三人
「知らせ」
ようやく気が済んだのか、はハヤトから離れた。それを確認するとは「じゃあねv」と
扉を閉めて寮へと帰っていった。
「・・・・やっ、ミカエル。おっまえ鷹になってからますます凶暴になったんじゃないか?」
頬のひっかき傷をおそるおそる触りながら、ハヤトがミカエルを軽く睨んで言った。
ミカエル・ネルファイズ
はスネイプに誰もいない時にこう呼ばれていた。そして今、ハヤトにもミカエルと呼ばれた。
・・・いや、ミカエルは「けっ」と舌打ちし、まだまだ腹の虫が収まらねえと唸った。
スネイプはやれやれと呆れたような溜息をつき、イスに座りテーブルに肘をついた。
「・・・・それで・・・どうなんだ、ハヤト」
いつもより声のトーンを低め、まるで何かを確かめるようなその口調にハヤトもスネイプに向き合うように
イスに座った。ミカエルもテーブルの上・・・ちょうど2人の間になるようににとまった。
「残念だが・・・・当主の術式をもってしても奴の居所は掴めなかった・・・・。
ただ、一つ分かったことがある・・・どうも・・ペテグリューが噛んでいるようだ。あいつの居所も
見出せなかった。おそらく奴とペテグリューが一緒にいると思われる。」
「そうか・・・・」
そうさっきとは別人のように、真剣な表情のハヤトにスネイプは呟いた。
復活の日が近づいてきている、例のあの人の居場所は依然つかめないまま。
あの人が今どのような状況なのか、配下が何人も集まっているのか・・・・なに一つ掴めていない。
わかっているのは復活の日が近づいている・・ということだけで・・・その詳しいことも何もわからない。
どのようにして昔の力を取り戻すのか・・・その方法さえも・・・・
腕を組み、眉間に皺を深く刻み込みながら何か思案しているスネイプに、
ハヤトは「ところで・・」と話を変えた。
「セブルス・・・・・お前・・・・・・現在進行形で恋愛中?」
「はぁ!?」
いきなり全く違う質問をされ、スネイプの頭の中に突如として
「例のあの人」+恋愛中=メルヘンな世界
のビジョンが流れた。
「例のあの人」とその相手が花畑で語り合い、微笑み合うのか?
必死に己を正常の意識に戻し、スネイプは額に手をあてた。
「ハヤト・・・・「例のあの人」と我輩の・・・その・・下らぬ恋愛がなんの
つながりがある?物事をよく考え、その場にふさわしい意見を述べてくれ・・・」
そう、盛大に深い溜息をついてみせる。
だが、スネイプの頭の中にはの可愛らしい笑顔が浮かび上がっていて・・
もちろんそんなことは知らない、ハヤトは平然として
「いやもう、その話は終わってるから。これから楽しいトークショー」
そうサラッと言ってのける。スネイプは眩暈を覚えた・・・・
こいつ・・・昔から変わらんな。自分のペースで物事すすめる・・・
そう、言いたそうなスネイプにハヤトは「んー」と軽く唸って
「これ以上の事は何もわかってないんだ。ほかに分かったことがあれば
そのつど知らせるさ。それに友人がいまだ独身でいるなんて、
俺はもう・・哀れに思えて・・・」
そう、よよよと泣き真似するハヤトにスネイプは大きなお世話だといい放ち、
杖を取り出しテーブルの上に向かって一振りした。
金色の光とともに紅茶や菓子が現われ、ほのかに甘い、いい香りが鼻をかすめる。
スネイプも話を諦め、数少ない友人と昔話をすることにしたようだ。
「おっ!このケーキ、たしかホグズミード限定のチョコレートベリーじゃないか!?
俺の好物覚えてくれたんだな〜・・・いいね〜赤い糸で結ばれてんだな・・俺等vv」
「・・・・・・・何、食わんのか?それならさっさと帰れ」
「うっわ、ひっでー。にしても・・お前・・・いい加減家庭持った方がいいぞ〜」
「ハヤト、そりゃあ愚問だぜ!セブルスは一生無理じゃねえ?」
「はっはっは!ちげえねえ!!!」
「貴様ら・・・・・・」
そう大笑いする、ハヤトとミカエルに杖を向けたい衝動に駆られるのを
やっとの思いで押さえ、それでも口元を引き攣らせながらスネイプは紅茶をひとくち飲んだ。
しばらくの間3人は(といっても一人は鷹なのだが・・・)昔話に華を咲かせた。
ハヤトが帰る頃にはミカエルはすでに寮にいるの元へ戻ってしまっていたので、
スネイプだけが見送るということになった。
「ところで・・貴様はどうやってここまできた?日本からじゃえらい遠いだろうに・・・」
コートを羽織るハヤトにスネイプが言った。
「おー?まっさか真面目にマグルの交通機関できたと思ってんのか?
フルーパウダーで来たんだよ、ダンブルドア校長の暖炉にな!帰りは・・そうだな・・
セブルスの部屋から帰るか!さあ!行こう!!」
そう陽気なハヤトに少し、いやかなり押されながら二人並んで静かな廊下を歩いて
スネイプの自室へと向かった。
「セブルス・・・・・・・」
さっきまで意気揚々としていたハヤトの声のトーンが変わった。
そんな変調に気づきながらもスネイプは前を向いたまま「何だ」と返事する。
「のこと頼むな?・・・・」
「どういう意味だ?」
何か引っかかるハヤトの言葉にスネイプは眉間に皺を寄せ、ハヤトのほうへ振り向いた。
そこには月明かりに映し出され、淋しいそうに笑うハヤトの姿があった。
スネイプは変な胸騒ぎを覚える。
「いや・・・・親としてな、一生徒をよろしくってことだよ」
「そうか・・・無論だ、ミス・はもちろんポッターやホグワーツで学ぶ生徒全員
そのつもりだ。」
そう言い放ち、再び視線を前に向けるが、スネイプはハヤトのその言葉と笑みに
まだ少しだけ胸騒ぎの余韻が残った。
その数日後、大広間で朝食をとっていたスネイプに、ハヤトからふくろう便ならぬ鷹便がきた。
人の言葉を話さない(もっとも話せるのはだけだ)少し安堵し、鷹の足に括り付けてある
手紙をていねいにはずし、鷹にベーコンを一枚くれてやった。
ハヤトの鷹は嬉しそうにベーコンを飲み込み、お礼をいうようにスネイプの指を優しく甘噛みして、
窓から飛び立っていった。
鷹の姿が見えなくなるのを確認してから、スネイプは手紙を読み始めた。
そこには先日は楽しかったということと、次の夏休みに遊びに来いという内容だった。
例のあの人のことはあれから新しい情報を得てないようで・・・・
そのことにスネイプは眉をひそめながらも、友人からの招待にわずかながら心が躍った。
(夏休みといえども、休みを得たことはなかったからな・・・)
スネイプはここ数年、夏休みでも自分の家に篭って新学期の準備や、薬の管理などに追われていた。
(まだ先のことではあるが・・次の夏休みは羽を伸ばせそうだな・・・)
それに・・・にも会える・・・
スネイプは手紙をたたみ、ローブのポケットにしまうと少しはにかんだ表情で自室へと戻っていった。
・・・・ドリームじゃねえ・・・・・(笑)
主人公いないし!