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「スネイプの夏休み・開始編」
「セブ〜・・・・・大丈夫?」
「っつ・・あぁ」
社の縁側では濡らした手拭いをそっとスネイプの頬にあてた。
「へっへっへー熱烈な歓迎を受けたな!」
「・・・いたのか鳥類」
「んだとてめー!」
「あぁっもう!だめ!」
スネイプに飛びかかろうとするをが軽く睨んだ。
気に入らなそうにむくれるを、スネイプはから見えないところで嘲け笑う。
(こぉの陰険ヤロー)
(はっ突進鳥めがっ)
「それにしても、お父さん達ひどいよ・・なんでいきなり殴るの?」
は手拭いを絞りながら、座敷でのほほんと茶をすすっているハヤトたちを睨みつけた。
「そりゃあ!!セブルスが に辛い思いをさせたからさ!」
「そうよ?本来なら回し蹴りだけじゃすまされないわ!」
「うむ!そのとおり!」
「だからって!・・・・」
声を上げたが急に黙りこんだ。
絞った手拭いを自分の頬にあてて何か考えている様子に、ハヤト達は首を傾げる。
スネイプも不思議そうにの顔を覗き込んだ。
「?」
「むぅ・・ということは私にもセブにお仕置きする権利はあるわよね?」
「なっ・・」
はにっこりとスネイプに微笑んだ。
の後ろでにっかりとハヤト達が盛大に頷いている。
「そうだ!こそ殴るべきだ!」
「っ・・・」
「ということで、セブv」
はスネイプの前に座り直し、何か企んでいるような笑みを浮かべる。
スネイプはしばらく額に手をあてていたがスッとに向き直った。
「そうだな。には辛い思いをたくさんさせた。すまなかった・・気が済むまで殴れ」
「そうか?じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
「貴様は黙ってろ、鳥!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!(言葉にならない怒り)」
スネイプは真っ直ぐにを見つめた。
は黙ってうなずくと、静かに右手をかざす。
シュッと空気を斬る音がしてスネイプの頬をめがけた。
「!!っ・・?」
振り下ろされた右手は何の音も発っしなかった。
スネイプは腰に抱きついたを驚きに目を見開いて見つめていた。
「・・・からね?」
「?」
「また記憶消そうとしたら呪ってやるからっ!」
はぷぅっと頬をふくらましスネイプを見上げた。
スネイプは驚きに目を見開いたが、すぐに優しい表情でを抱き締める。
そんな2人の姿に、ハヤトは苦笑いをした。
「やれやれ・・俺な、こんなんでもの父親なんだがよ。親父の前で二人の世界に突入しないでくれよ・・・」
「でもまあ。いんじゃない?変に隠されるよりは安心だわv」
「昼のメロドラマよりもおもしろいわい・・・・」
それからスネイプはに案内され、客室へと荷物をおろした。
散歩をしようとせがむに半分引きずられるようにして、辺りを散策する。
結果が施されているため、夏の暑さも感じない。
日本の夏は湿気がひどいと聞いていたが、ここはまるで別世界である。
と手をつなぎながら、守り番と呼ばれる石像がたつ小道を歩く。
石像一つ一つの特徴や由来を聞き、そしてその石像が姿を変えスネイプに挨拶をする・・・
「これはね釜井達。釜井達は三匹いるのv一匹が風を起こし二匹目が相手を傷つける。
そして三匹目が薬を塗り、怪我を和らげるの。」
「ほお・・・だがそれでは守番になるまい・・・」
「うん・・でもこれはあくまで伝説だからvこの子達は・・・・・」
「「「切って切って斬りまくるぜ!!!」」」
「と・・・まあ・・・元気がいいのv」
「ほ・・・ほお・・・;」
と少々、呆気に取られることもしばしあったが・・・・。
日もだいぶ傾き、とスネイプは社へと戻っていった。
その日の夕食は、とても賑やかなものだった。
の家の夕食はいつも賑やかなのだが・・・・
「おらあ!セブルス!!その肉よこせー!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
パシ
「俺の肉がああああ!!!」
スネイプの皿にあった生姜焼きをめがけてが突進してきたが、
スネイプは素知らぬ顔で生姜焼きを口に運ぶ。
愕然とするを尻目に、箸をすすめるスネイプ。
「うまいな。これもが作ったのかね?」
「うんv」
「無視すんなああぁ!!」
「・・・・・いたのか。そろそろ鳥小屋に戻る時間だろうが」
「そうそう!!お前の寝床は外の鳥小屋だろ〜?」
「セブルス・・・ハヤト・・・貴様ら・・・・」
「安心せい。あとで餌箱に餌を補充しとていやるからのv」
「・・・じーさんまで・・・(泣)」
「覚えてろよ!ぐれてやる!!」とそれでも律儀に鳥小屋へと飛んでいく。
そんなを笑いながら「これ以上グレれるのか?」と呟くハヤトに、スネイプは苦笑いをした。
「ちょっと待て!ハヤト!!いくらなんでもそれはまずいだろうが!!」
「ぁあ?何、また怖気づいたのかよ。しばくぞこら」
「そうではない!お前!!自分が何言っているのかわかるか!!??」
楽しい夕食が終わり、皆で縁側で語り会い(このときも凄かったが)夜も深まった頃、
そろそろ寝ようとなり、スネイプは着いた時に案内された客室へ戻った。
襖を開けるやいなや、スネイプは一気に固まった。
そこには・・・・
シルクのような真っ赤な一人分にしては異様に広い布団・・・・・こんな真っ赤な布団で安眠できるのか?
部屋の照明はほんのりとした行灯があるだけで、読書するのも辛そうなぐらいだ。
そして・・・枕が二つ・・・・・・・・・・・・・
スネイプは何かこう・・・何かで見た気がすると額に手を置き必死に思い出そうとした。
そうだ・・・たしか・・・13年前ほど前ハヤトが自分の部屋を訪れた時に、
日本の本をいくつか持ってきた。たしかその中の写真集にこのような・・・内装のものが・・・
「たしか・・添え書きが・・・」
娼婦小町・吉原
「ハヤトォッ!!!」
そして今の言い争いに至る。
ナツキもニコニコしながら顔を出す。その横でが寝巻き姿で不思議そうな顔で三人を見つめていた。
「ねーお母さん?私そろそろ休みたいんだけど・・明日も祀事の用意あるし・・・・」
少し眠そうな声でナツキを見上げる。ナツキはニコニコとの頭を撫でポンとスネイプへと押しやった。
「???セブ?何かお話でもあるの?」
「い・・・いや・・・・・」
眠そうに首を傾げてくるの仕草がとても可愛らしくて、思わず理性が揺らいだ。
ハッと首を振り、の頭を撫でる。
「なんでもない・・さあ・・もう寝なさい」
「うんvv」
そう、ニッコリ微笑み踵を返そうとしただが・・・
「うわあvかわいい〜お布団vvvvvv」
襖が開いていたスネイプの部屋を覗き込みは声を上げた。
「いいな〜セブ〜vvこんなかわいいお布団で〜v」
「な・・・何を・・・!!」
スネイプはあまりの驚きに声を上げた。
かわいい?
まあ・・・真っ赤な布団に花の絵が施されていて・・見ようによっては「かわいい」という表現も頷けなくもない。
だが!
(これは紛れもなく、色町のものだ!!)
そう心で叫んでみる。声に出したいのだがハヤトとナツキの目が企みを含んだ睨みを利かせてくるので
必死に声を飲み込む。
ハヤトはにニッコリと微笑み、
「かわいいだろう?も寝てみるかい?」
その言葉にはもちろん反応する。パアッと笑みがこぼれた。
「本当!!??いいの?わあ〜こんなお布団だったら楽しい夢が見れそう!!・・嫌な夢なんか・・」
一瞬の表情が曇り、スネイプ達は眉を顰めた。
を毎晩のように苦しめる悪夢。
そう、それは闇の帝王・ヴォルデモートに追われる夢・・・・
スネイプはそっとの頭を撫でた。
「ならば、今夜はここで寝るといい。我輩は別の部屋を用意してもらおう。」
の背中を軽く押して部屋へと促す。
だが・・・
「でもね・・・一人じゃ怖いな・・・」
ハヤトとナツキの目が鋭く光る!
セブルス!お前が一緒に寝ろ!!
スネイプは2人の視線に眉をしかめた。
「ナツキ、お前が添い寝してやれ」
そうナツキを顎でしゃくる。ナツキは口ぱくで「あんたが添い寝しなさいよ!」と脅すが、
スネイプは厳しい目でナツキを睨んだ。さすがのナツキも怯み、おずおずと足を踏み出す。
だが、の口からこぼれた言葉は・・・・
「セブと一緒に眠ったら・・いい夢見れるかな・・」
「じゃあ!そういうことでお休み!ッ!スネイプ!!良い夢をvv」
「ふふ〜明日ね〜vvv」
ハヤトとナツキはニッコリと微笑むとサッと自分達の部屋へと踵を返していった。
翌日、久しぶりに良く眠れたとご満悦なと思いっきり眠れなかったスネイプの姿が
朝食の席でみられ、ハヤト達は嬉しそうなでも残念そうな笑みを浮かべたいた。
「そんなに良く眠れたのなら、今日も明日もそうしなさいv」
「うんv」
「・・・・・・・我輩を不眠症にさせる気か・・・」
昨晩、一緒に布団に入りすぐが眠ってしまったのはいいが、
可愛らしい寝息をたてながら自分の胸に顔を摺り寄せてくる仕草に、必死で理性を押さえ込んだ。
いつも、ホグワーツの自室で自分の膝の上ではそんな仕草をするのに、
布団の意味合いを知っているせいか・・・脈動がとても早い。
だが、怖い夢を見ずに済むのなら・・・
スネイプはそうの横顔を盗みみた。
活き活きとした笑顔がとても眩しい。スネイプはそれで良い夢がみれるのなら、
いくらでも添い寝をしてやろうではないかと心の中で微笑み、小さい欠伸をした。
とスネイプの夏休みは始まったばかり。
眠気とほろ酔いで書いたらとんでもなくまとまらない内容に・・・(ひぃ)
もう両親とじいさん!2人の仲認めまくり?
あんな布団まで用意しちゃうくらいですからねv
さて、次回からさらに騒がしくなる気配です。