「・・・・・セブルス・・・・・・行こう・・・あの婆さんに任せるしか方法がないんだ・・」



「あぁ・・・」




















「更なる試練」







































遠く見える魔女の家をスネイプは不安そうに眺めていた。
ハヤトも不安の表情を隠しきれずに、魔女の家を仰ぎ見る。








「この子の記憶を取り戻す代わりに、卒業までの間ここで預からせてもらう」







それが魔女の交渉だった。
が発見されるこの2年間、魔女はに多くのことを教えてきたという。
その結果、は2年間の空白がありながら5・6年の授業範囲以上の事を身につけていたのである。
ダンブルドアに報告すると、ダンブルドアはすがすがしそうに微笑んだ。


「ならば、の能力はハリー達に劣らないことじゃな。さすればハリー達と同様卒業させよう。」


卒業までの間、は魔女のところで修行に励むという・・・その修行とは・・


「わたしにはねぇ・・・子供も血を分けた者もいない・・皆「例にのあの人」に殺された・・
だけど、私の家に伝わる秘術を消えさせたくないのさ・・この子は非常に優秀だ・・・
できることなら、この子に全てを託したい」


さっきの威厳のある態度とは違い、憂いに満ちた表情でを見つめる魔女に
ハヤトは頷くしかなかった・・


スネイプとハヤトは魔女の家に背を向けて山を降りていった。















「お婆ちゃん・・あの人はきっと私にとってとても大事な人なんだと思うの」


暖炉の傍に腰掛けて、本を開くはそう呟いた。





「あぁ・・セブルス・スネイプという男かいのう?」


「うん・・・」


はスネイプが帰り際にかけてくれた勾玉の首飾りをそっと握り締めた。
握り締めるとなんだか、落ち着いた気分になる・・
そんなの仕草に目を細めながら魔女はニッコリと微笑んだ。


「そうかものvもう少し我慢しておくれ?」

「うんv」




そうニッコリと微笑み返すの頬を撫でて、魔女はそっとのために調合した
小瓶をローブのポケットからそっと取り出した。
小瓶に魔女の辛そうな瞳が移りこむ。



(この薬で記憶が戻らなかった時・・その時この子の命は・・・)

































「あ〜v〜vv早く会いたいな〜vv」


スネイプの自室でミカエルが夢見るような表情で呟いた。
スネイプとハヤトからことのいきさつを聞いたのだ。
卒業式前には帰ってくる。
だけど、スネイプの表情は晴れなかった。


「んだよ!セブルス!もう少しでは帰ってくるんだ!!もう少し嬉しそうな顔しろよ!!」


ミカエルは威勢良く翼でスネイプの肩をバシバシ叩いた。



「っっつ!この鳥!大体なぜいつも我輩の部屋に来るのだ!!」


「ハーマイオニーに「鳥でも雄!」っといって追い出されちまったんだよ!」


「・・ちっ・・・」


スネイプは苦々しそうにミカエルを睨むと、採点しかけのレポートを取り出した。
だけどなかなか進まない。胸がざわつく・・・
は本当に帰ってくるのであろうか・・・























そして数日が過ぎー




「よくぞここまで、耐えてくれたね

「へへ・・vありがとう〜vv」


魔女の授けた術をは全て習得した。
魔女は目頭に涙をため、何か思い出に振ふけっている様子だ・・
はスネイプが掛けてくれ首飾りをそっと握り締め、嬉しそうに微笑んでいる。
そんな姿に魔女の表情が曇った・・・


(このまま記憶が戻らなければ・・・この子は私の傍を離れることはない・・命を落とすこともない・・・)


だが、魔女は薄く笑って首を振ると小瓶を取り出した。


や。さあ約束だこれを飲みなさい」

「はいv」

は嬉しそうに小瓶に手を伸ばすが、その手を魔女が制す。


「お・・婆・・ちゃん?・・」


「よいか・・聞きなさい。この薬は私がお前のために2年かけてつくった記憶を取り戻す薬だ。」


「うん・・」


「失われた記憶を取り戻すということはとても大変なことなうえに、その方法はないに等しい。
だが、わしは作った。でもな。これはとても危険が伴う」


厳しい魔女の視線がを貫く。は一瞬驚いたように目を見開いたがじっと
魔女を見つめ返した。魔女はさらに続けるー


「この薬を飲むと、激しい痛みとともに己自身に向き合うことになる。
それは死よりも恐ろしいことかもしれん。そして、己に負けた時お前の命は失ってしまう。
それでも・・・・・お前は記憶を取り戻したいかね?」

魔女の視線との視線が長いこと重なりあったような気がする・・
は小さく微笑んで頷いた。

「それでも・・・私は・・本当の私を知りたいの」


の真っ直ぐな視線に、魔女は諦めの溜息をついた。
そしてにっこりと微笑んで、小瓶の蓋をはずした。


「では・・・飲みなさい。あとは・・・貴女自身の力にかかってますよ?」


「はい」


は魔女から小瓶を受け取ると、一瞬躊躇して飲み干した。
薬が喉を通り過ぎた途端、体が燃えるように熱くなり始めた。









「はうっ・・・あ・・あつう・・・・・ぐ・・・ぁあああっ!!」