術式再び











「あー!そりゃどうもっ悪うございましたねっこの!理不尽減点教師!


いつもこんなジメったらしいこんな所にいるから、あんたの性格も髪もじめったらしいんだ!!


先生のあら探したって何の得にもなんないわよ!!お前なんか大嫌いだー!!






そう大声で一気に怒鳴り終わると、はさっとスネイプに背中を向け、部屋から走り出て行った。


大粒の涙をこぼしながら。


























































「術式再び」





























それから数日が過ぎた。あれ以来は我輩の部屋に来ることはなかった。

授業には出てくるが・・・一度、問題の問いにを指名したが、彼女は何事もなかったように答えを述べた。

だが、授業でもみせていたあのかわいらしい笑みを全く見せなくなった。

廊下ですれ違った時も話しかけようとしたが、目を逸らし走り去ってしまう。

だが、食事の時間大広間でを見かけた時、我輩は目の前が真っ暗になった。

グリフィンドールのテーブルであのウィーズリーの双子共と・・ポッターと楽しそうにしている・・・・



言いようのない怒りがこみ上げてきて、それは授業でポッターへとぶつけられた。

もとはといえばあのポッターのせいであろうが!

おとなしくしていればいいものを・・・奴はいつでも目立つ存在だ。

ポッターが関わるといつもろくでもないことが起こる。







「こんなものも解からないのかね、ミスター・ポッター・・・君は少し浮かれ気味ではないのかね?」





そして今日も我輩の苛立ちはポッターにぶつけられた。

視界の隅でが我輩を睨んでいるのがわかったが、我輩は見なかったことにする。

そして、また今日もは我輩の所へ来ることはなかった。









































はっきりいって失礼なことをしたと思っているの・・・相手は先生よ?

・・まあ・・・多少性格等に問題大有りだけど・・先生に暴言を吐いてしまうなんて・・・



ハリーとロンも相変わらずだし・・・・





もしかしたら、スネイプ先生にとってハリーのことは禁句なのかもしれない・・

あんなに怒った先生はじめて見たもの・・・・





でも・・・いくらなんでも、ハリーに対する扱いが酷いわよ・・・・

















「ふへぇ・・・・・」



朝食では脱力感丸出しの溜息をついた。



・・・どうしたの?最近そんな溜息ばっかりだね・・」



ハリーが心配そうにを見つめている。そんなハリーもどこか疲れている感じだ。

そんなハリーの顔をまじまじと眺め



「なんかね・・お互いね・・」



と弱く笑った。ハリーもつられて弱々しく笑った。









サーッと音がして何十羽というフクロウが大広間に飛び込んできた。

フクロウ便だ。は目をこらし天井を見上げる。

フクロウに混じってのところへ飛んできた。



「よう!待たせたな!!ハリー!許可がおりたぜ!」



「「ほんと!」」



とハリーは興奮気味に声を上げた。隣にいたハーマイオニーも同じような表情だ。

のコップに嘴を突っ込みオレンジジュースを飲んで「あぁ」と答える。



「だが、いろいろあるがな・・・ハヤトの手紙に書いてある」



そう自分の足を突き出すはそっと手紙をはずし、広げて目で読んだ。



・・?どうしたの?」



ハリーとハーマイオニーは手紙を持ったまま固まったの顔を覗きこみ、

手紙を覗き込むがその手紙はの母国語で書かれているらしく、解読できない。





?」



「えっ?あ!ごめん・・ちょっと先生の所へ行って来る!!」



そういっては慌てて教員席の方へと向かった。



「何て書いてあったのかな・・・?」



「さあ・・・でもこれで誰がハリーの名前を入れたのか・・・わかるわ!」





































今日も冴えない気分で食事をとる・・・いまではの姿さえ見るのも苦痛になっていた。

は我輩の前以外では笑顔なのだから・・・





スネイプは顔にこそ、その心情は出さないが、内面は嵐の如く荒れていた。

が来なくなってからまだ一週間とたってないのに、もうだいぶ長い間たっているように思える。

もう、彼女とは話すこともできないのだろうか・・・・・







そう額に手を置いた時、









「ダンブルドア校長先生!マクゴナガル先生!」





とても懐かしい、聞きなれた声がした。



ふと顔を上げるとが教員席に来ていて、何やらダンブルドアに手紙らしきものを見せている。

スネイプはのことが気になりながらも、の姿を見ることが辛い。

自室に戻ろうと席を立った時ダンブルドアがスネイプを呼び止めた。





「マクゴナガル先生、スネイプ先生。よろしいかの?」























教員席の後ろの部屋にマクゴナガルと我輩と、そしてポッターが呼ばれた。

ダンブルドアはが持ってきた手紙を手にしている。





「さてと・・・・・じつはなこの三大魔法学校対抗試合のことなのだが、すでに知ってのとおり

ゴブレッドの手違いか否か、我がホグワーツから二名の代表選手が出ておる。」





そうダンブルドアが静かに言うと、ハリーは「僕は・・・」と俯いてしまった。

そんなハリーにダンブルドアは「君が入れたのではないとわかっておるよ」と優しくウインクした。

ダンブルドアはコホンと咳払いを一つして、話を続ける。





「結果として、ゴブレットの指示どうりにハリーも代表選手となったわけだが、やはり一体、誰がどのようにして

ハリーの名前を入れたのか、調べる必要がある。」





マクゴナガルもスネイプも真剣にダンブルドアの顔を見つめている。





「そこでが名乗り出てくれたのじゃ。彼女の陰陽の技にそのようなことを調べる術式があるという・・

だが、この術はなかなか高度のものらしくての・・この術を行う場合、当主に許可を申請せねばならないようなのじゃ。」





「それで、許可の方はおりたのですか?」



マクゴナガル先生が不安そうに聞いた。

ダンブルドアは「うむ」とふたたび手紙に視線を落とす。





「許可はおりた。だがこの術はかなり危険が伴うらしいようでの・・・・

もし事故が発生した時のために数人、の張る結界の外に待機してもらわねばならん。

そしてこの手紙には、わしとマクゴナガル先生とスネイプ先生が指名されておるのじゃ・・・・

頼まれてくれるかのぉ・・・・」





マクゴナガル先生は「もちろんです」と頷いた。スネイプはチラッとを見た。

一瞬、目が合ったがはすぐ視線を反らしてしまう。





「スネイプ先生はどうかの・・?」





ダンブルドアが静かに聞いてきた。





「わかりました」





スネイプはを見つめたまま頷いた。

一瞬が驚いたようにチラッとスネイプを見たが、それよりも早くスネイプは部屋から出て行ってしまった。









































































術式はその日の夜、消灯時間が過ぎてから行われた。

場所は以前、が術式を行った変身術の教室。

スネイプが教室にくると、机とイスが壁際に寄せられ、中央に小さな祭壇らしきものが作られていた。

白い大きな正三角形の敷物が敷かれ、その上に大鍋のような陶器の壺だろうか?

そのなかに緑や赤・青と様々な色に変化する石がいくつも入っていた。





ダンブルドアは少し落ち着かないようすで壁際に寄せられたイスに腰を掛けていた。

マクゴナガルとはまだきていないのであろうか?姿がみえない。









「遅くなりました」





振り返るとマクゴナガルと一緒にが教室へと入ってきた。

どこかとても緊張している様子だ。



「ハリーポッターは寮に残してきました」



そう静かに言うマクゴナガル先生にダンブルドアは「その方がよい」と頷いた。

























「では・・始めてくれるかの。よいか?我々は結界の外に待機しておる。

無理はしないようにな。誰が名前を入れたか・・それよりもお主に降りかかる危険性が大事じゃ。

無理だと判断したらすぐ術式を中断するように。わかったかの?」





ダンブルドアは真っ直ぐにを見つめた。も力強く頷き、大きな壺の前に座る。

ダンブルドア・マクゴナガル・スネィプはの祭壇を囲むように白い敷物の外側に立つ。

が手を組み指で何か形を作った。



「開」



そうが唱えると、とダンブルドア達の間にうすっらと青いヴェールのような物が現われた。











が呪文を唱え始めると、壺の中にある石が煌々と輝きはじめる。

スネイプはその石のあまりの眩しさに思わず目を細めたが、ジッとを見つめた。

もし、に何かあっては・・

やがて、壺の中の石が数個浮びあがってきた。石はまるで生きているかのように赤や緑と光を放つ。

石が何か文字を書き始めた瞬間、

























きゃああああっ!





が叫び声をあげた、石が爆発し壺からは緑色の煙が溢れ出てくる。





「いかん!」





ダンブルドアは杖を取り出し、が作ったヴェールを消して結界の中に入る。

スネイプとマクゴナガルも慌てての元に駆け寄った。













!!」





倒れているを抱きかかえ、必死に名前を呼ぶスネイプ。

爆発の衝撃でいたるところに怪我を負い、意識がない−

スネイプは真っ青になりの肩を揺すった。





!!目を覚ませ!!」























































「邪魔をするな・・・・・」





低い声が教室の中に木霊した。



「壺を!!」



マクゴナガルが悲鳴にも似た声をだし壺を指差した。

壺からあふれ出ていた緑色の煙が、ゆっくりと人の顔を形作っていく。






















「邪魔をするな・・・・・さもなくば・・・・殺す」





















恐ろしく低い声で煙の顔はニヤッと笑うと、形を崩し消えてしまった。





















ダンブルドア・マクゴナガル・スネイプはただ呆然と壺を見つめていた。

















・・・・・・・ひー!

どどどどどどうなっているのー!?(お前だよお前がな!!)

ちゃん・・・どうなってしまうのでしょうか・・・