44家路
「すべての終わり。そして始まり」
第三試合が終了してからす1ケ月がすぎ、はキングズ・クロス駅に向かう汽車に乗っていた。
「元気がないな、。どこか具合でも悪いのかね?」
スネイプは不安そうな表情での顔を覗きこんだ。
は少し弱々しく笑って首を横に振る。
「ううん。どこも悪くないよ?ただ・・いろんなことがあって・・頭がボーっとするの」
「・・・・そうか・・・」
「それならいいのだが・・」とスネイプはまた読みかけの本に没頭しはじめた。
ここは教師が主に使用するコンパートメントでスネイプとの2人きり。
静かで穏やかな空間で・・はそんな空気に心地よさを感じながら、窓の外に広がる景色を眺めた。
1ケ月前のことを思い出しながら・・・・
一ヶ月前、ヴォルデモートの支持者だったムーディは本物のムーディではなかった。
アズカバンという牢獄で死んだとされる死喰い人だったのだ。彼は生き延びて父親を殺し、
ヴォルデモート復活の際に必要なハリーの監視をするため・・・
また、をヴォルデモートの元へ連れて行くためにムーディになりすましていた。
そして、その男は死んだ。
何か恐ろしい物に魂を吸われて死よりも酷い姿になったと、あとでマクゴナガル先生から聞いたのだ。
の頭の中に男の言葉が木霊する。
「我が主はいつまでもを求めるだろう」
は思わず身震いをして目の前に座っているスネイプに抱きついた。
驚いて本からへと視線を移す。「どうした」と口を開こうとするがスネイプは
が震えているの気づき、言葉を噤んだ。
本を横に置き、そっとを抱きしめた。
「何も怖がることはない。傍にいる」
「うん・・・・・・」
しばらく抱き合ったまま、はいつしか不安に駆られて締め付けられていた胸の中が
ゆっくりとほどかれていくように感じ、薄く微笑んだ。
大丈夫だよね?セブルスと一緒なら大丈夫だよね?
やがて、列車が駅に着きとスネイプはホームへと降りた。
「ー!!」
「あっハーマイオニーv」
ハーマイオニーがの元へ駆け寄り、抱きついた。
後からロン、そしてハリーも小走りにの元へ駆け寄ってくる。
ハーマイオニーとロンは、がスネイプのことを忘れていなかったことを
第三試合の翌日、医務室で知った。
スネイプがの元を訪れ、をそっと抱き寄せたのだ。
その姿をみた、ハーマイオニーとロンは驚きに固まってしまった。
が慌てて説明すると、最初は驚いていたもののハーマイオニーは目に涙を浮かべ
よかったとの手を握り締めたのだ。
ハーマイオニーはの顔を覗きこみ、にっこりと微笑んだ。
「v夏休み遊びに行ってもいいかしらvぜひ!の国興味があるのよ〜v」
「あ・・僕も行きたいな・・」
ロンも意味ありげにの顔を覗きこむ。ハリーも同じ表情で・・はにっこりと微笑み頷いた。
「うん!皆来てよ〜vvフクロウ便で知らせてね!!」
やったー!と三人は声をあげに抱きついた。
「あー君たち、ご家族が待っていらっしゃる」
不機嫌な声がハリー達の上から響いた。
顔を上げると表情も不機嫌そうなスネイプがハリーとロン、そしてハーマイオニーを睨みつけていた。
ハーマイオニーはにっこりと微笑み
「あら?いたのですかスネイプ教授v気がつきませんでしたわ〜vv」
そうサラッと嫌味を言った。それでも以前見せていた黒い笑みは消えていて・・
スネイプは「邪魔だっさっさと失せろ!」という視線を三人に浴びせゆっくりと腕を組んだ。
「それじゃ、v夏休みに!!」
もう一度を抱きしめるとハーマイオニーは微笑みながら改札口へと走っていった。
ロンとハリーもまたねと改札へ向かっていった。
「さて・・・行こうか。」
「うんv」
手を差し伸べるスネイプの手をそっと握ってはニッコリと微笑んだ。
2人は一旦ダイアゴン横丁へと向かった。
目指す先は二人が初めて出会った場所・・魔法薬草の店。
そこの暖炉からは日本へと帰る。
「セブv夏休み日本に来るんだよね!?」
わくわくしたような表情で自分を見上げてくるがとても可愛くて、思わず笑みがこぼれてしまう。
優しく頭を撫でると、は嬉しそうに目を細めた。
「あぁ。会いに行こう」
「楽しみに待っているからねvv」
そして、店の主人と軽く言葉を交わしては日本へと戻って行った。
すべてが終わった。
でも
それは
これから起こることの始まりにすぎなかった
それでも
どんな時も2人離れずに
長い間お疲れ様でした!!4巻部分これにて終了です!!
でももう少し続きますので、お付き合いくださると嬉しいですvv