ホグワーツ。イギリスが誇る魔法魔術学校である。入学してくる生徒の国籍も様々、教師達も個性的な人物だ。
教師達の中に、人気ワースト一位を飾るスネイプ教授がいる。
その学校の中でスネイプ教授と同じように、嫌われる教師がいるだろうか?
今年は三大魔法学校対抗試合が行われる年だった。学期が始まる前に教職員は授業の準備のために集まる。
スネイプは、例年どおりにホグワ−ツへ向かった。
「スネイプ先生」
職員室に向かう途中、スネイプは同僚のマクゴナガルに呼び止められた。
あからさまに不機嫌さを出していたスネイプだったが、その不機嫌さを吹き飛ばしてしまう人物がマクゴナガルの隣に現れた。
「!」
は全身が包帯で覆われていて、指先、唇、鼻の頭、瞳、髪の毛などの一部分しか見えなかった。
包帯で覆われているの頭から足先は、銀と宝石で出来た装飾品とエジプトの民族衣装で飾られている。
それはまさにエジプトにいるミイラのようで、初めてを見た人は顔を青くして引いてしまうだろう。
の登場に驚いたままのスネイプは、マクゴナガルとに先導されて職員室に辿り着いた。
「こんにちはー」
の顔を知らない人は、職員の中にはいない。それは学生時代にいろいろと偉大な功績や伝説を残した為だった。
ホグワ−ツのミイラ女、と言えばだった。
「教師を経験しに来ました−。よろしくお願いします」
行き交う生徒の嫌悪感や、不安、興味心が混じった目に、は感心したように溜め息をつく。
「ホグワ−ツの生徒は外見に大変、うるさいのね?」
「うるさくはないと思うが?」
隣にいるスネイプは慣れた感じで、に相槌を打つ。スネイプの言葉にはふむ、と頷いた。
新学期が始まり三ヶ月弱が過ぎているが、僅かに慕ってくれる生徒が数人いるだけで、はマッドアイ・ムーディーのように
大半の生徒から、気味悪がられていた。
「さて、話題を変えまして、と。もうすぐクリスマスパーティーね」
「180度回転したな。今年はダンスパーティーだ」
うんざりだ、と言ったスネイプに、は少しだけ苦笑する。
「いいじゃない、ダンスパーティー。私、お墓に篭っていたからとても楽しみだわ」
は自分の外見を(包帯を巻いている姿を)元に、冗談を学生時代からよく言っていた。
「そうか」
またうんざり口調で返したスネイプに、は笑い転げた。
「あんな人、学校にいた?」
「ボーバトン、じゃない?」
「黒髪の女性がいた?あの人、全然生徒に見えないわよ」
生徒の間を通り抜けながら、大広間の扉に近付く美女に、ホグワ−ツの生徒、他校の客人は呆気に取られた。
「こんばんは、マクゴナガル教授」
「こんばんは、。きれいなドレスね」
近付いて来た美女、へとマクゴナガルが挨拶をした途端、周りで先生!?、と驚愕する生徒達がいた。
「あいかわらずね、その、人を驚かせる仕方は、、、、」
マクゴナガルがの全身を眺め、感嘆と取れるような溜め息をつきながら言った。
いつも包帯によって隠されている肌は、暗闇の中で光り輝くような白さだった。
白と黒が基調となっている大きなスリットが入ったドレスは、魔法界で作られた物ではなく、マグルの手によって作られた物だった。
マクゴナガルの言葉に、ふふ、とはその言葉に笑って答える。
「別に驚かせているわけではないんですよ?ただ単に日焼けがしたくないだけなんですから」
日焼け止めを塗ればいいのに、とマクゴナガルはを見る度にいつも思っていた。
はマクゴナガルの意を察したように言った。
「日焼け止めを塗るの、面倒臭いんですよ」
微かには苦笑してみせた。
盛大な拍手と共にダンスパーティが始まる。
包帯が取れたの姿に大半の人々が驚いたが、そののダンスの相手にも驚いた。
軽やかなワルツのステップを取りながら、は顰め面のままの恋人に、憂いを帯びた表情で話しかけた。
「何を拗ねてらして、スネイプ教授?」
「恋人に無理矢理ダンスパーティーに引っ張られて来た挙げ句にダンスの相手をさせられた事です、教授」
どこで息継ぎをしているのかと首ひねりたくなる喋りかたに、は微笑んだ。
「教授の恋人は他の男性とダンスしたくはありませんの。それとも、恋人に他の男と踊れとおっしゃるつもり?」
「そんな事は言いませんが、こんな大勢の前で踊る事はないと思うのですが?」
は一つ溜め息をついて、ダンスフロアから出る。その際、スネイプが逃げぬように手を繋ぐ。
人が少ないテーブルに座って、それでは教授、とは切り出した。
「教授、私の普段の格好を、思い浮かべて御覧になって」
「は、、、?」
突然の言葉に、スネイプは思わず顰め面から間抜けな顔になった。そんなスネイプには、叱咤する。
「は、ではなくてよ、教授。私の身体は普段、包帯で何処の部分も見えませんわね?」
「そう、ですな」
の言葉に訳が分からず、スネイプは取りあえず頷いた。
「しかし、見えないにも関わらず見えてしまっている部分があります。さて、見えてしまっている身体の部分とは一体なんでしょう?」
「見えないのに見える、、、?」
「そうです。見えないのに見える部分。この問題はIQ、150の問題です。正解者には金のモエットボールを差し上げます」
何かの番組の司会者のように、は言った。
「あいきゅーはなんだか知らんがボールは普段の生活に必要無いからこの問題とやらは答えなくてもいいのでは?、、、、って思ってるでしょ?」
「真剣に問題を解こうとしているのにそのような事を言うな、、、、、いくら考えても分からんから答えを言え」
「あら、教授は根性無しなのですね。まあ、いいでしょう。答えは身体の線、ですわ」
「身体の線、、、?身体の線がどうした、太ったとは思えんが?」
微笑んでいたの顔が、怒りを率いた無表情になった。
と付き合って来た中で、喧嘩をする事は少なくなかったので、スネイプはが怒りの表情をしていても平気だった。
だが、自分が怒られても平気だから、相手を傷つけるのは理不尽というもの。スネイプは素早くに謝った。
「すまん。身体の線が何に関係があるのか聞かせてくれ」
「最近ね、生徒からラブレターをもらうのよ。魅力的な人だからって、さ、、、」
「ほう?」
頬杖をつきながらはいう。の怒りは引いたみたいだが今度はスネイプの怒りが沸き上がって来そうだった。
「主に卒業が近い高学年からなんだけどね、卒業したら生徒じゃなくて男として見てくれますかって書いてたの」
「それで、、、?返事はしたのかね、早めに答えてあげねば可哀想であろう?」
「セブルス、その顔で可哀想って単語言わない方がいいわ。可哀想の意味が打ち消されてしまっているもの」
喉が乾いて、は手近にあったボトルに手を伸ばして、グラスに空けた。は横目で怒り心頭のスネイプをちらっと見る。
「、、、、だから私には恋人がいるって事を示したかったの。気持ちには答えられないって言ったのにほとんどが諦めきれないって言うから、、、、ごめんなさい」
先ほどの怒りは何だったのか、と思わせる程、は申し訳無さそうに謝った。
「、、お前が謝る必要無かろう」
「あるわよ。セブルスが私の恋人だって分かったら、勢い余った生徒に嫌がらせされるかもしれないし」
「そうだな。今日は我輩の部屋に泊まれ」
今度はは首を傾げた。意味が分かっていないにスネイプは苦笑する。
「お前が我輩の傍にいたら嫌がらせしにくいだろう?」
「あぁ、そういうことね」
「クリスマス休暇中ずっと我輩の部屋に泊まったら、生徒は諦めがつくと思う」
「じゃ、お邪魔するわ。宿泊料はどのくらいかしら?」
の言葉にスネイプはにやっ、と笑う。
「現金や小切手などは不可、なので教授自身で払っていただけないでしょうか?」
------後書き------
二か月遅れの一周年記念夢です(笑
編集の時にアクシデントが起きまして、一人で爆笑していました。
文字のサイズがバラバラになってたんですね、簡単に言うと。
変にウケを取ろうとしているみたいに文字が大きくなってました。
夢の題名は某映画です。友人達はすぐに分かると思います。
この夢は現在、相互リンクさせてもらっている以下の管理人樣方だけに捧げます。
三上理妃様
海稲せりお様
ラピス様
kirisa様
二ヶ月も遅れましたがこのサイト、『ELEGY』は、スネイプ教授を愛し通して更新していきます。
サイト一周年おめでとうございます!!
そして素敵なドリームをありがとうございました!
タイトルを見た時「はて?」と首を傾げたものの、ダンスパーティでのやりとりに
おもわずドキドキしてしまいました。個人的に糖度が低い感じの会話って大好きなんでt;
素敵なドリーム本当にありがとうございます!!