思い出話





















「ハヤト」




























































「そういえばさ、お父さん何しにきたの?」





夕食の時間、隣でローストビーフを口にする父親・ハヤトにがたずねた。

ハヤトは「んー」とローストビーフを飲み込み、少し考えながら言った。





「ダンブルドア校長に直接知らせることがあってな・・・・それで校長が

[久々に来たのだからゆっくりしていくとよい]とおっしゃってくれたんだ。

それにセブルスと会うのも十年ぶりだからな」





そう笑うハヤトには[ふーん]とシチューを一口、口に運んだ。

目の前に座っているハリーが落ち着かない様子でハヤトを見ている。



「どうしたの?ハリー?」



が不思議そうな表情をすると、ハリーは驚いて「えっなんでもないよ!」と

声を上げた。明らかに何かあるよ・・・その反応は・・・

はそう思ったがあえて口にださないでおいた。ハヤトはそんなハリーの視線の意味を

理解していた。ハリーににっこりと微笑むと



「そういえばここにくる途中近くの村によったんだが、そこに黒い大きな犬がいてね・・こいつがまた芸がすごくて!

ってあれだな・・・・食事中に話すのは・・あまりよくないかな?クイディッチの続きなんかどうだい?」





そうウインクするとハリーはにっこりと笑った。





シリウスは無事なんだ!





クィデイッチと聞いて回りのグリフィンドール生がハヤトの周りに集まってきた。

皆、昼の続きがとても気になっていたらしい。

「話してよ」と皆がせがむのをなだめ、ハヤトはまたクィディッチの話を聞かせた。











ハヤトの魅力的な演説がクライマックスを迎えると、皆夢見の表情でハヤトに熱い視線を送っていた。

まだ話を聞いていたい!そんな感じで・・・・ロンが思い出したように口を開けた。





「おじさん!スネイプと同期だったんでしょ!?学生時代のスネイプってやっぱりああだったの?」





そう聞いてくるロンに、ハヤトはいたずらっ子のような笑みを浮かべた。

そんなハヤトにロンをはじめ、ハリーやフレッド・ジョージ・ハーマイオニー達も興味深々の顔でハヤトをみた。

もその一人でー

ハヤトはますますニヤリと笑い、皆にもっと近くに集まるように手で促しながら、教員席に目をやった。

もう夕食をすませたのかそれともまだ来ていないのか、スネイプは教員席にいなかった。

スネイプがいないのを確認するとハヤトは声を潜め





「陰険・根暗・根に持ち・・・奴はこの塊さ!」





そう笑ってみせる。皆はどっと笑い、続きをせがんだ。

さすがグリフィンドール・・・普段からスネイプに対して不満がかなりたまっているらしく、(はそうでもないが)

ハヤトの話に相槌の突っ込みをいれながら、スネイプ今昔話にどんどん華を咲かせていった。

















「そこで俺は言ってやったのさ!セブルス、それはかぼちゃ提灯だってね!」



「貴様・・・・話したな」





ハヤトの真後ろで冷たい声がした。

いつの間にかスネイプがハヤトの後ろに立っていた。顔を歪ませ数本の青筋をくっきりと浮かべている。

口元はひくひくと笑っているが、目がマジで怖っ!

ハヤトと(おそらくスネイプに慣れたせい)以外の生徒は皆固まって顔を白くしている・・・

のに!ハヤトはケロッとしていて





「いやいや・・・セブルスが肝試しで大いに怖がり、風で飛んできた白い布が顔にかかって

叫び声を上げた話はこれからするところさ!」









言ってんじゃん!!!!







皆、心の中でバシッと突っ込んだ。スネイプはさらに顔を歪ませ、「余計な事を言うな」と唸った。

いまだハヤトはケロッとして



「いやいや!皆が尊敬するスネイプ教授!そんな教授のことをたくさん知りたいと思うのは、同期だった私にとって

大変喜ばしいことなのだよ!なー?皆!?」



とハヤトは皆に笑いかけた。





こっちに振るなー!?





いまやカタカタと震えているハリー達、スネイプは「ほお?」と意地悪く笑ってハリー達を見据えた。



「教師を侮辱したことによりグリフィンドールから30点減点。、話がある」





そう、ハヤトを意味ありげに睨んだ。ハヤトはその視線に頷きながらも、



「おいおい、セブルス。子供達に昔話をしてただけじゃないか〜見事な職権乱用だぞ〜?

今回は俺の顔に免じて許してくれよ〜!!」



とにへらと笑ってみせる。





いや・・・むしろ・・おじさんが余計のこと言うから・・・;





皆、そう出かかった言葉を飲み込んだ。





「ふん、貴様は相変わらず口が減らんな。まあいいだろう、29点にまけといてやる。来い、







減点すんじゃん!ってか減らすの1点だけ・・・・・・





「はっはっは!お前っそれひどいな〜!おっそうだ!お前に話しておくことがあるから、

一緒に来てくれ。セブルスいいか?」





「かまわん」と一言頷き、スネイプは大広間の横にある、来賓室へ入って行った。

は一体何だろうとという顔をしたが、父親に従って席を立った。

ハヤトはハリー達に微笑み、



「やー今日は楽しかったよ!私は今夜帰ってしまうが・・と仲良くしてやってくれ!?

・・・・・・・・・・・・・・減点は・・心配しなくていいよ?セブルス脅しておくからvv」





と軽くウインクして、の肩に手を回し来賓室へ入っていった。









































































「なー・・・・のおやっさんってぶっ飛んでいるよな・・・・・・」







ジョージがハヤトとの後姿を呆然と眺めながら呟いた。





「う・・・ん・・・・」





皆も呆然と頷いたが・・・・・・・









どうやってスネイプを脅すのだろう?





と期待に胸を躍らせた。









































































「ところで!この前終えた「黄泉境穴」の修行だが、あの修行の特性を・・・・・」



「あっそれ、スネイプ先生が教えてくれたよ」





来賓室の椅子に掛けながら、はハヤトの言葉をサラリと遮った。

ハヤトは「は?」と一瞬固まったが、感心したような表情でスネイプを見た





「お前・・・陰陽師詳しかったんだな・・・」





そう、うんうん頷くハヤトにスネイプはわざと盛大な溜息をついた。





「だいたい、貴様の指導が・・・・・」



「おっそういえば!術式の修行もちゃんとやっているか?」





(人の話を・・・・・)



スネイプはハヤトから見えないところで拳を握った。

そんなスネイプの様子をバッチシ見ていたはハハッとカラ笑いして、

一瞬考えるように黙り込んだ。









(どうしよう・・・この前やった術式のこと話そうか・・・・)





は術式のとき、ムーディの人型だけ溶けたことを思い出した。







だが、はニコッと笑い、



「うん!ちゃんとやっているよ!一昨日はねーネビルが教科書を失くしてしまったから

その探しものを探す術やったの!見事!当てたよ!!」







そう、楽しそうに話す父娘を見ながらスネイプはやんわりと微笑んだ。

























「うわっ!私そろそろ寮に戻らなきゃ!!」



しばらくして腕時計をみたが声を上げた。ハヤトと手紙を出すなど2〜3言葉を交わし、

スネイプに挨拶して出て行こうと、がドアを開けた瞬間、























「てめー!ハヤトォォッ!!この前はよっくも!!

竈に押し込んでくれたなぁっ!!!!!覚悟せいやあぁっ!?」








が猛スピードで飛び込んできた。





(どこかで見た光景・・・・)



はぼんやりと思った。





(痛いぞ・・・その嘴は・・・・)





に凄まじい攻撃を受けているハヤトを哀れみながら、スネイプは以前のことを思い出した。









(ってか止めてあげなよ・・・2人とも・・・・・;)







「「あぁ・・・これはしばらく止められないな・・・・」」





(左様で・・・;)

とスネイプはの怒りが収まるまで見物することにした。