ヒュゥゥゥゥゥ…

と音を立てて黒い穴が塞がっていく。が飛び込んだ後、ようやく自分の目にも映るようになったその穴をスネイプは最後完全に閉じるまで見送った。
それからとてもルーピンや双子といる気にはなれず地下牢へと戻る。


『気長に待つ』


 そうは言ったもののスネイプは再びに会えるとは欠片も思っていなかった。
次元の裂け目に落ちる者など500年に一人程度。それに次元の裂け目がいつでもここに繋がっている訳では無い。

 つまり、もう二度と会えない。

「…随分と感傷的ではないかね我輩も」

 笑顔で去っていったの事を思って良かったと思う反面、離れたくなかった。あの笑顔を傍においておきたかった。


「……もう、過ぎた事だ…」


 いつものように時の流れの一部として忘れてしまえばいい。スネイプがそう決心しようとしていたとき。


「…ん?」


 自室のドアの前、隅っこに遠慮がちに置かれている紙袋を見つけてスネイプは表情を険しくした。
今は誰かの冗談などに構う気分では無い。いつでも対応できるよう杖を取り出し慎重に近づく。


「これは……」


 スネイプは紙袋に書かれている文字に気付いて慌ててそれを拾い上げた。
今はいないの文字が元気に紙袋の上を走っている。



『注:壊れ物 あげる!作るの大変だったんだよ』



「いつの間に……」


 朝、出かけるときには気付かなかった。朝食の席で尋ねられるのが恥ずかしかったのかもしれない。
スネイプはのコロコロと変る表情を思い出して小さく微笑んだ。
 紙袋を大切に抱えたままで室内に入るとそっと中身を取り出す。それはが最初にここに来たとき割ってしまい、
ルーピンが魔法で直してくれたステンドグラスのメモクリップだった。
恐らくは帰るときが来たときのための贈り物だったのだろうがスネイプには…。


『また来るからそれまで忘れないでよ!』


 というの意思表示に思えた。そんなに信じて帰ったならば、こちらも同じ思いで返さねば。


「4年でも…8年でも10年でも、待っててやる」


 いつか本当にこの場所を突き止めたが自分の前に自慢げに立つのが目に浮かぶ。


『やっと見つけた!!』


「その時には…」


 きっともう手離せなくなる確信がスネイプにはある。


「待っている


 スネイプはメモクリップをデスクの上に立てると静かに微笑んだ。

























「やっと見つけた!!約束の年内には間に合ってるかな?」




































 スネイプがそんな声を聞く日が、やがてやってくる。
















































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素敵夢小説サイトDREE様のところからいただいてきました。
「不死鳥の騎士団」発売記念ドリーム。
時空ものがどうも・・と渋っていらしたあきら様ですが、とても素敵なドリームに
何回も読み返させていただきました!!
あきらさんの書かれる夢小説はのんびりとしてとても温かく、時折ハラハラさせてくれてとても大好きなんです。
なのでフリーと書かれていたのを見たときはもう目の色が輝いてしまいました!
大切にさせていただきます!