ルシウス夢第一弾









私が何にも思わなければ済むだけの話なのですが。
これが許されざる事だと言う事も十分理解していますとも。
純血名門頭脳明晰美貌の持ち主でそれを鼻にかけまくりの性格最低人間だという事も。
嫌と言うほど知っていますよ。
でも、でもですよ!
どれだけ嫌な人間でも一応は私のこ、こ、恋人(うわあ甘い…)と言う特別な相手な訳で。
勿論不倫です。
だから私には彼のその……浮気がうんたらーと言えない立場なのですが。
でもですよ!?
なにも私の目の前で奥様と口付ける事ないじゃないですか!!?




柔らかな棘




「−。休憩だ。何か飲む物持って来い。」
「お断りします。」
「何故?」
「私は今庭の掃除をしています。」
「見ればわかる。」
「でしたら他の者にお頼みください。」
「ここにはしかいないではないか。」
「屋敷にお戻りになれば宜しいではないですか。」
「私に指図するつもりかね。」
「一般的見解です。」
「−私から見ればただ逆らっている様にしか見えないのだが。」
「気の持ちようです。」


そこまでやり取りをしてルシウスは疲れた様に溜め息を吐く。
彼女の機嫌が悪いのは理解している。
その要因も承知の上。
機嫌を取ることは好まないルシウスはむっすりと安楽椅子に身を沈めながらを見つめる。
雲一つ無い紛う事なき晴天の下。
ワインレッドやブラッディレッド…深紅の薔薇の華々。
そこに佇む東洋の少女。
どういう経緯でここに連れてきたのかルシウスは忘れてしまっていた。
否、記憶など無かった。
その程度の相手でしかなかった。
気付いたら近くにいて何かと身の回りの世話をさせていた。
視線の先にいる少女はルシウスにとっては唯のメイドでしかないはずだった。
しかし何時の間にか愛情・性欲・嫉妬・痛み・温かさなど所謂『恋愛感情』を抱いていた。
ルシウスはに名前を呼ばれる事を好んだ。
の言葉は温かく自分を酔わせる。
ーしかし今日に限って一度も名前を口にせずそれどころか自ら寄って来る事も無い。


。茶が飲みたい。」
「ですから他のものー」
の淹れたのでないと駄目だ。」
「何故でしょうか?」
「愛しているからに決まっているだろうが。」
「なら奥様にお頼み下さい。」
「……良い加減機嫌を直せ。」
「知りません。」


段々と苛立ってきたルシウスは立ち上がり。
華の手入れをしているにゆっくりと歩み寄ると抱き寄せる。
腕の中に納まる線の細い華奢な体を折れそうな位強く抱きしめる。


「邪魔です。」
「随分はっきりと言ってくれるではないか。」
「こう言うことは奥様になさってください。」
「別に愛しいと感じていない。」
「子供までつくったではありませんか。」
「―お前はたまにえぐい事を言うな。」
「だって事実ではないですか。口先だけではなんとでもいえます。」
「ふむ。ならば私は態度で示す人間であると教えてやろう。」


可笑しそうに笑うとをそのまま押し倒す。
手で払われて花びらがにはらはらと舞う。
ルシウスは花弁越しにの額へ唇を落とす。
それから瞼。鼻先。頬。顎。
温かさと擽ったさに目を細めるの顔を盗み見るとゆっくりと口付けた。
呼吸すら奪うように深く深く深く。
引き離そうとルシウスの腕を掴んでいた彼女の手は相手の首へと回る。
長い抱擁と口付け。
そうしてルシウスはの柔らかな唇と熱く甘い舌を存分に楽しんで顔を離す。


「わかったかね?」
「全然。」
「この娘は……」
「奥様の方が良いのでは?」
「……は?」
「惚けた振りはやめてください。」
「いや。振りではない。一体何の事だ?」
「やっぱり惚けているではないですか!!今朝の玄関で!!」
「……あれが………まさか。あれに嫉妬しているのは判っていたがまさか……」


ルシウスはの首筋に顔を埋めると肩を震わせて笑い出した。
呆気に取られているのはで。
いたく不機嫌そうに力一杯ルシウスの体を突き飛ばすと背中を向けてしまう。


「とんだ誤解をされていたようだな私は。」
「……。」
「私は挨拶代わりに頬にしたのだ。唇などにしていない。」









「−…………はい?」









暫くの沈黙の後は間抜けな声を出して振り返る。
必死に笑いを堪えている相手を呆然と見詰め。


「私はあやつに口付けた事など無い。」


言葉を聞いても尚余計にきょとんとしているを包む様に抱く。
反射的に背中に腕がまわされる。
顔はルシウスを不思議そうに見つめたまま。


「屋敷はどうも人が多い。それにが言う通り妻も子供も居る。名誉的なものもある。」
「わかっています。けれど改めて言われると痛いです。」
「−そうか。」
「まるで荊みたいです。刺さって抜けない。」
「……」
「私には財産も位もなにもないです。貴方しかいないんです!」
……」
「奥様にされない事を私にはするだなんて言われたら……許してしまうじゃないですか。」
。私は己が一番大切だと思っている。他人がどうなろうが自分が幸せなら構わない。」
「……」
「しかしどうやらそれも例外が出てきたようでな。」


さらさらな黒い髪をそっとかきあげ耳を露にさせるとそっと囁く。
が弱いのを承知で鼓膜に低く甘いヴァリトンを振動させる。


「私の幸せはが居て初めて成り立つようだ。私はを愛している。」
「−やっぱり荊みたいです。」
「本心なのだが。」
「熱くて焼けてしまいそうなのに。抜けないで欲しい荊です。」


軽く背伸びをすると触れるだけの口付けを交わす。
腕の中かから抜け出ると手早く道具を片付け。
はにかむような笑みを浮かべながら見つめる。


「お茶にしましょう。勿論ルシウス様の好きなアールグレイのオレンジペコーで。」


小走りに屋敷に戻るの背中を見てルシウスは小さく笑む。


の言葉こそ心地良い棘ではないか。」


その呟きがに聞こえる訳も無く。
ルシウスはゆっくりと満足そうに屋敷の中へと歩みを進める。








ー結局私の勘違いだったみたいで。
今から思うとまるで子供みたいな嫉妬で凄い恥ずかしい。
あまり大きな声で言えないけれどいつでもずっと叫んでいます。
貴方を愛しています!!












初夢がルシー!!自爆キリ番と言う事でキリサ様に献上いたします。こんなんですいません!!

全く意味プーです!!無駄にだらっだらと長い……夢小説まじ難しいです。

ヘボヘボなルシ夢ですいません!!返品可です(おい)




やばい!鼻血出そう!!ってルシウスに口答えするおなご最高!!
夏野様!ありがとうございます!