「先生、チョコ好きですか?」


「あまり好きではないが。」
















チ・ヨ・コ・レ・イ・ト   (教授の場合)














「そっかぁ〜。」




はポケットに入っていたチョコを握り潰した。
グシャと音がする。




「なぜいきなりそんなことを訊く?」



「えっと・・・なんでもないです。」




少し悲しそうにしてスネイプを見る
スネイプは忙しそうに机の上でレポートの採点をしており、
の表情の変化には全く気付いて無いようだった。













「先生。いそがしいのですか?」


「あぁ。スマンが明日にしてくれないか。」


「そうですね、失礼しますっ・・・」






勢いよくドアを開け、走り去るを見て
スネイプは少し不可解そうな顔をして
また採点を始めだした。







































2月のホグワーツは雪が降り、夜は月の光に反射してキラキラと舞う。
そんな景色の見える廊下の隅にうずくまるがいた。


寒いのかハァーと手に息をかけるの顔は寒さで赤く染まっている。




ポケットからチョコを取り出す。
見るも無残に潰れてしまったチョコを見て、はポロポロと涙を零した。





バレンタインにチョコを送るというのは日本だけの風習だということはも知っていた。
だからスネイプがバレンタインを知らないのもしょうがないことだろうと思っていた。
だけど、一生懸命作ったチョコが
    スネイプをおもって作ったチョコがなんだか可哀想で。
なんだかものすごく切ない気持ちになって、思わず部屋から走り去ってしまったのだった。





「スネイプ先生、変に思ったかな。」


先生のことを思うと不安でいっぱいになる。
教師と生徒の関係上、人目を気にしていなければいけないし
一緒にいる時間も少ない。
解かっているのだが・・・・少し寂しいのだ。



無造作にチョコを掴みとるとヒョイと口にほおり込む。


「にがぁい・・・・」


スネイプは甘いチョコは嫌いだろうとビターチョコにした。
スネイプが食べやすいように小さい形にした。
スネイプをどれだけ思ってチョコを作ったかが身にしみて
胸が痛かった。



「嫌いなもの、食べてもらう訳にはいかないし。
 最初から聞いておけばよかったな・・・・・・。」





秘密に計画していたことを後悔する。
だけど、スネイプに喜んで欲しかったのだ。
いつもは何もできない恋人だから、
スネイプに何かしてあげたかったのだ。



ボロボロと零れる涙とぐしゅぐしゅする鼻水で顔がベタベタになる。
はローブの裾で顔を拭うと、腰をあげグリフィンドール寮に戻ろうとした。




































「なんでこんなところにいるんだ?!」




突然スネイプの怒鳴り声が響いた。
そして急いだようにこちらへ向かってくる。



「こんなに冷えて・・・・ずっとここにいたのか?」



の頬に手を当て、自分のローブでを包むスネイプ。



「先生・・・なんで?仕事は?」



「お前が変な態度で出て行ったから後を追いかけたのだ。」




スネイプの言葉にの涙腺が緩む。



「どうした?何があった?」



ギュッと優しくを抱きしめるスネイプ。
はスネイプを見上げた。




「あのね、今日はバレンタインなの。
 日本では好きな人にチョコを送るんだ。」



の一言にスネイプの表情が曇る。


「さっきチョコを好きか聞いたのはそのためだったのか?」


「うん。それでね、先生ごめんね。チョコ、食べちゃった。」



悲しそうな顔でヘニャっと笑うにスネイプの胸が痛む。
自分の為に作ってくれていたのだろう。
知らなかったこととはいえ、取り返しのないことをした。




「・・・・すまなかった。」



「先生は悪くないよ。それに・・・・」







がスネイプのローブをギュッと握り締めて言う。





「チョコを食べてもらうより、先生が心配して探しに来てくれた方が嬉しいから。」








自分の言ったことが恥ずかしかったのかスネイプの胸に頭をグリグリと押し付けるを見て
スネイプの表情が緩む。





「先生?仕事はもういいの?」





話を逸らそうと顔を真っ赤にしながらそう尋ねる
スネイプは珍しく笑った。





「先生!何笑ってるのですか?!」




ぶぅと膨れっ面をしてそっぽを向くが可愛くて愛しくて、
スネイプはの髪を撫ぜる。




「すぐに終わらせよう。」




「え?!」




が待っていてくれればの話だが。」





目をキラキラさせて自分を見るの耳元にスネイプが口を寄せた。




「チョコのお礼をしなければなるまい。」





「え?先生、私チョコ・・・?!」




スネイプの顔がに近付き、
の唇の端をぺロリと舐めた。
そのスネイプの行動には只息を呑む。
顔はこれでもかと言うほど真っ赤にそまり、
目には涙までも浮かんでいた。




「今もらった。」



そう悪戯をしたような顔で言うスネイプに
は脱力する。



「おいしかったですか?」





「いや、少しにがいな・・・・」





スネイプは指で自分が舐めた場所を拭う。




「口についてました?」



「あぁ・・・」




頬を撫ぜる手にがくすぐったそうな顔をする。
その様子を見てスネイプは目を細めた。













「どうする?我輩の部屋にくるかね?」















その後、2人がどうなったかは本人同士のみが知る・・・・・







































あとかき


チ・ヨ・コ・レ・イ・ト企画第一弾!
教授夢でございます。
かぁ〜っ;中途半端;
このあとは裏行きになります。きっと。てかなって欲しい。
いや、このサイトに裏は無いのですが。。


この話の筋は『教授がバレンタイン知らないで彼女ショック』
ってものなのですが、
私の一番描きたかった唇の端にチューをここで使いました。
なんかその焦らし方がたまらんのですよ!(熱弁)
しっかし、描きたかった割にはあんま目立ってないけど・・・・・
この調子で第二段ドラコ。がんばります!










くっは〜読ませてもらった時はもう!!
「妄想族」様はキリサが毎日通っているすってきんぐな夢サイト様です。