「星空への誓い」
Happy Halloween!Happy Halloween!Happy Halloween!
and・・・・・
「ハッピーバースディ!!」
「へへーありがとぉ〜v」
は嬉しそうに微笑んだ。今日はハロウィーン。秋の収穫を祝う日。
子供達は思いおもいに仮装してお菓子をもらいに練り歩く。そしてこの日はにとって特別な日。
自分の誕生日、初めて魔法を使えた日、そして・・・
大広間では盛大にパーティが催されていた。
も同僚生のハーマイオニーやジニー達と過ごす。
この日作られた天井まで届くほどのパンプキンケーキはまるでクリスマスツリーのよう。
オレンジ色のフワフワのスポンジケーキにたっぷりの生クリーム、トッピングはカボチャや蝙蝠を模したチョコレート。
しかもどんなに食べても減ることはなくまたすぐに元の形へと戻る。
そんなパンプキンケーキを皿に盛りつけながら皆と楽しく過ごす。
ハーマイオニーやジニー、生徒達は皆仮装をしているのに、だけはいつもと変わらないホグワーツ制服。
それは彼女がここホグワーツに入学してから毎年のこと。最初は首を傾げていた友人達も彼女が三年生になるころはもう見慣れたことで。
だけど彼女はその理由を決して話そうとはしなかった。
「あれれ、セブルス。が大広間から出ていってしまったよ?」
教員席で生徒達と談笑していたルーピンが、大広間から出ていったを見つけてそっとスネイプに言った。
スネイプはちらりと大広間の扉を見やると何も言わずに席を立ち、大広間から出て行く。
その姿を不思議そうに見つめていたルーピンだがやがて思い出したように頭をかいた。
「あぁ・・しまった。そうだった・・・・・」
裏庭のベンチではキュッと自分の膝を抱いていた。
裏庭にもカボチャのランターンがユラユラと揺れている。
「お母さん・・・」
がぽつりと呟いたその言葉は、静まり返った裏庭に十分に響きわたった。
サクサクサク
芝生を踏む音がしてはハッと顔を上げた。
彼女の前には全長三十センチほどの白いクマのぬいぐるみが立っていた。
「??ぬ・・いぐるみ?」
少し驚いたように目を見開くの元にひょこひょこクマが歩いてきて、ちょこんとの膝に座り乗る。
心配するように首を傾げてそっとの頬を撫でる。
「うん?泣いてなんかないよ?」
は赤く腫らした目でにっこりと微笑むとクマのぬいぐるみを抱きしめた。
「・・っ泣いてなんか・・ひっく・・ないよ?」
ぬいぐるみをぎゆっと抱きしめた肩は微かに震えていて・・・
「泣かないでおくれ」
フワリとを抱き寄せる感覚と耳に優しく響くバリトンがを包んだ。
は涙を拭くことも忘れバリトンの持ち主を見上げる。
「スネイプ先・・・」
「今夜はかまわん」
「・・・・・・・・・お父さん・・」
スネイプはの涙を拭いながらフワリと微笑んだ。
父親の微笑みにもぎこちなく微笑み返す。
ハロウィーンはの誕生日。そしての母親が死んだ日。
は母親のことが忘れられずにホグワーツを入学してからハロウィーンの夜、
パーティをこっそり抜け出しては裏庭で一人泣き伏していたのだ。
そのことは父親であるスネイプも知っていることで。がこの日こっそり抜け出すと追いかけ何も言わずにそっと抱きしめた。
そして今夜も母親を思ってこっそりと泣くを抱きしめる。
スネイプにとってもハロウィーンは苦しく消せぬ思い出がある。の母親、つまりは自分が愛した妻との死別。
そして決して仲が良いとはいえなかった同窓夫婦の死。泣きたいのはだけではない・・・
ポタ・・・・・
の瞼に一滴の雨が落ちてきた。
不思議そうにに顔をあげれば父親の目からもきらりと滴が光る。
「お父さん・・・・?」
「っ・・・泣くなと言った我輩泣くとはな・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・ううん・・・・・・・・」
は悲しそうに微笑むとそっとスネイプに抱きついた。
スネイプもぎゅっとを抱き寄せる。
どれくらいそうしていたのだろうか、2人の銀の雫はやがて最後の一滴を落とした。
「ここは冷える、そろそろ広間に戻りなさい。友達も心配しているだろう」
スネイプはそういいながら立ち上がると、儚げに微笑みながらの手をとってたたせた。
は小さく頷くと、その大きな手に自分の小さな手を重ねる。
数歩歩いた所で、スネイプは何か思い耽っているように立ち止まった。
「?お父さん?」
「・・・・・・・ふっ・・・」
「なあに?」
スネイプは優しい笑みでの頬を撫でると、懐から杖を取り出して裏庭に向かって一振りした。
カボチャランターンに照らされて、現われたのはの大好きな淡いピンク色の薔薇達。
サラサラと軽い音を立てながら裏庭を薔薇で埋め尽くされていく。
驚きに目を見開いている、の横に屈みそのあどけない顔を覗きこむ。
「Happy Birthday・・・」
そう耳元に囁いて、薔薇のように淡いピンク色に染まった頬に小さい口付けを落とす。
から再び零れた銀色の雫は、悲しみの色ではなく
「ありがとうvお父さん!!」
は目を潤ませながら微笑むと、自分に合わせて屈んでいるスネイプに抱きついた。
突然の出来事にスネイプはバランスを崩し、芝生の上に背中をつく。
「・・・・・・」
「へへ・・ごめんなさい・・だって嬉しくてv」
「そうか・・それはよかった・・・」
そう、起き上がろうとしたスネイプだが、ふとの腕をひっぱり自分の隣へと寝転がす。
小さい悲鳴を零すに微笑みながら、そっと真上に広がる夜空を指さした。
「わあ・・・・」
そこには満点の星空・・・・そして星空をバックに写りこむ裏庭に咲き誇るピンクの薔薇・・・
あまりの美しさには感動の溜息をついた。
しばらく2人、薔薇に彩られた夜空を見つめていたが、は何か決心したようにぬいぐるみを抱きしめる。
「お父さん」
「ん?」
「もう・・・・・泣かないから」
「・・・・・そうか」
「この星空に誓うの」
「そうか」
「最高のお誕生日プレゼントだねv」
「だろう?」
裏庭に寝転がる親子にとって、悲しみまみれのハロウィ―ン。
けれども、の心はすがすがしく晴れ渡っていた。それは父親も同じことで。
「では我輩もこの星空に誓おう」
「これからは楽しいハロウィーン?」
「そうだな」
にっこりと微笑み合う親子の上空に流れ星が一つ流れた。
ハロウィーンリクエスト企画の1作目は親子ネタ(どーん)
使わせていただいた語句は
純貴 八夜様→「グリフィンドールの娘」
琉嘉様→「誕生日」「星空」
皇月 輝く夜様→「バラ」
あきら様→「超特大パンプキン」
ミワコ様→「ぬいぐるみ」
坂下 美咲様→「かぼちゃランターン」
の方々にリクエストしていただいた語句です。
「グリフィンドールの娘」という語句ですぐさま親子ネタを思いつき、
母親(妻)をおもう親子を・・・・ハロウィーン企画UP前にしてネタが浮ばない
状況に陥って・・こう・・いっぱいいっぱいなドリームになってしまいました・・(とほほ)
このドリームはハロウィーン企画にリクエストしてくださった
純貴八夜 様・琉嘉 様・ゲドルグ様・ミワコ様・風紀 伝 様・皇月 輝夜様
来栖 星香様・さゆり 様・あきら様・坂下美咲 様・雪姫 様・佐伯 しあ様
の皆様のみお持ち帰りができます。