茨の道
「スネイプ先生!」
「何かね?ミス・・・・・っ!?」
「ぁあっ!いたいた!探してたのよ〜?」
「じゃっ行こうかv!ロンも探してたんだよ?」
「えっあっ。私スネイプ先生に・・・」
「それでも傍に」
昼食後の廊下で、授業の内容についてスネイプに駆け寄っただが、
突如ハーマイオニーとハリーが現れ、がっしりとホールドをかまされてしまった。
前々からからがスネイプに近付くと、どこからかハーマイオニーが現れ二人の妨害をしたが、
二人の関係がバレるとさらに妨害率がググーンと上がった。
しかも!ハーマイオニーだけでも強敵なのに今度はハリーまで参戦である。
は普通にスネイプにわからない所を聞こうとしただけなのでわたわたと困った顔をするが、二人はおかまいなしで・・
「いつだって先生のところに行けるわ!」
「友だち大切にしようよ」
「あぅ・・でっでもね」
「さぁっ行きましょう!」
「待ちたまえ」
冷たく低い声がハーマイオニーとハリーに降り注いだ。一瞬、躊躇した二人だが、
「ぁあらぁ?スネイプ教授、御機嫌よう♪」
「っていたんですかぁ。気付かなかった〜」
と黒い笑みを浮かべて振り返った。だが!そんな笑みごときに負けるスネイプではない!
かわいい恋人とのわずかな時間を邪魔されてたまるか!
「彼女は我輩に用があるのではないかね?彼女の勤勉意欲を踏み潰す気か、ポッター、グレンジャー」
冷たい目に極寒のオーラで見下され、さすがの二人もサッとの手を離す。
「あ・・そんなことはっ」
「ふん、以後気を付けたまえ。で、何かね?」
そう、二人を一瞥すると優しくに語りかけた。
こんな調子でスネイプVSハーマイオニー&ハリーの攻防が毎日のように繰り広げられたある日のことー
「・・いや・・やあっ!助けて!」
「ッ!しっかりしろ!」
「っ!?夢・・・」
スネイプの部屋・・は夢でうなされていた。
の額にうっすらと汗がにじむ。スネイプはそっとを抱きしめた。
「大丈夫だ・・我輩はここにいる。安心したまえ」
「セブ・・」
精神世界から戻って来てからというもの、は毎日のように夢でうなされていた。
それはあの人に追われる夢。
冷たい月に照らされて、必死に朽ち果てた荒野を逃げまどう。隠れる場所はなくて・・・
スネイプにしがみつくように、震えている小さな恋人はやがて安心したのか、
スネイプの腕の中で小さな寝息を立てはじめる。
そっとの顔を撫でると、くすぐったそうにスネイプの胸に顔をすりよせてきて。
そんな仕草がなんとも愛らしくて、思わず目を細めた。
だが、一塊の不安がスネイプの体を押さえ込む。
「我輩といるからうなされるのだろうか・・この呪われた印を持つ我輩の傍にいるから・・」
そう、思うとスネイプは顔を曇らせた。
彼女を一番苦しめているのは、他の何者でもない・・自分ではないかと・・
「もう・・・隠しきれないか・・・・・」
「では、今日の授業はこれまでとする。ミス・グレンジャー!この後残りなさい」
魔法薬学の終了と同時に、スネイプは低い声でハーマイオニーに居残りを言い渡した。
は不安そうにスネイプを見つめるが、彼は器具の片付けに入りその表情は読み取れない。
ハーマイオニーに視線を移すと、ハーマイオニーはきょとんと首をかしげている。
やがてガヤガヤと生徒達が移動し始めると、は慌ててハーマイオニーのところへ歩み寄った。
ハリーとロンも慌てている。
「ハーマイオニー何かしたの!」
「さあ・・・いまさらの妨害で呼び出し?まさかね〜」
「あーミス・グレンジャー以外は早急に退室願いたいのだが?」
イライラしたスネイプの声が真上でした。
不安そうに見上げてくるを一瞬みてハリーとロンを睨みつける。
達が出ていくとスネイプは杖を取りだし扉に鍵をかけた。
「さて・・君に聞きたいことがある」
「のことなら、妨害辞めませんわよ!」
「・・・・・・・・・・気に入らんが・・・・・・今回はのことで聞きたいことがある。無論拒否権はない」
「なっ・・」
スネイプの強引な態度にカッとなるが、スネイプの真剣な表情にハーマイオニーは言葉を飲み込んだ。
「む〜・・ハーマイオニー大丈夫かなあ?」
魔法薬学教室の扉に耳を当てながら、は小さく唸った。
「っつー!セブめ!鍵だけではなく防音魔法までかけたわね!!」
「んーなんだろね・・が居残りならわかるんだけどね・・浮気か!?」
ハリーが嬉しそうに声をあげるとロンは顔をしかめた。
「冗談やめろよ、ハリー!と恋人というだけでも犯罪ものなのに
これ以上は牢獄いきだぜ!」
「・・・2人とも・・セブのことそんなに嫌い〜・・・?」
は泣きそうな顔で二人をみた。
たしかにハリー達はスネイプのことを良く思ってないし、
学校全体でみても同じことで・・それはも十分わかっていたことだが、
こう目の前で恋人のことをけなされると悲しくなってくる・・・・
「はは・・ごめんごめん!」
「は好きだからv安心して〜vv」
「むう・・・・・あっ・・ハーマイオニー!!」
カチャと音がしてハーマイオニーが中から出てきた。
ハーマイオニーはをジッとみつめてニッコリと笑う。
「ねっハーマイオニー!セブになにか嫌なこと言われたの?」
「いいえ、大丈夫よvvスネイプごときに私が負けるもんですか!」
そうムンと拳を握ってみせるハーマイオニー。
それでもは不安そうな表情で・・・ハーマイオニーはふうと
溜息をついた。
「本当になんでもなかったわよ、。この間提出したレポートに書いたことでよ。
ほら月光の夜に花を咲かせる薬草の・・・私が書いたのに少し興味持ったみたいよ?
私への嫉妬だったらそれは楽しいバトルができそうだったのにね〜?」
そうニッコリ笑うハーマイオニーにようやくも笑った。
「へへ・・それならよかったよ・・・・・・・・・でもお願い!もう少しセブとの時間邪魔しないで・・」
そう手を合わせ、首をかしげてハーマイオニーを見つめるが・・
「あら?私は校内の秩序を守っているだけよ?教師の立場利用してあんた!
減点しすぎ!!だしvかっわいいを独り占めだなんてv調子こいてんじゃないわよ!陰険教師vってねv」
「グリフィンドール15点減点」
「ああら?いらしたの〜スネイプ教授!?」
いつの間にか出てきていた不機嫌度マックスのスネイプに、ハーマイオニーは黒い笑みを浮かべて微笑んだ。
「いつまでも教室の前でふらふらするな、邪魔だ!・・・来なさい」
「あ・・・うん・・・・」
そうハーマイオニーをひと睨みすると、スネイプはを手招きして再び教室へと入っていった。
教室に入っていくをハリーとロンが止めようとするが、なんとそれをハーマイオニーが制止した。
「じゃあ、夕食の時にねv」
「うんv」
ニッコリと笑って教室に入っていくを、ハーマイオニーは心痛の顔つきで見守って・・・・・
廊下を歩きながら、ハリーとロンはハーマイオニーにくってかかった。
「なんでをスネイプと2人きりにしたんだよ!!」
「襲われっちまうよ!!」
「あら?大丈夫よ」
「なんで!!」
そう驚きと怒りの表情を込めてハーマイオニーの顔を覗きこむ二人。
ハーマイオニーは周りに人が居ないか見渡して、2人に裏庭へ出るように合図する。
ロンとハリーは顔を見合してハーマイオニーの後に続いた。
「本当はね、スネイプにのこと聞かれたの」
「のこと?」
ロンとハリーは目を丸くした。
「毎日、会っているくせに!いまさらの何が知りたいんだ?」
「が例のあの人と対峙したのはから聞いたでしょう?
それ以来、・・・スネイプの部屋で居眠りすると必ずうねされるらしいの・・・
それで、寮ではどうなのかと聞かれたわ。ほら、私と同室だし。」
「うなされてるって・・で・・・ハーマイオニー!君はなんて答えたんだい?」
「えぇ・・・・じつは寮でもうなされているの・・・一度なんか押さえつけたほどだわ・・
スネイプはのこと心配しているのよ・・・精神世界っていったかしら・・
その中で例のあの人からを救った人だし・・・」
「そんな・・ハーマイオニー!なんでのことを教えてくれなかったんだ!!」
ハリーは焦ったように声を上げた。
「だって!は「大丈夫」の一点張りだったし・・夢のことだと思ったから・・
まさか・・その夢が「例のあの人」に追われている夢だったなんて・・・・」
そういうとハーマイオニーは俯いてしまった。
ハリーはしまったと口に手をあてる。
「その・・ごめん・・・」
「・・・ううん・・・」
三人はしばらく無言で立ち尽くしていた。
「スネイプは言ったわ・・・・・・
今夜、に打ち明けることがあるって・・・もちろん、それが何か聞いたわ!
でもスネイプは私には関係ないって・・・でもそれはとても深刻なこと。」
ハーマイオニーの声が微かに震えていた。
「そして、スネイプが打ち明けることによってが苦しむことになったら・・・その時は・・・」
そう、言葉を閉ざすハーマイオニーにハリーとロンは胸騒ぎを覚える。
「その時はに忘却術をかけ、スネイプとのことを忘れさせるって・・・・」
「忘却術だって?スネイプの奴が?」
ロンは驚愕の表情を浮かべて呟いた。
「えぇ・・・それほど深刻なことなのよ・・とスネイプにとって・・ううん・・きっとスネイプにとって・・
私・・いつもスネイプとの邪魔してたけど・・・・こんなことって・・・
きっとの記憶を消しても・・スネイプはのこと見守っていくんだわ・・・
がスネイプに対して何の感情抱かなくなっても・・・ずっと・・・傍で・・・」
ハーマイオニーはうっすらと涙を浮かべた。
ハリーもロンもなんともいえない苦しい表情で・・・
「今頃は・・・スネイプはに話しているはずよ・・・」
「は拒絶するのだろうか・・・」
「打ち明ける深刻なことって・・何だろうね・・・・」
「わからないわ・・・」
空がゆっくりと闇に飲まれていく。
「・・そこに座りなさい」
「う・・うん・・・・」
教室に入るように言われて入ったが、いつもと違う恋人の様子に
は戸惑いが隠せなかった。
促された机につくと、向かい席にスネイプは腰をおろした。
ジッと見つめてくる視線に胸騒ぎを覚える。
「・・・・・セブ・・・・・・・?」
「、君に打ち明けるとことがある・・最後まで聞いてほしい」
(君は拒絶するだろうか?罵倒し触れることはおろか・・目すら合わせてくれなくなるのだろうか・・・・)
「うん、最後まで聞くよ」
胸騒ぎを覚えながらもジッとスネイプを見つめ返した。
スネイプは真っ直ぐに見つめてくる、の顔をしっかりと脳裏に心に焼き付ける。
懐に隠し持った、杖をどうか・・・彼女に向ける瞬間がこないように・・・
そう願いながらスネイプは左袖をめくり、に示した。
「我輩は昔、デスイーター・・死喰い人としてヴォルデモートに仕えていた」
空が闇に飲まれていく・・・
でも、どうか・・2人の心までも飲み込まないで・・・・
ハーマイオニーは漆黒の闇に浮ぶ三日月を見上げながら
ただ願うばかりだった。
いまだにスランプってます・・ひー・・
ふへーそろそろ4巻終了に向けて追い込み〜です。!!