守り人






















コンコンコン









「誰だね?」









スネイプは不機嫌そうに唸ったが、返事はなかった。













































「守り人」



















































スネイプは立ち上がり、扉へと足を進めた。

取っ手に手をかけ、にそこから動かないようにと目で促す。

は不安そうに頷いた。































カチャ・・・





「こんな時間に一体誰・・」





























































「てめえぇっ!セブルスぅっ!!

に手ぇ出すなとぉぉぉ言っただろうがあっ!

無事かぁっ!!!!!」














「ミカエ・・・か!?」





「え!??」









扉が開くと同時にの使い獣のが飛び込んできた。

真っ先にスネイプの頭へと突進し、嘴でスネイプの髪を引っ張り翼でバシバシと顔をはたく。



「っく!やめろっ!貴様っ誤解しているぞ!」



片手での首を掴み自分から引き剥がすスネイプ。も負けじと翼で攻撃する。



「ぁあ?言い訳効くか!この陰険男!!

が好き好んでこんなじめったらしい巣窟に来るかよ!!

てめえ!さてはをたぶらかそうとしたな!!??

この変態がぁっ!!成敗してくれるわあっ!!」








「っく!貴様!人の話を・・・」



スネイプが両手でを押さえ込もうとすると、スッとの手が伸びてきて

の頭を優しく撫でた。そんなの様子に、は一気に放心状態となる。





「もう・・・ったら・・・・話も聞かずに攻撃するなんて・・の悪い癖よ?」



そうニッコリ微笑むにスネイプも釘付けとなってしまった。





「スネイプ先生はね・・・私が倒れたのを介抱してくださったのよ・・・」





放心状態だったの目に焦りが混じった。



「なっ!倒れただと!?具合でも悪いのか!」



スネイプの手を翼で振りほどき、の肩まで飛んでの顔を覗きこむ。

はちょっと薄く笑い、スネイプを見た。



「今そのことでスネイプ先生にお話しようとしてたの・・・・」



そう、不安そうにスネイプを見上げてくるに、スネイプは何か張り詰めた物を感じて

ソファへと腰を下ろす。



「まったく・・・とんだ邪魔が入ったものだ・・・」



を冷たく睨む。はムッとしてスネイプに飛び掛ろうとするがに制止されてしまった。

を膝に乗せながらは少しずつ話し始めた。









「・・・・スネイプ先生・・・・は・・ムーディ先生のことどう思われていますか?」



がビクッと反応し、を見上げた。



「まさか・・・この間の術式と関係あるのか?





は小さく頷く。

そんな2人(もとい一人と一匹)のやり取りに少し眉間に皺を寄せながら



「話の意図が読めん。順を追って話してくれんか?」



はハッとして謝り、スネイプに話し始めた。

組み分けの時に感じたムーディの気配のことから、術式でのことを全て。







「それで・・そのムーディの人型はどうなったのかね?」



スネイプは真剣にの話しに耳を傾けてくれていた。

はスネイプはこんな人物だったのかと驚く反面、真剣に聞いてくれるスネイプに

心から感謝した。



「・・・溶けてしまったのです・・・」



「溶けた?」



「はい・・・人型は紙ですが・・念・・あっ魔力みたいな物を吹き込んでいるので

溶けることはないんです・・それに・・・溶ける瞬間人型から人影のような物が浮んで消えました・・・」



そこまで話しては身震いをした。まだ体調が戻っていないせいなのだろうか・・顔色も悪い・・

そんなを察したのかが話を続けた。





「この術式は特定の人物の名を、まー魔法使いでいう魔力で人型に吹き込み、聖水を浸した盆に沈めると

その人物の性格などが色で表わされる。ムーディのは色がつくことなく溶けてしまった。

はあまり術式が好きではないが腕は確かだ。・・まさか・・・・・それで・・今日倒れたのか?・・」





は思い出したように言った。

は首を横に振って、今日ムーディに授業で起こったことを話した。

蜘蛛の声を聞いたこと。杖から現われて蜘蛛の魂を引き剥がした鬼のような物体のこと・・

スネイプは真剣に聞いてくれてたものの、なんと言っていいのか分からないようで呆然とを見つめていた。

そんなスネイプの姿には俯きながら細く笑い



「やっぱり・・・・信じてはもらえませんよね・・・普通の蜘蛛は話したりしませんから・・・」



と呟いた・・・しばらく流れる沈黙の時間。



















































「・・・・・・君は「黄泉境穴」という修行を行ったかね?」





沈黙を破ったのはスネイプのほうだった。



「あっはい・・・・最後の修行がそれでした・・でもなんで先生が知っているんですか・・?」



驚きの色を隠せないにスネイプは立ち上がり、机の上から一冊の本を手に取りに見せた。



「これって・・・陰陽師の本?」



「左様、先日君と会った図書室で我輩が借りた物だ。」



(あぁ、あの時の)とは頷いた。スネイプはパラパラとページをめくりながら

話し始めた。



「陰陽師とは如何なるものか少し気になってな・・・借りてみたのだが・・・

(ここでが「興味あるんじゃねえか」と悪態ついたがスネイプは無視した)

陰陽師の特性から主な修行など・・・細かく書かれていて実に興味深い・・

この3日間洞窟に篭って行う修行・・・おそらくこのせいではないかと思うのだが・・・・

己の精神を強め、あらゆる物に宿る生命の具象体を描く修行・・・・もし君がこの修行で

何らかの向上があったとすれば・・・蜘蛛の声や杖から現われた鬼の顔も・・・そのせいだと頷ける・・・

・・・・・・どうした?ミス・・・・・?」





目をパチパチさせ呆然としているをスネイプは不思議そうに見つめた。





「・・・・・黄泉境穴の修行って・・・そんな修行だったんだ・・・・・」





「・・・・・・は?・・・・・・」





スネイプは思わず間抜けな声を出した。





「そんな修行・・・?・・・君は内容を知らないで修行していたというのかね?」





「うん・・・・・・・いきなり父さんに・・・境穴に放り込まれて・・・[じゃっ3日後にv]って・・・・・」





そう「あはっ」と笑うに、スネイプは眩暈を覚えた。



は修行の説明はしないのかね・・・・」



(在校時からたしか・・・そうだったな・・・物事を考えず行動に移す単細胞型のグリフィンドール生・・・・・)



そう、学生時代のの父親のことを思い出し、スネイプは額に手をあてて深い溜息をついた。

は「んー」と考えて、



「説明・・今までほとんどなかったですね・・体で覚えろ!みたいな・・で、あとでどういう修行だったか教えてくれました・・・」





「普通・・逆だろ・・・」とさらに深い溜息をつくスネイプにも同意した。



「だろ?お前もやっぱそう思うだろ?もっと疲れさせてやろうか?

は多くの修行や呪術を会得しているが・・・その大半はなんの修行なのかわかってない」





そう、かっかっかっと笑うの姿とあははーと照れ笑いするの姿をみてスネイプは固まるしかなかった・・・









この娘・・・間違いなくの子だ・・・・・









どっと疲れが出、スネイプはベッドになだれ込みたい気分になった。

ちらっとを見やれば、まだ本調子ではなさそうだがかわいい笑顔をみせている。

もう、心配ないだろう・・・・スネイプはフッと口端で緩く笑って立ち上がり、寮まで送ろうと切り出した。



































静まり返った廊下を二人並んでたわいもない話をしながら歩く・・(の肩にとまっていた)

は思いのほか気分がすがすがしかった。ムーディに関して、スネイプは何も答えていないが

真剣に聞いてくれただけでもはとても嬉しかった。

そして、自寮贔屓の陰険教師と嫌がっていたスネイプとたわいもない話で笑い合うとは・・

驚きが隠せないけど、なんだかとても嬉しくて・・・は話をするスネイプの横顔をにっこりと盗み見ていた。







そういえば・・・術式の先生の人型・・薄いオレンジだったな・・・







薄いオレンジ・・・・滅多に表に出さない優しさを持っている人・・・









当たってるかも・・・・温かい人だね







「あーミス・



スネイプは思い出したようにを見た

少し戸惑いながら・・でもしっかりとした口調で紡がれたその言葉には釘付けになった。












ムーディのことは・・・すまないが・・我輩は分からない・・・

だが、なにかあったら・・いつでも我輩に話してくれないか?











嬉しかった・・一人でも話を聞いてくれる人物がいてくれる。

はにっこりと微笑んだ。











「先生」





「ん?」





「ありがとうございます」





























































やがてグリフィンドール寮前まで来るとは合い言葉を言って、スネイプにお辞儀した。

はバササと先に寮の中へ入っていき、も寮の中へ入っていく。

スネイプも自室に戻ろうと踵を返した瞬間、







「あースネイプ先生!!」







少し声を荒げたに「どうしたっ」と慌てて振り返る。











「今日・・・木曜日でしたよ・・処罰の日・・・・」









ちょっと不安そうに見てくるにしばらくスネイプは何のことだという顔をしたが、

やがて思い出して





「フッ」





と軽く吹きだした。







「致しかたあるまい・・・今日は特別に免除だ・・次は土曜日に来てもらおうか・・」







そう意地の悪い笑みを浮かべてを見据えてやるが、はニッコリと笑い、







「はーい!じゃっ土曜の放課後伺いま〜す!」





とスネイプに敬礼し、今度こそ寮の中へ入っていった。





「・・・・・・・・・処罰で喜ぶか?・・・・・」





呆れたように呟くスネイプに





「本当にねぇ・・・」





寮の扉肖像画の太った婦人が頷いた。











































































「ムーディか・・・」





自室へと向かう廊下を歩きながらスネイプは呟いた。

スネイプはムーディのことを知っていた・・・そう・・・昔・・・



スネイプはブルッと首を振った。



「わかっている・・・過去は消せん・・・だが・・今は・・・」





スネイプは両手で顔を覆った・・・





「我輩は守らねば・・・・」







ハリーポッターを・・・そして・・・





を・・」

























彼女に危害が及ぶことがあるのだろうか?・・・・

否、そんなことがないように・・我輩が守ろう・・必ず・・・・







ここに・・一人の守り人が新たな決意を固めた。















話の最後でようやくタイトルとリンク(笑)

だいぶ・・さんとスネイプの距離が縮まってきた!と思うでしょ?

けけけけけけけけっけけ〜!!だけどそう簡単にはねえ・・・・(笑)

この時点ではさんスネイプに対して印象が変わるだけです。

先生として好きになる感じです