「先生〜」
「・・・・・」
「先生ってば〜」
「・・・・・」
「機嫌治してくださいよぅ、、、」
夕食の時間もかなり過ぎた頃だった。
学校が休暇中で大半の生徒が遊び惚けている中、暗い地下室の部屋から一人の少女の悲痛な声が聞こえた。
部屋のソファーに座っている少女、は重く溜め息を付いた。自分が原因で部屋の中の重苦しい雰囲気が出来たのだ。
自分に責任がある、そんな事は百も承知だ。
しかし、部屋の主そしての恋人であるセブルス・スネイプは依然としてに顔を向けなかった。
スネイプは聞く耳を持たずにレポートの採点をしている。
「せんせぃ、、、」
「・・・・・・」
は今にも泣きそうな顔をしている。スカートの上で手を握り、はぎゅっと目を瞑った。
「せんせぃ、、、今度はちゃ、ちゃんと来ますから、、、、」
スネイプは黙々と採点をしている。先程と変わらない恋人の態度に、は涙が出そうになった。
「絶対に守りますから、、、、、」
「絶対、、、、?」
いきなりスネイプの口が開き、の体はびくっと跳ねた。
スネイプは変わらずにレポートの採点をし、目線もレポートに向けているが、さっきと違うのは口が動いている事だ。
「"絶対"という言葉を守れるのかね?恋人との約束をすっぽかしていた君が」
スネイプの言葉にはソファーの上で縮んだ。俯くを視界の端で一瞬見た後、すぐに目線をレポートに戻した。
今度こそ本当に泣きそうになった。
「「!」」
「あ、、二人ともどうしたの?」
午後の12:00を少し過ぎた頃、双児のフレッドとジョージがに話し掛けた。
同じ寮という事もあって、三人は学年が違いながらも親友という関係になっていた。
は身長が低いが、双児達より一つ上の学年である。
「何かあったの?」
「さっきリ−から聞いた話なんだけど」
「ゾンコの店に新しい商品が入ってくるんだって!」
「ええ〜!?」
本当?と聞くに、二人は満面の笑顔で頷いた。明日がホグツミ−ドに行け、そのまま休暇に入る。
双児と同じく悪戯好きなだ、何としてでも行きたい。
「「、行こうぜ!」」
「〜〜〜!」
達から死角になっている廊下の角から、黒い頭が不自然に出ていた。黒い頭の正体はの恋人のスネイプだ。
どうやら恋人の声を聞き付けてきたらしい。
「(は我輩との約束があるのだ!お前らに渡してたまるか!)」
そんなスネイプが影からじっと熱い視線で見ていても、は気づかずにまだ悩んでいた。
「んー、、、」
「悩む事なんてない!」
「じゃぁ、、、一時間だけね。約束あるから」
「(!!!)」
やったーとの周りではしゃぐ双児をスネイプは睨み付けた。
「(何故!何故だ?)」
教授の頭はパニックだ。激しい動悸と軽い目眩が去った後、冷静に考えてみた。
ここ何日かと過ごす時間が余裕で出来て、少し束縛し過ぎたではないだろうか?
自分と過ごす時間が多くなった代わりに、友人との時間なくなったのでは?
壁の一点を見つめながら数分が経つと、いつのまにか双児への怒りは収まっていた。
は約束を覚えていて、それを配慮した上で双児の申し入れを受けたのだ。
「(十分くらい遅れても笑顔で迎えてやろう)」
穏やかな気持ちになってスネイプはその場を後にした。が双児と手を繋いで、図書館に行ったとは露知らず。
だが次の日は約束の時間を過ぎて十分経っても、二十分経っても来なかった。ついに三十分経った時、自室のドアが開いた。
「先生ごめんなさい。少し遅れ、、、、」
「少し?」
スネイプが授業中に出す、生徒を震え上がらせる声で言った。
「ウィ−ズリ−共とさぞや楽しいデートだったでしょうな?」
そして現在に至る。スネイプは軽く溜め息を付きながら、を見た。このままでは子供の喧嘩だ。
自分の方に非があると、感じてスネイプは謝ろうと口を開いた。
「、、、、?」
は立ち上がっていた。スネイプは驚いて恋人を見つめている。涙声では言った。
「もうここには来ません、、、、、」
「何?」
スネイプが顔を顰める。は続けた。
「もう先生に迷惑を掛ないようにします!」
は真直ぐにドアへと向かった。スネイプは慌てての腕を掴む。
「離してください、、、」
「離さん」
の背中がドアに当たる。の頬は涙で濡れていた。
「泣いている恋人を、、、、」
「、、、、?」
スネイプは指先でそっと、涙を拭いた。
「、、、放っておくほど馬鹿じゃない」
スネイプはを抱き締めた。はスネイプの背に手を回して、顔を埋めた。
「せんせぃ、、、」
「すまん、、、」
「フレッドとジョージは大好きだけど、、友達です」
は泣きながら言葉を続けた。スネイプは相槌をうちながら聞いている。
「他の友達もみんな大好きだけど先生は大好きじゃなくて、、、、」
「ではなくて、、、?」
「大好きじゃなくて、、愛してるんです」
スネイプは目を細めて、愛しそうに頭を撫でた。
「ああ、我輩も愛している」
しばらく顔をスネイプに押し付けていたら、の涙は止まったようだった。
「止まったか?」
「はぃ、、」
まだ少し目蓋が赤くなっていたが腫れてはいなかった。スネイプはもう一度の頭を撫でて、額にキスを落とした。
「」
「、、なんですか?」
「もう一度言ってくれないかね?」
は小さく首を傾げる。スネイプはしゃがんで顔の高さをと同じくする。そして、にやりと笑った。
「我輩を愛している、と、、、、」
「ぅえぇ!?」
の顔が赤くなり、スネイプの腕の中で慌てふためいた。
「言えません!」
「何故だ?さっきは素直に言えたではないか」
「だって恥ずかしいし、、、」
「では、言うまで離さん」
「!!」
休暇中の間、が何所で寝泊まりをしていたのか知っていたのは、スネイプ教授ただ一人である。
-----後書き-----
kirisa様からのリクエスト教授夢でした。
リクを頂いてからかなりの時間を費やしてしまいました。
すみません。こんな物でも、貰っていただけるなら私は救われます。
2004.9.30
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黒蘭さんありがとうございましたー!!!(><)
もう、無理強いもいいところなりクエストしてしまって本当に申し訳ないと
思いつつも、素敵なドリームももうドキドキです!!
ヒロインさんかわいいよお!!それなのに教授泣かしちゃあだめだよ!!
でも、最後は仲直り(一方的ですけど)でホッと温かくなれる気分になりました。
本当にありがとうございました!大切にさせていただきます!