「二面性」
ホグワーツの嫌われ者
陰険
根暗
万年土気色
贔屓教師のセブルス・スネイプ
そんな人物にも、恋人がいた。
それも、スネイプが最も嫌うグリフィンドール。
彼女の名は、・。
「きゃ―――!!」
ボン!!
地下室に、叫び声と爆発する音が木霊した。
煙が黙々と上がる。
煙が収まると、そこにいたのは、眉間に皺を寄せたスネイプ。
その顔は、呆れ果てていると言っても良い。
「また君かね・・・ミス・」
「すいません、教授!!間違えて、カエルを入れてしまったんです!」
その時、教室にいた全員が思った。
・・・・・・カエル?
スネイプは、それを聞くと早足に鍋に近づいた。
そして、鍋をかき混ぜる。
スネイプが掬い上げると、そこには気絶したカエルが乗っていた。
「トレバー!!」
ネビルがびっくりして声をあげた。
「幸い、命に別状はない。ここに入っているのも、カエルには無害なものだ」
スネイプは言った。
それを聞くと、ネビルはホッ、とした。
「ごめんなさい、ネビル・・・・。私、そんなつもりじゃなかったの・・・・」
「うん。それに、トレバーも無事だったんだし・・・気にしないで?」
の言葉に、ネビルがにっこり微笑んで言った。
ニヤ
は笑った。
ネビルがまんまと引っかかってくれたから。
・
グリフィンドール所属
成績優秀、顔もなかなか
人望も厚い
成績優秀のが、何故そんなことをしでかしたのか。
退屈だったから。
もちろん、カエルには無害だと知っていてやったのである。
の本性を知るものは少ない。
同じ寮で同じ部屋のハーマイオニー。
そして、恋人であるスネイプぐらいのものだ。
はっきり言って、他にの本性を知るものはホグワーツにはいない。
「全く、どうしてこう、お前はいつもいつも・・・・」
スネイプは呆れながらの隣に座った。
「まぁま、みんな気づいてないんだし、いいじゃないですかv」
「そういう問題ではない」
スネイプの言葉を無視しては上機嫌で紅茶をすすった。
と、その時は突然立ち上がった。
「どうした?」
スネイプの言葉をまた無視して、はごそごそと何かを取り出した。
それは、一枚の紙切れ。
はそれを見ると、直ぐにまたしまった。
「すいません、教授。人に呼ばれてるんで、ちょっくら行ってきます!」
そう言うと、はスネイプの返事を聞かずに部屋から出て行った。
スネイプは、扉を見つめていた。
の本性は、みんな知らない。
故に、は顔もなかなか可愛いので、よくもてる。
自分が恋人だとわかっていても、やはり面白くない。
そして、告白してくる輩も後を絶えない。
スネイプは無言で立ち上がり、部屋を出た。
は囲まれていた。
スリザリン生の女子6人に。
理由はわかる。
グリフィンドールでありながらスネイプに気に入られている
が気に入らないのであろう
・・・・人気ないようで、あるんだから困ったもんよね・・・・
「ちょっと、あんた聞いてるの?」
が一人でうんうん、と納得していると、6人の中の一人が言った。
「ごめんなさい、えーっと、なんだったかしら」
「あんた私たちを馬鹿にしてるの!?」
こんな呼び出しは良くあることで、正直はめんどくさくなっていた。
それでも、本性を出すにはいかないので毎回、
ハーマイオニーに訳を話して手伝ってもらっている。
ハーマイオニーは予め壁の陰に隠れている。
そして、危なくなってきたら先生と話しているように一人で大声で話す。
すると先生がいると思って、そそくさと行ってしまうのだ。
今回も同じ方法で乗り切るつもりだった。
「あんた、グリフィンドールのくせに先生に気に入られるなんて生意気なのよ!」
どん!とは押された。
は、バランスを崩し、倒れた。
壁に隠れているハーマイオニーが声を出そうとした、
その時。
「何をやっている」
「ス、スネイプ先生!!」
はバッと振り返った。
そこには、確かにスネイプがいた。
スネイプは、周りをゆっくりと見渡すといった。
「何をやっているのか聞いている」
途端に6人は焦りだした。
して、その中の一人が言った。
「私が間違えて彼女にぶつかってしまったんです!けれど、なかなか許してくれなくて・・・・!!
見かねた友人達が集まってきてしまって・・・・」
は呆れた。
よくも、直ぐにそんなアホらしい理由が思いつくものだ
まさに私が悪者ではないか
はチラッとスネイプを見た。
あの人のことだから、あいつ等を信じそう・・・・
ただでさえ、私の本性よく知っているわけだし・・・
スネイプは、しばし沈黙だった。
が・・・?
馬鹿馬鹿しい、そんな事あるわけがない
それに、人に本性を知られたがらないが、そんな事をするわけがない
の恋人になり、の本性を知った。
その今でも、確実に言える。
は、そんなことはしない、と
「本当のことを言え」
スネイプの口調は、冷たかった。
スリザリン生には、滅多にこんな言い方はしない。
だからこそ、スリザリン生6人は驚愕し、怯えた。
「え、えっと・・その・・・」
戸惑う6人。
は、きょとんとした。
何が起こったのかわからなかった。
けれど、理解すると途端に嬉しさがこみ上げてきた。
本性がバレても良いと思うくらいに。
「あははは・・・っ!!」
突然、笑い出した。
みんなが一斉にを振り返る。
はゆっくりと立ち上がった。
そして、にっこりと微笑みスリザリン生を見た。
スリザリン生は、の微笑から何かを感じ取ったのか、怯えた。
「教授、ありがとうございます、心配には及びません。そして、お呼び出しありがとう、スリザリン生の皆さん?」
「な・・・っ!」
スリザリンの一人が憤慨したように言った。
だが、直ぐに怯えた表情へと変わることになる。
は、そのままの表情で言った。
「グリフィンドール生だから気に入られているのが気に食わない?
それじゃあ、スリザリン生だったら良かったのかしら?もし、私がスリザリンでも同じ事をしてたんじゃない?
だいたい、こんな直ぐにバレそうで、なおかつ打撃を与えにくいことするなんて、よほど脳がないのね。呆れちゃうわ。
まぁ、成功率が低いってのは、今回でよくわかったでしょうね。それでも続けたら、本当に馬鹿としか言いようがないわ」
一気にまくし立てた。
わなわなと6人は震えた。
そして、を一人が叩こうとした。
を叩こうとしたスリザリン生は固まった。
「スリザリンから10点減点」
スネイプは、を抱き上げていた。
俗に言う、お姫様抱っこである。
スリザリン生がを叩く一歩手前でスネイプがを抱き上げたのだ。
今やスリザリン生6人とも固まっている。
スネイプは、そんな6人に構わずに言った。
「ついでに一人、5点ずつ減点だ」
合計40点の減点
スネイプがスリザリンから40点も引いた。
明日はきっと、嵐と吹雪だろう。
この出来事で、あっという間にの本性が知れ渡った。
これで、の人気も激減するだろう、と考えていたスネイプ。
と、突然がスネイプの研究室に飛び込んできた。
「すいません!先生!!」
「一体、何事かね」
すると、上の方がなにやら騒がしい。
スネイプは部屋から出ると、上の方に耳を澄ました。
「あれ〜?何処に行ったんだろう」
「あ〜あ、せっかくデートに誘おうと思ったのにな〜」
「俺だって、誘おうと思ってたんだぜ〜」
・・・スネイプの予想に反して、
の人気は激増していた。
スネイプは壁に手をついて、わなわなと震えていた。
END
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+あとがき+
一歩間違えて連載になってしまいそうでした・・・。
まぁ、なんとか無事に終わらすことが出来ましたが、全く甘くない(汗)。
ぶっとびヒロインで教授夢というリクエスト
・・・ごめんなさい!!
はっきり言って、リクにそってません(汗)。
書き直し、いくらでも受け付けます!!
ではでは、リクエストありがとうございましたv
2003.10.18.水無月 沙柚李
空想世界の沙柚李様からいただきましたv
素敵!教授夢!!ヒロインのあっけらかんとした性格が!!(><)
このままいったら教授絶対こき使ってそうな勢いですよねvv
素敵なドリームありがとうございました!!
大事にさせていただきます!!