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「名前」
元の世界に戻ってからとスネイプはこれまでよりも寄り添うようになった。
それでもこのことは限られた人物しか知らない関係。
2人はとても幸せだった。
だけど不安もよぎる・・・・・・・・・
「ヴォルデモートがを?」
ハヤトは驚愕の表情でスネイプを見つめ返した。
スネイプは精神世界での出来事をダンブルドア達に話した。
巣食っていたのはヴォルデモートで、を狙っていること。
皆何も言えなかった・・・・・・
も黙って俯き、ギュッとスネイプのローブを握り締める。
の祖父はそっとの頭を撫でた。
「そうか・・・・だが・・・今は何も考えるな・・・時が来ればおのずと
どうすれば良いかわかる・・・今は心から慕う者の傍で己の心を育てなさい・・・・」
そう微笑むと、スネイプを見つめた。
スネイプは黙って頷く。
ハヤト達はその日のうちに日本へと帰っていた。
別れ際、を抱きしめるナツキを横目にハヤトがスネイプに廊下へ出るように
目配りをさせる。2人で廊下に出る・・・・・・・
「・・・・・・一発殴らせろ、セブルス」
「・・・・・・・・」
ハヤトは拳を震わせ、スネイプを睨んだ。
スネイプは黙ってハヤトを見つめた。
「まさか俺の大事な一人娘が、同窓だった奴と恋仲になるなんてな・・・・」
唇を噛み締めハヤトは溢れ出てくる怒りを精一杯抑えているようだった。
スネイプは何も言えなかった・・・・
「まあ・・今回はそのおかげで・・あの子は戻ってこれた・・・だから一発で諦めてやる。」
「・・・・・・・・・・あぁ・・・・すまないと思っている・・・」
スネイプは組んでいた腕を解き、目を閉じてハヤトへと一歩踏み出した。
ハヤトの拳が空を仰ぐ、空気の流れがそれを感じる。
勢い良くスネイプの顔へと振り下ろされた。
ガシッ!
殴るはずのその拳はスネイプの胸倉を掴んだ。
驚きに目を見開くスネイプ。ハヤトはグイッとスネイプを掴み上げると
「いいか!を泣かすようなことをしてみろ!ただじゃおかねえぞ!」
「・・・・・・・・」
「わかったか!」
「もちろんだ」
パッとスネイプからハヤトの手が離れた。
ニカッとスネイプに笑ってみせる。
「なーんてな!いいんじゃねーか?が幸せならそれでよし!!!」
「な・・・」
「あ?何ビビってんだよ、しかっしなーおめーどうやって口説いたんだよ!おい!
、天然もいいところまでいってるからな〜落とすの大変だっただろう!!な!なんて言ったんだ?」
スネイプは一瞬で拍子抜けした。
普通なら怒って、殴って、別れさせるだろうが・・・・・
だが、ハヤトはニッコリと笑いながら
「これから俺のこと「お義父様」と呼べよ、こら」
とスネイプの肩を叩いた。
スネイプは「はあ?」と苦虫を噛み潰したような顔をしたが、
フッと笑って
「はっ・・・・死んでも呼んでやらん」
それから数日が過ぎた。
晴れて恋人同士になり、スネイプの心は躍っていた。
がー
不安もまた募るばかりであった。
「〜♪これからちょっとしたクィディッチのゲームをやるんだけど一緒にどう?」
「ねーねー!今度の日曜日お菓子作り手伝ってほしいのvv」
「昼食一緒に食べようぜ!!!」
「今度一緒にホグズミードに行きましょうよvv」
の人気は相変わらずで、広間で廊下でを見かけると必ずこの場面に遭遇する。
スネイプと恋人同士ということを生徒達は知らない。
2人もばれぬように今までの関係を保っている。
恋人同士の時間は夕食が終わって就寝までの少ない時間・・・
それ以外は教師と生徒を演じて・・・・・
湧き水のようにに言い寄る生徒達。
男子に限らず女子・・先輩に後輩・・・本当には多くの者から好かれているのだと
実感する。そして声をかけられたも邪険にせず、にっこりと返事をする。
スネイプは気が気ではなかった。
いくら想いが通じ合っているとはいえ、あまり他の者にやたらと笑顔を見せないでほしい・・・
これは束縛だ・・・・自分でもよくわかっている・・・・
スネイプはグッとなんともいえぬ気持ちをこらえ、その場を後にした。
でも・・・
「あの生徒はハッフルパフだったな・・・30点減点だ・・・・」
教授・・・・・・・おとな気ないです・・・・・
も少し物足りなさを感じていた。
確かに毎日恋人と会っている・・でもそれは限られた少ない時間・・・
それ以外は教師と生徒との関係・・・それは十分わかっていた。
でも、駆け寄って抱きつきたい・・抱きしめてもらいたい・・・
そんな感情がふつふつとの心に溢れてくる。
抱きつけなくても・・せめて言葉を交わしたい・・・・・
だが
「あっスネイプ先生!・・・こんにち・・・は・・・・・って・・・ハッハーマイオニー?〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「・・・・・・・・・なんだ・・あれは;」
スネイプに話しかけようとするとどこからともなくハーマイオニーが現れ、
を猛スピードで連れ去った。一度など
「ぁあらvスネイプ教授vご機嫌うるわしゅうっ顔色が悪くてなによりですわv」
との前に立ち塞がり、スネイプにくってかかった。
もちろんスネイプも黙ってはいない。
すかさず減点をしてやろうと口を開くが、さすがハーマイオニー!
「まあ!大変!もうこんな時間ですわvそれでは失礼しますv教授」
との手を引っ張り逃げ去っていく。
そんな妨害に日々遭い、スネイプとの安らかな時間は夜の少ない時間だけになってしまっていた。
そんなある日のこと−
「・・・・・・」
スネイプとの安らかな時間。スネイプの部屋に行くなりいきなり抱き寄せられ、
は一瞬驚いた。
スネイプはこの時間だけ自分のことを名前で呼んでくれる。
心地良く耳に響く低い声で、愛しい口から紡がれる音−
優しく抱きしめられて思わず、意識が遠くなる。
必死に意識を手繰り寄せ、そっとスネイプの背中に腕をまわした。
「先生」
の可愛らしい声がスネイプの耳に反響する。
ゆっくりとの顔を覗きこんだ。
「違うだろ・・・」
「?」
突然のスネイプの言葉には首を傾げた。
そのの姿に大きく溜息をつく。
「そろそろ我輩のことも名前で呼んでもらえないかね・・・・」
「え・・・ぇえ!!??」
は一気に真っ赤になった。
スネイプの口が意地悪く笑っている。
「な・・・名前・・え・・で・・ですか・・・」
しどろもどろになりながら目を泳がす。
は生徒という立場から、2人で過ごすときも「先生」と呼んでいた。
じっとを見つめるスネイプと目が合おうと、さらに顔を真っ赤にさせる。
「あわわわ・・・その・・えーっと・・・」
「名前だよ・・・・・・・・我輩の名は?」
「・・・セ・・・・・セッ・・・・・・セブ・・・・セ・・・//////」
「ん?ちゃんと呼んでくれないかね」
真っ赤になりながら必死に自分の名前を言おうとしてしる姿がとても愛しくて
思わずからかいたくなる・・・・くすりと笑っての耳元で囁く。
「我輩の名は?」
「セ・・セブ・・・・セブ・・ル・・・・・・・・////セビ・・・・セバ・・・・・・セボ・・・・・・・・あううううう・・・・・」
真っ赤になりながらだんだんおかしなことを口走る。
どうやらまだ自分を名前で呼ばせるのは、まだ時間がかかるらしい・・・・
フッと笑うとをローブの中へと引き寄せた。
「まあいい・・・・しばらくは呼びやすい名で呼んでくれ」
「うん・・・・セ・・・セブ・・・・・////////」
必死に自分の名前を呼んでいるのがわかった。
それでも2人の特別な呼び名が欲しかった・・・・
先生
ではなく、恋人同士の呼び名が・・・・
「セブ・・・・・・・」
「何だね?・・・・」
「暖かい・・・・・・」
そして短い恋人同士の時間が過ぎていく。
「セブ先生!!!」
「・・・・・・・グリフィンドール1点減点・・・・・」
「ぇえ!?」
気持ちよく晴れた昼下がり−
廊下でスネイプを追いかけ来たの言葉に盛大に溜息をつく。
「なんでいきなり減点なんですかぁ」と頬を膨らませるに、
眩暈を感じ額に手をつく。
「あのな・・・・我輩とのことは秘密だろうが・・・教師を名前で呼ぶな・・・(嬉しいがな)」
「あ・・・やば・・ごめんなさい・・・えっとスネイプ先生v」
「よろしい、ミス・」
慌てて口を両手で押さえるにスネイプは威厳を持ったようにを見下ろす。
「・・・・・・・でわ、失礼します!」
「うむ・・気をつけて戻りなさい」
「はい!」
サッと踵を返して小走りに去っていく。ふと足を止めて振り返り、
「あっそうだー!セブ先生!・・・・・・ってはわあっ!」
また名前付きで呼んでしまい、パッと口を覆う。
スネイプはやれやれと深い溜息をついた。
「さらに1点減点だ、」
「・・・・・先生!先生からも1点減点ですv」
「?・・・・あ・・・・」
ニッコリと笑うにスネイプはしまったと口を覆った。
だが自然と笑みがこぼれてくる。
「教師から減点するとはたいした度胸だな。ミス・・・・放課後、我輩の部屋に来なさい」
「はーい!行きま〜すv」
もう一度ニッコリと微笑むとは再び踵を返して寮へと戻って行った。
廊下に誰もいなくてよかった
ホッとスネイプは胸を撫で下ろした。
「ま・・いたところでそいつに忘却術をかけるだけだがな」
そう笑うとスネイプは自分の研究室へと足を進めた。
2人の関係はまだ秘密のことー
精神世界編が終わって一気に脱力し、
書き上げたのがこれ!・・・なんだー!!!これはー!
次からは本編に戻ります・・いい加減進めろや自分