「ねぇ!!!これはなんだい??」


「それはねー飴細工だよ〜水飴をねこう・・」






























「祭り」


























夜店がずらりと並んだ通りを歩く。
ハリー達はもちろんシリウス、ルーピンも珍しそうに夜店を覗き込む。
あのスネイプでさえも・・・
熱心に飴を細工する職人の手を見つめるシリウス、スネイプにルーピンは
にっこりと見つめていた。




スネイプはふと辺りを見渡した。
暗闇に浮ぶ色とりどりの提灯、色とりどりの浴衣。
行きかう人の顔はどれも笑顔に満ち溢れていて。
笛や太鼓の音が心を弾ませる。

イギリスにいたら絶対人ごみなどという、息苦しい所へには頼まれても足を運ばなかっただろう。
だが、ここはなぜかホッと心落ち着かせるものがあった。

可愛い浴衣に身を包んだ子供達が、狐などのお面をつけて走りすぎていく。
その中にの守番である子鬼の姿があった。
頭に生えていた角はなく、瞳の色も普通であったが。
子鬼はスネイプに気づくとニッコリと笑い、小さく手を振った。









「セブ?どうしたの?皆先行ってるよ?」

「あ・・・」


ハッとして声の主を見つめる。
が心配そうにスネイプを見つめていた。


「どこか具合でも悪いの?」


心配そうに首を傾げ、スネイプの袖をそっとつかむ浴衣姿の
とてもかわいらしくて顔がほころんでしまう。
でも、それを隠そうとは思わなかった。優しく微笑んでの頬を撫でる。
不思議そうな顔をしていたも、嬉しそうに目を細めた。


「なんでもない。ここはなぜか心落ち着くと思ったのだ・・・・・」















「おーい!ー!セブルスー!置いていくよ〜」



少し先の方でルーピンが手招きしている。



はニッコリとスネイプに微笑んで「行こうv」と手をつないだ。



「セブv」

「ん?」

「楽しんでね?」

「すでに楽しんでいるさ」

そうスネイプはに微笑んだ。

























一行は夜店で、焼きそばやたこ焼きなどを買い寄せ、
夜店道の奥にたっている寺の縁側で包みを開いた。
ここは夜店の賑やかさから打って変わって、とても静かで鈴虫の音色がとても耳に心地よい。
そう、感傷に浸るのも束の間・・・・・



「おー、スネイプいいもん食ってんじゃねえか!」


シリウスがスネイプが食べていた、たこ焼きを1個掠め取った。
ほくほくとおいしそうに口に運ぶシリウス。


「うまいv」


もちろん!スネイプもおとなしく黙っていない。



「!!貴様!!それは最後の一つだったのだぞ!!」


「あーうっせーv」


「本当に貴様は犬だな!!おい!!ルーピン!しっかり躾けとかんか!!」

「ンだとてめぇ!」

「んーv無理無理vvもう直せないよv」

「リーマス・・・ひでぇ・・・」


両手に鼈甲飴や飴細工をいっぱい持った、ルーピンがニッコリと微笑んだ。
がっくりとうなだれるシリウス。


「というか・・ルーピン・・それ全部食べるつもりなのか?」

「ん?一つほしいのかい?セブルス」

「いや・・結構」


スネイプは嬉しそうに微笑むルーピンに酷い疲れを感じて、額に手を置いた。
ルーピンはハリーたちに飴をおすそ分けして、ひとつ包みを開けて、
嬉しそうに口に運ぶ。






クイクイ





自分の袖を軽く引っ張られ、顔を上げるとがニッコリと笑って、
かき氷をスプーンによそいスネイプの目の前にもってきた。
一瞬、不思議そうな顔をするスネイプだがすぐ優しく微笑み、スプーンに口を付ける。
甘すぎない苺の味がひんやりと口の中に広がる。


「ありがとう、

「うんv」


「けっ、やってらんねぇ」

お互いにっこりと微笑み合う姿に、シリウスは小さく舌打ちをした。
ハーマイオニーが「私も〜v」とに迫ったが、スネイプがを抱き寄せて
それを妨害したり・・・


は渡さんぞ、グレンジャー」

「ああら?負けませんことよ?スネイプ教授v」

なにやらこの2人の争いにチラチラと火がつき始めているようです・・・


 

そして賑やかな夜は更けていった。

祭りは5日にわたって行われ、その最後の日にが祀り事を行う。
祭りの最終日、は白い着物にたくさんの首飾りや頭飾りをつけて、スネイプ達の前に現われた。
黒く、長い髪に絡まされた緑の玉の頭飾り、黒い髪が白い着物を美しく引き立てる。
の胸元には以前、精神の世界で逢った卑弥呼から受け取った緑勾玉の首飾り。
恥ずかしそうに笑うその笑顔がなんとも可愛らしい。
スネイプ達はのあまりのかわいらしさに、しばらく固まってしまった。


「あの・・・皆・・・?;;;」

(あう・・どうしたんだろう・・皆・・やっぱり変なのかな・・この儀式の着物・・)

シュンとうなだれるに、ポンと手が置かれる。
見あげるとスネイプが優しく微笑んでいた。

「綺麗だ、。」

パアッとの顔が明るくなる。

「ありがとうvセブv」

の祖父が顔を出して、にそろそろ村の社へ向かうようにと促した。



今まで行われていた祭りの賑やかさとは打って変わって、最終日のこの日は
厳粛な空気が流れていた。

松明の炎が乾いた音を奏でる。
闇にくっきりと浮んだ、三日月が怖いくらい美しくて・・・
先日、皆で食べ物を広げ雑談していた静かな寺は祀り儀式として飾り立て、
村人が集まりざわめいている。
スネイプ達はと別れ、村人達が集まる境内の隅の方で祀りが始まるのを待つことにした。





「で?セブルスvとはどこまでいったんだい?」

「はあ!?」

唐突にルーピンが口を開いた。
おもいっきり顔を顰めるスネイプに、ビシッと音が聞えるくらいな勢いで固まるシリウス。
ハーマイオニーは興味津々の笑みを浮べ、ハリーとロンは真っ赤になっている。(なぜ真っ赤)
ルーピンは普段以上にニッコリと微笑みスネイプの顔を覗きこんだ。


「だからvとはどこまでいったんだい?vv」

「あ・・阿呆か!貴様!!!いくら恋人言えどは生徒だ!!
そんなこと!!!」

「あれ?そんなこと?なんかいやらしいなぁvセブルス〜♪
僕は別にそんな意味で言ったんじゃないんだけどv」

「では!どんな意味だ!!!」

楽しそうに笑うルーピンにスネイプは焦ったような怒りを込めてルーピンを睨みつけた。

「キスはv?」

「・・・・あ・・・・・・あぁ・・・」

ここでロンがプシューと音とともに真っ赤になる。「とこいつが・・・」と絶望的な表情で。


「じゃあ。XXXXXXXXXXXやXXXXXとかXXXXXXXXXXXXはv(自主規制)」


「「なぜいきなりそこまで飛ぶ!!!」」

スネイプとシリウスが同時に叫んだ。
ルーピンのあまりの過激な発言に、ハリーもプシューと音をたてて真っ赤になる。
ハーマイオニーは「まあv」とほのかに頬を染め、両手を頬に宛あて何か妄想モードのご様子。
と、被害を出す発言をした当の本人はさも嬉しそうに微笑む。


「貴様!我輩なんだと思っている!!!」

「そうだぜ!リーマス!!いくらこいつが陰険・根暗でもそこまで落ちぶれてないだろう!!」

「・・・・・・・・・貴様」

スネイプはシリウスをおもいきり睨みつけると同時に、境内に太鼓の音が響き渡った。
ざわつきが一瞬にして止まる。皆、境内の中央に作られたやぐらに食い入る。
スネイプ達も少し、群集に混じりやぐらを仰ぎ見る。
真っ赤に蒸気を吹き出していた、ハリーとロンもなんとか復活をしやぐらに視線を向けた。
ルーピンがスネイプの横に立ち、彼にしか聞えないようにそっと口を開く。


「でv実際はどうなんだいv」

「まだ、言うか貴様」

「添い寝ぐらいはあるんじゃない?vv」

キッとルーピンを睨むが、そんな睨みも彼には無用か
ほんわかスマイルでスネイプに微笑み返し・・・・・
スネイプは苦々しそうに舌打ちをすると、やぐらへと視線を戻す。


「それはある」

「うわvやっぱりー?vv」

「いつ目の前に現れるかもしれんヴォルデモートの影に怯え、不安で眠れんのだ。
傍に誰かいなければな。」


そう呟くスネイプにルーピンは表情を曇らせた。


「ごめん・・・・」

「ふん」


そんなスネイプとルーピンのやり取りをハリーは耳を立てて、聞いていた。

そうだ・・あの時はなんとか逃げ切れた。
だけど、それはいつまでも逃げられるわけがない。
は僕達といる時は、笑っているけど・・・本当は怖いんだ・・・・


そう思うと、ハリーの中に巻き込んでしまったという罪悪感が
再びこみ上げてくる。











やぐらにポオッと青い炎が揺れた。
辺り一面水を打ったように静かになる。遠くのほうから鈴虫たちの音がかすかに聞える。
やぐらの青い炎を見つめていると、吸い込まれそうな錯覚におそわれそうでスネイプはグッと拳を握った。



バサバサバサ


静まり返った境内に鳥の羽音が響く、ミカエルだ。
悠々と境内の上を旋回し、やぐらの屋根にとまる。羽を大きく広げ、胸をはる。
その姿はとても勇ましく、心打つものがあった。


ミカエルは境内にあつまる人々を見渡すと、静かにでも十分に聞き取れるように嘴を開いた。











「今宵、我らの神に仕えし姫巫女。御前等に導きたもう」


境内に集まった村人達が歓喜の溜息をもらす。
青い炎が一層に輝いたかと思うと、やぐらの中にが現われた。
さっきと同じ祀り衣装。だが青い炎に浮かび上がるの姿はこの世の物とは思えないほど美しく、
恐怖すら覚えるほどで。はゆっくりと手を空にかざすと、印を組み呪文のようなものを唱えはじめた。
呪文が唱えられると同時に、青い炎からポンッポンッとかわいい音をたて小さな炎が出てきて
ふわり境内を飛び回る。その度に起こる大歓声。

スネイプ達はの祀り事には目を見張っていたが、なぜ村人達が大歓声を上げるのか
今ひとつわからなかった。

「この祀りはね、盆といって先祖の霊が一族の元へ帰ってくるものなんだよ」


スネイプ達の後ろで声がし、振り返るとの祖父がにっこりと笑いながら立っていた。


「先祖の霊?」

ロンが首を傾げながら口を開く。の祖父はここくんと頷くと、境内の上空を飛び回っている
青い炎を見あげた。


「そうじゃ。日本では先祖の霊が家に帰ってくるという風習があってな。
それぞれ一族の家で過ごし、また己の世界に還って行く・・・わしら家は代々
その儀式を行ってきたんだよ・・・・そして今年はにその役目を務めてもらったのじゃよv
かわいいだろvわしの孫vv」

そう目を細め微笑みながらやぐらを見つめるの祖父。
スネイプもやぐらで祀りをすすめるを優しく見つめた。

やがて、が全て青い炎を上空に飛ばすと印を結んでいた手を広げた。
その瞬間、青い炎は四方八方へと飛んでいく。

三日月に照らされて、フワリと空を舞っていた青い炎。
それはとても美しく、また儚さを漂わせていた。


賑やかさにはじまり壮言な祀りは鈴虫達の心地よい大演奏で静かに幕をおろした。