魔法薬学の授業

























「魔法薬学」

















































朝からは気が沈んでいた。朝食・昼食はほとんど喉を通らず、午前の授業も・・落ち着けず・・・

そう、今日はあの!陰険教師・スネイプの!授業・・だ・・・。

今まで奴に何と言ってきただろうか・・・?





陰険・根暗・根に持ち男・ねっとり髪・血色悪・・・・・等々





そんな暴言を本人の前で堂々とぶちかまし、怒って近付いてくるスネイプから敵前逃亡を計ったのだから!!

忘れもしないあの時のスネイプの顔!!これから始まる授業ではどんな報復を受けるのだろうか・・・

そう思うとはいてもたってもいられなくなり・・・












地下牢への教室へと向かう途中、何度も逃走を図ったが嬉しそうに微笑む三人にしっかりホールドをかまされる。

っくう!人のことだと思ってからに〜!!そう三人を恨めしそうに睨むが、三人はさらににっこりするだけ。

地下牢に着く頃には三人にがっしり押さえつけられているがいた。

・・・・・哀れです・・・・・















「だめよ〜?〜授業はちゃんと出なきゃvv」





そうニッコリしながら言うハーマイオニーを涙目で見ながら





「あー・・・・頭がズキズキするな〜なんて・・・」



と笑ってみせる。ポンッとハリーがの肩に手を置き





「諦めて授業受けてネチネチ嫌味言われて済むのと、あとで呼び出し受けて何時間も説教受けるのどっちがいい?」





「授業行くデス・・・(泣)」



(どのみち処罰で週二回スネイプの所に行くんだけど・・・)

そう思いながらは頭の中で、少しでもスネイプの目を自分から逸らす方法を考えた。





















教室に着くとまとまった空席が3人分しかなかったので、は通路を挟んで隣にいるネビルの横に座ろうとした。





ー!こっちに来いよー!」



が顔を上げると、ドラコが手招きしている。

(せっかく呼んでくれているのだから)とドラコの方へ歩み出た瞬間、









ガシッ!









誰かに腕を掴まれた。(えっ?)と振り返るとハーマイオニーが凄い剣幕でドラコを睨みつけ、

の腕を掴んでいた。その後ろでハリーとロンも拳をフルフルさせてドラコを睨んでいる。





「えっと・・・ハ・・・ハーマイオニー?」





初めてみるハーマイオニーのその剣幕にたじろきながら、はハーマイオニーを見るが

ハーマイオニーの鋭い視線はドラコに注がれていて、の呼びかけが聞こえなかったようだ。

をグイッと引っ張り自分の後ろに隠す。





「なんでがあんたの所に座らなきゃならないのよ」



そう唸るハーマイオニーにドラコは嘲るような笑みを浮かべ、



「へーが座る場所ってお前が決めるのかよ?」



ゆっくりとハーマイオニーの前に立ち塞がる。

ハーマイオニーも負けじと腕を組み、威厳たっぷりな態度を示す。



「天下のスリザリンの王子様がグリフィンドールに何の用かしらねー?あら?違ったわ、お姫様かしら?」



ハリーやロン、グリフィンドール生はプッと噴き出した。

だけは噴き出さず、オロオロと2人の睨み合いを伺っている。


(どうしよう・・・私がドラコの所に行こうとしたのがいけなかったんだよね?)



は寮の対立心などあまり知らなかったし、たいして気にもしていなかった。

魔法生物飼育学の時、ドラコのことを少しやな奴だなとは思ったりもしたが

あまり話をしたことがなかったので話ができる機会と思ったのだが・・・





ドラコは顔を真っ赤にさせ、ハーマイオニーにズンと一歩前に歩み寄る。

顔を近付け−





「ならお前はなんだ?おせっかいやきのじゃじゃ馬じゃないか。

でしゃばるな、この・・穢れた血め





(穢れた血?)

は意味が分からなかったが決して良い言葉でない判断した。

事実、この一言でハーマイオニーの顔が一瞬にして固まり、ハリーとロンは怒りをあらわにしドラコの襟を掴んだし

他のグリフィンドール生もガタッと席を立ち、今にもドラコに飛び掛るような勢いだ。

そんな光景を目の当たりにし「良い言葉」であるはずがないだろう。









「じゃあ!私ここにすーわるっ!」









教室中の生徒が全員を見て・・・・・固まった







はドラコがいるグループの机に座っているのだが・・・・









なぜ、クッラブ・ゴイルの間!







そう、クラッブ・ゴイルの間にはかわいい笑顔でちょこん座っているがいた。



「おっおい!!僕の所に座りたいのは分かるがなぜそいつらの間なんだ!」



ドラコが慌ててのところに駆け寄ろうとするが、ハーマイオニーに「邪魔よ!」

とどつかれ、派手に吹っ飛んだ。ハーマイオニーはの腕を引っ張り、





「ここはだめよ!!ネビルの隣にして!」





そう叫ぶがはいやいやと首を振る。





「やー!私はクラッブとゴイルの隣がいいの〜!」



と駄々をこねる子供のように頬を膨らまし、そして・・・・・・

















クラッブの腕に抱きついた。



















びっきーん











教室が凍りついた。

抱きつかれたクラッブは茹でダコのように真っ赤だ。

ドラコは青白い顔をさらに青くし・・「父上・・」と呟いている。(なぜここで父上!?おい!)

ハーマイオニーはフラフラ〜となりハリー・ロンに支えられていて・・支えていても2人の視線はに注がれ唖然としている。





本当はどこの席でもよかったのだ。

ハーマイオニーとドラコが言い争っている間、教室内の生徒が二人に釘付けだったのだが

クラッブ・ゴイルの2人だけは興味がなかったのか他のことに夢中だったのか・・

2人で何か本を読んでいたのだ。はそれをハーマイオニーの後ろから見つけたのである。

クラッブ・ゴイルはというと、いきなりグリフィンドールの生徒が間に座ってきたのでかなり驚いているようだ。

それが新学期にかわいいと印象をうけただと分かったらなおさら・・・













「ねー2人とも!いいでしょう?ここに座らせて?」





そう首を傾げながら覗き込んでくるにクラッブ・ゴイルは顔を真っ赤にどもらせながら





「あ・・うん。かまわないよ」





と返す。



「わー!ありがとう!」





と2人の腕に抱きつく

抱きつかれてにんまりするクラッブ・ゴイル・・・







クラッブ・ゴイル、ボコす!









意識が遠のきそうだった少女は黒い笑みを浮かべ

プラチナブロンドの少年は手をバキバキ!と鳴らし

眼鏡をかけた少年はこれからいくつかの呪いを覚えようと心に誓い

赤毛の少年は拳をフルフルさせ2人を睨みつけている・・・・・・

他の生徒も以下同様な気配です。





そんな気配を感じ取っているのかいないのか、はそ知らぬ顔でクラッブ・ゴイルと楽しくおしゃべりしていた。































































やがて、始業のべルが鳴りそれと同時にバアン!と扉が開いた。

(あああああ・・・・来たよ来たよ・・・)は心の中で悲鳴をあげた。

乱暴にドアを開けスネイプが入ってくる。これがいつものスネイプなのだが、はもちろんそのことを知らない。

絶対自分のことでいまだ怒り狂っているのだとは怯えた。勢い良く開いたドアは反動で閉まる。







「四年で学ぶことは、これまでとは比べ物にならんほど複雑だ」





教壇へと歩きながらスネイプは呟くように・・それでも十分教室中に聞こえる声で話す。





「毎年言うが、貴様ら全員が理解するとは思っていない」





そう生徒に振り返った瞬間、スネイプは固まった。

その視線はに向けられている。眉間に皺を寄せ、ほんの少し目を見開いた。

(ああああ!何か嫌味ですかー!?)と心の中で叫び、口元を一回だけヒクつかせスネイプから視線を机の上にずらした。

当のスネイプはというと何もに嫌味を言うつもりで視線を向けたのではなく!の座っている位置に・・・・・















なぜ、がクラッブ・ゴイルの間にいる!?







席の都合上、グリフィンドールとスリザリンが同じグループの席に座ることはあるが

「スリザリンの間にグリフィンドールが座っている」なんていうことは初めてである。

しかもそれが好意を寄せている相手ならなおさらだ。

スネイプはに視線を向けたまま実験の手順を説明する。

その間はずっと下を向いていた。

なんでジロジロ見るのよ〜!!これもいやがらせかぁっ?こんちきしょー!!














それからしばらくして実験を始めた。

スネイプはとても、すんごい苦手だが、魔法薬学とういう授業は大好きな

手馴れた手つきであっという間に薬を完成させてしまった。







「あ・・・・あの・・・スネイプ先生・・完成しました・・・」





おそるおそるスネイプを呼ぶ

教室全員がを見た。皆もう出来上がったの?というような顔だ。

スネイプはすばやくの所に来て、完成した薬を凝視する。

長い間その動作をするスネイプに(あぁ・・・何か欠点探してるよ・・この根に持ちさんは・・)と心の中で嘆く。

少し離れた所からハリー・ロン・ハーマイオニーが不安そうに見守っていて・・。

(あーもう!減点するならさっさと減点しろー!コノやロー!)






「ミス・が一番最初に完成させたとして、グリフィンドールに3点」







「え?」



思わず声に出して驚きスネイプを見上げる。

ハリー達はもちろんほとんどの生徒も信じられないという顔だ。

スネイプは自分が寮監を勤めているスリザリンの贔屓をすることで有名だ。そのことは両親から聞いたし、ハリー達からも聞いた。

そして他の寮・・特にグリフィンドールからは少しのことでも減点をし、滅多なことでは点数を与えない。



そしてそして!はスネイプに対し暴言かましまくりの生徒である。

だから減点されることはあっても、点数を与えられるなんてことは夢にも思わなかった。

口をパクパクさせて驚き見上げてくる





「最後に入れるヘビカズラ。これを入れるタイミングは非常に難しい。」





とスネイプは言った。少し口端を上げ笑ったような気がするが、生徒に入れるタイミングのアドバイスをし始めたので

たぶん気のせいだろう・・(この私に微笑むはずがねえ!ってかそんな先生見たくない!)

道具を片付けて置くようにと指示され、大鍋を洗おうと腕まくりしているの耳元にスネイプは





「貴様個人のことでの減点は寮には深手だろう?」





と囁いた。ばっとスネイプを見ると・・

すんげえ!意地の悪い笑みを浮かべたスネイプが

意味ありげな視線を送ってくる。





「貴様が処罰を受けることで減点は控えてやる。感謝するんだな」





そういうとスネイプは別のグループの方へ踵を返していった。

はしばらくそのまま固まっていたという。



道具を片付けた後、クラッブとゴイルの手伝いをしたがなにやら視線が痛い・・










「うーん・・・・なんかやったかな・・・私。一番に完成させたのがまずったかな・・・」






は全く気づかない、その視線はクラッブ・ゴイルに向けられた嫉妬だと。

とくにハリーら3人とドラコの視線は凄まじいものだったようだ。



そしてもう一人・・・それ以上に眉間に皺を寄せ、普段以上に不機嫌そうなスネイプがいたという。



その犠牲となったのが大鍋を溶かしてしまったネビルである。

















































「そういえば今日ほとんど嫌がらせされなかったな〜」



授業が終わり「樽一杯の角ヒキガエルのはらわたを抜き出す」、とういう処罰を終えた神経衰弱状態のネビルの爪の間に入り込んだ

はらわたを取り除く魔法を、ハーマイオニーが掛けているのを眺めながらは呟いた。

嫌味・減点の覚悟で・・・逃亡まで計るほどの勢いで挑んだ授業だったので、かなり拍子抜けだ。





「そうね・・に対して険悪なムードはなかったわね。少し残念だけど」



サラッというハーマイオニーに「うわっひど!」とは嘆いた。

ロンは笑いながら思い出したように言った。





「でも、スネイプの奴かなり荒れてるぜ?なぜだかわかるよな?」



「ああ、ムーディだ」





ムーディと聞いて一瞬顔が引き攣ったが

「なぜ、荒れている理由がムーディなの?」



そう首を傾げるに3人・・(時折、ネビルも口をはさんだ)がスネイプは「闇の魔術」の教職に就きたがっていることを

話した。今年で四年連続、その職に就きそこなったこと。その教科の先生を散々嫌っていたことー





「ところがさ!ムーディに対してはちょっと違うんだ!」



ロンはパアッと表情を明るさせ声を大きくした。



「スネイプはムーディのこと・・少し怖がっているような気がするんだ。魔法の目・・じゃなく普通の目も避けている感じだし・・・」



ハリーは考え込むように言った。は今まで自分の身に降りかかる危機ばかり気にしていたので、

スネイプがムーディに対して用心しているなんて気づきもしなかった。

は「ふーん」と聞きながら、ひょっとしてスネイプもムーディのあのなんとも言えない気配に気づいているではないだろうか・・・

そう頭によぎった。心のどこかでそうであることを祈って。なぜだかは分からない・・スネイプは自分にとって凄い苦手な人物なのに

ただ、きっとムーディにたいして違和感を覚えている人物が他にもいたことに少しホッとしたのだろう。









「ムーディのあの気配は普通じゃない・・・」ハリー達の前では言わないほうがいいだろう。

は出かかった言葉をゆっくりと飲み込んだ。