撥沢様に捧げる押し付けドリーム
「憧れの監督生」
「ちょっとドラコ!ちゃんと持ちなって!」
「っつ!わかってる!」
ホグワーツ廊下、二人のスリザリン生が大きな箱を運んでいた。
一人は五年生のドラコ・マルフォイ。
マルフォイ家といえば、魔法界で知らぬ者などいないほど有名な家名である。
代々、受け継がれる純血を誇りに、その家に生まれた者は物心つくかつかない内から貴族として、
厳しい英才教育を受ける。それはドラコも同じことで。
そんな高貴の出であるドラコが必死の形相で箱を担いでいた。
「だいたい!なんで僕がこんな物を運ばなきゃならない!!」
辛そうに息をしながらドラコは少し前を歩いている生徒を睨みつけた。
「はいはい!文句言う余裕があるならしっかり持つ!ほらっ腰が曲がってきてるわよ!」
「!だいたいなんでお前の方が荷物小さいんだよ!」
「あら?女性に優しいものね♪ドラコはv」
「・・・っち」
すらりとした大人びた顔をしたスリザリン女子生徒がにっこりとドラコに微笑んだ。
彼女の名前は・。7年生でスリザリン監督生である。
彼女はホグワーツがあるイギリスから遠く離れた日本という国からきた魔女だった。
の家もマルフォイ家同様、有名な家である。
魔法使いというよりも、占術や式神といった使い魔を操る陰陽師というものだが。
彼女もまた純血と呼ばれる一族だった。
スリザリンといえば、俊敏狡猾・目的のためには手段を選ばない寮で有名だ。
寮監をはじめほとんどの生徒がその教訓まる写しで。
だが・に関してはどれもスリザリンに似つかわしくなかった。
すらりとした長身にショートの黒い髪。
ここまではまあいいとして、はきはきとした口調に寮関係なく誰にでも明るく優しく接する姿勢。
スリザリン以外にも友人が多く、とくにグリフィンドールに多い。いたずら好きのあの双子ともたいへん仲が良くて。
だがそれでも同じスリザリン生から疎まれることはなく、憧れの監督生として男女問わず多くの隠れファンがいるとか。
生徒だけではなく教師からもホグワーツ史上稀な模範すべき監督生として、一目置かれている。
だが、それだけに留まらず、彼女の心を掴みたいと願っている生徒と教師もいたりして。
ドラコもの心を掴みたいと願うその一人であった。
彼女が廊下を歩いているだけで熱い視線が集まる。
それは今現在進行系・・・
「さん!どうしたんですか!その荷物!」
「重そうですね!持ちますよ〜」
後でヒーヒードラコは完璧に無視をされる始末。哀れ・・ドラコ・・・
「思ったのだが・・」
「何かね?ドラコ君♪」
「魔法で運べばよかったんじゃないか?」
「うん♪」
「おい!」
「でもねーこれねー?スネイプ寮監に頼まれた薬草や液薬なんだよ〜
ほとんどガラスやクリスタル瓶だから、割ったら大変だしさ♪」
「・・そうか」
「そうなのさ♪」
「さん!こんにちは!」
「おっハリー!こんにちは〜」
十字路でとドラコはばったりとハリーに出くわした。
ハリーの少し後ろの方でロンとハーマイオニーがいて、を見付けると笑顔で走り寄ってくる。
ドラコはおもいっきり顔を歪めたが達は気付かなかった。
「さん!今度の日曜日空いてる?」
ハリーがキラキラと目を光らせて聞いてきた。
「日曜日?」
「そうなの!今度の日曜日ホグズミードに行くの!」
「新しいお店ができたんだよ!兄さん達も行くんだ!」
ロンとハーマイオニーもにっこりとしながらを見上げる。
が笑って口を開いた瞬間、
「何馬鹿なことを言ってるんだ、ポッター」
後を振り返ると冷たい笑みを浮かべるドラコがいた。
その瞬間の顔が曇る。
ハリーはムッとした表情でドラコを睨み返した。
「なんだいたのか、マルフォイ気付かなかったよ」
「ふんっ、めでたい奴らだな。がなぜお前達と行かなきゃならない。
は我がスリザリンの優秀な監督生だ。お前らとは違うんだよ」
「そんなの、関係ないわ!」
うすら笑いを浮かべるドラコを睨みつけながら、ハーマイオニーが唸った。
「黙れっ穢れた血め!」
「なっ!この隠険な青白家系が!」
ロンがカッと顔を赤くして怒鳴り、ドラコに一歩踏み出した。
「ふんっ貧乏人は吠えてろ。知っているよ・・ウィズリー。
お前の父親の月の給料。よく学校にこれるなぁ〜」
「っつ・・」
「マルフォイ!お前の父親はなんだよ権力を逆手にやりたい放題やっている偽前者だ!
それにあの母親の顔!生きているのかい?」
「母上を侮辱するなっ!」
「いい加減にしろ!!」
ドラコとハリーが同時に杖を抜いた瞬間、廊下中に怒鳴り声が響いた。
が二人の腕を捻り上げる。ドラコとハリーは痛みで顔を歪めた。
カランと冷たい床に杖が落ちる・・・
「まったく、なんだ!こんな程度の低い争いで杖を持ち出すなんて!ドラコっ!ハーマイオニーになんてことを言う!
お互いの家をけなしあって何になる!ハリー、ロンあなた達もよ!」
はドラコ・ハリー・ロンを厳しく睨みつけた。
一瞬にして黙るハリー達。
「何の騒ぎだね」
冷たい声が響いた。
不機嫌そうに眉間に皺を寄せた、スネイプがつかつかと歩いてくる。
勝ち誇ったように笑うドラコにおもいっきり顔を歪めるハリー達。
だが・・・・
「いえ、たいしたことではありません。スネイプ寮監。ただの言い争いです」
がスネイプに一歩踏み出しそう答えた。
スネイプはの言葉に頷きながらも、ハリー・ロン・ハーマイオニーを冷たく見据えた。
「我輩はてっきり・・・また彼等が我輩の生徒にちょっかいを出したのかと思ったのだが・・・・」
漆黒の瞳が渦巻くようにハリーを見据える。
ハリーは一瞬眉を顰めて、スネイプを睨みつけた。
「いえ、今はミスター・マルフォイが仕掛けました。ですが子供の言い争い、
十分に注意をしておきましたので、減点ほどでもないです」
はニッコリとスネイプに微笑んだ。
スネイプはの笑みにつられて優しく微笑み、再びハリー達に針のような視線を突き刺す。
「君が言うのならそうなのだろう・・・・ミス・にミスター・マルフォイ、
荷物を研究室まで持ってきてくれ」
そういうとスネイプはサッとマントを翻して、地下の研究室へと早足で歩いて行った。
「!なんで止めたんだ!!ポッターと決着つけるチャンスだったのに!!」
「いやだよ、ドラコ?ハリー達を嘲け笑う時の顔。ドラコらしくない・・」
「?」
ハリー達と別れて再び廊下を歩くにドラコが納得いかないというように声をあげた。
は立ち止まり静かにドラコへと振り返る。その悲しそうな表情に一気に胸が高鳴った。
「ドラコもハリー達も大切な友だちなんだ。仲良くしろとは言わない。でもお互い怪我することはやめてほしいんだ」
そんなにドラコは胸がチクリと痛んだ。
友だち・・・そうだよな。にとって僕は後輩・・・・「友だち」それだけの存在しかないよな・・・
やっぱり・・年上か同い年がいいのだろうな・・・・・
「で・・・日曜日あいつらと行くのか・・・・・?」
ドラコは力ない声で軽快に前を歩くに語りかけた。
あいつらと・・・きっと貴女は行くのだろうな・・・
貴女はこの学校で人気があるから、誰とでもうすぐ打ち解けれるから・・
あいつらとじゃなくても、きっと他の奴と出かけるんだろうな・・・・
「うーん・・・予定ないしな〜」
ほら・・行くのでしょう?
「うーん・・ホグズミード・・・・・」
あいつらと・・・
「新しいお店・・・気になるなあ・・・・」
もしくは他の誰かと・・・
「ドラコは?」
僕なんて恋の対象にはならない・・・
「ドラコ!!」
「え?」
いきなり怒鳴るにドラコは驚いて立ちすくんだ。
は苦笑いしながら溜息を吐く。
「まーったく、聞いてきて話耳に入ってないて、私への挑戦かな?ドラコv」
「いや・・その・・・・すまん・・・」
「まあ、いいかvで?ドラコは日曜はどうなの?」
「・・・別に・・何もやることはないから、部屋で―」
「おっしゃ!決まり!!!」
「は?」
はニッコリと笑って、再び歩き出す。
何が決まりなんだよ・・・・
「今度の日曜は、ドラコと出かけよう!!!」
「え・・・・」
僕と?僕でいいのか?
「あれえ〜?イヤ?」
「い・・いいや!!いいだろう。日曜日な・・・」
ドラコはほんのり顔を赤くして、頷いた。
やった・・・・
「どうせなら、クラッブにゴイル!パンジーも誘おうかvあとアカーシャもさー!!」
「う・・・・うん・・・・・」
自分はと2人で行きたかったのだけど、突っ込みたかったが
嬉しそうに微笑むの顔をみてドラコもやんわりと微笑んだ。
「まっ・・いいか」
あいつらじゃなく、この僕を選んでくれたのだから・・・
それでもいつかは、君と2人で―
〜おまけ〜
「ご苦労だったな、二人とも。ミス・、この前君に頼まれた研究資料が隣の部屋にある。持っていってくれ」
「あっはい!ありがとうございますv」
が隣の部屋に入って行くのを横目で送り届けると、
スネイプは声を潜め、ドラコを睨みつけた。
「マルフォイ、は渡さんからな」
スネイプの目がギラリと光る。
一瞬強張ったドラコだがと聞いてキッと睨み返した。
「それは僕も同じことです。スネイプ先生といえどもこればかりは譲れませんよ」
お互い交わされた視線に火花が散る。
「ほう・・我輩にたてつく気かね。年下の男恋人など、はやらんな」
「先生こそ、年を分けまえたらどうです?生徒相手に」
「ふん。ならば競ってみるかね」
「望むところ!」
「えっ♪何?なんかゲームでもするんですか!!」
隣の部屋から出てきたが、「競って」という言葉を聞き付け、目を輝かせた。
「私もゲームやるぅっ!」
とニッコリと笑うに二人は頬を染め、お互いを睨みあった。
ドラコとスネイプの中で今、高らかにゴングが鳴り響いた。
ドラコの苦戦はまだまだ続きそうです。
こんにちは!司さん!!
司さんのドラコ夢を拝見して、自分もドラコ夢書きたくなってかいてみました。
初のドラコ夢・・なんかもうだめだめですが・・・
押し付けちゃいました!!ヒー!
もう!煮るなり、焼くなりしてください!!