?」

そうイタズラっぽい笑顔をハリーに向ける。
ハリーはにっこりと笑い返した。

「いやいや、僕はただ教授の悲しい顔は見たくないんですよv」

「ふーん・・まあいいわvやりましょう!面白そうだしvvねっハリーも手伝ってくれる?」

「もちろんですよv」

「では!早速明日から始めましょう!!」

とハリーは固く握手を交わした。
今ここに2人による「スネイプ観察期間」が始まった。



ハリーはニッコリと黒い笑みを浮かべた。

(よし!これでスネイプの弱点を掴むぞ!!)







その頃のスネイプ−は悪寒に襲われていた。


「・・・まずいな・・たしか・・作っておいた風邪薬がここに・・・」














XX月XX日

今日は朝からグリフィンドールから点数を引いていたセブルス
あぁ!もう!そんな嬉しそうな顔しちゃって!!!フレッドとジョージにはかわいそうだけど
嬉しそうなセブルスの顔を見れてラッキー


XX月XX日

夕方、廊下を歩いている時浮き出ていた石煉瓦につまずいたセブルス
驚いた顔がとてもプリチーで思わず写真に収めてしまったわ
まったく、あなたの黒マントなびきすぎで我が恋人ながら、惚れちゃう!!


XX月XX日

今日は昼食久々に一緒にとれたわね
「最近時間がとれなくてすまんな」と貴方は申し訳なさそうに言ってくれたけど、大丈夫よ
いつも貴方を追いかけているから!!もう!まさしく愛の力よね



そんな日々が1ヶ月続いた頃。


「スネイプと不仲説」

そんな噂が学校中を駆け巡った。
噂を流した人物は、丸眼鏡の額に稲妻型傷の・・・とでも言っておきましょうか・・・

そんな噂が流れた途端、生徒や教師達の目の色が一気に変わった。

がスネイプと別れた今!!今こそ彼女の心をゲッチュ!!」

多くの人物が に言い寄る中、今日ものスネイプ観察記録は続いた。














「ねっ・・ハリー最近なんか皆の視線が怖いんだけど・・・」



ある日、自分の部屋で観察日記を見返しながらは、目の前で紅茶をすするハリーを不安そうに見つめた。
ハリーはニッコリと笑って

「そんなことないですよv教授!皆教授が好きなんですからv」

「ふ・・ふーん・・・まっいいか・・よし!今日もセブルス観察頑張ろうーっとv」

「うんv応援してますよ。教授v」


ハリーは心の奥でニッコリと笑った。


(ごめんね、教授v
僕はどうしてもあのスネイプに一泡吹かせたいんだ。少し協力してもらうねv)













スネイプは最近ずっと不機嫌だった。

理由は一つ。


「「ねー〜!これから僕達とホグズミードに行こうよ!!」」

さん!僕のトレバーの具合が悪いんだけど・・診てもらえる?」

「きゃ〜!!お姉さま〜vこのクッキー私達が作ったのv食べて〜vv」

「教授!荷物持ちます!おい!クラッブ!ゴイル!お持ちしろ!!」(お前が持て)

「ははっピッグジョンの奴、の肩が気に入ったみたいだねv」

「やあ、僕の部屋でお茶でもどう?おいしいチョコレートが手に入ったんだv」

教授、僕の眼鏡また壊れちゃったの・・みてくれる?」(心の中は黒い笑み)



そう恋人に群がる塵共。
ここ最近になってに詰め寄る生徒や教師(特に最近また復職した某人狼教師)などが多くなった。
なぜだ?我輩との事は校内に知られているだろうが・・・
大体、教師を名前で呼ぶか!?
しかもポッターに関してはわざとなのか?我輩の目の前で堂々とに抱きつき寄る。
しかも、いつも我輩と目が合う気が・・くっ!あの笑み!腹が立つ!!!
だ!
我輩がいながら他の奴に抱きつかれて微笑み返すなど・・・


そう思うと同時にスネイプは真っ青になって手を口に当あてた。


「まさか・・最近2人の時間がとれなかったのを・・・そんな・・に限って・・・」


そうだ・・食事の時はなるべく話せるように時間を合わせたし・・
話をしている時も、は我輩に笑顔を見せてくれる。
だが・・それは30分そこらで・・いつもならお互いの部屋を行き来してお茶会をして、
遅くまで議論したり語り合っていた・・・


には淋しい思いをさせていることはスネイプも十分わかっていた。
それでも彼女の態度は何も変わらない。
だが、自分に群がってくる者に向けるの笑顔を見ると不安になってくる。


"我輩は嫌われたか?"


そんな焦りが募る中、遂にスネイプの中で何かが弾けた出来事があった。




「レディ・・・・相変わらず美しいな・・どうだ?私と今夜ディナーを・・いい店があるのだ」

「まあっvミスター・マルフォイ。お久しぶりですね!え・・と今夜ですか?うーんたしか予定は・・・」

「我輩とディナーに出かけるだろうがっ」


は驚いて振り返ると、どこか慌てたような・・青筋を浮き立たせたスネイプがズカズカと歩み寄ってきた。
バッとルシウスの前に立ちはだかり、睨みつける。

「我輩の恋人に手を出さないでいただきたいな、ミスター・マルフォイ・・」

ルシウスはフンと鼻で笑いスネイプを睨みつける。

「何をぬかすか・・貴様とは別れたのであろう?魔法省でも有名なことだ。
貴様とはもはや無関係・・ならば私がを夕食に誘っても文句あるまい」

スネイプとは一瞬何のことだろうと首を傾げたが、

グイッ

「きゃっ・・セ・・セブルス?」

「生憎、我輩とはまだ切れてはおらん。残念だったな。行くぞっ!!!」

「ちょっ・・痛っ・・ねっセブ!!ぁあもう!マルフォイさん!また今度〜!!!」

「あぁ・・いつでも私のところにおいで」

「誰が貴様にやるかぁ!!ッお前もお前だ!!!とにかく来い!!」










は強引にスネイプに手を引かれながら、彼の自室へと連れて行かれた。
それまでの道中、多くの生徒が不安そうに2人を見つめる。


(ちょっと!スネイプの奴ふられた腹いせ!?最悪!!)
が痛がっているじゃないか!!)





バタン!

と重い扉が閉じ、久しぶりに彼の部屋に訪れた
力強く掴まれた腕を開放され、ホッとしたのも束の間。


「うわっ・・セ・・・セブルス・・・ね・・・ちょっ!!!」

「五月蝿い、黙れ・・・・」



一気に視界が真っ暗になり、はスネイプに力強く抱きしめられていた。



「悪かった・・・お前と過ごせる時間がとれなくて・・埋め合わせは必ず・・
だからお願いだ・・・離れないでくれ・・・」


「セブルス・・・・・・」

初めてスネイプの弱音を聞いた。
耳元で囁く彼の低い声が耳に心地よくて、抱きしめられて彼の暖かさを感じて
その心は淋しく軋みを上げていて・・・

(あぁ・・セブルスも淋しかったんだ・・・)

そう思うとひどく安心し、そっとスネイプの背中に腕を回す。


「そんなことしないよ・・・やだよ?セブルスこそ離れないでね・・・・」

「あたりまえだ。離さん・・・絶対にな」


お互い見つめあって、優しく微笑みあって。
軽く鼻をこすり合ってそしてー


深い口付けに−


久しぶりに交わされた口付けはどこかぎこちなくて・・
でもとても優しくて・・・・・











ゴソ













扉の外で何か音がした。
不思議そうに見つめ合っているとなにやらコソコソと声がする。
スネイプは意地悪く笑い、そっと扉に近づいて・・・・






バン!




勢い良く扉を開けた。
扉の外には生徒と教師の人だかり・・・・
青筋を浮き立たせながら笑みを浮かべるスネイプに皆固まって・・・



「これはこれは・・諸君・・如何したかね?我輩と愛しい恋人の時間を邪魔する気かね?」


生徒の一人が勇敢にも口を挟む

「えっと・・その・・さんが・・スネイプ教授に・・いじめられていると・・・思って・・・」


「は!何を馬鹿なことを!!ハッフルパフから30点減点だ!無論一人当たりだ、6人はいるな・・・180点だな!
貴様もか!レイブンクロー!20点減点!!ハッフルパフ同様だ!140点減点!
ほお?マルフォイ・・父親同様、我輩の邪魔をする気か?スリザリン全員で5点減点、マルフォイ!お前には別に処罰を課す!
ルーピン・・・貴様また懲りずに・・・誰のおかげで制御できていると思っている。さっさと失せろ!
これはこれはマクゴナガル副校長まで。なにやらそうとうお暇のようですな。
そして、またお前達か、え?元気な三人組。またよけいな事に首を突っ込みおって!
よってグリフィンドールから50点!ほう・・・6人か・・・これは学期末が楽しみですなあ?マクゴナガル副校長
さあ!さっさと失せろ!!!」

そう一気にまくし立て、野次馬を追い払うスネイプ。
それでもちゃっかり自分の寮の点数は全員で5点と見事に贔屓さアピール!!!
渋々と散らばるギャラリーを一瞥してスネイプは部屋に戻った。


その様子を見ていたハリーは小さく舌打ちをした。

(あーあーなんだ〜結局2人さらにくっつく羽目になっちゃたよ・・・・
そんなにラブラブなら何も心配することはなかったじゃんvv・・・まったくやってらんないや)







「セブルスー?落ち着いてー?だめだよ〜怒りっぽいとー」

「ふん・・・さて、出かけようか。

「?どこに?」

「決まっているだろう」


そうクスリと笑うとの腕を引き寄せ、口唇に触れる程度のキスをする。


「ディナーに・・・どこがいい?」

「本当?うんセブルスと一緒なら・・・」

「では・・ホグズミードでいいかね」




その夕方2人仲良く出かける姿をうらやましそうに皆見てたということは
本人達は知る由もなく。


スネイプ観察日記もそれから白紙になってしまったとさv








6565番ゲッター!リン様に捧げる教授夢!!
最近かまってくれない教授に不安になり、ハリーとタッグを組んで
スネイプの動向を探るヒロインということで!!
なんかいろいろ出てきちゃいました!!!ひー!!
なんかまとまりなくなってしまいましたが・・・


このドリームはリン様のみお持ち帰りできます。