22クリスマス
「いい加減にしろ!イゴール!!」
「待ってくれ!セブルス!!助けてくれ・・・」
「クリスマス」
今夜は全く腹立たしい日だ。
だいたいクリスマスなぞ我輩には関係のないことだ、自室でゆっくりと過ごしたかったのに。
イゴールの奴め・・・我輩に助けを求めるなど・・・馬鹿が・・・
スネイプは煮えくり返りそうな怒りを表情に表わし、自室へと向かっていた。
カルカロフに執拗に泣きつかれ、腹いせに生徒共を減点する。
くそっポッター共も減点してやればよかった・・・
玄関ホールから大広間の前を通って自室に戻ろうとする。
大広間からは忌々しいダンスパーティの音楽が流れてくる。
カルカロフの件がなければまだましな夜だったろう・・・
ふと、前方に目をやると女子生徒が大広間の様子を伺っている。
ギラリとスネイプの目が光った・・・・
「悪く思うなよ、今夜は別段と機嫌が悪い」
「何をしている」
女子生徒の背後に立ち、思いきり不機嫌そうに睨みつける。
(さて何点減点してやるか)
「え?」と女子生徒が振り向いた瞬間、
スネイプはあまりの驚きに言葉と今までのなんとも言えない腹立たしさを失った。
「ミス・!・・・なぜ君がここに・・・・・」
そこにはクリスマス休暇で、ここから遠く離れた日本に帰ったはずのがいた。
しかもいつも着ているグリフィンドールのローブ制服ではなく、
桜色のパーティローブに(裾には桜の刺繍が施されている)いつもおろしている長い髪をゆったりとしたシニオンにしている。
そんな姿に見惚れながらスネイプはがなぜここにいるのか驚いた・・・
は顔を赤らめもじもじしながらスネイプを見上げた。
「あの・・・帰ったのはいいんですが・・・その・・クリスマスパーティがあるんだよ?と両親に言ったら・・
かっ母さんに[行けー!]と・・・・で・・また竈に押し込められて・・・・ここに・・・・・・」
「でも恥ずかしくて・・・・」と顔を真っ赤にしながら話すにスネイプはただただ驚くばかり・・・・
「それで・・・中に入らないのかね?」
ようやく正常に話せるところまで意識を取り戻すと、スネイプはに優しく話しかけた。
さきほどまでは垣間見ることもできなかった自分の姿に驚きながら。
また、まさかが来るとは想像すらしてない驚きで・・スネイプは改めてがどれほど
自分にとってかけがえのない存在か思い知らされる。
はさらに顔を赤くさせ、俯き
「その・・なっなんか・・・怖くて・・・・私・・ハッハーマイオニーに特訓してもらったけど・・・
ちゃんと踊ったことないし・・・・・・」
消え入るような声で話すに、スネイプはふと脳裏によぎった想いを音に発した。
「では、我輩と踊ってくれないかね?」
驚いて自分の顔を見上げてくるに優しく微笑み、手を差し伸べる。
は真っ赤になりながらコクンと小さく頷くとおずおずと手を差し出した。
スネイプは杖でマントを消すと優しくをエスコートする。
2人が大広間に入ると、一斉に大広間にいた全員が振り返った
とても驚いている様子だ
「?日本に帰ったんじゃないの?」
「でもみてよ!とてもかわいいわ!!」
「だけど待てよ・・・・・」
「なぜ、スネイプといるんだ?」
そんなギャラリーのヒソヒソ話に耳を傾けずスネイプはをダンスホールへと
誘い出す。はまだ顔を真っ赤にさせ
「せっ先生・・やっぱ怖いよ〜・・なんか皆見てるし・・・・」
少し泣きモードに入っているに「大丈夫」と囁き、の背中に腕を回す。
ダンブルドアはニッコリと微笑み、音楽隊に合図をする。
やがて、ゆっくりと優雅なメヌエットが流れ始めた。
「落ち着いて・・我輩に身をまかせればいい」
そんなスネイプの言葉に安心したのか、はポスンとスネイプの胸に顔を埋めた。
いまや、大広間にいるもの全ての視線はとスネイプに注がれていた。
優雅な曲に合わせ、照明が落ち、ほのかに揺れ動く蝋燭の灯がとても幻想的で。
闇に同化してしまいそうなスネイプの服に、蝋燭の灯に照らされ淡く光るのローブ・・・・
大広間にいた全員が2人に自分達が踊ることを忘れ、見惚れていた。
ーやがて−
静かに曲が終わり、スネイプが恭しくにお辞儀をすると、大歓声と拍手の嵐が起こった。
もローブの裾をちょこんとつまみ、お辞儀する。
「ああああの・・ありがとうございました・・・先生・・・・その−」
「ー!?」
がスネイプに何か言いかけた途端、ハーマイオニーがに抱きついてきた。
「何よー!来るんだったらちゃんと教えてよ〜!でもよかったわ!!
その・・ま・・・スネイプ先生とのダンス」
そうチラッとスネイプの顔を伺ってハーマイオニーはを絶賛した。
スネイプはハーマイオニーは冷たい視線で見下ろし、フンと鼻で笑うと大広間から出て行ってしまった。
は後を追いかけようとしたが、ハリーやロン・ジニー達に囲まれてしまい呼び止めることができなかった。
「来たんだね!!すっごいよかったよ!その・・何・・・相手がスネイプだったけど・・・」
ロンがに身を乗り出してきた。ハリーもニコニコと頷いている。
ジニーもの腕に抱きついて
「でも本当によかったわ!スネイプ先生も踊れるのね!うん!似合ってたわ!!」
とを絶賛する。は真っ赤になりながら「ありがとー」と微笑んだ。
その後、何曲かハリー達と踊った。
ドラコもを誘いに来たが、ハーマイオニーに妨害され不発に終わったが。
哀れ・・・ドラコ・・・・
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、
とうとうダンスパーティはクライマックスを迎えた。
皆、名残惜しそうに寮へと戻っていく。
はちょっとよる所があるからと、ハリー達と別れた。
目指す先は・・・・・
そう・・・スネイプの部屋
コンコンコン
はスネイプの部屋の前に来ると、少し息を整え緊張しながら控えめにノックをした
「誰かね?」
「あの・・です。」
ガチャとすぐドアが開き、少し驚いた表情のスネイプが顔を出した。
「ミス・?どうした?ダンス・パーティは?」
「もう、終わりました!」
そうニッコリ微笑むに、目を奪われながらもスネイプはを部屋の中に促した。
桜色のパーティローブがのほのかに赤い頬に同調して、いつもよりも可愛らしく見える。
「あのですね!先生!」
そう緊張気味に声を高くするに一瞬驚く。
はパンッと手を叩いて、手を広げると
ポンッ
と可愛らしい音とともに包みが現われてた。
ワインレッドの包装紙に包まれ、緑色のリボンで包まれている包みを
おずおずとスネイプに差し出す。
不思議そうな顔をするスネイプには顔を赤らめながら
「えっとその・・クリスマスプレゼントです!!」
「わ・・我輩にか?」
コクコクと頷くからそっと包みを受け取る。「開けてみてください」とさいそくする
に従い、丁寧に包みを開けるとそこには
紺色の毛糸で編まれた、マフラーと手袋が包まれたいた。
スネイプは驚きの顔を覗きこむ。
「ミス・が?」
「はっはい・・・・家に帰ってからすぐ編んだんです・・本当は先生に送るつもりで・・・・・」
照れながら笑うにスネイプはマフラーを手に取り巻いていみる。
黒いスネイプの服に紺色のマフラーがふわりと優しく同調する・・・・
スネイプはマフラーをじっくり眺め
「あたたかい・・・・・感謝する・・・ミス・」
そうに優しく微笑んだ。はそんなスネイプの姿に顔をさらに真っ赤にさせ
「ヘヘへ」と笑う。スネイプは思い出したように顔を歪めて
「すまない・・・・我輩は何も・・・・」
と眉間に皺を寄せた。は「そんな!いいんですよ!」と慌てて手を振りながら言うが
スネイプは自分がに何も用意してなかったことに腹立たしさを感じた。
「本当にすまない・・大事に使わせてもらう・・」
本当に申し訳なさそうな表情には苦笑いをする。
「では・・・そろそろ戻りますね」
そうスネイプにお辞儀して踵を返そうとした瞬間、
「きゃっ」
腕をつかまれ、くるんと視界が変わりスネイプに顔が間近に迫ったと思った瞬間
「!!??」
は驚きのあまり目を見開いた。
スネイプの顔が本当に目の前にあり、自分の口唇とスネイプの口唇が触れていた。
ぎゅうっとスネイプのマントを掴む。
ゆっくりと、の口唇から離れるスネイプ・・・・・
「せっ先生・・・・・?////」
の呼びかけにハッと我に返ったのかスネイプはバッと口を手で覆った。
「すっすまない!!その・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙が長い間続いた
「あの・・・もう戻りますね・・・・・先生・・・・」
「あ・・あぁ・・・・・・・・・送ろう・・・・」
「あっ大丈夫です。まだ就寝前ですし・・・・・その・・・また明日・・・」
そういうとはパタンと出て行った。
パタパタパタと走り去っていく音が地下に響き渡る。
バシッ!!
「何ていうことをしたんだっ・・・・・」
スネイプは自分の額を叩きソファになだれ込んだ。
「今度こそ・・嫌われてかもしれんな・・・・」
そう呟くスネイプの頭にの声が響く
(また・・・明日・・・・・)
スネイプは首に巻いたマフラーにそっと口付けをした・・・
「・・・それはどういう意味なのだ・・・・・」
そして、寒い夜がホグワーツに訪れる
なんかなんかなんか!少女マンガっぽーい(笑)
とうとう、動き始めましたよ!スネイプ教授!!
ひとまず、生徒にキスったら悩めや!(待てよ)