「赤い目の悪魔」
「以上の者に卒業の証を授ける」
ホグワーツの大広間、胸に卒業の証のバッジをつけた生徒達の前でダンブルドアはにこやかに
笑った。ハリー・ロン・ハーマイオニーそしてドラコは希望に満ちた瞳でダンブルドアを見つめる。
大広間にいた誰もが、希望という未来に夢を託していた。
だが、そんな式に一人不安に表情を曇らせて人物が一人・・・・
スネイプは冴えない表情で、卒業生席にたった一つ空いた空席を見つめていた。
その席はの席・・・
いくら待てどもは現われなかった・・・の身になにかあったのではないか・・
あの魔女はを返してくれないのではないか・・・落胆の溜息を落とすスネイプに、
隣にいたマクゴナガルも表情を曇らせる。
「セブルス。気持ちはわかりますが、今は卒業式に集中しなさい」
「・・・・・・・はあ・・・・」
冴えない返事をするスネイプに、マクゴナガルは不安そうな表情でダンブルドアを見つめた。
一瞬チラッとスネイプを見ると、ダンブルドアはにっこりと卒業生を見つめる。
ハーマイオニーは隣のの席を見つめて、小さな溜息をついた。
ダンブルドアから卒業式には戻ってくると聞いていたので、とても楽しみにしていのに・・・・。
二年も行方知らずだった親友・・ハリーやドラコ達皆がの帰りを楽しみにしていたのだった。
けれども、が大広間に入ってくる気配は全くなかった。
そして、式が終わり、ダンブルドアが手をかざすとテーブルにはたくさんのご馳走が現われた。
「ホグワーツ最後の宴会じゃ!皆心ゆくまで楽しみがよいv」
ドン!!!
ダンブルドアが言い終わらないうちに突然大広間の扉が、大きな音をたて吹き飛ばされた。
轟音と地響きに、誰もが何が起こったかわからないというような顔で扉の方を見つめる。
舞い上がった煙の中から、数人の黒い影が現われた。
先頭の人物が大広間に入ってきた瞬間、ハリーは凄まじい形相で立ち上がった。
「お前は!!!!」
「さあ・・・お楽しみが済んだ所で地獄をみてもらおうか」
そこには数人の死喰い人を従えたヴォルデモートが、不気味な笑みを浮かべて立っていた。
スネイプもガッと立ち上がり、生徒達をかばうようにヴォルデモートに立ちはだかる。
突然の出来事に混乱を起こす生徒達。
ダンブルドアは険しい表情で、ヴォルデモートを睨むと、杖を取り出して生徒達に掲げた。
その瞬間、杖先から柔らかな光がほとばしり、あっという間に生徒の姿を消した。
「トム・リドルよ・・まさかここまで乗り込んでくるとは思わなかったぞ・・・」
わしの大切な生徒達には指一本触れさせん、皆寮に閉じ込めたからの」
「俺様をそんな名で呼ぶな!!・・ふん・・・まあいい・・・俺様の花嫁を迎えに来た。
いい加減に返してもらおうか」
ヴォルデモートは不気味な笑みを浮かべながら、ぎらりとスネイプを睨みつけた。
ダンブルドアとマクゴナガルもスネイプの隣に立ち、ヴォルデモートを睨みつける。
一瞬、死喰い人達がが身構えたがヴォルデモートがそれを手で軽く制した。
「だれが貴様の花嫁だと?」
スネイプはヴォルデモートを睨みつけながら唸った。
一瞬ヴォルデモートとスネイプになんとも言いがたい、緊迫とした空気が流れる。
「先生!!!」
背後から声がして、ダンブルドアは固まった。
ダンブルドアの後ろには他の生徒達と姿を消したはずの、ハリー・ロン・ハーマイオニーそしてドラコが立っていたのだ。
「ハ・・ハリー!!皆まで何しにきたのじゃ!!」
ダンブルドアが慌てて振り向いた瞬間、鋭くヴォルデモートの目が光った。
ザッと杖を取り出す姿に、スネイプはハッとしてダンブルドアを突き飛ばす。
「校長!」
「!!?っぐ!!セブルス!!」
ハッとして振り返ったがダンブルドアはスネイプによって突き飛ばされ、ヴォルデモートから発せられた魔法が
スネイプに直撃した。大きな爆発音とともに吹き飛ばされるスネイプ。
「セブルス!!」
「スネイプ先生!!!」
「・・・・つ・・・だ・・・大丈夫だっ!!」
慌てて駆け寄るダンブルドア達を制して、立ち上がるとスネイプはキッとハリー達を睨みつけた。
「っ・・・貴様らっなぜ戻ってきた!!・・ぐっ・・」
腹部に激しい痛みが走り、押さえ込みながらかがむスネイプのを慌ててドラコとロンが支える。
「だって!!じっとしていられなかったんだ!!!」
ハリーは怒りに口を震わせながら、スネイプを見つめた。
スネイプは鋭くハリーを睨みつけたが、ドラコとロンの手を制して立ち上がるとダンブルドアへと向き直った。
ダンブルドアは険しい表情を浮かべながらも小さく首を振る。
スネイプは再びヴォルデモートを睨みつけると、ヴォルデモートへと足を踏み出した。
「貴様なぞには渡さん!たとえこの身が滅びようともな!!」
一瞬、ヴォルデモートの顔が酷く歪み、彼から身の毛もよだつほどの恐ろしい気配が漂った。
だが、スネイプは怯むことなくヴォルデモートを睨みつける。
ダンブルドアはそんなスネイプを真っ直ぐに見つめていた。
「ふん、裏切り者がよく吠える。それはそうと我が愛しのはどこに隠した?
先ほどの中にはいなかったな・・・・」
ヴォルデモートは指を口元にあて、まるで探るようにスネイプの顔を覗きこんだ。
まるで蛇が獲物を取り囲むように・・・スネイプは震えそうになる体を必死に押さえ込み、
悟られないようにキッとヴォルデモートに反抗の視線を送り返す。
「ほおう・・・お前はまだ、元主人に歯向かうか・・・・」
スネイプの体に冷たい電撃が走る。
ヴォルデモートの冷たく細い指がスネイプの首を締め付けた。
片手だというのになんとも強い力・・・
「セ・・セブルス!!トム!やめるのじゃ!!」
「黙れぇ!!!」
慌てて、杖を取り出すダンブルドアにヴォルデモートの怒鳴り声が響いた。
それと同時にヴォルデモートの杖から赤い光がほとばしり、ダンブルドア達をめがけた。
ヴォルデモートはぎらりと目を光らせ、顔を歪ませながら笑うと静かに口を開く。
「俺様の名はヴォルデモートだ、覚えておけ死にぞこないが。
安心しろこいつの後はお前達だ・・・・・」
そして、スネイプの顔を覗きこみ、首を掴む手に力をこめる。
「・・・っつ・・・・ぐっ・・・・」
細い腕からは想像も出来ぬほどの腕力で、ぎりぎりとスネイプの首を締め付ける・・
スネイプはわずかに動く腕をなんとか動かし、ヴォルデモートの腕を掴み払った。
「ごほっ・・・そう・・やす・やすと・・くっ・・殺されてたまるかっ」
先ほどダンブルドアをかばった時の痛みと重なり、スネイプは立っているのがやっとで
それでも鋭い眼光は失わず、しっかりとヴォルデモートを見据えた。
だが、にやりとヴォルデモートの口端が醜く歪む。
ゆっくりと杖を胸に構えて・・・・・
「は闇の帝王である我が妻となる。それがの運命だからな・・・・・
そして闇の帝王に歯向かう貴様らは・・・ここで死ぬ。この学校が貴様らの墓標になるのだ
有り難いだろう?・・・・・・・・・・・・・・・・なあ?ルシウス?」
杖を軽くふりながら、ヴォルデモートは後ろに控えている死喰い人に向かって顎をしゃくった。
仮面をかぶった男がビクッと震えて固まったと思うと、周りにいた死喰い人達ががその男の仮面を剥ぎ
ダンブルドア達の方に放り投げた。」
「ちっ!父上!!!」
ドラコが倒れた男のそばに駆けよった。シルバーブロンドの長い髪が儚げに乱れ、ルシウスは
驚きに目を見開いてヴォルデモートを見つめた。
「こ・・・これは・・いったいどういう・・」
「俺様が知らなかったとでも思うのか?裏切り者めが」
「な・・・何を根拠に!!!」
ヴォルデモートはニヤリと嘲け笑うと、思い出すように天井を仰いだ。
「あの日・・・・俺様が我が妻の両親を殺そうとしたとき・・・・貴様はその両親に俺様の魔法効力を
弱める魔法を施した・・・・そして、この裏切り者に情報を流した。」
ルシウスはギリッと歯を食いしばり、顔を歪めた。
全てヴォルデモートに知れていたのだ。が記憶を消してしまったことも・・・
だが、がどこにいたのかは本当に知らなかったようで、ヴォルデモートは2人の
死喰い人にを探すように命令を下した。
その死喰い人が出て行くと、杖から緑色の光がポオッと溢れ出した。
その色に、体を強張らせるルシウスとスネイプ・・・・・
緑色の光は・・・・
「俺様の力はより強くなっている。その子供に倒される前より遥かにな。
ここにいる全員仲良く旅立つがいい・・あぁ・・安心するがいいダンブルドア。
大切な生徒達も後から来るだろう・・・・」
そう呟くように笑うと、高々と杖を掲げた。
「さあ・・・別れの時だ・・・・ダンブルドア、ハリー・・・そのほかの者共・・・・・・・・・アバガケタブラ!!!」
ヴォルデモートはハリー達に向かって杖を振り下ろすと、杖先から緑色の鬼のような物体が
次々とハリー達にめがけていった。
それは、死の呪文。
反対呪文が存在されてないとされている・・・禁忌の呪文。
「っっ!!!しまった!!!」
ダンブルドアが叫びハーマイオニーを後ろの隠すが、杖から放たれた緑色の死の死者達はぐるりと
彼らを取り囲んでいた。
そして、ゆっくりと上空に舞い上がったと思うと一斉にハリー、スネイプ達をめがけて急降下した。
そして、それが彼らにぶつかった瞬間大きな爆発音とともに緑色の閃光が当たり一面に輝いた。
死の呪文、それはかけた者を完全なる死に至らしめる禁じられた呪文。
ヴォルデモートはダンブルドア達を覆った、緑色の噴煙を眺めて醜く笑っていた。
っしゃ〜!やっと出せた!ヴォル様!!
でもでも!!・・・死の呪文て複数にかけられるのだろうか・・・
う〜ん・・・でもほら以前より強くなっているのでね、それくらいはきっとできると・・・
にしても・・・ヒロインがいないじゃん!!!
夢じゃないって!!!これは!!!