32亡霊








!!」


「・・・・・・・・・あなたは・・・・・・誰?」



「!?なっ・・・・・・・・・」





























「亡霊〜精神世界完結編〜」




































廃墟の扉を開け、中に進むとそこは開けた玄関広間になっていた。
至る所に蜘蛛の巣が張り、壁ははがれ心材があらわになっている・・
スネイプはこの場所に覚えがあった・・忘れもしない・・消すことは許されない記憶・・・
玄関広間の奥には大きな大階段・・・・

(そうだ・・この上の奥の部屋にあの方はいつもいた・・・)

そうぼんやり考えていると−





「!?!!」



大階段からが降りてきた。
真っ白なドレスをまとい、漆黒の髪がふわりと揺れる・・・・・
スネイプはの元に駆け寄った。





!!」


「・・・・・・・・・あなたは・・・・・・誰?」



「!?なっ・・・・・・・・・」



スネイプは驚きに目を見開いた。
の顔を両手でつつみ、覗き込む。


「何を言っているんだ・・・・我輩だっ」

だがは不思議そうにスネイプを見つめ返した。
その瞳はいつもの明るさはなく、灰色がかりまるで・・・・



人形のようで・・・・・・






はお前のことなど忘れたのだよ・・・セブルス」


























忘れもしない声にスネイプは凍りついた。
息を呑み大階段の上を見上げる・・・・
そこにはかつての主・・消せない己の過ちが・・・立っていた・・・・・



「ヴォルデモート・・・・」

冷たい表情に恐ろしいほどの赤い瞳・・・
だがなにかが違う・・・自分が知っている・・・最期に会った日より
若く見える・・・
ヴォルデモートはピクッと顔を歪めた。
ザッと杖を取り出し、スネイプに向け呪文を放つ


「クルーシオ」


「ぐっ・・はあ!!!」

スネイプは突然苦しみだし、床に崩れた。
体中を電撃のように走る苦痛・・・・

ヴォルデモートはニヤリと寒気のする笑みを浮かべると、スッと杖先をスネイプからはずした。
はらりとスネイプの体がゆるむ・・・

「っつ・・は・・・・」

「言葉には気をつけることだな。様を付け忘れているぞ?セブルス」

「・・・くっ・・・誰がっ・・言うか・・・っつ・・・」

スネイプは膝をつきながらヴォルデモートを睨み上げた。
また寒気のする笑みを浮かべる・・・・・・・



「ほお・・・どうやら主人に逆らう気らしいな・・・・おいで・・・

「・・なっ!?」


スネイプは目を見開いた。
はふわりと微笑むとキュッとヴォルデモートに駆け寄り、抱きついた。
嬉しそうにヴォルデモートの胸に顔を埋める・・・・

スネイプは自分の目を疑った。
は今・・何をした?

!そいつから離れろ!!」

スネイプの怒鳴り声が屋敷に響く。
は顔を上げ、不思議そうにスネイプを見つめた。

「・・・どうして?」

っそいつは・・・・!」

「私はヴォルデモート様の妻になるのよ?」

「なっ!!」

ヴォルデモートは薄く笑うと、を抱き上げ、その口唇に口付けを落とした。
嬉しそうに首に抱きつく・・・

「無駄だ。の中からお前の記憶を消してやったよ・・・ふん・・いい様だな、セブルス・・・
の家の血・・・・これはとても素晴らしい・・・・この血と俺様の血が交じり合えばその子は
第二のヴォルデモート卿として世界を暗黒へと導くであろう・・・
それに・・・・この娘も気に入った・・・」

そうスネイプを嘲るように笑うと、の頬を撫で上げる。


「だが、今のは精神のみだ。それだけでは・・・・」

「くく・・・なんのために呪いをかけたと思っているんだセブルス」

一層気味の悪い笑みを浮かべるヴォルデモートにスネイプは凍りついた。


「精神さえ手にすれば代わりの体など・・簡単に作れる・・死体とかな。
無論・・・の遺体を我が下僕に盗ませるが」

スネイプの目がカッと見開いた。キュッとローブから杖を取り出す。

「貴様あ!!人の命をなんだと思っている!!」

だが目の前にはヴォルデモートの姿はなかった。
くくく・・・とスネイプの耳元で気味の悪い笑いが響く、バッと振り返るとヴォルデモートが
スネイプの背後に立っていた。


「笑わせる・・・人の命と口説ける立場か?セブルス」

ガシッとスネイプの顎を掴見上げる。
スネイプはキッと睨み返す。

「最高の子供を作るには母体の記憶をいじくる必要があるのだよ・・セブルス・・・
それに俺様はを大変気に入っている。その女を俺様の思うようにしたいではないか」

「っつ!貴様のやっていることは人道から外れている!!」

「ぬかせ!」

ヴォルデモートは声を張り上げた。は不安そうにヴォルデモートのローブを
キュッと掴む。を引き寄せ、再び口付けをする・・・
ねっとりとスネイプを覗きこみ

「貴様にそれ言う資格があるのか?え?よもや忘れたとは言わせん、貴様も同じよ・・・」

スネイプの顔が強張った

「・・やめろ・・・」

「俺様の下につき、いったい何人血祭りに上げてきた?」

「・・黙れ!」

「女・子供容赦なく杖にかけていたではないか・・」

「やめてくれ・・・・」

「鋼鉄の顔を持ったデスイーター・・・それがお前の異名だったな、セブルス」

「も・・う・・たくさん・・だ・・・・」

「貴様も同じよ・・・罪は消せんその身が滅びようとな。その腕を忘れたか?」


ヴォルデモートはスネイプの左腕をなぞった。
スネイプは真っ青になった、ヴォルデモートを睨みつけいた目は
もう焦点を定めていない・・・・・

「思い出すであろう?懐かしいであろう?戻りたくはないか?鋼鉄の顔よ・・・・・」


スネイプの膝がガクンと崩れた。

頭の中に響いてくるあの頃の日々・・・・



"お願い!この子だけは・・・この子だけはどうか・・・!や・・・やめて・・・・・・!!殺さないで!!!やー!!"
"っく・・・デスイーターめ・・・覚えておけ・・・貴様らに必ず天罰がくだる・・・・・"
"人の皮を被った悪魔め!!!"



消せない・・・罪・・・・


"本当に気味の悪い子よ!お前は!!"
"なんだよっあいつ!気味ワリー!"
"ほんとにむかつくー!あの教師!!"


もう・・やめてくれ・・・・


スネイプの黒い目がだんだんと灰色に変わってゆく・・・・


もう・・・そんな言葉は・・・聞きたくない・・・

"いなくなってしまえ!"
"あーもう!この薬頭からかけてやりたい!!"
"なんですか!あの教師は!生徒の贔屓しすぎじゃありませんか!"
"本当に陰湿な教師っ!"


もう・・何も聞きたくない・・・・・・・・




























"先生・・・スネイプ先生・・・・"







薄れゆく意識の向こうで懐かしい声がする






"先生・・・前を見て・・私を見て"








・・・・・・」



気づくとスネイプの前にが立っていた。
にっこりとスネイプに微笑む。


"先生?本当の私・・・あれじゃない・・・お願い・・・見つけて・・・幻に負けないで"



そうスネイプに口付けてはスーッと消えた。





















スネイプは意識を取り戻した。
バッと立ち上がり、ヴォルデモートを睨みつける。


「過去は消せん・・罪も罰も・・・だが逃げはせん・・奪い取った儚い命背負い生きていく」

スネイプは杖を取り出した。

ヴォルデモートも怒りをむき出しにし、杖を取り出す。

「守りたい者がいる。は渡さん!」

スネイプの杖から光がほとばしる。
まばゆい金色の光・・・
その光は真っ直ぐにヴォルデモートに突き刺さった。

耳を塞ぎたくなるほどの悲鳴が響く。




「おのれぇ!セブルス・スネイプ!覚えていろ!必ずや復活を遂げ
貴様の首を切り落としてやる!!!」





キーンという音ともに辺りが真っ白になり、スネイプは意識を失った。



気がつくとそこは館の中ではなかった。
あたり一面眩しいほどの緑の草草・・空は真っ青で・・・
こんな美しい景色を今まで見たことがあるだろうか・・・・・
スネイプはゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡す。
どこまでも続く草原。サーッと駆け渡る風が心地よい。


「これが本当のの精神か・・・」


そう呟くとハッとした様に顔を上げる。


 






辺りを見渡すが見えるのはただただ美しい景色だけ。



だが、少し離れた所に何かが立っている・・・・


それは5メートルほどもある石碑だった。
そこには日本語らしい文字でが書かれている。




そして






その石碑にもたれ掛かるようにしてが倒れていた。



!!」


慌ててを自分の中に抱き寄せる。


温かい



だが目を覚まそうとしない・・・・・


しかしスネイプはまるで何をすべきかわかっているように
そっとを抱き上げ

その口唇に口付けを落とした


「目を覚ましなさい・・・・・・・・・我輩と帰るのだ・・・・」








ゆっくりとその瞳が開かれた
真っ直ぐ見つめ返す懐かしい瞳。
心地よい温かさがスネイプの心を解きほぐす。






「先生・・・・・・・ありがとう・・・・・・」



は涙をため微笑むとキュッとスネイプに抱きついた。



「怖かった・・・・私・・私ね?あの館に入ったの。そうしたらヴォルデモートが立っていて・・・・
いきなり体が傷だらけになったと思ったら・・・先生が目の前にいて・・・・・でもでも・・
[先生]って呼びたいのに、声が出せなくて動けなくてっ・・・・」


そういうと声を上げ泣き出した。

「もう・・いい・・・言うな」




サーッと草原に風が駆け巡る。
サラサラと乾いた草の擦れあう音がとても気持ちいい。






スネイプは何か決心したようにの顔を覗きこんだ。


「もう・・・迷わない・・・ずっとお前の傍にいたい・・・お前をずっと抱きしめていたい」


は一瞬驚いて目を見開いたがふんわりとスネイプに微笑んだ。


「私も・・・いつまでもあなたの傍に・・心から」



スネイプはそっとさくやの頬を撫でた。
フッと目を閉じる










サラサラサラと乾いた音が草原に響き渡る
まるで2人を祝福しているかのように・・・・・・・

クリスマスの口付けよりも深く合わせられた口唇から、互いに取り合った手から

お互いの温かさを感じた

























シャン・・・・・・・・・・・・・・シャン・・・・・

























「さあ・・・戻ろう・・・・元の世界へ」

「はい・・・・」


















シャン・・・・・シャン





















手をつないで歩き出す。
さあ、戻りましょう・・・・本当の世界へ・・・・・

何が起きようとも・・・絶対に離れない・・・絶対に
















シャン



















シャン


















石碑の上に狐の面を被った少女がちょこんと座っていた。
面を取り、2人の姿をにっこりと見つめている。

漆黒の肩まで伸びた髪に、くるんとした瞳で・・・・・・



「お父さん、お母さん・・・・これからが茨の道よ・・・・・・
それでも・・・乗り越えて・・・・・未来で会いましょう・・・・」








シャン!















音がして少女は消えた。























そして2人は元の世界に戻っていった。












げひゃー!
よーやく終わった!この世界編!!
もう!じつは!ヴォル様出したのはいいんですが
どうしようかと(滝汗)←おい!
んでようやく。くっついたっつーことで!
長かったなおい!(全くだ)

そして少女は想像つきやすかった(笑)
2人のお子さんですvしかも未来の(それってどうなん)

ということで、くっついたところでさっさと本編戻れ自分。