穏やかな秋風吹き付ける10月の末。
「Trick Or Treat ?」
ホグワーツの校舎のあちこちで生達のにぎやかな声がこだまする。




Happy Halloween ?






「ハァー、やっぱりルーピン先生の淹れてくれる紅茶ってすごく美味しいvv

 ……でね、聞いてくださいよ。その時、あの人なんていったと思います?

 『グリフィンドールから50点減点』ですよ?私が何したって言うんですかね?」

テーブルに残る最後のチョコレートを口に頬張りながら一気に捲くし立てるのは

グリフィンドールの3年生だ。

「そ……そうだね…。」

呆れ顔で相槌を打つのはルーピン。闇の魔術に対する防衛術の教師だ。

今日は、ハロウィン。

子供達は、かぼちゃをくり貫いてランターンをつくり、お化けに仮装して人々の下を訪ねる。

そのとき「Trick or treat 」といってお菓子をねだるのだ。

も去年まではそうして楽しんでいたのだが、今年はなぜか参加せず、ルーピンの部屋でお茶をすすっている。

朝からすこぶる機嫌が悪く、道行く人に眼飛ばすという機嫌の悪さ。

原因は、まぁいわゆる恋人との喧嘩というやつだった。しかし、その恋人というのも魔法薬学教師、セブルス・スネイプ。

によると、事の発端は今から1週間前のことだという。









「あの日の夕方、私はハリーと一緒に廊下を歩いていたんです。図書のマダム・ピンスに頼まれた資料を運んでいる時だったんです。

 でもそれはすごく重たくて私はバランスを崩しちゃってコケかけちゃったわけですよ。

 それをハリーは抱きかかえて支えてくれたんです。でもそれを廊下の角から出てきたあの人が偶然見つけて……。

 それだけで減点ですよ!?ひどいと思いません?」









というのがの主張だった。

それ以外にも、授業中がハーマイオニーと話している時でも、ことごとく理由を付けては減点していたという。

1週間の減点得点の総合計はなんと300に及ぶらしい。

『頭が痛い』ルーピンは切実にそう思った。の鈍感さに舌を巻くほどだ。

スネイプの減点の理由はただ一つ、『嫉妬』だろう。彼らしいといえば彼らしい理由なのだが。

まぁ、廊下の角から歩んできた人間には彼らの経緯はわからず、ただ抱き合っていたように錯覚してもおかしくはない。

「とにかく、あの人には幻滅しました。あ〜あ。ルーピン先生が恋人だったらなぁ……。

 だって先生は優しいし、お菓子たくさん持ってるし、紅茶を淹れるのうまいんだもんv」

のその台詞にルーピンの瞳がキラリと光る。

「じゃぁ、本当に私がを貰おうかな?」

の隣に移って彼女の顎を左手で持ち上げる。

その血色のいい唇に口付け……ることは出来なかった。

「ル〜〜〜ピン……。」

地の底からわきあがる様な怒気の含まれた声。スネイプが2人の背後に立っていたのだ。

とルーピンの背中に冷たい汗が流れる。

!少し話がある!!」

スネイプはの腕を強く引っ張りルーピンから離し、ルーピンに一瞥をくれたあと、部屋を後にした。

「ご愁傷様、……。でもちょっと惜しかったなぁ……。」

1人部屋に残されたルーピンは一人ごちた。











一方スネイプの部屋。

「痛いから、離して!」

は強く自分の腕を掴むスネイプの腕を振りほどいた。

ふと、スネイプの顔に哀愁が宿る。

「そんなに…我輩よりルーピンの方がいいのか?ポッターの方がいいのか?」

「はぁ…?何言ってんのよ……。」

「だってポッターと抱き合っていたではないか?」

は眉を寄せた。明らかにこの人は勘違いしている。

「あの時は、私がつまずいちゃって倒れそうなところをハリーが支えてくれたの!抱き合ってなんかないわよ!

 それにルーピン先生には、愚痴聞いてもらってただけ!あなたのね!」

は一気に捲くし立てた後、涙をぽろぽろとこぼした。

「あの時、あんなこと言われてすごく悲しかったんだから!私が好きなのは貴方だけ……。

 セブルスだけなのに……なのに、話も聞かずにあんなこと……。」

の瞳から大粒の涙がこぼれた。

「そうだったのか……我輩はてっきり……。」

スネイプはホッと安心したように胸を撫で下ろした。

自分の心配は杞憂に終わったようだ。そして、を抱きしめた。

「我輩の単なる『嫉妬』だったのかも知れぬ。……我輩もお前だけを愛してる。」

二人はそれぞれの優しく懐かしい温もりに酔いしれた。









「そういえば今日はハロウィンだったな……。」

を抱きしめたまま思い出したように呟き、何かひらめいたようにの耳元に唇寄せて囁いた。

「Trick Or Treat?菓子はあるのか?」

はハッとしたようにポケットの中を弄る。先ほどルーピンの部屋で食べたのが最後だった。

「じ……実はお菓子は…あいにく……。」

はスネイプの瞳がキラリと光るのをみてたじろいだ。もしかしてもしかしなくても……。

「菓子をくれないなら悪戯をするしかないようだな…。」

勝ち誇ったように口元に笑みを浮かべるスネイプとは裏腹には心の中で叫び声をあげていた。









泡沫の夢幻が舞い躍り 月影は光を求めて駆け巡る 2人の想いが再び1つになった そんな秋の夜 












ハロウィン企画の夢でした〜。

一応テーマはスネイプ先生の『嫉妬』でした。

あまりハロウィンっていう雰囲気は出ていないのですが……。

ちなみにこれはフリー夢です。お持ち帰りいただければ…と思います。

その時には、ご報告願います。











はりきって持ち帰らせていただきました!!やっぱりハロウィーンガ大好きです。
えぇ、クリスマスよりも!!教授の勘違い&嫉妬・・って凄まじそう;
はうぅ素敵なドリーム大事させていただきます!!