ニタリと笑うランタンが天井にフワリと揺れている。
窓の外は漆黒の闇に閉ざされ、細い三日月が一つまみの恐怖を植えつけるように美しく輝いている。
そんな、外の静けさと打って変わってここはとても賑やかだった。
大広間では生徒や教師達の笑い声が響き、楽しげな音楽が流れている。
煌々と光輝く無数のランタンは、心地よい穏やかな風合いに大広間を照らす。
今日はハロウィ―ン。ここホグワーツでは生徒達はもちろん教師達も思い思いの仮装を施し
ダンスパーティが行われていた。
「うわうわー!!本物蝙蝠まで飛んでるよーvvv」
黒い髪の少女は顔をほころばせながら、天井を仰いだ。
まるで本当にわらっているかのように、フワフワと浮いているカボチャランタンの横を
旋回したり、宙返りしながら蝙蝠が飛んでいる。
「もうっ、!!そんなことよりも踊りましょうよ!!!」
天井を仰ぐ少女の腕を、呆れた顔で緩やかな栗色のウエーブ髪の少女が引っ張った。
半ば引きずられるようにして、ダンスホールへ向かう少女2人。
と呼ばれた少女は、痛みに顔を歪めながら手を引っ張る少女の肩を掴んだ。
「いたい〜!!いた〜い!!ハーマイオニー〜〜〜」
「あら?ごめんなさい。だって、せっかくのハロウィーんダンスパーティなのに、
ったらずっと天井見上げたままなんですもの!!踊らなきゃ!!!」
ハーマイオニーは栗色の自分の毛を一房指に絡ませながら、プウッと頬を膨らませた。
フワフワの黒のスカートがふんわりと揺れ、レースの裾から見える足が上品そうに見える。
ヘッドドレスには可愛いカボチャのマスコットをつけたハーマイオニーはポケーとしているに
微笑むと、今度は優しく手をとって「踊ろうv」とダンス広場に駆け出した。
大広間にいる全員が楽しそうに顔を綻ばせて・・・・はいなかった。
教員席にひとり、ものすっごーっく不機嫌そうな表情の教師が一人不機嫌そうに紅茶を口に含んでいた。
スネイプは本来なら!!食事が終わり次第すぐ自室に帰って読書に没頭したかったのだが
「セブルス・・・たまには最後までいてはどうかのvv」
とダンブルドアの温かい・・・いや・・というよりも
「いなきゃ、クビじゃv」
的オーラをぶっ放され、留まる羽目になってしまったのだ。
そんなスネイプはもちろんいつもと変わらない、普段通りの黒い服。
それでもいつも羽織っているマントがハロウィ―ンぽさを演出していて。
苦々しくダンスホールを睨みつけながら、ちらちらと腕統計を見やる。
まだ、一向にパーティーは終わりそうにない。
深い溜息を吐き落とし、テーブルに肘をつきながら、手に額を置く。
なぜ!我輩がこんなくだらん仮装祭りに参加せねばならない!!!
ダンブルドアなら我輩の性格・心境くらい読めるだろうが!!
そう心の中で盛大に悪態をつき、再びダンスホールを睨みつけた。
そこには・・・・・
全身オレンジ色ローブに蝙蝠のアップリケ。・・・のダンブルドアが愉快なステップを踏んでいた
そしてずっと見張っていたかのように、スネイプにウインクしてみせる。
それはもう
「ふぉっふぉっふぉっ返さんぞえ?」
と言わんばかりなキラキラとした毒のある笑みで!!!
「ちっ!!おめでたタヌキじじい・・・」
スネイプはピキッと額に青筋を立て、苦々しく呟きながらダンブルドアから視線を逸らした。
退屈で苦痛な時間ほど、ゆっくりと過ぎていく。
ほかの教員も皆ダンスホールへと繰り出し、教員席にはスネイプだけしかいない。
くそっ・・・・・早く終わらんか!!
「にゅv」
そう両手を額において、苦痛と格闘するスネイプの耳になにか動物の鳴き声が聞えた。
"ふっ・・・苛立ちのせいでついに幻聴が聞え始めたか"
「にゅ〜v」
"これもすべてダンブルドアのせいだ。存分に慰謝料請求してやる!!"
「みゅ〜にゅv」
"思えばここで教鞭をとって早10年・・なんともくだらん人生だったことか・・・・"
「にゅっにゅーvvv」
ゴン!!
「ぐっ」
テーブルに付いていた肘が忽然と支えをなくし、スネイプの上体は急に落下した。
そして、響き渡る鈍い音。
大広間には笑い声や音楽が流れていたために注目を浴びなかったのは唯一の救いだったかもしれない。
やがて、額に湧き水のように起こる痛みに目の前で声を殺すような笑い声・・・・
どうやら目の前で声を殺し笑っている人物に見事な足払いならぬ手払いを喰らったようだ・・・・
いまだテーブルに額をくっつけたまま、スネイプは引き攣ったような笑みを浮かべた。
「ほおう?どこのどいつだかわからんがやってくれたではないか・・・
我輩は今、最高に機嫌が悪い。覚悟はおありか?」
そうねっとりと囁きながら、ゆっくりと顔を上げる。
"100点の減点と処罰をくれてやる!!!"
だが、顔を上げたスネイプの表情が途端に驚きの表情へと変わった。
「にゅにゅにゅ〜vvvすごい音がしましたね〜vvv」
そこには可愛らしい黒い小猫が尻尾をゆっくりと揺らしながら、笑っていた。
黒い髪をキラキラと揺らし、肉球の手でいたずらっこのように頭を掻く。
少し大きめの耳にはハロウィーンを象徴するカボチャの小さなマスコットをつけて・・・
「ミス・・・・・・・君だったか・・・・・・・・・・・何をするか」
緩みそうになった頬キッと引き締め、少し睨みつけるようにをみやる。
ははにかみながらシュンと肩をすぼめて「ごめんにゃしゃい」と謝る。
その仕草がなんとも言えずかわいい・・・
・・・・憎たらしいグリフィンドールの生徒だが、天然とそのかわいらしい笑顔に
多くのファンがいるらしい・・・そういう我輩も・・その・・なんだ・・・
・の虜であったりするわけで・・
おもむろにがファーで作られた猫手で、スネイプの額を擦った。
あまりのできごとに目を見開いてしまう。
「痛いの痛いの飛んでけ〜vvv先生?まだ痛い?」
"今時そんなまじないをだが・・なんとも・・うむ・・・・・"
「先生〜?」
"ほう・・笑うとエクボが出来るのだな・・・いい・・・"
「むうっ!!」
むに
自分の問いかけに全く反応しないスネイプには頬を膨らませて、肉球つきの指で
スネイプの眉間を押した。ハッと我に返ったように目を瞬くスネイプ。
「なっ何かね!?」
「むう〜!!もうっ!何度も話しかけているのにぃ〜!!」
グリグリグリと眉間に指を押し付けられて、スネイプは少し顔を歪めた。
するとスッとの指が眉間から離れる。の顔を見やればニッコリと
微笑むのすがたが・・・・・・
「センセvおーどろvv」
退屈で苦痛だったハロウィーンが楽しいと思えた瞬間だった。
オチがねえ・・・・(遠い目)
なんとなくひさしぶりなギャグ?しかも未遂?
えぇ・・もう教授に手払いをやりたかっただけですね・・(逃亡)