ライバル校
「事の始まり」
「あう・・・・寒かった〜・・・・・・」
はかたかた震える肩を撫でながら大広間の席に着いた。
今日は対抗試合相手の学校の選手団を迎えるために、城の前でお出迎えをしたのだ。
ボーバートンとダームストラング。
は巨大な馬車でボーバトンを引率してきた先生に驚かされた。
いやおそらく以外の生徒大半が驚いただろう。
の最初の一言は
「でかっ・・・」
であった。マダム・マクシームとダンブルドア校長は呼んでいたっけ?ほとんどハグリッドと変わらない背の女の人だった。
一方、難破船のような船でダームストラングを率いてきたカルカロフ。
なんか貧相な髭のおっさんだった。ダンブルドアと見比べたせいでもあるが・・
ホグワーツ一体が招待された二校の生徒達に釘付けになっていた。
どうやら、ダームストラングの生徒の中に有名な生徒がいるらしい。ロンがしきりに騒いでいる。
だが、はそんのことよりも・・・
「ご飯まだかな〜・・・・・」
現在のの心境は花より団子であった。
ダンブルドア校長が挨拶をして宴が始まった。
今夜はが見たこともない料理がたくさん並んでいた。
どうやらハリーもうそうらしく、目を点にしている。外国の料理らしく、ブイヤベースという(ハーマイオニーが教えてくれた)
シチューを口に運ぶ。
(う・・・貝だ・・・・・・・)
は貝類が苦手だった。それでもなんとか自分の皿に盛った分は平らげ、オレンジジュースで口直しをする。
そのときの後ろで声がした。
「ブイヤベースもう食べなーいのでーすか?」
振り向いた瞬間は固まった。
そこには長いシルバーブロンドの腰までの長い髪を揺らしたボーバトンの女子学生が立っていた。
(うわ・・・キレー・・・・・)
思わずは見惚れてしまった。気づけばロンや他の男子生徒もその生徒に釘付けになっている。
その女子生徒はこぼさないように注意深くブイヤベースを自分がいたレイブンクローのテーブルに運んでいった。
「綺麗な人だね・・ハーマイオニー・・・」
「ふん、の方が数倍いいわ!」
一瞬驚いただが、やがて顔を赤らめ
「ありがとvv」
と微笑んだ。
やがて、全ての皿がきれいになると、ダンブルドアが立ち上がった。
大広間が期待に満ちた緊張感に染まる。ハリーは興奮気味に、
フレッドとジョージも身を乗り出してダンブルドアに耳を傾けている。
クィディッチを見たことのないでも、この緊張感に少し興味を駆り立てられた。
ダンブルドアは審査員を2人紹介した。
バーテミウス・クラウチという無愛想なおっさんと、ルード・バグマンという
やたら陽気そうなおっちゃん・・・・・
ハリー達はこの2人を知っているらしく、何かこそこそと耳打ちしている。
はクラウチをしばらく見ていた。
(なんだろ・・・あの人・・・嫌な気配は漂ってないのに・・・なんか凄い違和感がある・・)
それになんか・・・疲れている感じ・・・・・
は目をこらしてクラウチを見ていたが、
「年齢線か!」
とフレッド嬉しそうに言う声では我に返った。どうやらダンブルドアの話は終わって、
寮に戻る時間らしい。
ハーマイオニーに帰ろう?と促され大広間から出ようとすると、ダームストラングの一団と入り口で
鉢合わせになった。四人が先を譲るとダームストラングの校長ーカルカロフは
「ありがとうとう」と通り過ぎようとした、が、ハリーを見た瞬間にカルカロフは凍りついた。
何か、信じられないといった表情に四人は首をかしげた。それは大広間の入り口で起こったので、
自然と道を塞いでしまう。出ようとする生徒達が何事かと顔をしかめながら首を伸ばし覗き込んでいる。
「カルカロフ、ポッターに言うことがないのなら退くがいい。」
聞き覚えのある声がして、は一瞬強張った。おそるおそるお振りかえると、激しい嫌悪感をむき出しにした表情の
ムーディが立っていた。カルカロフはムーディを見ると一気に血の気が引き、なんとも言いようのない
恐怖に満ちた表情に変わった。
慌てて、自分の生徒達をかき集めて、足早に去って行った。
ムーディはそんなカルカロフの姿をまだ、嫌悪感むき出しの表情で睨んでいた。
翌朝、はハーマイオニーにたたき起こされた。
今日は土曜日。普段ならもう少し寝ている時間なのに・・・・
眠い目をごしごしこすりながら談話室へと降りていくと、ほとんどの生徒が起きているようだ。
それになにかそわそわして落ち着かない様子・・・・・・
「あっそうか今日の夜までにゴブレットに名前入れるんだっけ?」
は昨日の夜、ダンブルドアが言っていたことを思い出した。
代表選手を希望する者は24時間に以内に名前と校名をかいた羊皮紙をゴブレットにいれる。
ただし、17歳未満の生徒は名前が入れられない。
ゴブレットが置かれている玄関ホールに行くと、数十人ほどの生徒がゴブレットの周りをウロウロしてる。
ホールの真ん中にゴブレットが置かれていて、床にはゴブレットの半径3メートルほどの金色の円が
描かれている。
もう、何人か名前を入れたのだろうか?
すると後ろの方から笑い声がした。
フレッド・ジョージ・リー・ジョーダンがワクワクした様子で降りてきた。
「俺達、たったいま老け薬を飲んできたんだ!」
そういって、円を越えてゴブレットに名前を入れようとした時、
ジュッ
大きな音とともに双子は3メートルほど吹っ飛んだ。
そしてポンッと音がして、2人とも白く長い顎鬚が生えてきた。
玄関広間にいた全員が大爆笑した。
フレッド・ジョージもお互いの顔を見合わせて笑っている。
「忠告したはずじゃよ」
とダンブルドア校長が現われた。とても面白がっている様子だ。
四人も笑いながら、大広間へ入っていった。
四人は夕方になるまで、ハグリッドの所にずっといた。
誰が代表選手に選ばれるか、どんな試合なのか・・・
この頃になるともクィディッチの内容をだいぶ把握できるようになり、
ハリーとロンが熱く語り合うのをニコニコしながら聞いていた。
途中、ハーマイオニ−が屋敷しもべ妖精の「S・P・E・W」という
しもべ妖精福祉振興協会への入会をとハグリッドに勧めてきた。
が、ふたりともきっぱりと断った。
ハグリッドは屋敷しもべ妖精のためにならないと首を振り、も同じで。
ハーマイオニーはひどく機嫌を損ねたが・・・・
あたりがだいぶ暗くなってきて、そろそろ夕食の時間だと気づいた。
それに代表選手の発表もある。
四人は期待に胸を膨らませながら城へ戻っていった。
「ダームストラングの代表選手は・・・ビクトール・クラム!!」
ダンブルドアがゴブレットから出てきた羊皮紙を読み上げると
大広間は大歓声に震えた。ロンも興奮気味に拳を握っている。
完成の渦の中、選ばれたビクトール・クラムは前かがみになりながら
教員席のうしろから隣の部屋へ入っていった。
「ボーバートン!!フラー・デラクール!!」
「ロン!あの人だ!」
ハリーが声をあげた。見ると、昨晩が「キレ〜・・・」と一瞬見ほれた生徒だった。
ふと、ボーバートンの生徒が座っている方をみると、選ばれなかった女の子二人が
顔を埋めて泣いていた。
「ホグワーツ!!・・・セドリック・グレゴリー!!」
「ダメ!」
とロンが大声を出したが、それは大大大歓声の嵐に飲まれたいった。
隣のハッフルパフ生が総立ちになり、叫んでいた。
セドリックは嬉しそうに笑って、教員席の後ろの部屋へと入っていった。
「これで代表選手三人選ばれた!選ばれた選手はー」
ダンブルドアが突然言葉を切った。
ゴブレットが再び火花を散らし、羊皮紙を吐き出したのだ。
ダンブルドアはしばらくその羊皮紙を見つめていた。
大広間にいる全ての視線がダンブルドアに集中する。
やがて、ダンブルドアは顔を上げて言った。
「ハリーポッター」