夏野様3232
「傲慢と陰険」
「それでですね、今度の休みにホグズミードに行こうと思っているんですよ!」
「ほう・・そうか。では我輩と行かないかね?我輩も仕入れるものがあるのだよ」
「教授とですか!はい!ぜひ!」
一日の授業が終えた職員室ではニッコリと微笑んだ。
・
日本からきたマグル学の教師でマグル。
小柄でショートの髪、活発的だが笑うとエクボができてとてもかわいらしい女性。
その明るく、優しい性格で多くの生徒に親しまれている。
マグル嫌いをするドラコ・マルフォイでさえ、の授業では積極的に教壇の
目の前に席を取り、熱心に彼女の言葉を書きとめるほどだ。
そんな彼女は教師の間からも人気があり、特に魔法薬学のスネイプとは
かなり親しく、よく2人でお茶会を開くほどだ。
スネイプはをよくデートに誘った。デートといっても珍しい薬草の採取に行ったり、
ホグワーツ城の周りを散歩するだけだが・・・・
それでもは嫌がることもなく、むしろ喜んでスネイプと一緒に出かけた。
そんな2人の光景が、校内では当たり前の光景になってきた頃−
「何のようですかな?」
スネイプは自分の部屋を訪れた人物に冷え冷えとした視線を浴びせた。
「ふん・・・後輩の分際で、随分とえらくなったものだな・・・スネイプ」
訪ねてきたのは、ドラコ・マルフォイの父親−ルシウス・マルフォイだった。
腰まで伸びたシルバーブロンドの髪に、見るもの全てを凍らせてしまいそうな
アイス・ブルーの瞳。手には彼がもっとも気に入っている蛇の頭の装飾が施されたステッキ。
ルシウスは冷たい視線を向けてくるスネイプを嘲るように見据えた。
「あー・・ミスター・マルフォイ・・・・用がなければお引取り願えますかな?
我輩はこれからー」
「と茶会か?」
スネイプの言葉を遮るようにルシウスが目を光らせて言った。
眉を顰めるスネイプ。
スネイプの部屋は一瞬にして北極地帯と化した。
「貴様・・・本当に何しに来た・・・」
「を夕食に誘うかとな」
そう唸るスネイプにルシウスは口端を上げ嘲るように笑う。
額に青筋を浮き立たせるスネイプ。
今にもお互い杖を取り出すような気配・・・・
スネイプは指の関節をわなわなと、ルシウスの首を締め付けてやりたい言わんばかりに
折り曲げし、ルシウスは手にしている杖に力を込める。
((こいつにを渡してたまるか))
コンコンコン
ノックがし、まだかまだかと待ち焦がれた人物の声がした。
「教授ー、ですー」
スネイプはルシウスを睨みつけながら彼の横を通り、を優しく中へ招きいれた。
スネイプににっこりと微笑みながら入って来る。
ふとルシウスがいることに気づき、驚いた表情をする。
「わっわ!マルフォイさん!こんばんは!・・・あっ・・お邪魔だったでしょうか・・」
そう申し訳なさそうにスネイプを見上げる。
「いや・・ミス・。マルフォイ殿はもうお帰りになるところだ」
そうやけに語尾を強調してに微笑み、キッとルシウスを睨む。
(邪魔だ、出て行け!)
ピクッと片眉を上げ、ルシウスは一瞬殺気立ったが・・・
「いや・・・久しぶりにミス・にも会えたことだ・・・もう少しいさせてもらおう」
(誰が2人きりにさせるか、たわけが)
アイスブルーの瞳で冷たくスネイプを一瞥し、優しい笑みでの前に歩み寄る。
「またお目にかかれて光栄ですぞ・・レディ・・」
そうの手を取り、恭しく手の甲にキスをする。
は一気に顔を赤くし、「どっどうも」とわたわたと呟いた。
そんなの姿にスネイプはルシウスに、例えようのない嫌悪感がふつふつとこみ上げてくる。
かくして、三人のお茶会が始まった。
「ところでマルフォイさんは今日どのような用事でいらしたのですか?
せっかくだからドラコ君にもお会いになっていっては・・・・」
「そうですな、ミスター・マルフォイ。ご子息にお会いになっていかれては?
今すぐにでも」
「今日はダンブルドア校長にお話があってね・・レディ・・・・
息子にはあえて会わないようにしているのだよ・・・あの子のためにならない」
そう、に笑いかけスネイプを睨むルシウス。
「ところで・・スネイプよ・・。君はそろそろレポートやらに目を通さなくていいのかね?
君は大量の提出物を生徒にさせているようではないか。目を通すの一苦労だろう?」
「ふっ・・心配には及ばん、ミスター・マルフォイ。とうのとっくに片付いている」
(この・・・陰険が)
(この・・・傲慢が)
2人睨みあう姿にもちょっと首を傾げた。
(どうしよう・・仲悪いのかしらこの二人・・・話題変えた方がいいかな・・・・)
そう話題を探し、思考中のにルシウスが優しく話しかけてきた。
「時に・・レデイ・・・・今夜、私と夕食に出かけないかね?」
はきょとんとし、スネイプはクワッとルシウスを睨みつけた。
そんなスネイプの様子を視界の隅で盗み見て、腹の奥で嘲り笑う。
に身を乗り出し、返答を迫るルシウス。
スネイプはあきらかに動揺し、が発する言葉を聞き逃すまいと伺う。
は申し訳なさそうな顔をして「ごめんなさい」とルシウスに頭を下げた。
「すいません、マルフォイさん。じつは夕食の時にマダム・フーチから話があるといわれているので・・・」
そうもう一度、頭を下げる。
スネイプは勝ち誇ったような笑みを浮べ、ルシウスは少し残念そうに微笑んだ。
「先約があるのでは仕方あるまいな・・では、また後日君を誘いに来よう」
そう、立ち上がり。帰り支度をするルシウス。スネイプはホッと溜息をついたのもつかの間
「ならば、レデイ・。私を玄関ホールまで見送ってくれるかね?」
「あっはい!もちろんです!」
そういって立ち上がるに、慌てて自分も立ち上がろうとスネイプがテーブルに手を置いた瞬間、
「あぁ・・君はここでいい。」
とルシウスがスネイプを睨んだ。スネイプが反論しようとするが
ルシウスはすばやくの手を引いて出て行ってしまった。
「教授〜ただいまですー」
しばらくして、少しおどおどしながらがスネイプの部屋に戻ってきた。
自分の所に戻って来てくれたことにスネイプは心の底から喜んだが
ふと思い出したように口を開いた。
「ミス・・・・すでに夕食の時間だが?マダム・フーチと話があるのではなかったのかね?」
そういうスネイプに、はビクッと肩を揺らしわたわたし始めた。
「?・・・・ミス・?」
「あ・・あのですね・・実は・・ウソ・・・なのです・・・」
そう顔を真っ赤にさせ俯く。
スネイプは驚き、少し嬉しくなったがなぜそんなウソをついたのか気になった。
「なぜそのようなウソを・・・」
「あっ・・・・あのですね・・・わっわたしでも・・やっぱり好きな人と二人で食事したり・・・
お茶会したいのです・・・・!」
そう、さらに顔を真っ赤にさせ、言葉を発するのもやっとなにスネイプは思わず
笑みがこぼれた・・・・が、一瞬考えて−
「・・・・・ミス・・・・それは・・・我輩のことを好いていると受け取っていいのかね?」
スネイプとは今まで何度も2人でお茶会をしている。
今、はなんと言ったか・・・
[好きな人と二人で食事したり、お茶会したいのです・・・・!]
「はわあっ!」
は声を上げて両手で口を覆った。そんなことをしても発してしまった言葉は
スネイプの耳に入ってしまっているのに。
これ以上にないほど顔をトマトのように真っ赤にさせ、はおそるおそるスネイプを見上げる。
スネイプは優しく微笑んでそっとの口からの両手をはがす。
「あっ・・・あのあの・・すいません・・・こんなこと・・教授迷惑で・・す・・よね・・」
「なぜ迷惑なのだ?・・・我輩も想いを寄せている者としか二人きりで茶などせん・・・」
「・・・・・え・・」
「つまりだ・・・・我輩とはお互い想いが通じているというわけだ」
そう微笑み、そっとを優しく抱きしめた。
からも笑みがこぼれ、そっとスネイプに腕を回す。
そして本当のお茶会が夜遅くまで開かれた。
3232ゲッター夏野様へ捧げますです!教授ドリーム!!
教授VS殿下ということで!もっと陰湿なバトルを繰り広げてもらおうかと
思ったのですが、それこそ血をみそうだったので(滅)
何気に殿下がかわいそうな気もしないでもないです・・はい
いっいいですかね・・こんなんで・・(汗)
このドリームは夏野様のみお持ち帰りができます。