23母乱入
「翌日に」
クリスマスの翌日は誰もが気だろるそうに、欠伸をしていた。
はグリフィンドール寮でハリー達とダラダラと過ごしていた。
いや・・・ダラダラと過ごしていたのはとハーマイオニーだけだった。
皆、クリスマスパーティに夢中で冬休みの課題を全くやってなかったのである。
ハリーに関しては第二試合の課題のヒントをまだ得てないようで、
鍵となる金の卵をにみせ、陰陽師の力でわからないかと聞いてきたが
の力を使っても卵のヒントは分からなかった。
皆が必死にに冬休みの課題をこなすのをぼけーと眺め、
そして時々手助けしているうちに昼食の時間になった。
皆で大広間へ行き、何気ない話で盛り上がる。
数人の生徒がの所へきて
「昨日とてもかわいかったよ!」と絶賛した。
そのたびには頬をピンク色に染め「ありがとう」と微笑む。
昼食を終え、寮への帰り道の廊下でふと外を見ると
真っ白な銀世界に黒い物体が動いている・・・
「あ、スネイプ先生・・・」
呟くにハリー達も外を見た。
「ほんとだ・・また何か怪しい薬草でも採取してるんじゃない?」
そうケラケラ笑うロンに「かもねv」とも笑う。
「私ちょっと行って来るね」
とはパタパタと玄関ホールへ走っていった。
「え!ちょっとー!」
そう呼び止めるがは振りかえらず走っていってしまった。
「ちぇー、これからゲームして遊ぼうと思ってたのにー・・」
そう口を尖らすロンの横でハーマイオニーはの後姿を見つめながら腕を組んだ。
何か思案している様子にハリーがハーマイオニーの顔を覗きこむ。
「ハーマイオニー?どうしたの?」
「・・・・・・・・おかしいわ・・・・」
「何が?」
「のスネイプに対する態度よ!!」
ハーマイオニーはパッと目を見開いたので、ハリーとロンは一瞬後ずさりをした。
「だって、は編入当初すごいスネイプを避けてたじゃない?
それが・・どう?最近・・・普通に話してるし、授業も・・まあ・・は魔法薬学好きだけど・・・」
「んー言われてみたら・・・昨日もスネイプと入ってきて踊ってたしね」
ハリーも思い出すように頷いた。
「あれじゃない?毎日のようにスネイプの所に行ってるから・・・」
「それだ!(よ!)」
のほほんとしたロンの言葉に2人が声を上げたので、ロンはぎょっと目を見開いた。
「え・・・それって?」
「そうよ!なぜ今まで気づかなかったのよ!あーもう!私ったら!!
要注意人物はマルフォイ意外にもいたわ!!!
思えばあいつのに対する態度!!!もう!!」
「え・・ハ・・ハーマイオニー?;」
「つまりだ!ロン!スネイプは毎日のようにを呼び出して処罰していた。
だけど処罰ってそんなに何度もやるもんじゃないだろ?処罰だけなら
だってスネイプを嫌うはずだ!つまり・・・」
「スネイプはに処罰を与えてない?」
「そうだ!(よ!)」
ハーマイオニーは腕を組み黒い笑みを浮かべた
姐さん・・・もう・・怖いって・・・
「魔法薬学が大好きなのことだからきっと実験とかやらせてもらってたんだわ!
そしてきっと・・・お茶とか・・・
私のに手を出すなんて・・・いい度胸しているじゃない?
スネイプ教授・・・・をたぶらかそうたってそうは・・・簡単にさせないわ!!」
そう、ぱっと目を見開いてハーマイオニーはの後を追って走って行った。
ハリーもハーマイオニーの後について走り出す。
「ちょっ!2人とも待ってよ〜!!」
慌ててついて行くロン。と、柱の影からひょっこりと今の話を聞いていた人物が・・・
三人の後ろ姿を不安そうに見つめジニーも見失うまいと必死に走り出す。
「たいへん!止めなきゃ!」
ホグワーツ城の裏側・・・・スネイプが所有する薬草の温室で
スネイプは一人、薬草の採取をしていた。いつもなら手際よく摘み取り、
さっさと城へ戻るのだが、スネイプの手はのろのろと薬草を採取する。
視点もどこか定まっていないようで・・
それは昨晩の自分がとった行動のせい・・・
帰ろうとするの腕を掴み引き寄せ、キスをした。
想いを寄せている相手とはいえ・・いきなり・・・・・
スネイプは額に手を置き、深い溜息をついた・・・・
「本当に・・なんてことをしたんだ・・・・」
は慌てて帰ってしまったし、今日はまだ一度も会ってない・・・
今度こそ・・・嫌われたかもしれない・・・・
額からそっと手を離し、生い茂った薬草をぼんやりと見つめる。
「こんにちは!先生!!」
「!!っ・・・!?」
スネイプは慌てて振り返った。
温室の入り口でがニコニコしながら立っていたのだ。
(なぜ?ここにいるのだ)そう思いながらもなかなか言葉が出ないスネイプに
「入ってもいいですか?」とのかわいい声が頭に響く。
「あ・・あぁ・・・滑りやすから気をつけたまえ」
必死に頭をフル回転させ、やっとの思いで言葉を発する。
は「失礼します」とトコトコ歩いてきてスネイプの横に立った。
「わーこれ・・・・栽培が難しい薬草じゃないですか!!
先生が育てたんですか!?」
薬草を目を凝らしながら見入るに「あ・・あぁ・・」と力のない返事をする、スネイプ。
「ミス・・・・・・・・」
スネイプはためらいながらを見た。
「はい?」とかわいい微笑を浮べながら、薬草からスネイプへと視線をうつすの仕草に
一瞬心奪われながら、スネイプは視線を空へと彷徨いさせながら口を開いた。
「その・・・昨晩はすまなかった・・・・いきなり・・・その・・なんだ・・・」
は一瞬不思議そうな顔をしていたが
「あ!昨日の!おやすみなさいのキスですね!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
の言葉にスネイプは一瞬にして固まった。
(おやすみなさいのキス?)
は少し頬を染めながらニッコリと微笑む
「まさか・・スネイプ先生がおやすみなさいのキスしてくれるなんて
思ってもみなかったので・・・びっくりしましたよお〜!!」
スネイプはもう固まるしかなかった。
自分はおやすみなさいのつもりでキスをしたつもりじゃないのだが!
(そういえば・・いつだかウィーズリー双子がにキスをした時も
おはようのキスと勘違いしていたな・・・・・・)
スネイプはどっと疲れが押し寄せてくる気がした。
昨晩の件で不安に胸を掻きむしり、一睡もできなかった自分は一体なんだったのだろう・・・
そう、チラッとを覗きみると鼻歌を歌いながら温室内の薬草に夢中になって
見入るの姿がそこにはあった。スネイプはフッと小さく笑うと
手際よく薬草を摘み取る。
(やれやれ・・・・の心を掴むには一本縄じゃいかなそうだな・・・・だがそこがまたいいのかもしれん・・・)
ともあれ、は自分のことをまだ慕ってくれているようで
スネイプはホッと胸を撫で下ろした。
「ミス・。これから研究室に戻りこの薬草の成分について・・研究するのだが・・来るかね?」
そう薬草を軽く持ち上げ、を見る
は嬉しそうにパアッと微笑み頷いた。
「あーもう!どこ行ったのよ!〜!!!」
ハーマイオニーはイライラしながら辺りを見回す。
ハリーも同じような感じだ。ロンはオロオロして2人の後に必死についてくる。
「ちょと・・・待ってよ・・・二人と−」
「ハーマイオニー!いた!あそこだ!!」
ロンの言葉を遮りハリーが叫んだ。
ハリーが指差しただいぶ先の温室から、スネイプと出てきたところだった。
楽しそうに話をしている姿にハーマイオニーの黒い微笑みが倍増する。
「覚悟しなさい・・セブルス・スネイプ・・・」
そうじりじりと足を踏み出した瞬間、
「だめ!待って!」
と背後で声がした。三人が振り返るとジニーが息を切らせながら走ってくる。
「ジニー?どうしたんだよ?なにがだめなんだ?」
ロンが驚いて肩で息をするジニー背中を擦ってやる。
ジニーはハーマイオニーの肩を掴んで顔を覗きこんだ。
「だめよ!2人の邪魔しちゃ!!」
固まる三人・・・・・・
「ちょっ・・ジニーどいうことよ!」
「だから!2人の邪魔しちゃダメ!!あんなにお似合いのカップルなのに!」
(・・・・・・・・・・は?・・・・・)
さらに固まる三人。ジニーは夢見る表情で微笑んだ。
「教師と生徒の秘密の恋愛・・・なんてロマンチック!!でも生徒は教師の想いにいまだ気づかず・・
教師の胸中は嵐のように吹き荒れて・・・あぁもう!最高!!!」
きゃ!と両手で頬を覆い顔を赤くするジニーに声が出ない三人・・・
(ジニーってこんな子だったけ?)
「私、昨日のダンスパーティで確信したのよ!この2人はいづれ恋に落ちるってvvv
だからお願い!2人の邪魔しないで?」
ハーマイオニーはぶるぶると頭を振って
「何言ってるのよ!ジニー!は私のものよ!スネイプなんかに渡すモンですか!!」
そう口論する2人にハリーとロンは固まって見守るしかなかった。
「ねえ・・ロン・・・・」
「何?ハリー?」
「女の子って怖いね・・・」
「・・・・てかこの2人が怖いよ」
「もう!いい加減にしてよ!ジニー!」
とジニーの手を振りほどいて、バッとの方へ走り出すハーマイオニー。
ジニー・ハリー・ロンも慌てて後を追う。
「?・・・・・あれ?」
ハーマイオニーが不思議な顔をして立ち止まった。
とスネイプの後をつけるように、一人の女性が2人の様子を伺っている。
ハリー達がハーマイオニーに追いついて「どうしたの?」と顔を覗きこむ。
「あの女の人・・・・誰?達の後をつけてるの・・・」
その女性はジリジリと2人をつけてたかと思うと突然走り出した。
「セーブールースーー!!!」
ガスッ!
その女性が2人の所へ走りよった途端、いきなりスネイプに回し蹴り喰らわした!
「え!!」
「きゃー!何よあの人!!!」
「うわおう!クールだねvあの人!」
「・・・かっこいい・・・・」
スネイプはドサッと雪の上に倒れこんだ
クリスマスの翌日・・・の出来事。
あーもう!ちゃん鈍感すぎ!
ある意味教授かわいそう!!
って回し蹴り女・・・・は誰?