試練






この呪いを消すことができたら・・・・・・目覚めることができたら・・・・







その時は・・・・・






その時こそ・・・・・・・・・


































「試練」〜精神世界編〜











使われていない、部屋に何重もの結界を張り、
その中央のベッドには白く横たわっていた。

息はない、温かさも感じられない・・・・・


一週間後もこのままでないことをただ祈るだけ・・・・













「必ず戻ってきてくれ・・・・・・・・・・」



















































「・・・・・ここが・・・私の精神・・・・」



は目の前に広がる光景に、言葉を失った。

ただ一面に広がる緑色の草原・・・・あまりにも綺麗で・・・

はゆっくりと歩き出した。







辺りを見渡しても何もない・・風が吹いてサラサラと音をたてる草。
空はとても青くて、白い雲が浮んでいる。
本当にここは自分の精神の中なのだろうか・・・
























シャン













奥の方で音がした。















シャン・・・・シャン・・・・・・・





音とともに周りに霧が立ち込めてくる。
は神経を集中させ、じっと前を凝視した・・



シャン、シャン・・・・シャン



だんだん音が近くなってくる。何かがこちらに近づいてくるのがわかった。
だけど霧が濃くてそれが何なのか良くわからない。
は少し身構えながらも、自分に向かってくるのが
何かわかるまで手だししてはいけないと直感した。



シャン!


一際大きい音がして、の前にその姿が現われた。



「・・・・・・・・・・・・あなたは・・・・」


そこには狐の仮面を被り着物を着た、女の子が提灯を下げて立っていた。
何も言わずにを見上げている。もなんて言えばわからずただ黙って立ち尽くしていた。
女の子はゆっくりとの頭からつま先まで眺めると、


「コノ先ハ・・茨ノ道ゾ?ソレデモ行クノカエ?」


はごくんと息を呑んだ。

「うん・・・行くよ・・行かなきゃいけないの」

まっすぐに女の子を見つめる。
女の子はしばらく黙っていたが、懐からちりめんのかわいい小さな巾着を取り出し、
の手をとってちょこんと手のひらにおいた。お手玉ほどの大きさだ・・・
不思議そうに女の子を見つめる

「ならば進み・・・己と戦い、勝ちなさい・・・それはお守り・・・持って行って・・・」










シャン








女の子は踵を返すとまた霧の中へと歩いていく


「待って!どうして私にくれたの?あなたは一体・・・・」



くるん


女の子は振り返った。
仮面をつけているのにニッコリと笑った気がする・・・そしてスーッと霧へと消えていった。





辺りの霧が晴れ、再び青空と緑色の草原があたり一面に戻ってきた。
は小さな巾着をローブのポケットの中に入れると、また歩き出した。



































































































・・・・戻ってくるのよ・・?」

の冷たい顔を優しく撫でながら、ナツキはぼんやりと呟いた。
ハヤトもスネイプもただ黙って見ていることしかできなかった・・・・・マクゴナガルはスッと立ち上がり

「セブルス・・・これからはただ待つしかありません・・私達も授業に出ましょう・・・」

そう静かに呟く。スネイプは黙って頷いて立ち上がり、ハヤトの肩に手を置くと部屋から出て行った。
廊下に出るとダンブルドアが2人を待っていた。

「ミネルバ、セブルスよ・・・話がある・・・・」


校長室に呼ばれ、ダンブルドアは静かに口を開いた。

「呪いは自身が解決しなければならない・・わしらは何もできん・・・じゃが・・・
呪いを施した人物・・・おそらくゴブレットにハリーの名前を入れ、術式を妨害したものと同一人物だろうと
ワシはにらんでおるのだが・・お2人はどうかな・・・・」

マクゴナガルとスネイプは黙って頷いた。
ダンブルドアも「ふむ」と頷くと少し声を落として呟くように囁いた。

に対しては何もできん。じゃがその人物を探し出すことはできるかもしれん・・
ホグワーツ周辺に不審な人物はいないか、の友人に最近彼女に変わったことはないか・・
2人に調べてほしい。無論このことは他言無用じゃ。慎重に・・・おぬしらも呪いを受けぬよう
気をつけて動いてくれ・・・・」

「「わかりました」」


校長室を出て魔法薬学教室へと向かう廊下・・・
スネイプはそっと左腕を掴んだ・・・・・

「・・・もう・・逃げも隠れもせん・・・我輩も戦おう・・・・・・・・・・・・
・・・お前が目を覚ましたら・・その時は・・・・・・・・・・・その時こそ・・・・・」







































































































「化け物!あっち行けよ」
「この子ったら何もないところに向かって話しするのよ?気味が悪い!」
「近づかないでよっ私の手が汚れるでしょ!?」
「なにが陰陽師よ?おくれてるー!!」




はギュッと目を瞑り、耳を塞いだ。




やめて・・・思い出させないで・・・お願いよお・・・・




穏やかだった草原の景色はいつの間にか荒れた大地へと変わっていた。
空は気味が悪いほどに赤い。
耳を塞いでも自分の脳に直接聞こえてくる声・・・・

それは幼い日の記憶・・・陰陽師として育てられたは他の子と遊ぶことがなかった。
その親がを気味悪がり、絶対に遊ばせなかったのだ。そしてその態度は知らず知らずのうちに
子供たちまでにも感染した。
石を投げつけられ、冷やかされ・・・・はいつもいつも涙を見せることなく耐えてきた。
泣いたら負けてしまう・・・・・それでも、家に帰ると悔しくて悲しくて・・母親に抱きついて
声を出して泣いていた・・・・




やっと・・乗り越えられたのに、忘れかけていたのに・・・





「おまえ、変な術使うんだろ!!やってみろよ!おい!!」
「ってー!おい!ケガしちまったじゃねえかよ!お前、何かやっただろ!この化け物が!」




違う・・私じゃない・・・・お願い・・・もう・・やめて・・・もう・・・忘れさせて








化け物・・・疫病神・・・気味悪い・・あっちに行け・・・・・・


・・・・・・・・死ね・・・・・・









「やめてえぇぇぇぇぇぇ!!!」





は耐え切れずに声を上げた、ガクッと膝が崩れ手をついた。
涙が溢れてくる・・・体中が震えていた・・・・


「やだ・・・ちがう・・・・私は・・・私は・・・・・・」



「バケモノだよ、お前は」



頭の上のほうで声がした。












「!!??」



そこには自分が立っていた。











なんか話がかなりずれて・・・(殴)
もう少し精神世界編は続きます。
すいませんが耐えてください(鬼)