連載










「よう!セブルス!久しぶりだな!おい!」



「・・・・・・・なんだ帰ってきたのか、貴様」



「・・・・・・・・・・・・てめえ・・・・・・・・・」




















「種族」





















夕食が終わって就寝時間までの自由時間、使い獣のはスネイプの部屋に来ていた。
はクリスマス休暇の間、ずっと日本に戻っていたのだ。
はクリスマスパーティの時に戻ってきたが、は久々に日本で休暇をとっていたのである。


「いやーもう、なんつーの?久々に羽伸ばせた感じだぜ!」

「ふん、そこらじゅう羽だらけにするからな」

「なにおまえ、そんなに突付かれたいのかよ」


今日はしか来ていない。
は来なかった。

それとなくに尋ねてみると、スネイプの部屋に行こうとした
ハーマイオニーが凄まじい勢いで妨害したらしい、談話室で膨大な本に囲まれ勉強しているという。

「なんか凄かったぜ?ハーマイオニー・・そしたらウィーズリーの末っ子・・ジニーつったけ?
その娘が[行かせてあげなさいよ!]とくってかかってたし・・なんかあったのかよ?」

「さあな」

スネイプは素知らぬ顔をした。
本当は思いっきり心当たりがあるのだが、に話したらそれこそ目玉を突付かれそうで怖い。
だが、予想外な言葉がから発せられた

「まあ、大方おめーのこと好きなのがハーマイオニーにばれて妨害でもされてんだろ・・・」

「!!??」

驚いてバッとに振り返る。
はニターと笑って嘴をカチカチと鳴らした。

「初耳か?お前のこと好きって。へっへーナツキに聞いたぜ〜お前クリスマスでと踊ったんだってなー」

楽しそうに自分の顔を見上げてくるにスネイプは血の気が引いた。

「で?それで我輩を突付きにきたのか?」

「んなことしねーよ。が好意を寄せている人間に・・いくらおめーでもな」

はそういうと、スネイプの反応を楽しむようににやついた。

「初めて人に好かれたな、セブルス」

「なっ・・・なにバカなことをっ」

スネイプはそうを睨みつけるとバッと机についた。

「期待にこたえろよ、おい!」

「うるさい」

そう素っ気無く言い放つがスネイプの表情はとても穏やかで、少し頬が赤く染まっていた。











もう、自惚れでも思い過ごしでもなかった。
は確かに自分に想いを寄せてくれている。






だが







当の本人のはナツキが来た時、口走った言葉や行動に
気づいてないらしく、のほほんとスネイプの部屋に訪れてくる。
スネイプは気持ちこそ通じていて嬉しいが、如何せんの天然ボケさにはほとほと困っていた。


(いつになったら気づくのか・・)



いっそのこと自分から想いを告げるか?






















だが、そう行動起こすよりも早く、校内では多くの問題が生じ、との関係はいまだ仲の良い教師と生徒に留まっていた。
そのもこの頃あまり元気そうではなかった。やつれた感じがする・・・そう不安がよぎる日が続いた。





















「先生」

「何かね?ミス・

久しぶりに自分の部屋に来たは、うかない顔をしていた。
(珍しくは来なかった)

「巨人・・・て本当に凶暴な種族なんですか?」


そうおそるおそる、聞いてくるにスネイプは眉を顰めた。

「・・・・あぁ・・・・ハグリッドのことか」

は小さく頷いて、今日の「魔法生物飼育学」のことをスネイプに話した。
いつものようにハグリッドの小屋に行くと、違う先生がいたこと。
ハグリッドのことを聞いたがその先生は何も教えてくれなかったこと。
そして「日刊予言者新聞」に書かれていた記事のこと。

スネイプは立ち上がり、机の上に置いてあった新聞を取り出した。

「この記者の書く記事はあまり良くないが、ハグリッドが半巨人ということは確かだ」

はスネイプの横に座り、新聞を覗き込んだ

「あっここです!「名前を言ってはいけないあの人に仕えてた」ってハグリッドのお母さんがそうだったとは限らないでしょう?」

スネイプは一瞬凍りついた。
だが気づかないは話を続ける。

「あの・・わたしこっちに来るまで「例のあの人」のこと全然知らなかったのですけど、
図書室でひと通り読みました。マグルいう言葉で差別があることとかその「例のあの人」に
仕えていた人たちはどんな処罰を受けたとか・・・巨人のことも・・・・でも・・・
ハグリッドは・・・先生?」

苦しそうに目を閉じているスネイプに気づき、は不安そうに顔を覗き込んだ。

「先生?具合悪いんですか!?」

「・・・・・いや・・・・・・なんでもない・・・」

スネイプは新聞を畳んでテーブルに置くと、額に手を置き深い溜息をついた。
そんなスネイプの姿には何か変なことを聞いてしまったのかと、不安になる。

「たしかに・・」

やがて少し顔を上げ、スネイプは静かに口を開いた。
少し顔色が悪いのは気のせいだろうか?

「巨人はあまり穏やかな種族ではない。だが、大切なのは・・・
・・・・・種族としてではなく一人の人物として相手を見ることだ。・・わかるかね?」

そうに優しく語りかける。
はニッコリと笑って「はい!」と答えた。

種族としてではなく、一人の人物として、相手をみることー

「ありがとうございます!先生!私もそう思ってたのです!
でも・・友達の中には怖がってしまった子もいて・・・・誰にも聞けなくて・・
ところで巨人は魔法を使うのですか?ゴブリンやしもべ妖精はいくつか魔法を使うようですが・・・・」

「巨人は魔法は使えない。だから力で全てを解決してきた。凶暴といわれるのもそのためだろう
ハグリッドは父親が魔法使いだったからな、いくらか使えるが・・・な」

ふーんとは頷くとしばらく何か考えているようだった。
スネイプはそんなの様子をチラリと横目で見ながら、気づかれないようにギュッと左腕を掴んだ。

「私・・・・」

ポツリとが呟いた

「いつだか父さんが言ってたんです。魔法使いと陰陽師は似ているけど根本的なところが違うって。
何が違うかは教えてくれなかったんです。[じきに分かる時が来る]と・・・
その違いが何なのか・・まだわからないのですが・・これも種族が違うということでしょうか・・・」

そうなぜか不安そうにスネイプを見上げる
いったい何がいいたいのかスネイプには分からなかったが

「そんなに違わない種族だと我輩は思うがね?君は魔法使いの技も使えている、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしたのかね?いきなり・・・・」

は笑って「なんでもない」と首を振った。


































は寮に戻り、自分のベッドに入った。


(また・・・見るのかな・・・・)



そう、それは毎日見続ける夢・・
その夢をみてはうなされ、目が覚めてしまう・・・・・・・・・・・

暗くて、自分がどこにいるのかさえもわからない空間に
一人たたずんでいて、ひたすら歩き続けて・・・
そしてどこからか聞こえてくる、低い声・・・・































「魔法使いでない魔法使いめ・・・・・・・・・邪魔をするな









邪魔をすれば








容赦なく殺す」

































殺してやる、魔法使いの皮を被った陰陽師め!























「っつ!!・・・・・・・・・・・夢・・・?また・・・・」











それは自分が術式を失敗した日に見た夢と同じ光景、同じ声。
これは何かの前兆なのだろうか・・・・
はゆっくりと体を起こした。


"魔法使いの皮を被った陰陽師"




私は一体何なのだろう・・・確かに自分は陰陽師で、でもここで魔法使いの修行もして・・
陰陽師と魔法使い・・・何が違うの?・・わからない・・・・・・












「わからないよおぉ・・・・怖いよぉ・・・・」





きゅっと膝を抱いて震える・・・涙が止まらない・・・
は自分でも気づいていなかった。
その夢が自分自身の力を弱くしていることに、そしてこれから襲い来る影に・・・・・・







またなんか起こりそうでいつになったら、くっつくんですかね(人事)