旅立ち
「セブルスよ・・・・いつまでもそこにいたら風邪をひく・・・そろそろ大広間へ向かおう」
「・・・・・・・・・・・・・・・はい・・・」
「今日のクリスマスの食事はとても楽しみなのじゃよv」
「・・・はあ・・・・」
あれから2年の年月が流れた。
クリスマスの朝、裏庭で虚ろな表情で空を仰ぐスネイプの肩にそっとダンブルドアの手が置かれる。
ハリー達はホグワーツ最後の年。も・・・・・
だが、の姿はホグワーツにはなかった。
「残された者」
「あらあらきましたねvセブルス?料理が冷めてしまいますよ?」
「・・申し訳ありません・・マクゴナガル・・・」
「そうそう!せっかくの料理がだいなしになっちまうぜ?先生!!なぁ?ハリー?」
「うんvそうだよ!ホグワーツ最後のクリスマスなんだから!!」
「・・・・・・・やかましい。ポッター&ウィーズリー」
スネイプはハリーとロンを軽く睨みつけると、ハリーの隣に腰をおろした。
ホグワーツは今冬休み。ほとんどの生徒が家に帰っているため、食事は教師、生徒は同じテーブルでとる。
ハリーは毎年ホグワーツに残っていた、ロンは今回はハリーといたいからとホグワーツに残り・・・
あとはスリザリンの1年生が一人とハッフルパフ五年生が一人。
ハリーはスネイプの顔を覗きこながら、ニヤリと笑って頬杖をついた。
「先生ー。いつも以上にくっらーい顔してますよ〜v」
「ほっとけ」
スネイプはハリーの言葉を無視して、食事の祈りのために手を合わせる。
ハリーも笑うのをやめて手を合わせた。
静かなクリスマスがホグワーツに訪れた。
「おっ!セブルス今帰りか!?」
食事を終え、自室へと戻る帰り道の使い獣であるミカエルがバサリとスネイプの肩に止まった。
「・・・ミカエルか・・・・」
スネイプはチラッとミカエルをみると、再び歩き出す。
「いや〜にしてもさすがにここは寒いな〜!!鳥肌たちそうだぜ!」
「・・・鳥だろうが」
「てめぇ・・・・・・」
嘴をカチカチと鳴らして威嚇してくるミカエルを一瞥して、スネイプは自室へと入っていった。
深い溜息をつきながら机のイスに腰をおろす。
ふと、机に目をやりスネイプは写真立てを手に取った。
「あれから2年がたったな・・・・・」
スネイプが手にした写真立てには、が5年生の夏休みにスネイプが彼女の国に訪れた時の写真が納まっていた。
スネイプに寄り添うようにニッコリと写真立てを持つスネイプに微笑む。
思わず小さい笑みがこぼれる。そっと写真立てを机に戻し、肘をついて深い溜息をもう一つ、ついた。
ミカエルはそんなスネイプの様子に声がかけられなかった。
額に手をあて、定まらない視線で机の上をみつめるスネイプ。
「あれから・・・・そうか・・・2年か・・・・・・早いものだな・・・・」
確かめるように言葉を紡ぐスネイプにミカエルは小さく嘴を鳴らした。
「セブルス。忘れろとは言わない。だがそろそろ立ち直ったらどうだ・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「それに・・・・お前・・休日のたびにあんなことばかりで・・体だって休まらねぇよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「この冬休みくらいは休めよ?って聞いてんのかよ!?」
「うるさい。聞えておるわっ」
「だったら返事しろよ!ボケ!!」
しばらくお互い睨み合うが、スネイプはフンと鼻を鳴らすとサッと席を立って棚からいくつかの本を取り出した。
その行動にミカエルは盛大に溜息をつく。
「こっの・・阿呆が・・・言った先からこれだよ・・・」
「そんなに我輩の行動が気に入らないのなら出て行ったらどうかね?」
ズシッと重そうな音を立てる本を机におろしながら、スネイプはきっとミカエルを睨んだ。
ミカエルはムッとした表情を見せ、スネイプが持ってきた本を一冊掴むと、ソファへと飛び降りた。
「ふっざけんなよ!俺も調べるにきまっているだろうが!!」
てめえにだけかっこいい思いさせるか!とミカエルはスネイプを睨むと、翼で本を開いた。
そんな姿に一瞬、スネイプは目を見開いたが自分も机につき本を開く。
彼の胸元にはが精神の世界で出会った卑弥呼から受け継いだ。
エメラルドグリーンの勾玉の首飾りが光っていた。
ハリーやロン、そしてハーマイオニーやドラコ達がホグワーツ最後の年となった冬。
彼らと同学年である・という人物はいなかった・・・・
彼女は5年生のある事件により姿を消した。
スネイプに首飾りを託して・・・・・・・・・
そう、ことの始まりはミカエルが怪我を負い、ホグワーツに帰ったきたことから・・・・