35嫉妬
「・・・ね・・・セブ・・・・何か・・その・・・怒ってる?・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや?」
「・・やっぱ・・・・怒ってる・・・・・・・・・」
「独占欲」
第二試合の次の日の夜、はいつものようにスネイプの部屋に行ったのだが・・
なにやらスネイプの様子が変だった・・
こう・・会話をしていても返事が素っ気無いし、いつもはすぐ抱きしめてくるのに今日に限ってそれがない。
はスネイプの気に障ることをしたのではないかと不安になった。
(でも・・・心当たりないよ・・・)
「セブ〜・・・・」
半分泣きそうにスネイプの顔を覗きこむ。
スネイプは大きな溜息つくとを引き寄せ、自分の膝に座らせた。
の後ろからキュッと抱きしめ、その耳に小さく囁く。
「一昨日の夜は何をしていた?」
「え?・・えーっと・・あっハリーと一緒に談話室で調べものを・・」
「昨日の夜は?」
「ハリーの第二試合通過お祝いで談話室に・・・・」
そう顔だけ振り返ると、いかにも不機嫌そうなスネイプの表情がそこにはあった。
思わず強張ってしまう。
なにか変なことを言っただろうか・・・
(あ・・ハリーってセブの前であまり言わない方がよかったんだっけ?・・)
その予感は少なからずも当たっていたらしい。
実際スネイプはハリーと聞いて眉間の皺を濃くした。
だが彼を苛立たせていた本当の原因は−
「ほう?我輩のところよりポッターがいいのかね?」
そう耳元に囁く。
「え///そんな!・・・あっひょっとしてセブのところに行かなかったから?怒ってるの?」
くるんと体勢をかえ、スネイプと向き合う。
スネイプは少し口を尖らせプイッと横を向いてしまった。
どうやらが自分の所に来なかったのが気に入らなかったらしい。
その原因がハリーならなおさらだ・・・。
はニッコリと笑って
「そんなことで怒らないでよ〜セブ〜・・・私だって友だち大切にしたいの・・」
それでもスネイプは子供のように拗ねたまま・・
は困った顔をしてスネイプの顔を覗きこむ。
「セブは嫉妬深いなぁ・・」
フッと軽く吹き出してようやくの顔を見るスネイプ。
二ヤリと意地悪く笑いの頭を撫でる
「ふん、なんとでも言え。我輩は人一倍独占欲が旺盛だからな」
「あう・・・三倍くらいありそうだよ・・・・」
「それだけが大事なのだ・・」
そう優しくでも力強く抱きしめた。
スネイプの温度を感じながらはクスと小さく笑う。
「へへ・・でもそんなセブが大好きだよ」
「我輩もだ」
「あーお取り込みのところ悪いんだがよ」
スネイプとは驚いて顔を上げた。
スネイプの机の上でが盛大な溜め息をついて呆れた表情で二人を眺めていた。
「頼むからっ!俺の前でいちゃついてくれるな。お前等俺の存在忘れてるだろう!」
そう、はと一緒にスネイプの部屋に来たのだ。
は「あははごめんごめん!」と半分いじけているの頭を優しく撫でた。
その姿にスネイプが少しばかり嫉妬したのは言うまでもなく。
「まったく、ようやくくっついたと思ったらこれだ!」
自分の膝枕でスヤスヤ眠るの髪を指で梳かしながら、スネイプはチラッとを見て苦笑いをした。
「ふん、貴様も相手を探せばいいだろうが・・鷹のな」
そう嘲けるようにを見据えた。当然も黙っちゃあいない!
「んだとーてめー!誰が好き好んで羽毛だらけな女を相手にするか!!!」
「貴様も羽毛だらけだろうが」
「うぐ・・・・・・ちきしょう・・・覚えてろよ・・・・」
「忘れたな」
「けっ」とはき捨てたように舌打ちをしては羽根での頬を優しく撫でた。
一瞬のくすぐったそうに笑うだが起きそうにはない。
の可愛い寝顔にちいさく微笑みながら、
「・・・・・お前・・・・に話したのか?・・・」
「・・・・・・・・・・・いや・・・・」
スネイプは表情を曇らせ、左腕を握った。
「言わなくてはならない・・・解かっている・・・だが・・・・」
「踏み出せない・・・・・か・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
左腕を握る右手に力が入る。
苦痛で顔を歪ませるスネイプ・・だがそれは握っている力ではなく、
脳裏の奥深く消せない光景のせいで・・・
スネイプは思わず自嘲の笑みを浮かべる。
「ふっ・・・守ると誓ったのにな・・・だがこの手はあまりにも汚れすぎた。
我輩には人を愛することはおろか触れる資格さえないというのに・・・・・・」
「んで?今はどうなんだ?」
「何?」
「おめーの気持ちだよっ阿呆!を守りたいのか守りたくねーのか、
好きなのか嫌いなのか!?」
声を荒げるに眉を顰めるスネイプだが、
「何を馬鹿な・・・・気持ちは変わらん!を心から・・・あ・愛しているっ」
慣れない言葉に焦りながらも、スネイプは真っ直ぐとを見つめた。
知らず知らずの内に、スネイプの手はの手を優しく握っていて。
そんなスネイプの様子に内心微笑みながらは威厳をもったように胸を張ってみせた。
「だったらそれでいいじゃねーか」
「・・・?」
「だいたいお前はグジグジと過去に捕らわれすぎるんだよっ。
確かにお前の過ちは消せねぇし忘れてもいけねえ!
だけどな誰にだってやり直しができるチャンスはあるんだ。
それを逃すな。大事なのはこれからだぜ?
いいか!お前の役目はをヴォルデモートから守り、を幸せにすることだ。
それまで何があっても死ぬなよ?死んだらハヤト頼んで転生させてやる!
そうだな・・・ちっこい雀とかな!
へっ笑えるぜ!セブルス・スネイプが雀に転生、チュンチュンって鳴くんだぜ?
むしろ、が幸せになったらお前雀になれよ!同じ鳥類、仲良くやろうぜ!おい!」
一気にまくし立てるに一瞬驚いたスネイプだが、
彼特有の不敵な笑みを浮かべて−
「はっ誰が貴様と同類に落ちるかたわけが!第一我輩が転生などしたら、は幸せになれんだろうが」
「けっ!俺もお前となんか同類になりたくねえよ!
しかも随分、自意識過剰じゃねえか、こら。しばくぞ!」
「ふん、嘴で突付くしか能がない奴に何ができる!だいたい貴様もに惚れていたクチじゃないのか?
え?どうなんだ!?」
「羽でも攻撃できるわ!ボケが!
おーおー!お前とが会う前から惚れてたさ!横取りしやっがて!!
あー!思い出しただけで腹が立つ!!お前!マジで泣かせてみろっ
ただじゃおかねえ!!!」
「ほおう?負け惜しみか?情けない奴だな」
「んだとぉ・・!!」
「2人ともうるさい」
ハッとして自分の膝で眠っていたを見下ろすと、半分目を閉じたまま
スネイプを見上げていた。少しうるさそうに顔をしかめてまたゆっくりと目を閉じる。
「・・・・・セブ・・・・・・離れないでね?も・・・・・・離れたら・・ずっと泣き続けてやるからっ・・・」
そしてまた小さな寝息をたてて、は眠りについた。
呆気に取られていたスネイプとだが、お互いの顔を見合わせて
プッと小さく噴出して、苦笑いをした。
スヤスヤ眠るの髪を指で梳かしながら、スネイプはそっと呟いた。
「必ず近いうちに話すさ・・・だがその時・・・・・お前は我輩から離れて行くのか・・?
血にまみれた・・・この手を・・振り払って・・・・・」
「・・・・・それもきっとお前との試練になるんだろうな・・・・・」
は淋しそうな表情のスネイプにそっと語りかけた。
試練
スネイプはその言葉に心のざわめきが一層高くなった。
「試練・・・そうかもしれん・・・だが・・我輩の気持ちは変わらん・・・」
そう小さく、でも優しくの額に口付ける。
スネイプの過去・ヴォルデモートとの関係を知った日・・・
はどんな顔をするのか・・・・
は目を閉じたまま、スネイプと
の会話を聞いていた。
心の声でスネイプに語りかける。
(セブが話してくれるまで、私は待つよ・・・・・どんなにつらいことでも・・・・
私は貴方から離れないから・・・だから・・・お願い・・・ずっと傍にいてね・・・・・・)
そう心の中で呟いた言葉はもちろんスネイプに伝わることはない・・・
そしてはそっと、意識を放しスネイプの暖かさを感じ取りながら眠りについた。
その日が訪れた日も、2人寄り添っていられるように・・・・・・
今回ギャグで通そうと思っていたのに・・・なんか最後シリアスだし!!
まだ、スネイプの過去のことをさんは知りません。
ただ漠然とヴォルデモートと何かあったと勘付いてはいます。
そして次回は!!とうとう出ます!!!黒犬!(笑)