「それではスタートじゃv」
ダンブルドアのにこやかな笑顔を合図に、挑戦者達は林檎を掴んだ。
+真の勝者は?+
今日はハロウィーン。大広間にはたくさんのかぼちゃランターンが天井を漂い、
オレンジと黒の幕がいたるところに垂れ下がっている。
生徒達はもちろんのこと、教師達も仮装をして華やかにそして賑やかにダンスパーティが催されていた。
突然曲がぴたりと止み、大広間が騒然とする。
「ふぉっふぉっ楽しんでいるかな?諸君。宴もたけなわなところで、本日のスペッシャルイベントじゃ!」
そうにっこりと手のひらをパンと叩くとダンブルドアの前に大量の林檎が現れた。
生徒達は不思議そうに林檎の山を見つめ、教師達は何かよからぬことが起きる前触れと察し顔を顰める。
「これよりホグワーツ林檎喰い競争を行うぞ!」
「・・・・」
会場にシラケた空気が流れる。
生徒達や教師達はイヤそうな表情でダンブルドアと林檎を見つめていた。
「ふむ・・はずしたかのぉ・・v」
静まり返った大広間に長い顎髭を撫でながら、ダンブルドアはキラキラと微笑んだ。
その笑みはまるで皆がシラケるのを予期してたかのように・・・
「参加は自由じゃ。そして優勝者には・・・・」
パチンと指を慣らすと林檎の山の中に玉座が現れた。
そしてそこには先ほどまでホールでダンブルドアの話に耳を傾けていた、
かわいい黒猫の仮装をした少女が驚いた表情でチョコンと座っている。
「・・・にゃ?;」
「なんと!優勝者には!今日の終わりまで・と過ごせる特典付きじゃ!!」
一瞬の沈黙が訪れた次の瞬間、地響きのような大歓声が起こった。
「あのと?」
「一緒に過ごせるのか!」
「え・え;・・あの校長先生?」
は大広間の大歓声に驚きながら傍らに立つダンブルドアを見上げた。、
(私が何って言ったの〜!?)
「アルバス!どういうことですか!生徒を賞品にするなんて!」
マクゴナガルが眉をつり上げてダンブルドアにくってかかった。だがダンブルドアはにこにこと微笑むだけ。
「ほほほv儂の言葉は絶対じゃv」
この時、マクゴナガルの脳裏にダンブルドアの頭を回し蹴りする映像が浮かんだという・・
「挑戦者は前へ!」
ダンブルドアの言葉にぞろぞろと前に集まる人だかり。
「「我が姫君と甘美な夜を過ごせる!」」と二人意気込みながら互いを睨みつけているフレッド・ジョージの双子。
「げっ!兄貴達も出るのかよ!」とイヤそうな表情の双子の弟のロン・ウィーズリー。
「ふふふ、ロン。君に良い思いはさせないよ?」と黒い笑みを称えたハリー・ポッター。
「あら?私だって負けないわよ?」とハリー以上に黒い笑みのハーマイオニー・グレンジャー。
「ふん!良い気になってるんじゃないわよ!グレンジャー!」そうハーマイオニーの肩をどつきながら前に出てきた
スリザリンのパンジー・パーキンソンに、
「パ・・パーキンソン!おまえも出るのかよ!」と驚いた顔のドラコ・マルフォイ。
「子供ばかりに良い思いはさせないよ?」とにこやかにでもドス黒い笑みを浮かべたリーマス・ルーピン。
「顔こえーんだけど;」とルーピンを見やるシリウス・ブラック。
そして・・・
「だいだい部外者の貴様等がなぜここにいる!」とリーマスとシリウスを睨みつけているセブルス・スネイプ。
計十名の挑戦者がの前にぞろぞろと集まってきた。
は困ったようにオロオロうろたえる。
「あ・・あのみんな?わっわたしは・・・」
「「我らが姫君!この僕が守るから安心して!」
「いや・・兄貴達が怖いって・・。僕がんばるからね!」
「ー。一緒に遊ぼうねv」
「安心して?私が必ずをゲットしてあげるわ」
「邪魔よ!グレンジャー!v私が勝ったら一緒に踊りましょう!」
「えと・・僕が勝つからな!」
「ふふ・・ボンボンには負ける気がしないね」
「こえぇ;・・安心しろ。俺が絶対勝つから!おれにおいしい茶淹れてくれなv」
「ミス・。案ずることはない。我輩が必ず勝つ」
と10人の挑戦者に囲まれてはオロオロとするばかり、
大広間に残っていた生徒の大半もじつは林檎食い競争に参加したかったのだが・・・
(あんな顔ぶれに太刀打ちできるか!!)
その騒然たるメンバーに大半の生徒が自分の身を案じた。
あの双子は悪戯常習犯だし、その弟はなんとか負かすことができそうだがロンはチェスの名人だ。
伏線を張り巡らせているに違いない。そしてあのハリーポッターもなかなかのダークホース・・
ハーマイオニーとパンジーも目的のためなら手段を選ばなそうだし・・
ドラコ本人に関しては問題ないが、バックにはあの大物の父親がついている・・
ホグワーツで教鞭をとったこともあるルーピンは、にこやかな表情を浮かべているものの、
さり気なく林檎に毒とか盛りそうだし・・その隣に突っ立ているシリウスも怒らせると血を見そうないでたち・・・
そしてそして!!あの!!スネイプに関しては何も説明するまでもなく!!
そう分析すれば、これはおとなしく傍観していた方が身のためであろう・・
そう多くの生徒が無言に頷き、これから繰り広げられるであろう死闘を心待ちにした。
との一時は捨てがたいが、自分の命はもっと大事!!皆そう同じ意見だった。
賞品にさせられてしまったはというと・・・・
「あの・・なんで・・私が賞品なんですか?;」
とワタワタしながらダンブルドアを見上げた。
は知らなかった。
・
これが彼女の名前だ。そしてじつは彼女が知らない名で皆が囁いている。
「ホグワーツの姫巫女」
ホグワーツでは珍しい日本からきたこの少女は、金髪やブラウンに青やナッツ色目の生徒が
多い中、黒い上品な艶のある腰まで伸びた髪に黒曜石を思わせる澄んだ瞳。
そしてその声はまるで鈴を転がしたようなかわいい声色。
小柄で、誰にでも優しく接する姿にグリフィンドール生ということも関係なく、
同僚の生徒のみならずかの対立しているスリザリン生からも人気が高い。
それは生徒男女問わず、教師にまで・・・
あの陰険で根暗で有名なスネイプ教授でさえ、を目の前にしたら一瞬にして優しい笑みになるのだから
まさにマジック!である。
だが本人は自分がどれほどまでに人気があるのかなんて露知らず。
困った顔をしながらダンブルドアとを取り囲む挑戦者達を見渡した。
ダンブルドアはキラキラと微笑みながらの肩をポンポンと軽く叩く。
「ダンブルドア校長先生・・・」
「ふぉふぉふぉふぉv安心せいvただのゲームじゃげーむv」
校長怖いです。
ダンブルドアはもう一度ににっこりと微笑んで、挑戦者たちを見渡した。
「さて、ここでルールじゃv制限時間は30分!!時間内までに多くの林檎を食した者の勝ちとする。
そしてここは魔法界!!必ず魔法を用いて挑むこと。あぁそうそう、人に向けての魔法は禁止じゃよ?
その時点で失格じゃv」
この時ルーピンが凄まじい勢いで舌打ちをし、隣にいたシリウスが震え上がった。
「林檎を魔法で食べやすいように加工してもよし。それでは位置についてもらおうかのうv」
大広間に緊張の空気が流れた。
魔法を使っての林檎食い競争・・・・
ダンブルドアがにっこりとリー・ジョーダンを手招きした。リーは一瞬首を傾げたが、
すぐ嬉しそうに微笑み、さっとダンブルドアの隣に立つ。その手にはいつの間にかマイクが収まっていた。
[さあさ!!急遽決定した!!ホグワーツハロウィ−ンの林檎喰い競争!!略してホグハロアップル!!
司会を務めますはグリフィンドールのいやさ!ホグワーツの名司会者!リー・ジョーダン!!ホグワーツの姫巫女を手にするのは
一体誰か!!!]
挑戦者達がダンブルドアが一振りしてこしらえた、テーブルに各々着席していく。
互いを睨み合い、ににっこりとアピールをして・・
大広間にいる皆が開始のゴングが鳴るのを、緊張した表情で待っている。
リーは息を大きく吸ってピタリと止めた。そして・・・
[はじめ!!]
高らかに鳴り響いたゴングと共に、挑戦者達は一斉に杖を取り出した。
[おおっと!!挑戦者全員が一斉に杖を取り出しました!!!
お!!我が悪友の片割れジョージが林檎をキャンディーにかえた模様!!
そしてフレッドはグミキャンディーだあ?!]
珍しく2人が睨みあっている姿は、「をこいつにわたすもんか」と必死の様子。
大量の林檎を1つずつキャンディーやグミに変えて必死にほおばる。
ジョージはキャンデイーを舐めるのでなくバリバリにと噛んで食していた。
それぞれが自分の食べすいように林檎を変えてどんどん平らげていく。
ジュースにして飲み干す者、圧縮をかけてフレーク上に変えた者。皆必死の形相だ。
観客からも熱い視線が突き刺さる。
しかし、中盤にさしかかってきた頃・・・・
「うぅ・・・もうだめ・・・」
「苦しい〜・・」
限界を超えたハーマイオニーとパンジーがリタイヤ。
顎が痛くなって顔を顰めてリタイヤをした双子。ロン。ハリー。ドラコ・・・・
そして残ったのは・・・・・・
「う〜んv君たちしつこいね〜いい加減リタイヤしたどうだい?」
にっこりと黒い笑みを同窓生にぶつけながら、アップルパイを口に運ぶルーピン。
彼の隣には綺麗に食された皿が塔をこしらえている。
「ぁあ?うっせー!!」
とこちらは正統派!!胃にブッラクホールの魔法を施して皮ごと被りつくシリウス。
彼の周りには林檎の芯が無残に転がっている。
「ブラック!!食いながらしゃべるな!!!」
乾燥させた林檎を粉末状にすり潰し、紅茶に混ぜて優雅にティータイムをするスネイプ。
口に入れた林檎を飛ばしながら話すシリウスを睨みつけている。
さすが魔法薬学教授、競争も得意の調合並です。
大人三人の壮絶な戦いが繰り広げられ、時間はついに30分を指した。
[そこまで!!]
リーのはつらつとした声が大広間に響く。リタイヤをしたハリー達はげっそりとして
化け物でも見るかのような表情で大人三人を見つめている。
「なあ・・ハリー・・・」
「なんだい?ロン・・・・・」
「俺・・・あの三人より劣っていていいや・・てか勝ちたくない・・・」
「うん・・僕も・・・」
ダンブルドアが細かくチェックする。そして・・・・
「優勝者!!シリウス・ブラック!!!!」
「よっしゃあ!!」
シリウスはにっこりとガッツポーズを取った。大広間からはやや呆れ気味の拍手が沸き起こる。
ルーピンは黒い笑みをドス黒い笑みに変え、スネイプはまるでシリウスの首を絞めるかのように
指を折り曲げしている。
「ーvvv俺のために頑張ったよ〜vvvv」
「・・・・・・・・・・・くぅ・・・・・・・・・すー・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ね・・寝てる・・・・・・・・・・;」
玉座の肘掛にちょこんと頭を傾け、は可愛い寝息をたてて眠っていた。
「そういえば・・、自主研究かなんかでずっと夜遅かったわね。疲れたのかしら・・・・」
そう呟くハーマイオニーの言葉に、シリウスは起こそうとして掴んでいたの肩からそっと手を離した。
「ま・・・かわいいお姫様を起こすなんて愚行はしねえよv」
そうシリウスはの頭を撫でると、ルーピンの部屋へと大広間から出ていった。
時計の針はもうパーティ終了時刻を指している。生徒達はぞろぞろと自分の寮へと帰っていく。
「ミス・・・・起きなさい。寮に戻る時間だ」
大分生徒が引けてきて、自分も自室へと戻ろうとするがまだ玉座で寝ているを見て
スネイプは苦笑いをしながら、優しくの肩を揺すった。
「みゅー・・・・」
は小さい声を上げるが一向に目を覚まそうとしない。
スネイプは小さい溜息をついて、大広間に視線を移した。
「・・・・ちっ・・・グリフィンドールの生徒がおらんではないか!」
大広間には彼女と同じ同僚の生徒は皆出て行ってしまっていた。
同僚の友だちを置き去りに帰るとはなんということだ!!
しかもそれがホグワーツで一番人気のあるならなおさらのこと。
「明日減点にしてくれる」
そう呟きながらスネイプはそっとを抱きかかえた。
「う〜・・・・・・・み?・・・あれ????」
はふと目を覚ました。確か大広間にいて・・・
いきなり林檎食い競争の賞品にされて・・・それから・・・・・・
「起きたかね・・・・・」
「え・・・きゃ///ス・・スネイプ先生!!」
のすぐ上から声がして、は顔を真っ赤にさせて声を上ずらせた。
はそう、スネイプにお姫様抱っこされていたのだ。
「あ・・あの・・先生?私・・・・・・・・!あの林檎の競争は・・・」
そうおずおずと聞いてくるに、スネイプは少し考えて微笑んだ。
「あぁ・・あれか・・あれは全員失格したよ・・・」
とスネイプは心の中でほくそ笑みながら、だれも優勝しなかったとに伝える。
本当はシリウスが優勝したのだが、あんな奴が勝ったなど、誰が言うものか!
はそうですか〜とやんわり微笑むと、少し考えてからスネイプの顔を見上げた。
「それじゃ・・先生?少し付き合ってくださいませんか?」
「?」
「送り火かね?」
「はいv」
裏庭でとスネイプは二人並んで芝生に腰をおろし、目の前のカボチャランターンを見つめていた。
それはもはやランターンの役目を終えたもの。いまは勢いよく燃え盛る炎に包まれて
徐々にその形を崩していく。
が言うにはこのカボチャに幼い頃なくした母親を思って作ったのだという。
ランターンのに灯された炎を、母親だと思って。
だからハロウィーンが終わる頃にカボチャランターンを燃やして、母親の思いを空へ放つのだと・・
ハロウィーンは日本で言う盆のようなものだとどこかで聞いたことがあった。
彼女の国ではハロウィーンはとくに何をするということはないという・・
「へへへ・・・やっぱりおかしいですかね・・カボチャに大切な人の魂を重ねるのって・・」
そう、はにかみながら微笑むの横顔が酷く儚げに思えて・・
スネイプはそっとの頭を撫でて「いいや?」と小さく首を振ってみせる。
は頬を染めて「へへへ」と笑った。
「実は困ってたんですよ〜!いきなり賞品にされてしまって・・このカボチャ燃やせなくなっちゃうから・・」
「そうか・・」
「先生v付き合ってくれてありがとうございますv」
「?我輩は別に・・・」
「一人じゃ・・怖かったんですよ・・・でもかといって誰でもいいというわけじゃなくて・・
スネイプ先生が一緒にいてくださって本当に助かりましたv」
そうにっこりと微笑むに、スネイプは頬を染めて頷いた。
競争には負けはしたものの、の大切な時間に付き合うことができたスネイプが
真の勝者なのかもしれない・・・
「〜vvv昨晩の競争!!俺が優勝したんだぜ〜vvvご褒美くれよ〜vv」
翌朝、大広間で朝食をとるの隣にシリウスが滑り込んできた。
ルーピンはドス黒い笑みを、ハリー達は鋭い視線をシリウスに突き刺すが、
本人は「負け犬の戯言」というようにに抱きついた。
「えー?シリウス?昨日の競争誰も勝たなかったてきいたよ?」
「な!!なんだって!!誰がいった!!!」
「朝からやかましい奴だ。静かにできんのか」
「んだと?・・・・・そうか・・てめえだな・・・・・スネイプ!!」
そう大広間に入ってきたスネイプは冷たくシリウスを一瞥する。
でも馬鹿にしたような表情にシリウスの目が鋭くなった。
ガタッ!!
と勢いよく立ち上がるシリウス。ガッとスネイプの胸倉を掴んだ瞬間・・
ドカ!!
シリウスは何者かによって吹っ飛ばされた。
そこには・・・
「いやあ〜そうなんだよ〜v昨晩はだあっれも完食できなくてさあv」
先ほどまでホットチョコレートに舌鼓打っていたルーピンが、シリウスを突き飛ばしてに微笑んだ。
ハリー達も「そうそうv」と相槌を打つ。
「な!!何言ってるんだ!!リーマ・・・がふっ」
シリウスは険しい表情で起き上がったが、ルーピンが放り投げたマグカップが頭に直撃、
再び床に倒れた。
「いやー!!やはりは皆のものだからね〜vv」
「独り占めは許せないわよ!!」
「そうそうvvさっvv朝食食べましょうvv」
の周りにはいつもいろんな寮の生徒が集まる。
グリフィンドールの寮席だというのに・・はシリウスのことが気になりながらも
ハーマイオニーに引っ張られて席についた。
席につくときふと教員席に目をやれば、優しく微笑んでいるスネイプと目が合い、
もにっこりと微笑んで席についた。
それからたびたび、スネイプの部屋にが通うようになったのはまた別のお話。
いまだにハロウィ−ン気分・・更新遅れもいいところです・・本当に申し訳ありません。
リクエスト企画夢。第三段は林檎食い競争の賞品になってしまったヒロインのお話、。
人出すぎ(死)
全くです。しかも語句をちゃんと生かせなかった・・・うぅ・・
このドリームのリクエスト語句は
琉嘉 様→「猫」
ゲドルグ様→「悪戯」「魔法薬」
ミワコ様→『賞品』
風紀 伝 様→「Bobbing for apples(林檎喰い競争)」
来栖 星香様→『炎』『
あきら様→ 「グリフィンドール生」
の方々にリクエストしていただいた語句を使わせていただきました。
このドリームはハロウィーン企画にリクエストしてくださった
純貴八夜 様・琉嘉 様・ゲドルグ様・ミワコ様・風紀 伝 様・皇月 輝夜様
来栖 星香様・さゆり 様・あきら様・坂下美咲 様・雪姫 様・佐伯 しあ様
の皆様のみお持ち帰りができます。