新学期が始まり、またいつもの生活が訪れた。
新学期が始まってもの人気は衰えることはなく、むしろ一年生から新たにファンが急増。
スネイプはの心は自分にあるとわかっているものの、内面は不安に満たされていた。
もしも自分の目の届かないところで、誰かに言い寄られていたら!
だがそれは心配無用なことだった。
に言い寄ろうとする男子生徒が近づくとどこからかジニーとハーマイオニーが現れを連れ去っていくのだ。


「ぁあら!そこの1年生!?は今忙しくてよ?」


「はいはいはいはーい!ちょっとごめんねぇv」


「え・・え・・・?ハーマイオニー?ジニー?」



といった具合に。
そしてその光景を、柱の影からグッと拳握り喜んでいる教授がいたり・・・

(良くぞを守った!!グレンジャー!ウイーズリー!!)



夏休みにハリーやロン達に見せていた、スネイプの穏やかな空気も
学校に戻るとまた不機嫌そうな表情がハリーに向けられていた。
あの、少し花を背負って見劣りしない穏やかなスネイプはどこへいったと
ハリーとロンは残念がっていたが・・


「なんだ・・また逆戻りかよ・・・スネイプの奴・・」

「だよなぁ・・・少しはまともになったかと思ったのに・・」


「グリフィンドール減点10点」


「う・・」

「あ・・ス・・スネイプ先生・・」


愚痴をこぼしながら廊下を歩いていた2人の背後から急に冷たい空気が流れた。
ハリーとロンがおそるおそる振り返ると、やはりそこには意地の悪い笑みを称えたスネイプが・・


「いつまでも夏休み気分では困るのだがね?ポッター・・ウィーズリー」

スネイプはハリー達を冷たく見下ろすと、手にしていた4つの茶色の封筒をハリー押し付けた。
不思議そうに受け取るハリーに

「ハヤトから届いた夏休みの写真だ」

と素っ気無く言い放ち、くるりと踵を返しもと来た廊下へと去っていった。

ロンにせかされて、[ハリーへ]と書かれた封筒を開けてみる。
そこには祭りや花火、そしての家の縁側で撮った写真が入っていた。
皆、ハリーとロンににっこりと微笑んで、手を振っている。

(スネイプだけがそっぽを向いているが)

ハリーとロンは嬉しそうに顔を見合わせて、もう一度写真に目を落とした。

楽しかった夏休み。初めての日本。
昨日のことのように思い出す。封筒はハリー・ロン・ハーマイオニーそして
皆に渡され、この日の夜にはそれぞれのベッドサイドに全員で写っている写真が
飾られた。













「はぁ・・・いいよなぁ・・人間て・・・・」

冷たい地下のスネイプの自室での使い鷹の(ミカエル)が溜息をついた。
ミカエルの視線の先には、ハリー達にも配られた、全員で写っている写真。
スネイプの自室の机の上に飾っていたのだ。
読みかけの本からチラッとミカエルを見ると再び本へと視線を落としてスネイプが口を開く。

「何・・今頃人間が恋しくなったのか?そのままの姿が似合っているけどな・・」

「うっせー・・・一度・・・せめてもう一度・・だけ・・人の姿に戻れたらな・・・・」


そう、いつもとは違うミカエルの姿に、スネイプは少し眉間の皺を寄せて、チラッと写真を眺めている
ミカエルを盗み見ていた。



















































そんなある日・・・・



「やあ、。元気かい?」


「あvドラコー!こんにちは!って・・・どうしたの?ドラコ顔色が悪いよ?」


職員室からの帰り、は後ろからドラコに話しかけられた。
は笑顔で振り返って、少し表情が曇った。
そこにはとても顔色が悪いドラコが立っていたのだ。
普段からあまり血色の良いほうではないドラコだが、今日はそれ以上だ・・・
は心配そうにドラコの顔を覗きこみ、額に手を当てる。
その透き通るようなアイスブルーの瞳もどこかグレーがかっていた。
ドラコは小さく笑うと、の手を制した。



「なんでもないよ。それよりも話があるんだけどちょっといいかな?」


「え?あっうんv」


そうが頷くと、ドラコはの手をとって歩き出した。
滅多に人が近づかない・・・西の塔へと・・・・・・・・


























「ね・・ねぇ・・ドラコ・・なんかこことても暗くて・・怖いよぉ・・戻ろう?」

だんだん辺りが暗くなっていくのに気づいて、はドラコの腕を軽く引っ張る。


「ね・・ねぇ・・・ドラコってば・・・・・・っ!!!?」


ドラコの顔を覗きこんだは一瞬にして声を失った。
思わずドラコの腕を振り解こうとするが、ガシッドラコに腕を掴まれている。


「ド・・ドラコ・・」

ドラコがゆっくりとの方へ向き直った。
顔色が悪く、無表情で・・・いつも自信に溢れていたキレイなアイスブルーの瞳が







            赤く染まっていた。




思い出す・・いつもどこにいてもを追い詰める者と同じ瞳・・・・
ドラコは無表情のままへと杖を向けた。
杖先から光が飛び出したと思った瞬間、はその光に包まれて意識を失った。



































「ねぇ!知らない?」

「いいえ、グレンジャー先輩。先輩は今日お会いしてないですよ?」


夕食時間が迫った廊下。
ハーマイオニーは慌てながら、を探していた。
誰に聞いても皆首を横に振る。



に何かあったら・・・」

「ハーマイオニー!いたかい?」

ハリーとロンが廊下の向こう側から走ってきた。二人とも相当走ったのだろう、
息が上がっていた。ハーマイオニーは泣きそうになりながら首を横に振る。


「どうしよう・・に何かあったら・・・私・・・・」


「おーい!お前ら〜!!!」


「あ・・!!」


がバサバサと飛んできてハリーの肩に止まった。
が飛んできたほうから、スネイプも慌てて歩いてくる。


「スネイプ先生!!」

スネイプは不安そうに見あげてくる、ハリーを一瞥するとハーマイオニーに向き直った。


「最後にに会ったのは?」

涙目になるのを必死におさえ、ハーマイオニーが思い出すように口を開いた。


「二限目から・・私は数占いの授業でハリーとロンが占い学・・は占いの授業は選考していなかったから
図書室で自習しているって・・・昼食の時待ってたら・・一年生から[職員室によって行くから先食べてて」と
伝言があって・・・それで・・それっきり・・・」

そう言った瞬間、ハーマイオニーの目からポロポロと涙がこぼれた。
慌てて、ハンカチをとりだすロン・・
スネイプは小さく溜息をついて、腕を組んだ・・・



(これだけ探しても・・が見つからないとは・・まさか・・奴か?
だが・・ここはホグワーツだ・・たとえ奴でもそう易々と入り込めるものでは・・)


「ダンブルドアに報告した方がいいんじゃねえか?」

「あぁ・・そうだな」


の言葉にスネイプは頷いた。
ハリー達に夕食を取るように指示をし、スネイプとは足早にダンブルドアのいる校長室へと向かった。








































「校長!お話が!!」

「うむ。」


スネイプとが校長室に入ると、そこには険しい表情のダンブルドアが立っていた。
まさかと思っていたことが現実となる。


「まさか・・本当にヴォルデモートなのですか・・・・」

「おそらく。さきほど校内で姿くらましをした者がおる」

そのダンブルドアの言葉にスネイプとは目を見開いた。

「おいおい!じっさん!ここでは姿くらましはできねーだろっが!!」

ダンブルドアは「うむ」と深い溜息を吐き、水晶を取り出した。
スネイプとの目の前にかざし、小さく呪文を唱える。
水晶の中が渦巻き、現われる映像にスネイプとは言葉を失った。


「左様・・ここでは姿くらましはできん。じゃが・・・この子はできてしまった・・
おそらくこの子の持つ力の強大さ故・・そしておそらくこの子の意志とは反する・・行動・・・」


「おっおい!!こいつってお前のところの・・・」



水晶にはドラコがを抱きかかえ、姿くらましをする瞬間が映し出されていた。



「ドラコ・マルフォイ・・・っ!!まさか!!!」


スネイプはハッとした表情でダンブルドアを見つめた。
ダンブルドアは険しい表情で頷いた。




















「う・・ん・・・・あれ・・・・ここは・・・・」


は薄っすらと目を開けた。
定まらない意識に眩暈を感じる。
確か自分はホグワーツにいたはず・・・だけどここは・・・

は大きなベッドに寝かされていた。
2人分以上もありそうな大きなベッドに、天蓋つき・・・うっすらと透けるカーテンで囲まれて、
よくはわからないが、とても広そうな部屋だということは何となくわかる。
不思議そうに辺りを見渡し、起き上がろうとすると、カチャリとドアが開く音がした。
はビクッと小さく跳ね、音がした方を見つめる。
誰かが、ベッドに近づいてくる。
サーッとカーテンが開かれ、一人の男がに微笑みかけた。
とても冷たい微笑み。


「よく眠れましたかな?レディ・


そこには輝くような腰まであるシルバーブロンドの髪をなびかせ、
高級そうな衣服に身を包んだ男が立っていた。
その冷たそうなアイスブルーの瞳に吸い込まれそうになりながら
はジッとその男を見つめていた。